The Kainoki Treebank front page
Parsing Guide for the Kainoki Treebank
このマニュアルでは,現代日本語の解析のためのアノテーションの枠組みについて詳しく解説する。 統語構造はタグ付き括弧によって表示されるが,そのやり方は Penn Treebank (Bies et al. 1995),とりわけ,Annotation manual for the Penn Historical Corpora and the Parsed Corpus of Early English Correspondence (PCEEC) (Santorini 2010) 等の,ペン通時統語解析コーパスのグループで提案された方式を採用する。この方式の特徴は次のとおりである:
CorpusSeach 形式(第 1.3.1 節で記述する)を underlying encoding として採用していること
動詞句(VP)構造がないこと
IP ,ADVP ,NP ,PP というタグラベルの使用
句の並列構造における CONJP レイヤーの表示
すべての節ノード節レベルの構成素においてその機能を示していること
また,本コーパスのアノテーション方式は,構文分析の採用に関して, そしてとりわけ,複雑な表現を従属ないし等位接続によって表す方法に関して, SUSANNEスキーム(Sampson 1995) に多く着想を得ている。 一方で,本アノテーションは革新的な点も数多く含んでいる。 例えば,例外的なスコープに関する情報を明示的にアノテートしていたり, 文中および文間の両方における照応的依存関係を談話的に解決するための情報を含んでいたりする。
本アノテーションはテキストファイルに対して,一般的なテキストエディタにより行われる。
実際のアノテーションは第一に観察的妥当性を目指すものでなければならない。 その目的は,データにおける同定可能な関係・過程に一定の言語学的な分析を示すことである。 このような関係・過程は可能な限り均一に取り扱われる。 本マニュアルではそれらを詳述する。 アノテーションは,記述のシステムが理論的に正しいか否かという問題を別として,語彙的・機能的要素,品詞,様々なカテゴリーに属し様々な機能を持つ構成素,ある特徴を持つと捉えられる構造に対し,明瞭な方法で行われる。 本マニュアルはアノテーター(単位分割,タグ,構造における位置を指定する)とユーザー(要素のクラス,カテゴリー,要素間の関係を検索する)の両方に向けられたものである。 検索の条件には終端文字列,節点のタグ,付加的な拡張タグ,そしてこれらの間の構造関係の組み合わせを指定する。 解析されたデータを修正を加えることなしに検索できるツールとしては, CorpusSearch (Randall 2009), および Tregex (Levy, and Andrew 2006). が挙げられる。
現行のアノテーションは,統語的な分析をベースに Treebank Semantics (Butler 2015). http://www.compling.jp/ts の方式を用いて,述語論理に基づく意味表示を生成することも目指しており,統語的な分析から意味的な分析を計算するために曖昧性解消情報が加えられている。 その1つは,節連結のタイプ(つまり,非終結節のタイプ)を特定するための拡張タグである。 従属的な節連結に対しては,拡張タグ SCON (subordinate conjunction) を認めている。 従属節はその節における空主語の配置,およびより上位の階層の項との照応関係に影響を与える(これは,「コントロール」と呼ばれる照応計算に従う)。 このタイプの従属節と区別されるのが,拡張タグ CONJ (coordinating conjunction) を与えられる等位的な節連結である。 等位節は他の節と共有される項の配置に影響を与える(これは,ATB (Across the Board) 抽出と呼ばれる照応計算に従う)。
これらの拡張タグが適切に与えられ,それに基づいて計算が行われることにより,日本語の照応関係は多くの場合,明示的なインデクス付けをすることなしに適切に測定することができる。 この実践により,意味計算を行うための確固とした基盤を築くこと,記述として正しいアノテーション体系を単純化すること,そして,空要素の分布に関する制約のうち,例えばゼロ代名詞の配置などに関して興味深い帰結をもたらすようなものを把握することが可能になる。
以下では,アノテーション体系の概要を示すことにし,次章からは特定のトピックに関する解説を行う。
タグには,品詞に対するもの(つまり,N=名詞,P=助詞,ADV=副詞,等), 句レベルのカテゴリーを表し,構成素の形式を最低限度表すもの(NP=名詞句,PP=助詞句,ADVP=副詞句,等), さらに,節レベルに対するもの(IP-MAT=主節,CP-FINAL=終助詞を伴う主節,等)がある。 タグはしばしば,ハイフンに後続して機能を示す拡張タグを伴う(P-ROLE=格助詞,NP-SBJ=主語名詞句,等)。 大多数の場合,拡張タグは1つだけであるが,2つ以上付加されることもありうる(CP-QUE-OB1=目的語として働く疑問文,IP-ADV-SCON-CND=条件節,等)。
以下に,使用されるすべてのタグを一覧表として掲げる。
Table 1.1: 品詞タグ
ADJI-MD モーダルなイ形容詞 (modal イ-adjective)
ADJI イ形容詞 (イ-adjective)
ADJN-MD モーダルなナ形容詞 (modal ナ-adjective)
ADJN ナ形容詞 (ナ-adjective)
ADV 副詞 (adverb)
AXD テンス標識(助動詞の一部) (auxiliary verb, past tense),過去テンス
AX 助動詞 (auxiliary verb (including copula))
CL 助数詞 (classifier)
CONJ 等位接続詞 (coordinating conjunction)
D 限定詞 (determiner)
FN 形式名詞 (formal noun)
FW 他言語の要素 (foreign word)
INTJ 間投詞 (interjection)
MD モーダル要素 (modal element)
NEG 否定辞 (negation)
N-MENTION 表現の言及的用法 (mentioned expression)
NPR 固有名詞 (proper noun)
N 名詞 (noun)
NUM 数詞 (numeral)
PASS2 間接受動助動詞 (indirect passive)
PASS 受動助動詞 (direct passive)
P-COMP 補文助詞 (complementizer)
P-CONN 接続助詞 (conjunctional particle)
P-FINAL 終助詞 (final particle)
P-INTJ 間投助詞 (interjectional particle)
PNL 連体詞 (prenominal)
P-OPTR とりたて助詞 (toritate particle)
P-ROLE 格助詞 (role particle)
PRO 代名詞 (pronoun)
PUL 左括弧 (left bracket)
PUQ 引用符 (quote)
PUR 右括弧 (right bracket)
PU 句読点 (punctuation)
Q 量化詞 (quantifier)
SYM 記号 (symbol)
VB0 軽動詞 (light verb)
VB2 補助動詞 (secondary verb)
VB 動詞(語幹) (verb (or verb stem))
WADV 疑問副詞 (indeterminate adverb)
WD 疑問限定詞 (indeterminate determiner)
WNUM 疑問数詞 (indeterminate numeral)
WPRO 疑問代名詞 (indeterminate pronoun)
Table 1.2: 句タグ
ADVP 副詞句 (adverb phrase)
CONJP 接続詞句 (conjunction phrase)
INTJP 間投詞句 (interjection phrase)
NML 中間名詞句 (intermediate nominal layer)
NP 名詞句 (noun phrase)
NUMCLP 助数詞句 (numeral-classifier phrase)
PNLP 連体句 (prenominal phrase)
PP 助詞句 (particle phrase)
PRN 括弧挿入句 (parenthetical)
Table 1.3: 節タグ
CP-EXL 感嘆節 (exclamative)
CP-FINAL 終助詞節 (projection for sentence final particle)projection for sentence final particle)
CP-IMP 命令節 (imperative)
CP-QUE 疑問節(直接または間接) (question (direct or indirect))
CP-THT 補部節 (complementizer clause)
FRAG 断片 (fragment)
IP-ADV 副詞節 (adverbial clause)
IP-EMB 空所なし名詞修飾節 (gapless noun-modifying clause)
IP-MAT 主節 (matrix clause)
IP-NMZ 名詞化節 (nominalized clause)
IP-REL 関係節 (relative clause)
IP-SMC 小節 (small clause)
IP-SUB 準主節 (clause under CP layer)
multi-sentence 多重文 (multiple sentence)
Table 1.4: 機能タグ
-ADV 副詞的 (unspecified adverbial function)
-CMPL 補語的 (used with complement function)
-CND 条件 (used as conditional)
-CNT 連用形 (used with continuative function)
-CONJ 等位接続 (conjunct of coordination)
-CZZ 被使役者 (used with causee function)
-DOB1 派生された(繰り上がった)第一目的語 (used with derived primary object function)
-DSBJ 派生された(繰り上がった)主語名詞句 (used with derived subject function)
-LGS 論理的主語 (logical subject)
-LOC 場所 (used with locational function)
-MSR 数量 (used with measurement function)
-OB1 第一目的語 (used as primary object)
-OB2 第二目的語 (used as secondary object)
-POS 所有 (used with possessive function)
-PRD 述語 (used as predicate)
-PRP 目的 (used with purposive function)
-SBJ 主語 (used as subject)
-SBJ2 第二主語 (used as secondary subject)
-SCON 従属接続 (subordinate element of subordinate conjunction)
-TMP 時間 (used with temporal function)
-TPC 主題 (topic)
-VOC 呼びかけ (vocative)
Table 1.5: その他のタグ
FS 言い誤り (false start)
LS リスト項目 (list item)
LST リスト (list)
META メタデータ (metadata)
1.3 一般的な解析の原則
本アノテーション体系では,統語構造をタグ付きの括弧によって表示する。 すべての左括弧にタグが付加されるが,これは終端ノード以外の木構造のノードを示している。
1.3.1 解析されたデータのフォーマット
NPCMJの全てのファイルは,CorpusSearchプログラム (Randall 2009), http://corpussearch.sourceforge.net/CS-manual/YourCorpus.html に適合するよう整形されている。 より具体的には,解析済みファイル内の括弧に囲まれた木のそれぞれが「ラッパー」(wrapper)をもたなければならない。 ラッパーとは,タグのない括弧であり,それがツリーの内容と IDノードを囲む。 IDノードは,ファイル内でのツリーの番号と,アンダースコア(_ )と,ファイル名(拡張子.psdを除く)から成る。 ファイル名の後には,セミコロン(; )を挟むことで上記以外の文字列を続けることができる。
すべての語には,品詞タグが付加される。 テキストに明示されていなくとも,構造を記述するための空要素(ゼロ代名詞,トレース,等)が終端ノードの要素として導入される。 空要素はすべて,その両端に「* 」を伴う(詳しくは 1.5 and 1.4 節を参照)。 また,空要素は典型的には句レベルのノードの直下に置かれ, 品詞にあたるノードを投射しない。 「* 」で囲まれた終端ノードは,例えば省略された助詞を補うといった理由で(section 2.14 節を参照),アノテーションの際に加えられたものである。
1.3.3 単位分割および品詞アノテーション
単位分割と品詞タグ付与は,純粋に語彙的な要素の中に機能的な要素を取り込むことを避けながら,終端ノードをできるだけ大きくとるという方針に従う。 これはおおむね,Corpus of Spontaneous Japanese (CSJ; Maekawa 2003) および Balanced Corpus of Contemporary Written Japanese (BCCWJ; Maekawa et al. 2014) の長単位基準に従っている。 長単位は少なくとも1つの短単位から成るが,2つ以上の短単位から成る複合的なものが普通である。 短単位は UniDic (Den et al. 2008) のエントリーと一致するものである。
長単位分析から得られるチャンキングは複合名詞や複合的述語に限らない。 文法化された様々な要素(例えば,形式名詞と助詞のペア,モーダルな表現,等)も1つにまとめられる。 複合的な長単位は通常,1つの単位として扱われる。 例えば,数詞は短単位としては1桁ずつ別々に分析されるが, 解析の際には長単位に従って,これらを1つの単位として扱う。
BCCWJ と CSJによる長単位のチャンキングは統語的な分析のために定められた単位であるが, 妥当な統語論の記述を行おうとしながら,直接構成素のツリーを生成するためには情報が不十分な場合がある。 そのため,環境によっては短単位をさらに分割することがある (例えば,動詞の意志形は語幹と意志を表す形態素から成る (VB 結ぼ) (AX う) のように分析される)。 逆に,長単位の連続を1つにまとめることもある(例えば,複合的な固有名詞を構成する複数の長単位をまとめて1つにする)。 さらに,統語論に影響しないような形態論的な細かな分析は無視されることがある(例えば,人名と地名の区別)。 その一方で,重要と考えられるものについては独自の分析を与える(例えば,同音ではあるが,文法的な機能という観点から,2つ以上の品詞に分けられる要素)。 これらは,フラットで検索が容易であるという特徴を保持しながら言語の基本的な機能的構造を洗い出すという目的から行われるものである。
チャンキングは自動解析で可能な限り大きな単位にまとめるという方針で行う。 これらはアノテーターがまず最初に目にする単位である。 しかし,そのような単位の中に明らかに構造として表現されるべきものが含まれる場合, あるいは,構造の意味的な影響を示す必要がある場合には,チャンキングがなされないこともある。 前者の例として,「中(ちゅう)」という形態素を考える。 これは「旅行」のような動作名詞に後続することがあり, UniDic では名詞化接尾辞として分析され,先行する動作名詞とともに長単位にまとめられる。 この分析は,「旅行」が名詞修飾要素を伴う場合には問題ない。
(1.1 )
彼 は 旅行中 にして 、 病 に 倒れ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
彼
P-OPTR
は
PP
NP
__N
旅行中
P-ROLE
にして
PU
、
PP
NP
N
病
P-ROLE
に
VB
倒れ
AXD
た
PU
。
[696_textbook_particles@10 ]
しかし,以下のように「旅行」が項をとったり,あるいは副詞を伴ったりして, 「中」を名詞として分析した方がよい場合もある。
(1.2 )
佐藤さん は 海外 を 旅行 中 だ 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
NPR
佐藤さん
P-OPTR
は
NP-PRD
IP-EMB
NP-SBJ
*pro*
PP-OB1
NP
N
海外
P-ROLE
を
__VB
旅行
___N
中
AX
だ
PU
。
[16_misc_EXAMPLE2@18,20 ]
もうひとつは,通常は複合的な助詞とされるものを分割する場合である。 UniDIC は様々な動詞と助詞の組み合わせを複合助詞としてチャンキングしている。 以下のように,「にしたがって」では「従う」という動詞の意味が希薄である。
(1.3 )
「 地 は 生き物 を 種類 にしたがって いだせ 。
CP-IMP
PUL
「
IP-SUB
PP-SBJ
NP
N
地
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
N
生き物
P-ROLE
を
PP
NP
N
種類
__P-ROLE
にしたがって
VB
いだせ
PU
。
[49_bible_ot@21 ]
このように,UniDic の分析は正しいことが多いが, 以下のように「にしたがって」という複合助詞ではなく,「したがう」という動詞が用いられていると分析されるべき場合がある。
(1.4 )
モーセ は 主 の 命 に したがっ て 、 パラン の 荒野 から 彼ら を つかわし た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
NPR
モーセ
P-OPTR
は
IP-ADV-CONJ
PP
NP
PP
NP
N
主
P-ROLE
の
N
命
P-ROLE
に
__VB
したがっ
___P-CONN
て
PU
、
PP
NP
PP
NP
NPR
パラン
P-ROLE
の
N
荒野
P-ROLE
から
PP-OB1
NP;{LEADERS}
PRO
彼ら
P-ROLE
を
VB
つかわし
AXD
た
PU
。
[418_bible_ot@21,23 ]
このような場合には,アノテーターが単位分割を行い,取り出された要素のそれぞれに適切なラベルを与える必要がある。
句構造は以下のように記述することができる。
(1.5 )
(XP (Y 単一の単語からなる修飾部)
(YP 複数の単語からなる修飾部)
(ZP 補部)
(X 主要部))
句を投射する語(N,P,ADV,等)は句の主要部である。句の主要部は句のノード(NP,PP,ADVP,等)に直接支配され,主要部に対する修飾部(modifier)と補部(complement)は,主要部の姉妹となる。 Xバー理論で用いられているような中間レベルの構造(N',ADV',等)が明示的に表示されることは原則としてない。
主要部(N,P,ADV,等)は明示されるのが原則であり,それを直接支配する句レベルのカテゴリー(NP,PP,ADVP,等)と一致する。
(1.6 )
(PP (NP (N 街))
(P-ROLE で))
(1.7 )
(ADVP (ADV とても))
ただし,主要部となる語が明示的に存在しないか,あるいは存在してもそのカテゴリーのタグと句レベルのカテゴリーのタグが一致しないこともある。 単語レベルの構成素が,それ自身が投射する句のカテゴリーと一致しないものには,以下に述べるように様々なケースがある。:
主要部が一般的なカテゴリーのタグではなく,特殊なタグである場合 (下の例の名詞句(NP)の主要部である代名詞(PRO)は名詞(N)の下位クラスである)
(1.8 )
(NP (PRO 彼)) ← 主要部のタグが特殊
NP の主要部に対する特殊なタグとして,固有名詞(NPR),量化詞(Q),代名詞(PRO),疑問代名詞(WPRO),他言語の要素(FW),表現の言及的用法(N-MENTION)および中間名詞句(NML)がある。 また,例外的に,数量詞句(NUMCLP)はこれ自体が句カテゴリーだが,常に NP を投射する。
IP の主要部は述語(屈折要素)であるが,述語自体はその核として様々な品詞に属する要素を持つ: 動詞(VB),イ形容詞(ADJI),ナ形容詞(ADJN+AX),述語名詞句(NP-PRD+AX)等。 そのため,IP というタグと述語(の核)のタグは一致しない。
数量詞句(NUMCLP)を構成する数詞(NUM)と助数詞(CL)は互いに依存しており,最も右側の要素(通常は CL)が主要部ではあるが, NUM と CL の両方が句カテゴリーである NUMCLP によって直接支配される。
副詞句(ADVP)は,副詞(ADV)だけでなく,ナ形容詞(ADJN+AX)や イ形容詞(ADJI)の連用形を主要部とすることがある。
連体句(PNLP)はさまざまな数のさまざまなカテゴリーを支配することができる。
接続詞句(CONJP)の主要部として,助詞(P)(典型的にはP-CONN),等位接続詞(CONJ)や「裸」の句カテゴリーが現れることがある。
主要部は省略されることがある(以下は「右方節点繰上げ構文」の例であるが,等位的な副詞節(IP-ADV-CONJ)の述語「迎える」が省略されている)。
(1.9 )
仙台フィルハーモニー管弦楽団 の 第279 回 定期演奏会 は 、 指揮 に ヘンリク・シェーファー 、 ピアノ に 萩原麻未 を 迎え ます 。
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
PP-TPC
NP
PP
NP;{ORG}
NPR
仙台フィルハーモニー管弦楽団
P-ROLE
の
NUMCLP
NUM
第279
CL
回
N
定期演奏会
P-OPTR
は
PU
、
__IP-ADV-CONJ
PP
NP
N
指揮
P-ROLE
に
NP-OB1;{PERSON}
NPR
ヘンリク・シェーファー
PU
、
PP
NP
N
ピアノ
P-ROLE
に
PP-OB1
NP;{PERSON}
NPR
萩原麻未
P-ROLE
を
VB
迎え
AX
ます
PU
。
[99_news_KAHOKU_40@23 ]
主節は IP-MAT とラベル付けされる。 主語(明示的に表されているか否かに関わらない)と述語の対が節を投射する。 典型的な場合,1つの節には1つの主たる述語がある。 例えば,動詞(VB),イ形容詞(ADJI),ナ形容詞(ADJN)+コピュラ(AX),述語名詞句(NP-PRD)+コピュラ(AX),である。 本コーパスでは VP のレベルを設定しない。 したがって,IP の構造は平坦で,節のレベルの構成素は動詞や助動詞等と同じレベルに表示される。
(1.10 )
花子 が 泣い た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{PERSON}
NPR
花子
P-ROLE
が
__VB
泣い
___AXD
た
PU
。
[1823_misc_JSeM_beta_150530@8,10 ]
(1.11 )
この 料理 は おいしい 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
D
この
N
料理
P-OPTR
は
__ADJI
おいしい
PU
。
[1358_misc_JSeM_beta_150530@10 ]
(1.12 )
キム は 有能 だ 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
NPR
キム
P-OPTR
は
__ADJN
有能
___AX
だ
PU
。
[1442_misc_JSeM_beta_150530@8,10 ]
(1.13 )
メアリー は 女性 で ある 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
NPR
メアリー
P-OPTR
は
__NP-PRD
N
女性
___AX
で
___VB2
ある
PU
。
[1053_misc_JSeM_beta_150530@8,11,13 ]
IP を構成するのは,原則として,述語と句レベルの構成素(語レベルの構成素ではない)であるが, 述語の核となる語(動詞, イ形容詞, ナ形容詞+コピュラ, 名詞句+コピュラ)の他にも, 少数の他の語レベルの構成素が IP の直下に置かれることが出来る。 これには,等位接続詞(CONJ),1語から成る間投詞(INTJ), 軽動詞・助動詞の類(VB0,VB2,PASS,AX,等),否定辞(NEG),モーダル助動詞(MD),いくつかの形式名詞(FN), 助詞(P)がある。
(1.14 )
電話番号 を 聞き 違え た か 、 または もう この 電話 は 使わ れ て い ない の だろう 。
IP-MAT
PP-CONJ
IP-ADV
NP-SBJ
*speaker*
PP-OB1
NP
N
電話番号
P-ROLE
を
VB
聞き
VB2
違え
AXD
た
P-CONN
か
PU
、
NP-LGS
*pro*
CONJ
または
ADVP
ADV
もう
PP-SBJ
NP
D
この
N
電話
P-OPTR
は
__VB
使わ
___PASS
れ
___P-CONN
て
___VB2
い
___NEG
ない
___FN
の
___MD
だろう
PU
。
[165_textbook_djg_intermediate@37,39,41,43,45,47,49 ]
1個またはそれ以上の句が連なっているが,全体で1つの IP を構成していない場合, そのような文は断片と呼ばれ,それを構成する句はFRAG の下に置かれる。
(1.15 )
まったく 。
__FRAG
ADVP
ADV
まったく
PU
。
[229_aozora_Harada-1960@1 ]
(1.16 )
= 2011 年 4 月 、 遠野市
__FRAG
SYM
=
NP-TMP
NUMCLP
NUM
2011
CL
年
NUMCLP
NUM
4
CL
月
PU
、
NP;{LOC}
NPR
遠野市
[52_news_KAHOKU_65@1 ]
(1.17 )
おそらく 、 ある 観念 も 。
__FRAG
ADVP
ADV
おそらく
PU
、
PP-SBJ
NP
D
ある
N
観念
P-OPTR
も
PU
。
[184_aozora_Hayashida-2015@1 ]
単一の名詞句や助詞句で感嘆節として用いられたものはこの文型に含まれる。
(1.18 )
泥棒 !
__FRAG
___NP
N
泥棒
PU
!
[28_aozora_Kunieda-1925@1,2 ]
これは形式名詞「こと」を使った次のような命令文にも適用される。
(1.19 )
この 第6 作 について は 『 仮面ライダー ( スカイライダー ) 』 を 参照 の こと 。
CP-IMP
__FRAG
NP
PP
IP-NMZ
NP-SBJ
*hearer*
PP
NP;{SKYRIDER_SERIES}
D
この
NUMCLP
NUM
第6
CL
作
P-ROLE
について
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
PUL
『
NPR
仮面ライダー
PRN
PUL
(
NP
NPR
スカイライダー
PUR
)
PUR
』
P-ROLE
を
VB
参照
P-ROLE
の
___N
こと
PU
。
[11_wikipedia_Kamen_Rider@2,43 ]
FRAG は CP-THT や CP-QUE の下にも現れる。
(1.20 )
糞坊主め と はがみ を し た 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
___CP-THT-ADV
__FRAG
NP
N
糞坊主め
P-COMP
と
PP-OB1
NP
N
はがみ
P-ROLE
を
VB
し
AXD
た
PU
。
[116_aozora_Natsume-1908@5,4 ]
(1.21 )
何 の ?
___CP-QUE
__FRAG
PP
NP
WPRO
何
P-ROLE
の
PU
?
[30_spoken_JF6@2,1 ]
1.3.8 括弧挿入句(PRN)
PRN のラベルは括弧に入れられた要素に与えられる。 また,同格的(appositive)な関係にある2つの要素の一方にも与えられる。 括弧付けされた内容を区切るダッシュや括弧(PUL および PUR)は, PRN ノードの内に含まれる。
PRN に入れられた要素の品詞は様々であり,機能は様々である。 その機能のうちのいくつかは,意味論的に大きな影響を及ぼしさえする。 具体的には,PRNの機能としては, 副次的な言及や詳細の追加をすることもあるし,また修飾先と同等の機能を果たすこともある。 さらに,修飾先を量化させる力を持つこともある。
(1.22 )
○ 国務大臣 ( 三塚博君 )
FRAG
SYM
○
NP
N
国務大臣
PRN
PUL
(
NP
NPR
三塚博君
PUR
)
[18_diet_kaigiroku-13 ]
(1.23 )
津波 を 防御 し た 仙台東部道路 の 内陸側 に 立地 する = 仙台市 若林区 荒井東
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
PP
NP
PP
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
PP-OB1
NP
N
津波
P-ROLE
を
VB
防御
VB0
し
AXD
た
NPR
仙台東部道路
P-ROLE
の
N
内陸側
P-ROLE
に
VB
立地
VB0
する
META
SYM
=
NP;{LOC}
NPR
仙台市
NPR
若林区
NPR
荒井東
[34_news_KAHOKU_78 ]
同格的として PRN を与えられる要素には次のようなものがある。
ある名詞(N),固有名詞(NPR),代名詞(PRO)に対して補足的な情報を与える要素。 多くの場合,名詞・固有名詞・代名詞の直前または直後に置かれるが,間に他の修飾句が置かれることもある。
(1.24 )
東北 の 空 の 玄関口 ・ 仙台空港 は 、 16 年 3 月 の 民営化 方針 が 正式決定 し た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{FAC}
PRN
NP
PP
NP
PP
NP;{NORP}
NPR
東北
P-ROLE
の
N
空
P-ROLE
の
N
玄関口
PU
・
NPR
仙台空港
P-OPTR
は
PU
、
PP-SBJ2
NP
NML
PP
NP
NUMCLP
NUM
16
CL
年
NUMCLP
NUM
3
CL
月
P-ROLE
の
N
民営化
N
方針
P-ROLE
が
VB
正式決定
VB0
し
AXD
た
PU
。
[86_news_KAHOKU_78 ]
(1.25 )
我々 が ―― 我々 日本帝国人民 が 偉い か 、
CP-QUE
IP-SUB
FS
PP
NP
PRO
我々
P-ROLE
が
PU
――
PP-SBJ
NP
PRO
我々
PRN
NP
N
日本帝国人民
P-ROLE
が
ADJI
偉い
P-FINAL
か
PU
、
[190_aozora_Kobayashi-1929 ]
発話への挿入としてのPRN。挿入的な発話(IP-MATかCPのいずれか)を取り, 別の節の要素となる。
(1.26 )
答える べき 質問 は -- もう 時間 です ね -- 毎日 の 生活 の 中 で どう すれ ば より 多く の 時間 を フロー の 状態 に できる か
IP-MAT
PP-SBJ
NP
IP-REL
PP
NP
*T*
P-ROLE
*に*
NP-SBJ
*speaker+pro*
VB
答える
MD
べき
N
質問
P-OPTR
は
PRN
PU
--
CP-FINAL
IP-SUB
NP-SBJ
*exp*
ADVP
ADV
もう
NP-PRD
N
時間
AX
です
P-FINAL
ね
PU
--
CP-QUE-PRD
IP-SUB
NP-SBJ
*arb*
PP
NP
PP
NP
PP
NP
Q
毎日
P-ROLE
の
N
生活
P-ROLE
の
N
中
P-ROLE
で
IP-ADV-SCON-CND
ADVP-CMPL
WADV
どう
VB
すれ
P-CONN
ば
PP-OB1
NP
IP-REL;*
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
ADVP
ADV
より
Q
多く
AX
の
N
時間
P-ROLE
を
IP-SMC-CNT
NP-PRD
PP
NP
N
フロー
P-ROLE
の
N
状態
AX
に
VB
できる
P-FINAL
か
AX
*
[136_ted_talk_3 ]
ある名詞(N),固有名詞(NPR),代名詞(PRO)の直後に置かれた,再帰代名詞(PRO)を主要部とする名詞句(NP)(再帰代名詞については,3.2.2 節を参照)
(1.27 )
―― それ は 支配人 自身 だっ た 。
IP-MAT
PU
――
PP-SBJ
NP
PRO
それ
P-OPTR
は
NP-PRD;{MANAGER}
N
支配人
PRN
NP
PRO
自身
AX
だっ
AXD
た
PU
。
[158_aozora_Harada-1960 ]
(1.28 )
そして 私 は その 中 に 現実 の 私 自身 を 見失う の を 楽しん だ 。
IP-MAT
CONJ
そして
PP-SBJ
NP
PRO
私
P-OPTR
は
PP
NP
D
その
N
中
P-ROLE
に
PP-OB1
NP
IP-EMB
PP-OB1
NP
PP
NP
N
現実
P-ROLE
の
PRO
私
PRN
NP
PRO
自身
P-ROLE
を
VB
見失う
N
の
P-ROLE
を
VB
楽しん
AXD
だ
PU
。
[27_aozora_Kajii-1925 ]
ある名詞(N),固有名詞(NPR),代名詞(PRO)の直後に置かれた助数詞句(NUMCLP),量化詞(Q),量化名詞(QN)を主要部とする名詞句(NP)で,その直前の名詞を量化させるもの。 このようなパターンでは,その投射する NP に ;* が加えられる (3.3.5.2 節を参照)。
(1.29 )
社員 全員 が 昇進 を 目指し て いる 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
社員
PRN
NP;*
Q
全員
P-ROLE
が
PP-OB1
NP
N
昇進
P-ROLE
を
VB
目指し
P-CONN
て
VB2
いる
PU
。
[71_misc_JSeM_beta_150530 ]
(1.30 )
うち 多賀城市 は 対象 の 農地 97 ヘクタール の 工事 が 全て 完了 し た 。
IP-MAT
NP-ADV
N
うち
PP-SBJ
NP
NPR
多賀城市
P-OPTR
は
PP-SBJ2
NP
PP
NP
PP
NP
N
対象
P-ROLE
の
N
農地
PRN
NP;*
NUMCLP
NUM
97
CL
ヘクタール
P-ROLE
の
N
工事
P-ROLE
が
NP;*SBJ*
Q
全て
VB
完了
VB0
し
AXD
た
PU
。
[44_news_KAHOKU_84 ]
「発言」,「質問」,「答え」,「動機」,「傾向」等の抽象名詞より前の位置に, それらの名詞の内容をより明確に示すような,遊離したと考えられるような, 補部節(CP-THT)あるいは疑問節(CP-QUE)が置かれることがある。 これらのCPは,PRNによって保護した上で,*ICH* 分析 ( 1.4 節を参照)を 施すことにする (詳細は 6.18.3 と 6.17.2 節を参照)。
(6.58 )
芸術界 で 今 何 が 起こっ て いる か 動向 が 分かる と さ れる もの でし た
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
NP-PRD
IP-EMB
NP-LGS
*arb*
CP-THT-SBJ
IP-SUB
NP-SBJ
*pro*
PRN-1
CP-QUE
IP-SUB
PP
NP
N
芸術界
P-ROLE
で
NP-TMP
N
今
PP-SBJ
NP
WPRO
何
P-ROLE
が
VB
起こっ
P-CONN
て
VB2
いる
P-FINAL
か
PP-OB1
NP
N
動向
PRN
*ICH*-1
P-ROLE
が
VB
分かる
P-COMP
と
VB
さ
PASS
れる
N
もの
AX
でし
AXD
た
[20_ted_talk_10 ]
(1.32 )
真宗 の 寺院建築 に は 他 に も 内陣 に比べて 外陣 が 広い など 、 他宗 に 見 られ ない 特徴 が ある 。
IP-MAT
PP
NP
PP
NP
NPR
真宗
P-ROLE
の
N
寺院建築
P-ROLE
に
P-OPTR
は
PP
NP
N
他
P-ROLE
に
P-OPTR
も
PRN-1
CP-THT
IP-SUB
PP
NP
N
内陣
P-ROLE
に比べて
PP-SBJ
NP
N
外陣
P-ROLE
が
ADJI
広い
P-OPTR
など
PU
、
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-LGS
*arb*
PP
NP
N
他宗
P-ROLE
に
VB
見
PASS
られ
NEG
ない
N
特徴
PRN
*ICH*-1
P-ROLE
が
VB
ある
PU
。
[31_wikipedia_KYOTO_3 ]
一般的規則として,multi-sentence を例外として,句読点は可能なかぎり高い位置に置かれる。
(1.33 )
希望者 は 、 住所 、 氏名 、 および 、 電話番号 を 記入 し て 下さい 。
CP-IMP
IP-SUB
PP-SBJ
NP
N
希望者
P-OPTR
は
PU
、
PP-OB1
NP
CONJP
NP
N
住所
PU
、
CONJP
NP
N
氏名
PU
、
CONJ
および
PU
、
NP
N
電話番号
P-ROLE
を
VB
記入
VB0
し
P-CONN
て
VB2
下さい
PU
。
[882_textbook_kisonihongo ]
また,IP-ADV に対して明示的な等位接続詞(「かつ」等)が後続する場合,IP-ADV と等位接続詞の間に読点が挿入されうることに注意すること。
(1.34 )
彼女 は 一流 の ピアニスト で 、 かつ 優れ た 随筆家 だ 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
彼女
P-OPTR
は
IP-ADV-CONJ
NP-PRD
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
一流
AX
の
N
ピアニスト
AX
で
PU
、
CONJ
かつ
NP-PRD
IP-REL
NP-SBJ
*T*
VB
優れ
AX
た
N
随筆家
AX
だ
PU
。
[192_textbook_djg_advanced ]
1.3.8 節でも述べたように, PRNを区切るダッシュや括弧(PUL および PUR)は, 例外として,PRN ノードの内に含まれる。
テクストには,舞台の指示や話題の人物の身元に関するメタデータが含まれることがある。 この種の情報は,META のラベルを付加して扱う。
(1.35 )
週末 は 人並み が 絶え ない = 昨年 11 月
IP-MAT
PP-TMP
NP
N
週末
P-OPTR
は
PP-SBJ
NP
N
人並み
P-ROLE
が
VB
絶え
NEG
ない
META
SYM
=
NP
N
昨年
NUMCLP
NUM
11
CL
月
[22_news_KAHOKU_457 ]
1.4 いつでもインデクス付けされる空要素
前節で述べた空要素はすべてインデクス付けされないものであるが,インデクスの付加が必要な空要素も存在する。
Table 1.6: インデクス付けをともなう空要素
*ICH* ("Interpret Constituent Here (この位置で構成素を解釈せよ)"の省略形)は,不連続構造を表示するためのトレースとして使用される。 ここで不連続構造とは,文末への倒置(6.21.4 節を参照のこと),長距離スクランブリングおよび他の転置のうち, 句レベルの要素を横断するが,コントロール,ATB,関係節に関する計算によらず, またソート情報(1.5.6 節を参照のこと)によっても表されないものを指す。 インデクス付けは,インデクス番号を転置された構成素のラベルに付加し, またその構成素が解釈されるべき位置に同カテゴリーのダミーの構成素を作り, その子ノードとして *ICH* を付け加えることで機能する。 以下の例文では外置されたPPはインデクス付きの*ICH* に対応している。 文法役割を表す拡張タグ(下の例の -SBJ )は,外置された要素のノードでなく,*ICH* の親ノードに付加されることに注意すること。
(6.106 )
美しい 街 です よ 、 神戸 は 。
CP-FINAL
IP-SUB
___PP-SBJ
__*ICH*-1
NP-PRD
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJI
美しい
N
街
AX
です
P-FINAL
よ
PU
、
PP-1
NP
NPR
神戸
P-OPTR
は
PU
。
[989_textbook_kisonihongo@4,3 ]
下の例のように,単一の要素が複数個の *ICH* と同一のインデックスを付けられることがある。
(1.37 )
2012 年 末 の 男性平均寿命 80.18 歳 、 女性平均寿命 84.67 歳 、 戸籍人口平均寿命 82.41 歳 。
IP-MAT
__PP-1
NP
NUMCLP
NUM
2012
CL
年
N
末
P-ROLE
の
IP-ADV-CONJ
IP-ADV-CONJ
NP-SBJ
PP
___*ICH*-1
N
男性平均寿命
NP-PRD
NUMCLP
NUM
80.18
CL
歳
AX
*
PU
、
NP-SBJ
PP
___*ICH*-1
N
女性平均寿命
NP-PRD
NUMCLP
NUM
84.67
CL
歳
AX
*
PU
、
NP-SBJ
PP
___*ICH*-1
N
戸籍人口平均寿命
NP-PRD
NUMCLP
NUM
82.41
CL
歳
AX
*
PU
。
[53_wikipedia_Shanghai@2,17,32,47 ]
(1.38 )
訪問診療 の 患者 は 月 20 人 程度 おり 、 定期的 な 巡回診療 は 町外 の 仮設住宅 で 月 3 回 __、 離島 ___の 出島 で 月 2 回 、 江島 で 月 1 回 を それぞれ こなす 。
IP-MAT
IP-ADV-CONJ
IP-ADV-CONJ
IP-ADV-CONJ
PP-SBJ
NP
PP
NP
N
訪問診療
P-ROLE
の
N
患者
P-OPTR
は
NP;*SBJ*
N
月
NUMCLP
NUM
20
CL
人
N
程度
VB
おり
PU
、
NP-SBJ
*pro*
PP-TPC
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
定期的
AX
な
N
巡回診療
P-OPTR
は
PP-LOC
NP
PP
NP
N
町外
P-ROLE
の
N
仮設住宅
P-ROLE
で
NP-OB1
N
月
NUMCLP
NUM
3
CL
回
PU
__、
NP-SBJ
*pro*
PP-LOC
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
N
離島
AX
___の
NPR
出島
P-ROLE
で
NP-OB1
N
月
NUMCLP
NUM
2
CL
回
PU
、
NP-SBJ
*pro*
PP-LOC
___NP
NPR
江島
P-ROLE
で
PP-OB1
NP
N
月
NUMCLP
NUM
1
CL
回
P-ROLE
を
NP;*LOC*
Q
それぞれ
VB
こなす
PU
。
[46_news_KAHOKU_93@67,79,97 ]
構成素が左側に移動しているが同一の節のレベルにとどまっている場合(例えば,主題化や近距離スクランブリング等)は,*ICH* を用いたインデクス付けは行われないことに注意すること。
(1.39 )
この 服 は 太っ た 人 でも 着 られ ます 。
IP-MAT
PP-OB1
NP;{CLOTHES_859}
D
この
N
服
P-OPTR
は
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
__*T*
VB
太っ
AX
た
N
人
P-OPTR
でも
VB
着
VB2
られ
AX
ます
PU
。
[859_textbook_kisonihongo@14 ]
これに対して右方への外置が行われる場合,主節述語は節の中で最右方の位置を占めなければならないため,外置された句は当該の節とは異なる節に属することになり,したがって *ICH* を用いたインデクス付けが行われる。
(1.40 )
「 見よ 、 神 の 小羊 」 。
CP-IMP
PUL
「
___IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
NP-OB1
__*ICH*-1
VB
見よ
PU
、
___NP-1
PP
NP
N
神
P-ROLE
の
N
小羊
PUR
」
PU
。
[64_bible_nt@8,4,13 ]
*ICH* に関連する特別なアノテーションとして,遊離した名詞の補部節がある。 ある名詞の補部節が遊離し,主節に付加されている場合, PRN 投射を加えた上で,そのPRN投射に対して*ICH* 分析を行う (1.3.8 節, 6.18.3 節,および 6.17.2 節を参照)。
(1.41 )
先生 は また 玄関 の 前 に 戻っ て 、 「 前 へ なら え 。 」 と 号令 を かけ まし た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
先生
P-OPTR
は
IP-ADV-CONJ
ADVP
ADV
また
PP
NP
PP
NP
N
玄関
P-ROLE
の
N
前
P-ROLE
に
VB
戻っ
P-CONN
て
PU
、
___PRN-1
CP-THT
CP-IMP
IP-SUB
PUL
「
NP-SBJ
*hearer*
PP
NP
N
前
P-ROLE
へ
VB
なら
VB2
え
PU
。
PUR
」
P-COMP
と
PP-OB1
NP
N
号令
PRN
__*ICH*-1
P-ROLE
を
VB
かけ
AX
まし
AXD
た
PU
。
[100_aozora_Miyazawa-1934@59,30 ]
1.5 インデクスを使用しない空要素
この節では,ノードを割り当てられる空要素について説明する。 インデクスを使用しない空要素には,関係節のトレース,虚辞(expletive),および様々な種類のゼロ代名詞がある。 インデクスを与えられない空要素のリストをその用法の説明とともに表1.7に示す。
Table 1.7: インデクスを使用しない空要素のリスト
空要素 意味
* ゼロ要素
*exp* 虚辞
*arb* 一般的非人称指示に用いるゼロ代名詞
*pro* 定の指示に用いるゼロ代名詞(small pro)
*hearer* 聞き手を指示するゼロ代名詞
*hearer+pro* 聞き手および定の個体を指示するゼロ代名詞
*speaker* 話し手を指示するゼロ代名詞
*speaker+hearer* 話し手および聞き手を指示するゼロ代名詞
*speaker+pro* 話し手および定の個体を指示するゼロ代名詞
*T* 関係節のトレース
なお,コントロールを受ける主語位置の空要素(5.3 節を参照)および ATB 抽出による空要素(5.4 節を参照)がノードを割り当てられることはない。
ゼロ要素が用いられるのは,構成素の投射を支えるために何かしらの要素の存在が要求されるものの,その内容については言及したくない場合である。 注目すべき事例としては受動文の論理的主語 (NP-LGS *) が挙げられる。 これは受動文の要求を満たすだけのために存在しており,論理的主語が何であるのかについては何も表していない。
(1.42 )
財政 は 借金まみれ で 不利益 の 分配 を 迫ら れる 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
財政
P-OPTR
は
IP-ADV-CONJ
NP-PRD
N
借金まみれ
AX
で
__NP-LGS
*
PP-OB1
NP
PP
NP
N
不利益
P-ROLE
の
N
分配
P-ROLE
を
VB
迫ら
PASS
れる
PU
。
[31_news_KAHOKU_706@14 ]
主語を持たないように見える文は,空要素の主語 (NP-SBJ *exp*) を加える。 これには,以下のような文が含まれる。
(1.43 )
明日 は 寒く ない だろう 、
IP-MAT
__NP-SBJ
*exp*
PP-TMP
NP
N
明日
P-OPTR
は
ADJI
寒く
NEG
ない
MD
だろう
PU
、
[450_textbook_purple_intermediate@2 ]
(1.44 )
非常 に 落胆 し た 石森 だっ た が 、 50 枚 以上 の デザイン画 を 描い た 。
IP-MAT
PP-CONJ
IP-ADV
__NP-SBJ
*exp*
NP-PRD
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADVP
ADJN
非常
AX
に
VB
落胆
VB0
し
AXD
た
NPR
石森
AX
だっ
AXD
た
P-CONN
が
PU
、
NP-SBJ;{ISHINOMORI}
*pro*
PP-OB1
NP
IP-REL;*
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
NUMCLP
NUM
50
CL
枚
N
以上
AX
の
N
デザイン画
P-ROLE
を
VB
描い
AXD
た
PU
。
[56_wikipedia_Kamen_Rider@4 ]
発話がある状況に関する完全な叙述と見なされるのであれば, 主語が文脈から復元可能でなくとも節として解釈し,主語を *exp* としてアノテーションを行う。
(1.45 )
「 火事 だ ! 」
IP-MAT
PUL
「
__NP-SBJ
*exp*
NP-PRD
N
火事
AX
だ
PU
!
PUR
」
[632_aozora_Doyle-1905@4 ]
1.5.3 一般的非人称指示のゼロ代名詞
以下の例に見るように,*arb* は一般的な非人称指示に用いられる。
(1.46 )
論文 を 書く の は とても たいへん です 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
IP-EMB
__NP-SBJ
*arb*
PP-OB1
NP
N
論文
P-ROLE
を
VB
書く
N
の
P-OPTR
は
ADVP
ADV
とても
ADJN
たいへん
AX
です
PU
。
[2_misc_EXAMPLE@5 ]
代名詞と同様に,*pro* は談話コンテクスト中の実体を指示するか,または同一の文中の要素を先行詞として取る。 *hearer* ,*hearer+pro* ,*speaker* ,*speaker+hearer* ,および *speaker+pro* は *pro* の特殊な場合であり, 条件が満たされる場合には *pro* に優先して使用される。
(1.47 )
何 を 買っ て あげ よう か 。
CP-QUE
IP-SUB
__NP-SBJ
*speaker*
___NP-OB2
*hearer*
PP-OB1
NP
WPRO
何
P-ROLE
を
VB
買っ
P-CONN
て
VB2
あげ
AX
よう
P-FINAL
か
PU
。
[694_textbook_purple_basic@3,5 ]
(3.2 )
___「 先生 、 もう お忘れ です か ? 」
CP-QUE
PUL
___「
IP-SUB
NP-VOC;{ADDRESSEE}
N
先生
NP-SBJ;{ADDRESSEE}
___*hearer*
PU
、
__NP-OB1
*pro*
ADVP
ADV
もう
VB
お忘れ
AX
です
P-FINAL
か
PU
?
PUR
」
[92_aozora_Hayashida-2015@12,3,9 ]
(1.47 ) と (3.2 ) に見るように, ゼロ代名詞は,コントロールを受けず,かつ明示的に表現されていない主要文法役割(NP-SBJ,NP-OB1,NP-OB2), すなわち節内の述語の解釈にとって必須だが省略されている項(argument)を表示する。 ただし,コントロール関係(5.3 節を参照)や ATB 抽出に起因する束縛関係(5.4 節を参照)から復元可能な項については,ゼロ代名詞は用いられない。
1.5.5 関係節におけるトレース
トレースは,主名詞を修飾する関係節(IP-REL)の内部に空の位置が存在し,その位置に主名詞が対応づけられることを示す。 詳しくは,3.2.6.1 節を参照。 以下の例 (1.49 ) では,トレース (NP-SBJ *T*) によって 主名詞「人」が関係節中の主語の役割に関係付けられている。
(1.49 )
わかっ た 人 は 手 を あげ て ごらん なさい 。 」
CP-IMP
IP-SUB
PP-SBJ
NP
__IP-REL
___NP-SBJ
*T*
NP-OB1
*pro*
VB
わかっ
___AXD
た
N
人
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
N
手
P-ROLE
を
VB
あげ
P-CONN
て
VB2
ごらん
VB2
なさい
PU
。
PUR
」
[140_aozora_Miyazawa-1934@5,6,12 ]
トレースは,主要文法役割だけでなく,任意の文法役割や付加句(adjunct)の「ギャップ」も表すことができる。 この意味でトレースは,(NP-SBJ *pro*) のようなゼロ代名詞が項に対応するものに限定されるのと対照をなしている。 詳しくは,1.7.3 節を参照のこと。
関係節(IP-REL)が等位節を含まない場合,修飾を受ける主名詞に対応するローカルなトレースはひとつしかない。 関係節が等位節を含む場合, それらの各々が最大でひとつのトレースを持つが, トレースの文法役割については制約が無いし, またすべての等位節がトレースを持たねばならないという制約も無い。 以下の例 (1.50 ) では, 最初の IP-ADV-CONJ の下のトレースは主名詞を第一目的語役割に関係付け, ふたつ目の IP-REL に直接支配されるトレースは主語役割に関係付けている。
(1.50 )
彼女 は 皆 が 愛し そして 皆 を 愛する 人 です 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{WOMAN_28}
PRO
彼女
P-OPTR
は
NP-PRD
__IP-REL
IP-ADV-CONJ
___NP-OB1
*T*
PP-SBJ
NP
Q
皆
P-ROLE
が
VB
愛し
CONJ
そして
___NP-SBJ
*T*
PP-OB1
NP
Q
皆
P-ROLE
を
VB
愛する
N
人
AX
です
PU
。
[28_misc_EXAMPLE@9,11,23 ]
(1.50 ) において,2つ目のトレースは等位接続された最初の節の後に置かれている。 もしもこれを前に置くと,ATB(Accross the Board)抽出となって, 両方の等位節において指示対象も文法役割も同じくする位置が生じてしまうからである。
なお,関係節に含まれる明示的な代名詞あるいは *pro* がトレースと同一指示である場合, この関係はトレースへのソート情報ではなく,修飾される名詞が投射する NP に付与される。 ソート情報については,1.8 節を参照されたい。
(3.33 )
有間皇子 が どう し て も そこ から 逃れる こと の でき なかっ た 悲運
FRAG
__NP;{MISFORTUNE}
IP-REL
PP-SBJ
NP
NPR
有間皇子
P-ROLE
が
PP-SCON-CND
IP-ADV
ADVP-CMPL
WADV
どう
VB
し
P-CONN
て
P-OPTR
も
PP-OB1
NP
IP-EMB
PP
NP
___*T*
P-ROLE
***
PP
NP;{MISFORTUNE}
___PRO
そこ
P-ROLE
から
VB
逃れる
N
こと
P-ROLE
の
VB
でき
NEG
なかっ
AXD
た
N
悲運
[7_misc_EXAMPLE2@2,26,31 ]
空要素は目に見えないために,どこにそれを置くかという点で迷うことが少なくない。 これは以下のような方針で行う。
関係節のトレース(*T* )は基本的には IP-REL(関係節)の先頭に置かれる。 ただし,本節で後述するように,ATB 抽出による同一指示が保持されるように, 等位節の後にトレースを置く場合がある(1.5.5 節の例 (1.50 )も参照)。
虚辞(*exp* )は IP の先頭に置かれる。ただし,トレース(*T* )が存在する場合は,その次に置かれる。
一般に,ゼロ代名詞(*arb* ,*exp* , *pro* ,*speaker* ,*hearer* , *speaker+hearer* , 等)は IP の先頭に,すなわち並列句や左方転置された要素の前に置かれる。 ただし,トレース(*T* )や虚辞(*exp* )がある場合には,それらの後に置かれる (命令文については 5.2.3 節を参照 )。
ただし,本節で後述するように,照応関係の計算の影響により *arb* ,*exp* , *pro* ,*speaker* ,*hearer* , *speaker+hearer* がさらに別の場所に置かれることがあることに注意。
(1.52 )
よそ から 、 もらっ た お酒 が 二 升 あっ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{DAZAI_LIQUOR_2_SHO}
__IP-REL
___NP-OB1
*T*
___NP-SBJ;{DAZAI}
*speaker*
PP-OB2
NP
N
よそ
P-ROLE
から
PU
、
VB
もらっ
AXD
た
N
お酒
P-ROLE
が
NP;*SBJ*
NUMCLP
NUM
二
CL
升
VB
あっ
AXD
た
PU
。
[66_aozora_Dazai-1-1940@4,5,7 ]
(1.53 )
この ビル は 、 現在 の 耐震基準 に 照らし合わせる と 、 強度 が 不足 し て いる .
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{BUILDING_1818}
D
この
N
ビル
P-OPTR
は
PU
、
PP-SCON
__IP-ADV
___NP-SBJ
*exp*
___NP-OB1;{BUILDING_1818}
*pro*
PP
NP
PP
NP
N
現在
P-ROLE
の
N
耐震基準
P-ROLE
に
VB
照らし合わせる
P-CONN
と
PU
、
PP-SBJ2
NP
N
強度
P-ROLE
が
VB
不足
VB0
し
P-CONN
て
VB2
いる
PU
.
[1818_dict_vv-lexicon@13,14,16 ]
空要素と先行詞の照応計算はゼロ代名詞の位置に影響を与える。 例えば,照応計算は等位節における同一指示を保持するために, Across the Board extraction(ATB)と呼ばれるルールに従う。 より具体的には,IPn における,任意の明示的なカテゴリー x は, 以下の条件を満たす場合に, その文法的な機能を保持しながら,拡張タグ -CONJ の付いた節 IP1, 2...n-1 における空要素の先行詞となる: x が IPn-1 の姉妹であり,かつそれに先行し, IPn-2 が IPn-1 の先頭要素となり, IPn-3 が IPn-2 の先頭要素となり,等々。 つまりこのとき,IPn における IP1, 2...n-1 のそれぞれが IPn 中の カテゴリー x を先行詞として「継承」することが要求される (下図参照)。 以下の例に見るように,IPn におけるゼロ代名詞の位置は, ゼロ代名詞が最後(主節)を除くすべての等位節の先行詞になるかどうかによって左右され,もしそうであれば最も先頭に置かれる。
Figure 1.1: ‘Across the Board’ extraction (ATB).
(1.54 )
「 和国 の 教主 」 として 尊敬 し 、 観音菩薩 の 化身 として 崇拝 し た 。
IP-MAT
___NP-SBJ
*pro*
___NP-OB1
*pro*
__IP-ADV-CONJ
PP
NP
PUL
「
PP
NP
NPR
和国
P-ROLE
の
N
教主
PUR
」
P-ROLE
として
VB
尊敬
VB0
し
PU
、
PP
NP
PP
NP
NPR
観音菩薩
P-ROLE
の
N
化身
P-ROLE
として
VB
崇拝
VB0
し
AXD
た
PU
。
[15_wikipedia_KYOTO_7@6,2,4 ]
以下の例では終結節(主節)の主語のゼロ代名詞は非終結節(等位節の前項)の空要素の先行詞である。 非終結節の先頭には第一目的語のゼロ代名詞が置かれ,一方,終結節はそれ自身の明示された第一目的語を持っている。
(1.55 )
火鉢 に かざし て 、 文字 を あぶり出し た .
__IP-MAT
___NP-SBJ
*pro*
IP-ADV-CONJ
___NP-OB1
*pro*
PP
NP
N
火鉢
P-ROLE
に
VB
かざし
P-CONN
て
PU
、
PP-OB1
NP
N
文字
P-ROLE
を
VB
あぶり出し
AXD
た
PU
.
[34_dict_vv-lexicon@1,2,5 ]
以下の例でも,終結節(主節)の主語のゼロ代名詞は非終結節(等位節の前項)の空要素の先行詞であるが,第一目的語のゼロ代名詞はそうではない。 つまり,非終結節にはそれ自身の第一目的語が明示されている。 この場合,終結節の第一目的語のゼロ代名詞は,ゼロ代名詞を節の先頭に置くというデフォールトに従わず,非終結節の後に置かれる。
(1.56 )
「 私たち の 話 を 聞い て 、 監視 し て いる の よ 」
CP-FINAL
PUL
「
__IP-SUB
___NP-SBJ
*pro*
IP-ADV-SCON
PP-OB1
NP
PP
NP
PRO
私たち
P-ROLE
の
N
話
P-ROLE
を
VB
聞い
P-CONN
て
PU
、
___NP-OB1
*speaker+hearer*
VB
監視
VB0
し
P-CONN
て
VB2
いる
FN
の
P-FINAL
よ
PUR
」
[360_fiction_DICK-1952@4,5,26 ]
ゼロ代名詞を節の最初の位置に置くというデフォールト的処理によって, コントロール関係(詳細は 5.3 節を参照)が確立することもあるが, これが望ましくないこともある。 そのような状況は,同一指示関係を持つ先行詞を計算するに当たって, 目的語先行詞の方が主語先行詞よりもアクセス可能性が強いことを規定する「先行詞アクセス可能性の階層」に起因する。 この階層によれば,主語先行詞が従属節をコントロールするためには,その従属節の左側に目的語が存在してはならないことになる。 以下の例では,主節の述語は他動詞であって明示的な目的語を含まず,従属節と NP-SBJ を共有しているが,NP-OB1 を共有していない。 よりアクセス可能性の強い NP-OB1 が従属節の左側に出現することは, その内部を束縛してしまう(つまり前者が後者の主語として解釈される)ために許されない。 したがって,NP-OB1 は従属節の後に置かれる。
(1.57 )
急い で 食べ ない で 。
CP-IMP
__IP-SUB
___NP-SBJ
*hearer*
IP-ADV-SCON
VB
急い
P-CONN
で
___NP-OB1
*pro*
VB
食べ
NEG
ない
P-CONN
で
PU
。
[568_textbook_purple_basic@2,3,10 ]
他の環境については,同一指示関係を引き出すための条件はより緩やかである。 下の例で,接続助詞「たら」が導く節は明示的な第一目的語を含み,その指示対象は上位の節の主語ゼロ代名詞と同一である。 ここで同一指示関係が可能だと推論するには,従属節の第一目的語(PP-OB1)が,上位の節における主語(NP-SBJ)のゼロ代名詞に先行することが十分条件となる。 よって,主語ゼロ代名詞は節の先頭ではなく,従属節の後に置かれる。 このようにすると,従属節の第一目的語が上位の節における主語のゼロ代名詞の先行詞として解釈されることが可能になる。 とは言え,他に情報が与えられないかぎり,同一指示は単に可能性にとどまり,決定的なものとはならない。 下の例について言えば,従属節中の動詞「あげ(る)」の第一目的語「それ」と主節の動詞「なくなった」の主語とが「ソート情報」を共有している。
(1.58 )
それ を 三 つ 彼 に あげ たら なくなっ た 。
IP-MAT
__IP-ADV-SCON-CND
NP-SBJ;{SPEAKER_35}
*speaker*
___PP-OB1
NP;{MIKAN}
PRO
それ
P-ROLE
を
NP;*OB1*
NUMCLP
NUM
三
CL
つ
PP-OB2
NP;{MAN_35}
PRO
彼
P-ROLE
に
VB
あげ
P-CONN
たら
___NP-SBJ;{MIKAN}
*pro*
VB
なくなっ
AXD
た
PU
。
[35_misc_EXAMPLE@2,5,27 ]
以下の例では,従属節と上位の節は主語と第一目的語の両方を共有している。 しかし,このような場合,ゼロ代名詞の目的語を主節の先頭に置くことはできない。 第一目的語のゼロ代名詞がコントロール計算によって,従属節の主語と解釈されてしまうからである。 したがって,従属節と上位の節の両方に第一目的語のゼロ代名詞を置くことになるが,上位の節のそれが従属節の後に置かれる。 また,両者にはソート情報が必要になる。
(5.68 )
ダウンロード し て 印刷 すれ ば 、 学校 や 家庭 で 手軽 に 取り組める 。
__IP-MAT
___NP-SBJ
*pro*
IP-ADV-SCON-CND
NP-OB1;{FILE}
*pro*
IP-ADV-CONJ
VB
ダウンロード
VB0
し
P-CONN
て
VB
印刷
VB0
すれ
P-CONN
ば
PU
、
___NP-OB1;{FILE}
*pro*
PP
NP
CONJP
NP
N
学校
P-CONN
や
NP
N
家庭
P-ROLE
で
ADVP
ADJN
手軽
AX
に
VB
取り組める
PU
。
[55_news_KAHOKU_97@1,2,22 ]
1.6 主要文法役割のアノテーション
この節では,様々な環境において文法役割およびそれらを表示する助詞のアノテーションをどのように行うべきかについて説明する。 まず主要文法役割について説明し,次に任意文法役割について述べる。
まず,単文において明示的な名詞句が主要文法役割を持つ場合について論じる。 主要文法役割とは,名詞句によって表される項(argument)が,それを選択する述語に対して持つ文法的な役割である。 項は原則としては,述語の完全な解釈のために不可欠な構成素である。 しかし、与えられた述語と共起する構成素が必須要素なのか、任意要素なのか判断に苦しむ場合も多くある。 そのような例のひとつとして、移動動詞に対する経路を示す表現が挙げられる。 また,認知動詞や伝達動詞に対する補部節のステータスも曖昧である。 前者に関しては,明示した形で現われる経路を項(OB1)とするが、経路を伴わない移動動詞の場合はゼロ代名詞を補わない。 後者に関しては,現在のコーパスでは述語が「言う」であろうと「話す」であろうと、補部節に同じ分析(つまり、CP-THT-OB1)を与える。 ただし,命題的内容を必要としない述語と共起した補部節は副詞的なもの(CP-THT-ADV)として扱う(6.18.5 を参照)。
主要文法役割は,-SBJ(主語),-SBJ2(第二主語),-LGS(論理的主語),-OB1(第一目的語),-OB2(第二目的語),-CMPL(補語),および -CZZ(被使役者)というラベルが拡張タグとして与えられる。 これらは典型的には,「が」「に」「を」「の」等の助詞(P-ROLE)によって表示される(2.3 節を参照)。 また,これらは「は」や「も」のようなとりたて助詞(P-OPTR)によって表示されることもあれば, 助詞を全く伴わずに現れることもある。 つまり,助詞の形だけではその項がどの主要文法役割を持つか判断することはできない。
1.6.1 明示的な文法役割表示を伴う項
主要文法役割を担う構成素のノード・ラベルに対しては,文法役割を示すための拡張タグが付加される。 下の例では,3つの助詞句 (PP 漁夫が) ,(PP その女房に) ,(PP 金を) に, それぞれ -SBJ(主語),-OB2(第二目的語),-OB1(第一目的語)という拡張タグが付いている。
(1.60 )
漁夫 が その 女房 に 金 を 渡し て いる ところ だっ た 。
__IP-MAT
___PP-SBJ
NP
N
漁夫
P-ROLE
が
___PP-OB2
NP
D
その
N
女房
P-ROLE
に
___PP-OB1
NP
N
金
P-ROLE
を
VB
渡し
P-CONN
て
VB2
いる
FN
ところ
AX
だっ
AXD
た
PU
。
[88_aozora_Kobayashi-1929@1,2,8,16 ]
IP を投射するすべての述語は必ず主語の文法役割を担う構成素を持つと想定される。 したがって,一項述語は項として主語のみをとることになる。 一般に主語は再帰代名詞「自分」の先行詞となり,述語の尊敬語化を認可する。 意味的に見ると,典型的な主語というのは,他動詞および非能格動詞の動作主,非対格述語の対象,および状態述語の経験者,所有者,または属性保持者である。
1.3.6 節で述べたように,一般原則として,すべての IP は主語を持ち,すべての主語/述語の対は IP を投射する。 主語を持たないように見える文は,空要素としての主語 (NP-SBJ *exp*) を与えられる(1.5 節を参照)。 すべての IP が主語(句カテゴリーとして表現されるか,あるいはコントロールによって決定される主語)を持つという原則は, 日本語の節の構造一般に関して何らかの主張をしようとするものではない。 常に完全に満たされた項構造を要求することは,モデルを単純化し,アノテーションの正確さをチェックするために役立つ。 (NP-SBJ *exp*) のラベル付けのためにはネイティブのアノテーターの判断が必要である。 また,これによってコントロールを受ける要素と区別できるので,「主語のない文」の検索が容易になり,アクセスしやすくなる。 以上のことから,コントロール環境とはなりえない IP(すなわち,IP-MAT,IP-SUB,IP-REL)には常に主語のアノテーションがなされる。 コントロール環境になることのできる IP(すなわち,IP-ADV,IP-SMC,IP-EMB)において主語が上位の節の項によりコントロールされる場合は,そのアノテーションはなされない。 具体例については,5.3 節,5.4 節を参照のこと。
本コーパスでは,主語以外の文法役割を指すのに伝統的な意味論的表現を避けることにする。 二項述語の主語でない項は,形式的に OB1(第一目的語)として扱われることに注意されたい。 このため,例えば「に」によって示される非主語項は,伝統的には「直接目的語」とはみなされないが,NPCMJ では OB1 の拡張タグを与えられる。
(1.61 )
散歩 を し て いる うち に 、 来る とも なく 駅 まで 来 て しまっ た 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
PP
NP
IP-EMB
PP-OB1
NP
N
散歩
P-ROLE
を
VB
し
___P-CONN
て
__VB2
いる
N
うち
P-ROLE
に
PU
、
IP-ADV-SCON
VB
来る
P-OPTR
とも
ADJI
なく
PP
NP
N
駅
P-ROLE
まで
VB
来
P-CONN
て
VB2
しまっ
AXD
た
PU
。
[565_textbook_djg_advanced@17,15 ]
三項述語が「を」によって表示された(あるいは表示されうる)項を伴う場合,それは規則的に OB1(第一目的語)とされる。 代表的な三項動詞である授与動詞の「に」によって表示された受益者格名詞句は, OB2(第二目的語)の文法的役割を与えられる。
(1.62 )
叔父 は 花子 に 小遣い を 与え た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
叔父
P-OPTR
は
___PP-OB2
NP;{HANAKO_204}
NPR
花子
___P-ROLE
に
__PP-OB1
NP
N
小遣い
___P-ROLE
を
VB
与え
AXD
た
PU
。
[204_textbook_kisonihongo@14,8,12,18 ]
「二重主語文」における二番目の主語(述語に近い方)は,しばしば「が」によって示される。 第二主語のノード・ラベルには -SBJ2 という拡張タグが用いられる。
(1.63 )
太郎 は 背 が 高い 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{PERSON}
NPR
太郎
P-OPTR
は
__PP-SBJ2
NP
N
背
___P-ROLE
が
ADJI
高い
PU
。
[1609_misc_JSeM_beta_150530@8,12 ]
注意が必要なのは,-SBJ と表示されているからといって,それらが実際にすべてローカルな述語の主語とは限らないということである。 SBJ が -SBJ2 の姉妹であり,かつそれに先行するとき,-SBJ2 の方が実際の主語だと解釈される。 そのため,主語をすべて検索しようという場合には,二重主語文については -SBJ2 の姉妹である -SBJ を除外し,その代わりに -SBJ2 を含めなければならない。
受動文では「に」等の助詞が論理的主語を表示する。これは意味的には,主動詞が表す行為の動作主(agent)に対応する。 論理的主語には -LGS の拡張タグが用いられる。
(2.27 )
ジョン は 先生 に しから れ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
NPR
ジョン
P-OPTR
は
__PP-LGS
NP
N
先生
___P-ROLE
に
VB
しから
PASS
れ
AXD
た
PU
。
[22_misc_BUFFALO@8,12 ]
1.6.2 明示的な文法役割表示を伴わない項
主要文法役割を持つ名詞句であっても,述語との文法役割関係を表示する助詞をつねに伴うとは限らない。 まず,「は」や「も」のようなとりたて助詞だけを伴う場合がある。 このような場合にも,適切な拡張タグを付ける必要がある。 以下の例では,とりたて助詞「は」の投射する PP に拡張タグ -SBJ が付加されている。
(1.65 )
花子 は まだ 学生 に 見える 。
IP-MAT
__NP-SBJ
*pro*
PP-DOB1
NP;{HANAKO_374}
___NPR
花子
P-OPTR
は
IP-SMC-OB1
ADVP
ADV
まだ
NP-PRD
N
学生
AX
に
VB
見える
PU
。
[374_textbook_kisonihongo@2,6 ]
格助詞が省略されている場合,どのような助詞が省略されているかについての情報提供は行われない。 また,文法役割を示す拡張タグは,NP-SBJ, NP-OB1 のように,NP に直接付加される。
(1.66 )
君 、 あの 本 読ん だ 。
CP-QUE
__IP-SUB
___NP-SBJ;{HEARER_952}
PRO
君
PU
、
___NP-OB1;{BOOK_952}
D
あの
N
本
VB
読ん
AXD
だ
PU
。
[952_textbook_kisonihongo@2,3,8 ]
NP と PP 以外の句カテゴリーをもち,述語の項となりうる句で重要なものには CP-THT と IP-SMC がある。 これらの項は,拡張タグ(-OB1,-SBJ 等)によって付加句(adjunct)とは区別される (付加句については,1.7 節を参照)。 詳しくは,CP-THT については4.6 節を, IP-SMC については4.6 節, 6.10 節,6.12 節を参照のこと。
さらに,動詞「する・なる」と共起する擬態語・擬声語的な,あるいは指示的な副詞句(ADVP)については, 補部としての働きを示すCMPL(complement)という拡張タグを与える。
(1.67 )
ナシャ が イライラ し て 言っ た 。
IP-MAT
NP-OB1
*pro*
PP-SBJ
NP
NPR
ナシャ
P-ROLE
が
IP-ADV-SCON
__ADVP-CMPL
ADV
イライラ
VB
し
P-CONN
て
VB
言っ
AXD
た
PU
。
[449_fiction_DICK-1952@11 ]
(1.68 )
こう なっ た 以上 、 もう どう し よう も ない 。
__IP-MAT
NP-ADV
IP-EMB
NP-SBJ;{SITUATION_1190}
*pro*
___ADVP-CMPL
ADV
こう
VB
なっ
AXD
た
N
以上
PU
、
ADVP
ADV
もう
PP-SBJ
NP
IP-EMB
NP-SBJ;{MAN_1190}
*pro*
___ADVP-CMPL
WADV
どう
VB
し
N
よう
P-OPTR
も
ADJI
ない
PU
。
[1190_textbook_kisonihongo@1,6,25 ]
主要文法役割を担う名詞句が文中で明示されない場合でも,従属節の主語が上位の節の項によりコントロールされている場合や ATB 抽出が働く場合は,空要素の位置を表すノードを付与しない。 関係節内部のトレースの場合は,空要素を終端ノード *T* により表示する。 その他の空要素は虚辞 *exp* ,あるいはゼロ代名詞 *arb* ,*pro* ,*hearer* ,*speaker* ,*hearer+speaker* 等で示される。 空要素を示すために用いるこれらの終端ノードは,NP-SBJ,NP-OB1,NP-OB2,NP-SBJ2,NP-LGS のような文法役割を示す句ノードの直下に置かれる。 詳細に関しては,1.5 節を参照。
(1.69 )
けれども 、 いつ 来る か 、 わから ない 。
IP-MAT
___NP-SBJ;{DAZAI}
__*speaker*
CONJ
けれども
PU
、
CP-QUE-OB1
IP-SUB
___NP-SBJ;{DAZAI_FRIENDS_DRINKING}
___*pro*
NP-TMP
WPRO
いつ
VB
来る
P-FINAL
か
PU
、
VB
わから
NEG
ない
PU
。
[80_aozora_Dazai-1-1940@3,2,10,11 ]
従属節の主語は,それが明示されていなくても,上位の節の項によりコントロールされていることから理解が可能な場合が多い。 このような場合,それを空要素としてアノテーションする必要はない。 以下の例では,接続助詞「て/で」によって導かれた従属節の主語が明示されていない。 しかし,主節の主語「わたし」からのコントロールによって,従属節の主語も「わたし」であるということが理解される。
(1.70 )
急い で わたし は 出かけ まし た 。
IP-MAT
IP-ADV-SCON
VB
急い
__P-CONN
で
___PP-SBJ
NP;{SPEAKER_25}
PRO
わたし
P-OPTR
は
VB
出かけ
AX
まし
AXD
た
PU
。
[25_misc_EXAMPLE@5,7 ]
1.7 任意文法役割
任意文法役割は付加句(様々な助詞句,副詞句,副詞節)によって担われる。付加句は任意的な構成素であり,述語の解釈に際して本質的なものではない。
名詞句に「に」「へ」「で」「から」「まで」「と」等の格助詞が後続して作られた助詞句(PP)が付加詞として用いられた場合には,その意味的な性質に応じて,PP に,LOC(場所),TMP(時間),MSR(時間軸上の範囲または頻度),ADV(その他の副詞的意味)のような拡張タグを加えることが望まれる。 以下にその例を示す。
(1.71 )
あそこ の ベンチ で 食べ ましょ う 。
CP-IMP
IP-SUB
NP-SBJ
*speaker+hearer*
NP-OB1
*pro*
__PP-LOC
NP
PP
NP
PRO
あそこ
P-ROLE
の
N
ベンチ
___P-ROLE
で
VB
食べ
AX
ましょ
AX
う
PU
。
[172_textbook_purple_basic@7,17 ]
(1.72 )
つぎ の 汽車 は 七 時 に 出る 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PP
NP
N
つぎ
P-ROLE
の
N
汽車
P-OPTR
は
__PP-TMP
NP
NUMCLP
NUM
七
CL
時
___P-ROLE
に
VB
出る
PU
。
[59_aozora_Harada-1960@14,21 ]
(1.73 )
この 手 の 話 は 何 回 も 聞き まし た
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
PP-OB1
NP
PP
NP
D
この
N
手
P-ROLE
の
N
話
P-OPTR
は
__PP-MSR
NP
NUMCLP
WNUM
何
CL
回
___P-OPTR
も
VB
聞き
AX
まし
AXD
た
[36_ted_talk_8@18,25 ]
(1.74 )
太郎 は 500 メートル も 泳げ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{TARO_445}
NPR
太郎
P-OPTR
は
__PP-ADV
NP
NUMCLP
NUM
500
CL
メートル
___P-OPTR
も
VB
泳げ
AXD
た
PU
。
[445_textbook_kisonihongo@8,15 ]
ただし,現行のアノテーションでは,このような助詞句に対しては,項として用いられた助詞句と異なり,拡張タグによる文法役割情報の付加が常になされているわけではない。例えば,次の例における格助詞「で」や「に」の投射する PP のように,拡張タグのない PP は数多く存在する。
(1.75 )
ビル は 列車 で パリ に 行っ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
NPR
ビル
P-OPTR
は
__PP
NP
N
列車
___P-ROLE
で
___PP
NP
NPR
パリ
___P-ROLE
に
VB
行っ
AXD
た
PU
。
[1181_misc_JSeM_beta_150530@8,12,14,18 ]
「に」のように,主要文法役割と任意文法役割双方の表示に使用される格助詞もあることに注意されたい。 主要文法役割を表示する「に」については,1.6.1 節を参照。
1.7.2 格助詞を伴わない付加詞
格助詞の後続しない名詞句やとりたて助詞のみが後続した助詞句が付加詞として用いられた場合は,その意味的な性質に応じて,LOC(場所),TMP(時間),MSR(時間軸上の範囲または頻度),ADV(その他の副詞的意味)の拡張タグが NP あるいはPP に加えられる。
以下の例の「あちこち」と「この町は」は,場所を表している。
(1.76 )
両親 は 子供 を ___あちこち 連れ回し た .
IP-MAT
PP-SBJ
NP
Q
両親
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
N
子供
P-ROLE
を
__NP-LOC
PRO
___あちこち
VB
連れ回し
AXD
た
PU
.
[1801_dict_vv-lexicon@14,16 ]
(1.77 )
この 町 は いい レストラン が 少ない です 。
IP-MAT
__PP-LOC
NP
D
この
N
町
___P-OPTR
は
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJI
いい
N
レストラン
P-ROLE
が
ADJI
少ない
AX
です
PU
。
[285_textbook_djg_basic@2,8 ]
以下の例の「先週の土曜日」と「きのうは」は,事態の生じた時間を表している。
(1.78 )
先週 の 土曜日 、 街 で 昔 の 友人 に 会っ た 。
IP-MAT
NP-SBJ;{MAN_270}
*pro*
__NP-TMP
PP
NP
N
先週
P-ROLE
の
N
土曜日
PU
、
PP
NP
N
街
P-ROLE
で
PP-OB1
NP
PP
NP
N
昔
P-ROLE
の
N
友人
P-ROLE
に
VB
会っ
AXD
た
PU
。
[270_textbook_kisonihongo@4 ]
(1.79 )
きのう は かぜ を ひき まし た 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
__PP-TMP
NP
N
きのう
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
N
かぜ
P-ROLE
を
VB
ひき
AX
まし
AXD
た
PU
。
[268_textbook_djg_basic@4 ]
以下の例の「5年間」と「食事中は」は,事態や状態の続く時間軸上の長さ(範囲)を表している。 3つ目の例における「一度」は,出来事の頻度(分布)を表している。
(1.80 )
また 5 年間 使い 続ける ぞい !
CP-FINAL
IP-SUB
NP-SBJ
*speaker*
NP-OB1
*pro*
ADVP
ADV
また
__NP-MSR
NUMCLP
NUM
5
CL
年間
VB
使い
VB2
続ける
P-FINAL
ぞい
PU
!
[100_blog_KNB@10 ]
(1.81 )
食事中 は テレビ を 見 ませ ん 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
__PP-MSR
NP
N
食事中
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
N
テレビ
P-ROLE
を
VB
見
AX
ませ
NEG
ん
PU
。
[351_textbook_purple_basic@4 ]
(1.82 )
私 は 、 途中 で 一 度 、 悪い 夢 を 見 た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{MELOS}
PRO
私
P-OPTR
は
PU
、
PP
NP
N
途中
P-ROLE
で
__NP-MSR
NUMCLP
NUM
一
CL
度
PU
、
PP-OB1
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJI
悪い
N
夢
P-ROLE
を
VB
見
AXD
た
PU
。
[423_aozora_Dazai-2-1940@16 ]
否定文や状態述語文では,事態の生じた時間(TMP)と事態の継続時間(MSR)の区別は時として困難なことがある。 区別のための手懸かりとして,MSR が意味する継続期間の終端が状態の変化や出来事の終了を含意するのに対し, TMP についてはこのことは当てはまらないことに留意しておくと役立つだろう。
(1.83 )
今日 は 、 誰 に も 会わ ない 。
IP-MAT
NP-SBJ;{MAN_95}
*pro*
__PP-TMP
NP
N
今日
P-OPTR
は
PU
、
PP-OB1
NP
WPRO
誰
P-ROLE
に
P-OPTR
も
VB
会わ
___NEG
ない
PU
。
[95_textbook_kisonihongo@4,22 ]
また,表現の組み合わせによって出来事の継続時間が示されている場合, その表現は MSRとして扱われる。
息を(NP-MSR 2分間) 止めてから、さらに(NP-MSR 30秒) 粘ってみせた.
以下の例の「予定通り」と「本当は」は,上記のいずれにも該当しない副詞的な意味を表している。
(1.84 )
会議 は 、 予定通り 3 時 に 始まっ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
会議
P-OPTR
は
PU
、
__NP-ADV
N
予定通り
PP-TMP
NP
NUMCLP
NUM
3
CL
時
P-ROLE
に
VB
始まっ
AXD
た
PU
。
[788_textbook_kisonihongo@10 ]
(1.85 )
本当 は 叔母 の アイリーン です が
FRAG
PP-CONJ
IP-ADV
NP-SBJ
*pro*
__PP-ADV
NP
N
本当
P-OPTR
は
NP-PRD
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
N
叔母
AX
の
NPR
アイリーン
AX
です
P-CONN
が
[161_ted_talk_10@6 ]
任意文法役割を表示する格助詞が省略された名詞句の場合は,助詞句(PP)の投射が作られ,省略された助詞が終端ノード「*に*」等の形で補われる。
(1.86 )
それ 、 おれ 行く ん だ けど さー
CP-FINAL
FRAG
PP-SCON
IP-ADV
___PP
NP
PRO
それ
P-ROLE
__*に*
PU
、
NP-SBJ
PRO
おれ
VB
行く
FN
ん
AX
だ
P-CONN
けど
P-FINAL
さー
[93_spoken_JM1@10,5 ]
終端ノードを補完する場合の詳細については,2.14 節を参照されたい。
1.7.3 関係節における付加句のトレース
インデクスの付かない空要素が任意文法役割と結びつけられるのは,ATB 環境の空所以外は,関係節中のトレースしかない。 任意文法役割を持つゼロ代名詞やコントロール等というものは存在しない。 付加詞が時間や場所を表す場合には,その情報はラベルの拡張として付け加えることができる。 例えば,(1.87 ) には (NP-LOC *T*) のトレースが現れる。
(1.87 )
ここ が 高津さん が 講演 し た ところ だ 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{CURRENT_PLACE_1198}
PRO
ここ
P-ROLE
が
NP-PRD
IP-REL
__NP-LOC
*T*
PP-SBJ
NP;{TAKATSU_1198}
NPR
高津さん
P-ROLE
が
VB
講演
VB0
し
AXD
た
N
ところ
AX
だ
PU
。
[1198_textbook_kisonihongo@10 ]
修飾される主名詞の文法役割が時間や場所以外であって, さらにそれ表示するために格助詞を使用するのが通常である場合, その格助詞を * で囲み,NP のトレースと共に PP の下に示してもよい。 次の例のトレースは (PP (NP *T*) (P *に*)) のように,*に* を主要部とする PP の下に置かれている。
(1.88 )
早朝 、 彼 は 住み慣れ た 町 を 出で立っ た .
IP-MAT
NP-TMP
N
早朝
PU
、
PP-SBJ
NP
PRO
彼
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
IP-REL
__PP
NP
*T*
P-ROLE
*に*
NP-SBJ
*pro*
VB
住み慣れ
AXD
た
N
町
P-ROLE
を
VB
出で立っ
AXD
た
PU
.
[163_dict_vv-lexicon@16 ]
ソート情報(sort information)は,代名詞の照応関係の解決に用いられる。 「これ」「あいつ」「そこ」等の代名詞,あるいは空の代名詞*pro* が, アクセス可能な先行詞と結びつけられるためには,束縛関係が必要である。
名詞句 X(名詞でも代名詞でもいい)が,代名詞 Y を c-commandし,かつ同じソート情報を持ち, かつ,同じソート情報を持つ,より近い先行詞候補が存在しないとき,X と Y との間に 照応関係が意味計算において計算される。
また,名詞句Xが談話において代名詞Yに先行し,かつ,同じソート情報を持ち, かつ,同じソート情報を持つ,より近い先行詞の候補が存在しないとき, 構造上の位置関係にかかわらず,照応関係が成立し,意味計算において計算される。
ただし,否定辞やモダリティ要素のスコープといった「閉塞操作」の内側にある, 不定(indefinite)の先行詞については例外である。そのような環境下では, 定(definite)の要素のみが先行詞たりうる。
但し書きとして,2つの名詞句の間で生じる(指示対照の)同一性関係は, ソート情報によっては計算されない。(すなわち,2つの異なる名詞句の指示対照が同一であったとき, その2つの名詞句に同じソート情報をアノテートしても,それが計算されてその同一性が意味表示に反映されることはない) もちろん,そのような情報をあえてアノテートすることには不都合はなく, その情報は言語学の研究にとって,また,テクストの意味表示を完全なものにすることにとって,役に立つ可能性は十分にある。 しかし,このことは,Scope Control Theoryの守備範囲の外にあるのである。 後方照応(cataphoric relation)もまた,上記の意味で(意味計算において)除外されるが, 面白い現象ではあり,アノテートする価値はある。
本節ではソート情報が必要な場合について詳述する。
1.8.1.1 c-command関係にない照応関係
(1.89 )
しかし 、 その 内容 は 『 タイガーマスク 』 に 言及 し 、 「 自分 も 仮面 を 被れ ば ヒーロー に なれる 」 という 児童 の 願望 を 指摘 し て いる こと 、 主人公・九条剛 が 普通 の 体育教師 で 鍛錬 によって ヒーロー の 力 を 得 て いる など 、 当時 流行 し て い た スポーツ根性もの の 影響 が 強い 内容 で あっ た 。
IP-MAT
CONJ
しかし
PU
、
PP-SBJ
NP
D;{MASKMAN}
その
N
内容
P-OPTR
は
NP-PRD
PRN
PP
NP
CONJP
NP
IP-EMB
NP-SBJ;{HIRAYAMA}
*pro*
IP-ADV-SCON
PP
NP
PUL
『
NPR
タイガーマスク
PUR
』
P-ROLE
に
VB
言及
VB0
し
PU
、
PP-OB1
NP
CP-THT
IP-SUB
PUL
「
PP-SBJ
NP;{CHILD}
PRO
自分
P-OPTR
も
IP-ADV-SCON-CND
PP-OB1
NP
N
仮面
P-ROLE
を
VB
被れ
P-CONN
ば
IP-SMC-OB1
NP-PRD
N
ヒーロー
AX
に
VB
なれる
PUR
」
P-COMP
という
PP
NP;{CHILD}
N
児童
P-ROLE
の
N
願望
P-ROLE
を
VB
指摘
VB0
し
P-CONN
て
VB2
いる
N
こと
PU
、
IP-NMZ
PP-SBJ
NP
NPR
主人公・九条剛
P-ROLE
が
IP-ADV-CONJ
NP-PRD
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
普通
AX
の
N
体育教師
AX
で
PP
NP
N
鍛錬
P-ROLE
によって
PP-OB1
NP
PP
NP
N
ヒーロー
P-ROLE
の
N
力
P-ROLE
を
VB
得
P-CONN
て
VB2
いる
P-OPTR
など
PU
、
IP-EMB
PP-SBJ
NP
PP
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-TMP
N
当時
VB
流行
VB0
し
P-CONN
て
VB2
い
AXD
た
N
スポーツ根性もの
P-ROLE
の
N
影響
P-ROLE
が
ADJI
強い
N
内容
AX
で
VB2
あっ
AXD
た
PU
。
[26_wikipedia_Kamen_Rider ]
CP-THTの直下にあるIP-SMCは,すぐ上のIP(しかも,その2つのIPの間にはCP-THTが挟まれることもある)に コントロールされることを許す。しかし一方で,CP-THTの直下にあるIP-SUBは,外からのコントロールに対して島をなす。 以下の(1.90 )では, 代名詞「彼」が,ソート情報のおかげで, それがc-commandする先の,補部節の内側にある代名詞「私」の先行詞たりえるのである。
(1.90 )
彼 は たびたび 僕 に 「 私 は もう 長く は ない 」 と 言い 、 僕 は それ を 戯言 と 思っ て い た 。
IP-MAT
IP-ADV-CONJ
PP-SBJ
NP;{FLYNN}
PRO
彼
P-OPTR
は
ADVP
ADV
たびたび
PP-OB2
NP;{SPEAKER}
PRO
僕
P-ROLE
に
CP-THT-OB1;{PREDICTION}
IP-SUB
PUL
「
PP-SBJ
NP;{FLYNN}
PRO
私
P-OPTR
は
ADVP
ADV
もう
ADJI
長く
P-OPTR
は
NEG
ない
PUR
」
P-COMP
と
VB
言い
PU
、
PP-SBJ
NP;{SPEAKER}
PRO
僕
P-OPTR
は
PP-DOB1
NP;{PREDICTION}
PRO
それ
P-ROLE
を
CP-THT-OB1
IP-SMC
NP-PRD
N
戯言
AX
*
P-COMP
と
VB
思っ
P-CONN
て
VB2
い
AXD
た
PU
。
[9_aozora_Joyce-1914 ]
(1.91 )では,関係節のトレース*T*が,(関係節の先行詞である大きなNPのソート情報を通して), 補部節の中にある*pro* と同じソート情報を共有し,照応関係をなす。
(1.91 )
そして もう 1 つ 欲しい と 思っ た の は もっと 精巧 な 技巧 と 手法 でし た
IP-MAT
CONJ
そして
NP;*SBJ*
ADVP
ADV
もう
NUMCLP
NUM
1
CL
つ
PP-SBJ
NP;{SKILL}
IP-REL
NP-SBJ
*speaker*
CP-THT-OB1
IP-SUB
NP-SBJ
*speaker*
NP-OB1
*T*
ADJI
欲しい
P-COMP
と
VB
思っ
AXD
た
N
の
P-OPTR
は
NP-PRD
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADVP
ADV
もっと
ADJN
精巧
AX
な
NML
CONJP
NP
N
技巧
P-CONN
と
NP
N
手法
AX
でし
AXD
た
[25_ted_talk_10 ]
(1.92 )では,IP-EMBの上にNPの層が余分にひとつついているため, 上の節の主語項からのコントロールが阻害されている。 この例においては,主節とIP-EMB節の主語同士の照応関係,それに加えて, IP-EMB節の目的語と,PPに修飾されている大きなNPとの間の照応関係が, ソート情報によって成立している。
(1.92 )
「 確か に 私たち は できる 限り の こと を し た わ 、
CP-FINAL
PUL
「
IP-SUB
ADVP
ADJN
確か
AX
に
PP-SBJ
NP;{ELIZA+NANNIE}
PRO
私たち
P-OPTR
は
PP-OB1
NP;{CARING}
PP
NP
IP-EMB
NP-SBJ;{ELIZA+NANNIE}
*pro*
NP-OB1;{CARING}
*pro*
VB
できる
N
限り
P-ROLE
の
N
こと
P-ROLE
を
VB
し
AXD
た
P-FINAL
わ
PU
、
[163_aozora_Joyce-1914 ]
後方照応(代名詞がその指示対象を共有する要素に先行している場合)は多くなく, しかも,典型的には文境界をまたぐ。 このような照応関係は,実際,ビジュアライゼーションにおいては表示されないことになっている。 以下の談話 (1.93 ) (1.94 ) では,空の代名詞が,後続する引用と指示対象を共有する。
(1.93 )
叔母 は イライザ が ため息 を つく まで 待ち 、 それから 言っ た 。
IP-MAT
NP-OB1;{CLICHE}
*pro*
PP-SBJ
NP;{AUNT}
N
叔母
P-OPTR
は
IP-ADV-CONJ
PP-SCON
IP-ADV;{SIGHING}
PP-SBJ
NP;{ELIZA}
NPR
イライザ
P-ROLE
が
PP-OB1
NP
N
ため息
P-ROLE
を
VB
つく
P-CONN
まで
VB
待ち
PU
、
CONJ
それから
VB
言っ
AXD
た
PU
。
[140_aozora_Joyce-1914 ]
(1.94 )
「 ああ 、 それでは 、 あの 方 は より よい 世界 へ 行っ て しまっ た の ね 。 」
CP-FINAL
PUL
「
IP-SUB;{CLICHE}
INTJ
ああ
PU
、
CONJ
それでは
PU
、
PP-SBJ
NP;{FLYNN}
D
あの
N
方
P-OPTR
は
PP
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADVP
ADV
より
ADJI
よい
N
世界
P-ROLE
へ
VB
行っ
P-CONN
て
VB2
しまっ
AXD
た
FN
の
P-FINAL
ね
PU
。
PUR
」
[141_aozora_Joyce-1914 ]
音形を持つ代名詞の後方照応の例もある:
(1.95 )
あれ が 一 つ 手に入っ たら ね 、
CP-FINAL
FRAG
IP-ADV-SCON-CND
PP-SBJ
NP;{NOISELESS_CARRIAGE}
PRO
あれ
P-ROLE
が
NP;*SBJ*
NUMCLP
NUM
一
CL
つ
VB
手に入っ
P-CONN
たら
P-FINAL
ね
PU
、
[199_aozora_Joyce-1914 ]
(1.96 )
最新式 の 馬車 で オルーク神父 が 言う に は 騒音 が ない ん です って 、
FRAG
CP-THT
IP-SUB
NP-SBJ;{NOISELESS_CARRIAGE}
*pro*
IP-ADV-CONJ
NP-PRD
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
N
最新式
AX
の
N
馬車
AX
で
PP
IP-NMZ
NP-OB1
*pro*
PP-SBJ
NP
NPR
オルーク神父
P-ROLE
が
VB
言う
P-ROLE
に
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
N
騒音
P-ROLE
が
ADJI
ない
FN
ん
AX
です
P-COMP
って
PU
、
[200_aozora_Joyce-1914 ]
aozora_Natsume-1908.psd も後続する談話への後方照応から始まるが,現在の枠組ではマークアップは不可能である。
再述代名詞は,連体修飾表現の中に現れるのが一般的であり,例はあまり多くない。 このような場合,代名詞と先行詞たる名詞の間をソート情報で結びつけることにしておく。
さらに,ソート情報の補助として,トレースとダミーの助詞を置く。
(PP (NP *T*) (P-ROLE ***))
(P-ROLE ***) は,修飾された NP の指示対象を談話の範囲に置き,代名詞の先行詞となるようにする機能をもつ。
(3.33 )
有間皇子 が どう し て も そこ から 逃れる こと の でき なかっ た 悲運
FRAG
NP;{MISFORTUNE}
IP-REL
PP-SBJ
NP
NPR
有間皇子
P-ROLE
が
PP-SCON-CND
IP-ADV
ADVP-CMPL
WADV
どう
VB
し
P-CONN
て
P-OPTR
も
PP-OB1
NP
IP-EMB
PP
NP
*T*
P-ROLE
***
PP
NP;{MISFORTUNE}
PRO
そこ
P-ROLE
から
VB
逃れる
N
こと
P-ROLE
の
VB
でき
NEG
なかっ
AXD
た
N
悲運
[7_misc_EXAMPLE2 ]
「この」「その」「あの」等の指示詞は,所有代名詞と決定詞(determiner)の両方の働きをしうる。 所有代名詞の用法においては,適当なソート情報を付けることが必要である。 それらの指示詞の統語的な分布のため,ソート情報は品詞タグDに直接付ける必要がある。 所有代名詞用法は,「その他」「その後」「その残り」のように, 関係的名詞(relational noun)に付加されたときに最もはっきりと見いだすことができるが, それ以外の例も見つかる:
(1.98 )
義姫 が 実家 の 山形城 へ 突如 出奔 し た の は この 4 年 後 で ある こと が 一 次 史料 から すでに 明らか に なっ て いる 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
IP-EMB
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-TMP
*T*
PP-SBJ
NP
NPR
義姫
P-ROLE
が
PP
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
N
実家
AX
の
NPR
山形城
P-ROLE
へ
ADVP
ADV
突如
VB
出奔
VB0
し
AXD
た
N
の
P-OPTR
は
NP-PRD
D;{JAPAN_KOREA_INVASION}
この
NUMCLP
NUM
4
CL
年
N
後
AX
で
VB2
ある
N
こと
P-ROLE
が
PP
NP
NUMCLP
NUM
一
CL
次
N
史料
P-ROLE
から
ADVP
ADV
すでに
IP-SMC-OB1
ADJN
明らか
AX
に
VB
なっ
P-CONN
て
VB2
いる
PU
。
[45_wikipedia_Datemasamune ]
(1.99 )
家康晩年 の 1616 年 ( 元和 2 年 ) 1 月 23 日 の イギリス商館長 ・ リチャード・コックス の 日記 で は 、 「 風評 によれば 、 戦争 は 今や 皇帝 ( 家康 ) と その 子 カルサ様 ( 松平上総介忠輝 ) と の 間 で 起こら ん と し 、 義父 政宗殿 は 、 カルサ殿 の 後援 を なす べし 云々 」 と 記さ れ て いる 。
IP-MAT
PP
NP
PP
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
N
家康晩年
AX
の
NUMCLP
NUM
1616
CL
年
PRN
PUL
(
NP
NPR
元和
NUMCLP
NUM
2
CL
年
PUR
)
NUMCLP
NUM
1
CL
月
NUMCLP
NUM
23
CL
日
P-ROLE
の
PP
NP
PRN
NP
N
イギリス商館長
PU
・
NPR
リチャード・コックス
P-ROLE
の
N
日記
P-ROLE
で
P-OPTR
は
PU
、
NP-LGS
*pro*
CP-THT-SBJ
NP
PUL
「
IP-EMB
PP
NP
N
風評
P-ROLE
によれば
PU
、
IP-ADV-CONJ
PP-SBJ
NP
N
戦争
P-OPTR
は
ADVP
ADV
今や
PP
NP
PP
NP
CONJP
NP
N
皇帝
PRN
PUL
(
NP;{IEYASU}
NPR
家康
PUR
)
P-CONN
と
NP;{KAZUSA}
PRN
NP
D;{IEYASU}
その
N
子
NPR
カルサ様
PRN
PUL
(
NP
NPR
松平上総介忠輝
PUR
)
P-CONN
と
P-ROLE
の
N
間
P-ROLE
で
VB
起こら
AX
ん
P-CONN
と
VB2
し
PU
、
PP-SBJ
NP;{MASAMUNE}
PRN
NP
N
義父
NPR
政宗殿
P-OPTR
は
PU
、
PP-OB1
NP
PP
NP;{KAZUSA}
NPR
カルサ殿
P-ROLE
の
N
後援
P-ROLE
を
VB
なす
MD
べし
N
云々
PUR
」
P-COMP
と
VB
記さ
PASS
れ
P-CONN
て
VB2
いる
PU
。
[187_wikipedia_Datemasamune ]
話題化された全体集合と,量化的な指示表現の間には部分量化の関係が成立するが, これは,次のようにしてアノテートされる: 話題化されたNPに,ダミー助詞(P-ROLE ***) を置き, 指示表現にはダミー属格助詞(PP (NP *pro*) (P *の*)) を置く。
(3.99 )
自分たち は ほとんど が 次男坊 ばかり です から 」
FRAG
PP-SCON
IP-ADV
PP-TPC
NP;{WHOLE}
PRO
自分たち
P-OPTR
は
P-ROLE
***
PP-SBJ
NP
PP
NP;{WHOLE}
*pro*
P-ROLE
*の*
Q
ほとんど
P-ROLE
が
PP-PRD
NP
N
次男坊
P-OPTR
ばかり
AX
です
P-CONN
から
PUR
」
[247_aozora_Hayashida-2015 ]
テクストにおいて,代名詞の先行詞が明に現れていないことがある。 (言語外の)先行詞と照応関係をつくるためには,談話上の先行詞のダミーを設けなければならない。
(1.101 )
[1_aozora_Joyce-1914 ]
これらのダミー先行詞は,後続する代名詞の先行詞として働く。
(1.102 )
今度 は 彼 に 望み は なかっ た 。
IP-MAT
PP-TMP
NP
N
今度
P-OPTR
は
PP-SBJ
NP;{FLYNN}
PRO
彼
P-ROLE
に
PP-OB1
NP
N
望み
P-OPTR
は
ADJI
なかっ
AXD
た
PU
。
[2_aozora_Joyce-1914 ]
関係する統語構造によっては, ソート情報を利用することで,複数の依存関係の可能性を同時にアノテートする道が開かれる。 例えば,文 「関連産業の集積や教育レベルの向上など波及効果は計り知れず,東日本大震災からの復興にも貢献できると期待される。」 のアノテーションは, (必要な依存関係が正しく計算されることを考慮に入れれば) 少なくとも2通りの可能性がある。 (in progress)
(1.103 )
関連産業 の 集積 や 教育レベル の 向上 など 波及効果 は 計り知れ ず 、 東日本大震災 から の 復興 に も 貢献 できる と 期待 さ れる 。
IP-MAT
IP-ADV-CONJ
NP-SBJ
*arb*
PP-OB1
NP;{EFFECTS}
PRN
PP
NP
CONJP
NP
PP
NP
N
関連産業
P-ROLE
の
N
集積
P-CONN
や
NP
PP
NP
N
教育レベル
P-ROLE
の
N
向上
P-OPTR
など
N
波及効果
P-OPTR
は
VB
計り知れ
NEG
ず
PU
、
NP-DSBJ;{EFFECTS}
*pro*
NP-LGS
*arb*
CP-THT-SBJ
IP-SMC
PP
NP
PP
NP
NPR
東日本大震災
P-ROLE
から
P-ROLE
の
N
復興
P-ROLE
に
P-OPTR
も
VB
貢献
VB0
できる
P-COMP
と
VB
期待
VB0
さ
PASS
れる
PU
。
[41_news_KAHOKU_89 ]
(1.104 )
関連産業 の 集積 や 教育レベル の 向上 など 波及効果 は 計り知れ ず 、 東日本大震災 から の 復興 に も 貢献 できる と 期待 さ れる 。
IP-MAT
IP-ADV-CONJ
NP-SBJ
*arb*
PP-OB1
NP;{EFFECTS_42}
PRN
PP
NP
CONJP
NP
PP
NP
N
関連産業
P-ROLE
の
N
集積
P-CONN
や
NP
PP
NP
N
教育レベル
P-ROLE
の
N
向上
P-OPTR
など
N
波及効果
P-OPTR
は
VB
計り知れ
NEG
ず
PU
、
NP-SBJ
*pro*
CP-THT-ADV
IP-SUB
NP-SBJ;{EFFECTS_42}
*pro*
PP
NP
PP
NP
NPR
東日本大震災
P-ROLE
から
P-ROLE
の
N
復興
P-ROLE
に
P-OPTR
も
VB
貢献
VB0
できる
P-COMP
と
VB
期待
VB0
さ
VB2
れる
PU
。
[5_misc_EXAMPLE2 ]
1.8.4 複数の指示対象を持つ空代名詞の分裂した先行詞たち(ANT)
空代名詞が,分裂した複数の先行詞AとBをもって,複数の指示対象を持つような例は少ない。 このような場合,先行詞それぞれにソート情報を付加し(例:(NP;{aaa} (N A)) ; (NP;{bbb} (N B)) ,等), 代名詞のソート情報のところで,それらのソート情報を+ を用いて結合し, (例:e.g., (NP;{aaa+bbb} *pro*) ) 代名詞に先行して,以下のダミー先行詞を代名詞の直前に新たに設けることにする:
(ANT;{aaa+bbb} *)
(1.105 )
仙台市 に 拠点 を 置く チーム の 担当記者 が 「 見 た スポーツ の 力 」 、 福島県 から 宮城 、 岩手 両県 の 沿岸支局 に 転勤 し た 記者 が 「 福島 と 津波被災地 と 」 を テーマ に 思い を つづっ た 。
IP-MAT
IP-ADV-SCON
IP-ADV-CONJ
PP-SBJ
NP;{REPORTER1}
PP
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
PP
NP
NPR
仙台市
P-ROLE
に
PP-OB1
NP
N
拠点
P-ROLE
を
VB
置く
N
チーム
P-ROLE
の
N
担当記者
P-ROLE
が
NP-OB1
PUL
「
IP-REL
NP-OB1
*T*
NP-SBJ;{REPORTER1}
*pro*
VB
見
AXD
た
PP
NP
N
スポーツ
P-ROLE
の
N
力
PUR
」
PU
、
PP-SBJ
NP;{REPORTER2}
IP-REL
NP-SBJ
*T*
PP
NP
NPR
福島県
P-ROLE
から
PP
NP
PP
NP
NML
CONJP
NP
NPR
宮城
PU
、
NP
NPR
岩手
PRN
NP;*
Q
両県
P-ROLE
の
N
沿岸支局
P-ROLE
に
VB
転勤
VB0
し
AXD
た
N
記者
P-ROLE
が
PP-DOB1
NP
PUL
「
CONJP
NP
NPR
福島
P-CONN
と
NP
N
津波被災地
P-CONN
と
PUR
」
P-ROLE
を
IP-SMC-OB1
NP-PRD
N
テーマ
AX
に
ANT;{REPORTER1+REPORTER2}
*
NP-SBJ;{REPORTER1+REPORTER2}
*pro*
PP-OB1
NP
N
思い
P-ROLE
を
VB
つづっ
AXD
た
PU
。
[9_misc_EXAMPLE2 ]
1.8.5 複数の指示対象を持つ先行詞とその下位集合を指す空代名詞
複数の指示対象持つ先行詞(例:(NP;{TWINS} 双子) )は, その一部を指示するような,音型のない照応表現を照応関係を持つことがあるが, これは,2つのダミー構成素を,先行詞の隣に導入することでアノテートされる。 ひとつ目は,*pro* であり,先行詞たるNPと同じソート情報を持たされる。
(PP (NP;{TWINS} *pro*)
(P *e.*))
2つ目は,指示対象を分裂させるような操作を表す,ダミー構成素である。
(PP (NP (CONJP (NP;{JOHN} (D *)))
(NP;{MARY} (D *)))
(P-ROLE ***))
以上の2つののダミー構成素は,一緒になって, 先行詞(NP;{TWINS} 双子) と, 空の照応表現(例えば,(NP;{JOHN} *pro*) )とを 結びつける役割を果たす。
以下の例は,同じテクニックを持って,主要部内在型関係節のアノテーションを 行っている。先行詞「二人」の指示対象が分割され, その一部が指示表現と関連付けれられている。
(1.106 )
警官 が 泥棒 を 追いかけ て い た の が 二人 共 川 に 落ち た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
IP-REL
PP
NP
*T*
P-ROLE
*.e*
PP
NP
CONJP
NP;{POLICEMAN}
D
*
NP;{THIEF}
D
*
P-ROLE
***
PP
NP;{POLICEMAN}
*pro*
P-ROLE
*.e*
PP-SBJ
NP
N
警官
P-ROLE
が
PP
NP;{THIEF}
*pro*
P-ROLE
*.e*
PP-OB1
NP
N
泥棒
P-ROLE
を
VB
追いかけ
P-CONN
て
VB2
い
AXD
た
N
の
P-ROLE
が
NP;*SBJ*
NUMCLP
NUM
二人
Q
共
PP
NP
N
川
P-ROLE
に
VB
落ち
AXD
た
PU
。
[40_misc_BUFFALO ]
橋渡し推論とは,談話中に現れる2つの言語表現の指示対象について, 談話に陽に現れていない関係性を推論するものである(Asher and Lascarides 2003)。 例えば,談話「太郎はあるレストランに行った。ウェイターの態度に不満を抱いた」において, 「ウェイター」の指示対象は,「レストラン」の指示対象であるところのレストランの従業員である, という読みが自然である。この読みにおいて,従業員関係は談話に陽に現れていないが, 我々はそれを普通,読み取るのである。 こういった,情報状態がかかっているような場合を記述するためのアノテーションがある。
以下の二つの例文は橋渡し推論が生じる談話を形作る。 つまり「代表的な例」の照応が 前の文の「童話など」に依存する。 こうした橋渡し推論が生じた場合,後ろのNPを,空の前置詞節(PP (NP *pro*) (P *の*)) で修飾する。 さらに,その空の代用表現と先行詞を,適当なソート情報で束縛しておく。
(1.107 )
童話 など に も 数多く 登場 し 、 多く は 主人公 に 倒さ れる 。
IP-MAT
NP-SBJ;{ONI}
*pro*
IP-ADV-CONJ
PP
NP;{ONI_FAIRY_TALES}
N
童話
P-OPTR
など
P-ROLE
に
P-OPTR
も
NP;*SBJ*
Q
数多く
VB
登場
VB0
し
PU
、
PP;*SBJ*
NP
Q
多く
P-OPTR
は
PP-LGS
NP
N
主人公
P-ROLE
に
VB
倒さ
PASS
れる
PU
。
[61_wikipedia_KYOTO_13 ]
(1.108 )
代表的 な 例 として は 、 一寸法師 、 桃太郎 など が あげ られる 。
IP-MAT
NP-LGS
*arb*
PP
NP
PP
NP;{ONI_FAIRY_TALES}
*pro*
P-ROLE
*の*
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
代表的
AX
な
N
例
P-ROLE
として
P-OPTR
は
PU
、
PP-SBJ
NP;{ONI_EXTERMINATION}
CONJP
NP
NPR
一寸法師
PU
、
NP
NPR
桃太郎
P-OPTR
など
P-ROLE
が
VB
あげ
PASS
られる
PU
。
[62_wikipedia_KYOTO_13 ]
本章では助詞(後置詞とも)のふるまいを記述するためのアノテーションについて詳述する。 助詞には P というタグが与えられ、それに何らかの拡張タグ(-ROLE , -CONN , -COMP , -FINAL , -OPTR )が必ず付く。 助詞は,典型的には名詞句や節に付加され,さまざまな機能を果たす。 アノテーションのために助詞は次のようなタイプに分類することができる。
主要文法役割を表示する格助詞(P-ROLE)
任意文法役割を表示する格助詞(P-ROLE)
非節的要素の並列の中に現れる接続助詞(P-CONN)
従属節に現れる接続助詞(P-CONN)
等位節に現れる接続助詞(P-CONN)
補部節を導く助詞(P-COMP)
終助詞(P-FINAL)
とりたて助詞(P-OPTR)
同一の音形を持つ助詞が同一のグループの中で複数の機能または役割を果たすことがある。 例えば,主要文法役割を表示する助詞の中では,「に」は主語(-SBJ),第二主語(-SBJ2),論理的主語(-LGS),第一目的語(-OB1),および第二目的語(-OB2)を示すことができる。 また,同一の音形を持つ助詞が複数のグループに現れることがある。 例えば,「と」は主要文法役割を示す格助詞(P-ROLE),任意文法役割を示す格助詞(P-ROLE),条件節を作る接続助詞(P-CONN),および補部節を導く助詞(P-COMP)のいずれのグループにも現れる。 逆に,同じグループで同じ機能をもつ助詞が複数の音形をもつこともある。
なお,「格助詞」という用語は,主要文法役割か任意文法役割を担う助詞という意味で用いることにする。 本アノテーションではこの二つのグループはいずれも P-ROLE のタグを取る。
いくつかの語が連語となって助詞としての機能を果たす場合,それは単一の独立した助詞 P としてラベル付けされる。 このような複合助詞の多くは,BCCWJ および CSJ の解析に従ってチャンキングを行ったものである。 むろん,それらの中には1つまたはそれ以上の構成要素が語彙素として機能していることがありうる。 そのような場合,単位分割の修正は手で行う必要がある。
コーパスは,60以上の数の複合助詞が認められる。 以下に,そのうちの比較的頻度の高いものを示す。
との, という, というより, といった, と同時に, において, におきまして, における, にかけて, にして, にしても, について, につきまして, につれて, にとって, にむけて, にむけた, にもかかわらず, によって, によると, によれば, にわたって, に係る, に向けて, に対し, に対して, に対する, に関して, に関する, をもって, を以て, を通して, を通じて までも, ものの
例えば,複合助詞「によって」は,受動文における論理的主語 -LGS を示すのに用いられる。
(2.1 )
この デザイン画 は 平山 によって 渡邊専務 に もたらさ れ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{DESIGN}
D
この
N
デザイン画
P-OPTR
は
PP-LGS
NP
NPR
平山
__P-ROLE
によって
PP-OB2
NP
NPR
渡邊専務
P-ROLE
に
VB
もたらさ
PASS
れ
AXD
た
PU
。
[60_wikipedia_Kamen_Rider@14 ]
次の例では,複合助詞「について」が任意文法役割を示している。
(2.2 )
モーセ は 、 わたし について 書い た の で ある 。
IP-MAT
NP-OB1
*pro*
PP-SBJ
NP
NPR
モーセ
P-OPTR
は
PU
、
PP
NP;{JESUS}
PRO
わたし
__P-ROLE
について
VB
書い
AXD
た
FN
の
AX
で
VB2
ある
PU
。
[390_bible_nt@16 ]
しかし,次の例では,「について」は複合助詞ではなく,動詞を含む語列として分析される。
(2.3 )
彼 は 新しい 仕事 に つい て 、 まるで 生き返っ た よう だ .
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
彼
P-OPTR
は
IP-ADV-SCON
PP
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJI
新しい
N
仕事
___P-ROLE
に
__VB
つい
___P-CONN
て
PU
、
ADVP
ADV
まるで
NP-PRD
IP-EMB
VB
生き返っ
AXD
た
N
よう
AX
だ
PU
.
[134_dict_vv-lexicon@20,18,22 ]
上記の2つの例における「について」の違いは,「つく」という語の表す意味が全く異なっているという点で明らかである。
「につれて」は (2.4 ) では複合助詞として,(2.5 ) では助詞と動詞の連続として分析される。 複合助詞の「につれて」はほぼすべての場合に述語に後続するため,この違いの判断も難しくはない。
(2.4 )
経済 が 発展 する につれて 、 社会 の 矛盾 も 拡大 し て き た 。
IP-MAT
PP-SCON
IP-ADV
PP-SBJ
NP
N
経済
P-ROLE
が
VB
発展
VB0
する
__P-CONN
につれて
PU
、
PP-SBJ
NP
PP
NP
N
社会
P-ROLE
の
N
矛盾
P-OPTR
も
VB
拡大
VB0
し
P-CONN
て
VB2
き
AXD
た
PU
。
[1196_textbook_kisonihongo@14 ]
(2.5 )
ディズニーランド に 連れ て 行か れ まし た 。
IP-MAT
NP-SBJ;{MAN_43}
*pro*
PP
NP
N
ディズニーランド
___P-ROLE
に
__VB
連れ
___P-CONN
て
VB2
行か
VB2
れ
AX
まし
AXD
た
PU
。
[6_misc_EXAMPLE2@10,8,12 ]
複合助詞「にむけて・にむけた」についてはより難しい判断が必要である。 例えば (2.6 ) では, 「むけ(向け)」が,項として主語と目的語と着点を表す項を取るかどうかという点が判断の基準になる。 述語として完全な項構造を持たなければ複合助詞「にむけて・にむけた」とする。
(2.6 )
「 国際交渉 に向け 日本政府 の 意思表示 が 必要 だ 」 と 国 が 早期 に 誘致 を 決断 する よう 訴え た 。
IP-MAT
NP-SBJ;{EVANS}
*pro*
CP-THT-OB1
IP-SUB
PUL
「
NP-SBJ;{CORPORATION}
*pro*
PP
NP
N
国際交渉
__P-ROLE
に向け
PP-OB1
NP
PP
NP
N
日本政府
P-ROLE
の
N
意思表示
P-ROLE
が
ADJN
必要
AX
だ
PUR
」
P-COMP
と
NP-ADV
IP-EMB
PP-SBJ
NP
N
国
P-ROLE
が
PP
NP
N
早期
P-ROLE
に
PP-OB1
NP
N
誘致
P-ROLE
を
VB
決断
VB0
する
N
よう
VB
訴え
AXD
た
PU
。
[19_news_KAHOKU_89@14 ]
2.3 主要文法役割を示す格助詞(P-ROLE):が,を,に,と,の,等
主要文法役割を表示する格助詞(P-ROLE)は述語の項となる助詞句(PP)を投射する。 主要文法役割と助詞の間に一対一の対応関係があるわけではない。 そのため,アノテーションの際には基本ラベル PP に項の文法役割を示すための拡張ラベルを付加した, PP-SBJ,PP-OB1,PP-OB2,PP-CMPL,PP-SBJ2,PP-LGS,PP-CZZ のいずれかが使われる。例えば,「が」を伴う助詞句が PP-SBJ とラベルを与えられていれば,それは主語の文法役割を持つことを示す。
以下の例では,「が」が主語(-SBJ)を,「を」が第一目的語(-OB1)を,「に」が第二目的語(-OB2)を示している。
(2.7 )
それ が 私 に 何とやら 奇妙 な 感じ を 与え た の で ある 。
IP-MAT
___PP-SBJ
NP
PRO
それ
__P-ROLE
が
___PP-OB2
NP
PRO
私
___P-ROLE
に
ADVP
ADV
何とやら
___PP-OB1
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
奇妙
AX
な
N
感じ
___P-ROLE
を
VB
与え
AXD
た
FN
の
AX
で
VB2
ある
PU
。
[39_aozora_Edogawa-1929@6,2,12,8,28,17 ]
格助詞「が」は多く場合,主語(-SBJ)を表示する。 ただし,「に」等,他の格助詞によって主語が表示されることもある(2.3.3 節,2.3.9 節を参照)。 とりわけ,名詞修飾節では主語が「の」によって表示されることがある(2.3.5 節を参照)。
一方で,格助詞「が」は主語以外の文法役割を表示する際にも用いられる。 以下に挙げるような述語では,第一目的語(-OB1)を表示する。 ただし,同じ述語であっても当該の文法役割が他の格助詞によって表示されることがしばしばありうる。 例えば,能力を表す述語の第一目的語が「が」ではなく,「を」を伴うこともある。
(2.8 )
太郎 は 財産 が ある 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{TARO_282}
NPR
太郎
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
N
財産
__P-ROLE
が
___VB
ある
PU
。
[282_textbook_kisonihongo@12,14 ]
能力や知覚を表す動詞(できる,分かる,見える,聞こえる,等);可能動詞(五段動詞語幹+eru・上一段/下一段動詞語幹+られる);動作名詞+できる(実感できる,説明できる,等)
(2.9 )
スミスさん は 中国語 が 分かる 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
NPR
スミスさん
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
N
中国語
__P-ROLE
が
___VB
分かる
PU
。
[64_textbook_djg_gram_terms@12,14 ]
必要を表す動詞・ナ形容詞(要る,必要だ,不要だ,等)
(2.10 )
救急車 が 必要 です か 。
CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
PP-OB1
NP
N
救急車
__P-ROLE
が
___ADJN
必要
___AX
です
P-FINAL
か
PU
。
[740_textbook_TANAKA@9,11,13 ]
好悪,得手不得手や感情を表す動詞・イ形容詞・ナ形容詞(好きだ,嫌いだ,憎い,欲しい,動詞語幹+たい,上手だ,下手だ,得意だ,苦手だ,うまい,うれしい,なつかしい,こわい,等)
(2.11 )
私 は 虫 が 嫌い です 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
私
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
N
虫
__P-ROLE
が
___ADJN
嫌い
AX
です
PU
。
[31_textbook_purple_basic@12,14 ]
(2.12 )
おしぼり が 欲しい の です 。
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
PP-OB1
NP
N
おしぼり
__P-ROLE
が
___ADJI
欲しい
FN
の
AX
です
PU
。
[363_textbook_TANAKA@8,10 ]
格助詞「が」は,「二重主語文」における第二主語(-SBJ2)を表示することもある。
(2.13 )
象 は 鼻 が 長い 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
象
P-OPTR
は
___PP-SBJ2
NP
N
鼻
__P-ROLE
が
___ADJI
長い
PU
。
[3_misc_EXAMPLE@12,8,14 ]
格助詞「を」は主要文法役割としては第一目的語(-OB1)を表示する。 本アノテーションでは,いわゆる対象項だけでなく,「出る,降りる,発つ,出発する,離れる,やめる,卒業する」等の出離を表す動詞の起点を表す項,「歩く,走る,ジョギングする,旅行する,飛ぶ,通る,渡る,行く,来る」等の移動動詞の経路を表す項,「過ごす,明かす,暮らす」等の時間的経過を表す動詞に対する期間を表す項も,第一目的語(-OB1)として分析することにする。
(2.14 )
午前 6 時 に 家 を 出 まし た 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
PP-TMP
NP
N
午前
NUMCLP
NUM
6
CL
時
P-ROLE
に
___PP-OB1
NP
N
家
__P-ROLE
を
___VB
出
___AX
まし
___AXD
た
PU
。
[71_textbook_purple_intermediate@19,15,21,23,25 ]
(2.15 )
私たち は ショッピングセンター を ぶらぶら 歩い た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
私たち
P-OPTR
は
___PP-OB1
NP
N
ショッピングセンター
__P-ROLE
を
ADVP
ADV
ぶらぶら
___VB
歩い
___AXD
た
PU
。
[188_textbook_TANAKA@12,8,17,19 ]
(2.16 )
私たち は トランプ を し ながら 楽しい 時間 を 過ごし た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
私たち
P-OPTR
は
IP-ADV-SCON
___PP-OB1
NP
N
トランプ
__P-ROLE
を
VB
し
P-CONN
ながら
___PP-OB1
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJI
楽しい
N
時間
___P-ROLE
を
___VB
過ごし
___AXD
た
PU
。
[534_textbook_TANAKA@13,9,19,28,30,32 ]
ただし,移動動詞が経路の助詞句と共起していない場合, それにあたる第一目的語をゼロ代名詞としてアノテーションすることは, 文脈が必要としない限り, 必要ではない。
(2.17 )
ビル は ベルリン に 車 で 行っ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
NPR
ビル
P-OPTR
は
PP
NP
NPR
ベルリン
__P-ROLE
に
PP
NP
N
車
___P-ROLE
で
___VB
行っ
___AXD
た
PU
。
[1185_misc_JSeM_beta_150530@12,18,20,22 ]
また,時間的経過を表す動詞に対する期間を表す名詞句は,「を」を伴わずに裸で現れることがある。 この場合には,期間を表す名詞句は,NP-OB1 とラベルを付ける積極的な理由がなければ,NP-MSR とラベル付けすることとなる(拡張タグ -MSR については,1.7.2 節を参照)。
(2.18 )
何 を する か と 言う と 誰 か の 家 で 1 週間 過ごし ます
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
PP-SCON-CND
IP-ADV
NP-SBJ
*exp*
CP-THT-OB1
CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ
*pro*
PP-OB1
NP
WPRO
何
P-ROLE
を
VB
する
P-FINAL
か
P-COMP
と
VB
言う
P-CONN
と
PP
NP
PP
NP
WPRO
誰
P-OPTR
か
P-ROLE
の
N
家
P-ROLE
で
__NP-MSR
NUMCLP
NUM
1
CL
週間
VB
過ごし
AX
ます
[96_ted_talk_10@43 ]
格助詞「を」は稀に,ひとつの節の中に二度現れることがある。 このような構文(二重ヲ格構文)における「を」のアノテーションについては 6.8 節で取り上げる。
格助詞「に」は授受動詞を代表例とする多くの三項述語(やる,あげる,もらう,くれる,与える,貸す,借りる,渡す,届ける,贈る,提出する,聞く,教える,伝える,たずねる,報告する,命じる,相談する,紹介する,等)の第二目的語(-OB2)を表示する((2.7 ) を参照)。 次の例では,第二目的語が「に」によって示されており,第一目的語はゼロ代名詞 *pro* によって表されている。
(2.19 )
そこで 彼ら は 、 もう 一 度 この 盲人 に 聞い た 、
IP-MAT
___NP-OB1
*pro*
CONJ
そこで
PP-SBJ
NP;{PHARISEES}
PRO
彼ら
P-OPTR
は
PU
、
NP-MSR
ADVP
ADV
もう
NUMCLP
NUM
一
CL
度
___PP-OB2
NP;{MAN_BLIND}
D
この
N
盲人
__P-ROLE
に
___VB
聞い
___AXD
た
PU
、
[786_bible_nt@29,2,23,31,33 ]
所有(ある,いる,ない,等),能力・知覚(できる,分かる,見える,聞こえる,等),必要(必要だ,不要だ,要る,等),感情(うれしい,悲しい,等)を表す述語では,主語(-SBJ)は格助詞「に」によって表示されうる。 このような述語は,第一目的語を「が」で表示するものと重なっている(2.3.1 節を参照)。
(2.20 )
実 を いう と 、 私 に も その 理由 は わから ない 。
IP-MAT
PP-SCON-CND
IP-ADV
PP-OB1
NP
N
実
P-ROLE
を
VB
いう
P-CONN
と
PU
、
PP-SBJ
NP;{SPEAKER_129}
PRO
私
__P-ROLE
に
P-OPTR
も
PP-OB1
NP;{REASON_129}
D
その
N
理由
P-OPTR
は
___VB
わから
___NEG
ない
PU
。
[129_textbook_kisonihongo@20,32,34 ]
二項述語において主語以外の項は原則として第一目的語(-OB1)とする。 したがって,第一目的語が「に」で表示されることもある。 以下にいくつかの典型的な場合を挙げる。
何らかの具体的な動作が向かう対象:さからう,はむかう,反対する,ぶつかる,かみつく,掛け合う,話しかける,取り組む,会う,触れる,さわる,勝つ,負ける,携わる,等
(2.21 )
その 手 に さわっ た 革財布 。
FRAG
NP-ADV;{ELDER_WALLET}
IP-REL
NP-SBJ
*T*
___PP-OB1
NP
D;{ELDER}
その
N
手
__P-ROLE
に
___VB
さわっ
___AXD
た
N
革財布
PU
。
[47_aozora_Kunieda-1925@12,6,14,16 ]
心理的な活動の対象:恋する,惚れる,甘える,頼る,満足する,不満だ,見とれる,あこがれる,あきれる,感心する,悩む,こだわる,等
(2.22 )
犬 が 飼い主 に 甘える
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
犬
P-ROLE
が
___PP-OB1
NP
N
飼い主
__P-ROLE
に
___VB
甘える
[202_dict_pth_i@12,8,14 ]
(2.23 )
私 は ハタと ある 事 に 気がつい た の です 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
私
P-OPTR
は
ADVP
ADV
ハタと
___PP-OB1
NP
D
ある
N
事
__P-ROLE
に
___VB
気がつい
___AXD
た
FN
の
AX
です
PU
。
[268_aozora_Edogawa-1929@17,11,19,21 ]
比較や適切さを含む判断の対象:まさる,劣る,準ずる,ふさわしい,等
(2.24 )
彼女 は 経営者 に ふさわしい
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
彼女
P-OPTR
は
___PP-OB1
NP
N
経営者
__P-ROLE
に
___ADJI
ふさわしい
[768_dict_pth_u@12,8,14 ]
「(て)もらう」構文や「(て)ほしい」構文における動作主は「に」によって表示されるが, このような「に」の投射する助詞句は PP-DOB1 (派生された第一目的語)とラベル付けされる。 これらの構文では,述語に先行する小節(IP-SMC-OB1)が「に」の付加された第一目的語(-DOB1)によってコントロールされる (「(て)ほしい」構文については 4.8 節を参照のこと)。
(2.25 )
文章 に する とき は さ 、 ワトスン 、 兎 に 働い て もらう ん だ ね 」
CP-FINAL
IP-SUB
NP-SBJ;{WATSON}
*hearer*
PP
NP
IP-EMB
NP-OB1;{INCIDENT}
*pro*
IP-SMC-CNT
NP-PRD
N
文章
AX
に
VB
する
N
とき
P-OPTR
は
P-INTJ
さ
PU
、
NP-VOC;{WATSON}
NPR
ワトスン
PU
、
___PP-DOB1
NP
N
兎
__P-ROLE
に
___IP-SMC-OB1
VB
働い
P-CONN
て
___VB
もらう
FN
ん
AX
だ
P-FINAL
ね
PUR
」
[784_aozora_Doyle-1905@35,31,37,42 ]
(2.26 )
みなさん に は 、 限りある 時間 で 助け 合い 、 命 を 守る すべ を さまざま な 視点 で 考え て ほしい 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
___PP-DOB1
NP
Q
みなさん
__P-ROLE
に
P-OPTR
は
PU
、
___IP-SMC-OB1
PP-OB1
NP
IP-EMB
NP-SBJ
*pro*
IP-ADV-CONJ
PP
NP
PNL
限りある
N
時間
P-ROLE
で
VB
助け
VB2
合い
PU
、
PP-OB1
NP
N
命
P-ROLE
を
VB
守る
N
すべ
P-ROLE
を
PP
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
さまざま
AX
な
N
視点
P-ROLE
で
VB
考え
___P-CONN
て
___ADJI
ほしい
PU
。
[78_news_KAHOKU_112@8,4,14,62,64 ]
また,「に」は受動文の論理的主語を表示することもある。その場合,「に」の投射する助詞句は PP-LGS とラベル付けされる。
(2.27 )
ジョン は 先生 に しから れ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
NPR
ジョン
P-OPTR
は
___PP-LGS
NP
N
先生
__P-ROLE
に
VB
しから
PASS
れ
AXD
た
PU
。
[22_misc_BUFFALO@12,8 ]
「に」の投射する助詞句が動詞「する・なる」の項となり, かつその助詞句が他の項の述語と見なせない場合, PP-CMPLとラベル付けされる。 (助詞句が述語と見なせるケースについては4.6 節を参照)。
(2.28 )
日本人 が 働き者 だ という こと を 我々 は よく 耳 に する 。
IP-MAT
PP-OB1
NP
CP-THT
IP-SUB
PP-SBJ
NP
N
日本人
P-ROLE
が
NP-PRD
N
働き者
AX
だ
P-COMP
という
N
こと
P-ROLE
を
PP-SBJ
NP
PRO
我々
P-OPTR
は
ADVP
ADV
よく
___PP-CMPL
NP
N
耳
__P-ROLE
に
___VB
する
PU
。
[111_textbook_TANAKA@36,32,38 ]
(2.29 )
- 過去 の 大災害 で の 支援活動 を通して 、 参考 に なる 事例 は 。
CP-QUE
SYM
-
IP-SUB
PP
NP
PP
NP
PP
NP
N
過去
P-ROLE
の
N
大災害
P-ROLE
で
P-ROLE
の
N
支援活動
P-ROLE
を通して
PU
、
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
___PP-CMPL
NP
N
参考
__P-ROLE
に
___VB
なる
N
事例
P-OPTR
は
PU
。
[90_news_KAHOKU_65@36,32,38 ]
さらに,格助詞「に」は任意文法役割の表示に用いられることもある(2.4 節で取り上げる)。 ただし,「に」の表示する主要文法役割と任意文法役割の違い,言い換えれば -OB1 や -OB2 としての機能と付加詞としての機能とは区別しがたいことがある。 また,同一の動詞であっても,「当たる」のように「に」によって表示された -OB1 を伴うこと(例:役目に当たった)もあるし,伴わないこと(例:宝くじが当たった)もある。
格助詞「と」は「似る」「会う」「喧嘩する」「デートする」「いちゃつく」といった述語の第一目的語(-OB1)を表示する。
(2.30 )
彼女 と は 、 去年 会っ た きり 、 手紙 も 出し て い ない 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
PP-SCON
IP-ADV
___PP-OB1
NP
PRO
彼女
__P-ROLE
と
P-OPTR
は
PU
、
NP-TMP
N
去年
___VB
会っ
___AXD
た
P-OPTR
きり
PU
、
PP-OB1
NP
N
手紙
P-OPTR
も
VB
出し
P-CONN
て
VB2
い
NEG
ない
PU
。
[369_textbook_particles@10,6,19,21 ]
(2.31 )
だって 彼女 は いつも 風 と いちゃつい てる ん だ から 」
FRAG
PP-SCON
IP-ADV
CONJ
だって
PP-SBJ
NP
PRO
彼女
P-OPTR
は
ADVP-MSR
ADV
いつも
___PP-OB1
NP
N
風
__P-ROLE
と
___VB
いちゃつい
___VB2
てる
FN
ん
AX
だ
P-CONN
から
PUR
」
[37_aozora_Yuki-1-2000@19,15,21,23 ]
こういった述語の多くは相互性を持ち,主語要素が複数性を示すときには項構造が飽和される。
(2.32 )
ヘプバーン は 「 私 と ユベール は よく 似 て い ます 。 好み が 同じ な の です 」 と 語っ て いる 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
NPR
ヘプバーン
P-OPTR
は
___CP-THT-OB1
multi-sentence
PUL
「
IP-MAT
PP-SBJ
NP
CONJP
NP
PRO
私
___P-CONN
と
NP
NPR
ユベール
P-OPTR
は
ADVP
ADJI
よく
VB
似
P-CONN
て
VB2
い
AX
ます
PU
。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
好み
P-ROLE
が
ADJN
同じ
AX
な
FN
の
AX
です
PUR
」
__P-COMP
と
VB
語っ
P-CONN
て
VB2
いる
PU
。
[362_wikipedia_Audrey_Hepburn@56,8,19 ]
「と」はまた,相互性を表す三項述語の第二目的語(-OB2)を表示する。
(2.33 )
彼 は 、 弟 と 一 等 賞 を 競り 合っ た .
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
彼
P-OPTR
は
PU
、
___PP-OB2
NP
N
弟
__P-ROLE
と
PP-OB1
NP
NUMCLP
NUM
一
CL
等
N
賞
P-ROLE
を
VB
競り
VB2
合っ
AXD
た
PU
.
[1431_dict_vv-lexicon@14,10 ]
「と」の投射する助詞句が動詞「する・なる」等の項となり, かつその助詞句が他の項の述語と見なせない場合, PP-CMPLとラベル付けされる。 (助詞句が述語と見なせるケースについては4.6 節を参照)。
(2.34 )
英雄 を 襲う の は 、 黒々 と し た 死 の 闇 で ある 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
PP-OB1
NP
N
英雄
P-ROLE
を
VB
襲う
N
の
P-OPTR
は
PU
、
NP-PRD
IP-REL
NP-SBJ
*T*
___ADVP-CMPL
ADV
黒々
__AX
と
___VB
し
___AX
た
PP
NP
N
死
P-ROLE
の
N
闇
AX
で
VB2
ある
PU
。
[19_book_excerpt-52@28,25,30,32 ]
(2.35 )
一体 支那人 は いざ と なる と 、 覚悟 が 好い 。
IP-MAT
ADVP
ADV
一体
PP-SBJ
NP
N
支那人
P-OPTR
は
PP-SCON-CND
IP-ADV
___PP-CMPL
ADVP
ADV
いざ
__P-ROLE
と
___VB
なる
P-CONN
と
PU
、
PP-SBJ2
NP
N
覚悟
P-ROLE
が
ADJI
好い
PU
。
[179_aozora_Mori-1912@17,13,19 ]
「名付ける」や「呼ぶ」といった命名の動詞と共に用いられる助詞「と」は,補文助詞(P-COMP)として扱われることに注意されたい( 2.7.3 節を参照)。
名詞修飾節の主語(-SBJ)は多くの場合「が」によって表示されるが,「の」がその代わりに使われることがある。
(2.36 )
これ は 、 わが 社 の 開発 し た 最新型 の ワープロ です 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{STUFF_898}
PRO
これ
P-OPTR
は
PU
、
NP-PRD
IP-REL
NP-OB1
*T*
___PP-SBJ
NP;{SPEAKER_899}
NP-POS
PRO
わが
N
社
__P-ROLE
の
VB
開発
VB0
し
AXD
た
PP
NP
N
最新型
P-ROLE
の
N
ワープロ
AX
です
PU
。
[899_textbook_kisonihongo@21,14 ]
(2.37 )
私 の 知ら ぬ お名前 で あっ た 。
IP-MAT
NP-SBJ;{INDUSTRY_POST_SAMPLE_SENDER}
*pro*
NP-PRD
IP-REL
NP-OB1
*T*
___PP-SBJ
NP;{DAZAI}
PRO
私
__P-ROLE
の
VB
知ら
NEG
ぬ
N
お名前
AX
で
VB2
あっ
AXD
た
PU
。
[17_aozora_Dazai-1-1940@12,8 ]
先に述べたとおり,「が」は第一目的語(-OB1)の表示にも用いられる(2.3.1 節を参照)。 名詞修飾節では,このような第一目的語を表示する「が」に代わって,「の」が使われることもある。
(2.38 )
高価 な 物品 を 購う こと の でき ない 者たち は 、 草鞋 を 作っ て いる 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
___PP-OB1
NP
IP-EMB
NP-SBJ
*pro*
PP-OB1
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
高価
AX
な
N
物品
P-ROLE
を
VB
購う
N
こと
__P-ROLE
の
VB
でき
NEG
ない
N
者たち
P-OPTR
は
PU
、
PP-OB1
NP
N
草鞋
P-ROLE
を
VB
作っ
P-CONN
て
VB2
いる
PU
。
[44_aozora_Hayashida-2015@29,7 ]
2.3.6 論理的主語(-LGS)を表示する格助詞
直接受動文における論理的主語(-LGS)を表示する最も一般的な格助詞は「に」である(例 (2.27 ) を参照)。 コーパスには他にも,格助詞「によって」「により」「から」「より」「で」等の助詞によって論理的主語が表示された例が見られる。
(2.39 )
東大寺 は 745 年 に 聖武天皇 によって 建て られ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
NPR
東大寺
P-OPTR
は
PP
NP
NUMCLP
NUM
745
CL
年
P-ROLE
に
___PP-LGS
NP
NPR
聖武天皇
__P-ROLE
によって
VB
建て
PASS
られ
AXD
た
PU
。
[138_textbook_purple_intermediate@21,17 ]
(2.40 )
本山 は 、 足利義満 により 建立 さ れ た 京都 の 相国寺 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
本山
P-OPTR
は
PU
、
NP-PRD
IP-REL
NP-SBJ
*T*
___PP-LGS
NP
NPR
足利義満
__P-ROLE
により
VB
建立
VB0
さ
PASS
れ
AXD
た
PP
NP
NPR
京都
P-ROLE
の
NPR
相国寺
AX
*
PU
。
[113_wikipedia_KYOTO_2@18,14 ]
(2.41 )
ワシントン の 桜 は 、 1912 年 に 日本 から 贈ら れ まし た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PP
NP
NPR
ワシントン
P-ROLE
の
N
桜
P-OPTR
は
PU
、
PP
NP
NUMCLP
NUM
1912
CL
年
P-ROLE
に
___PP-LGS
NP
NPR
日本
__P-ROLE
から
VB
贈ら
PASS
れ
AX
まし
AXD
た
PU
。
[142_textbook_purple_intermediate@29,25 ]
(2.42 )
質疑 を 終わり まし た ところ 、 日本共産党 を 代表 し て 西山委員 より 修正案 が 提出 さ れ まし た 。
IP-MAT
NP-ADV
IP-EMB
NP-SBJ
*speaker+pro*
PP-OB1
NP
N
質疑
P-ROLE
を
VB
終わり
AX
まし
AXD
た
N
ところ
PU
、
IP-ADV-SCON
PP-OB1
NP
NPR
日本共産党
P-ROLE
を
VB
代表
VB0
し
P-CONN
て
___PP-LGS
NP
N
西山委員
__P-ROLE
より
PP-SBJ
NP
N
修正案
P-ROLE
が
VB
提出
VB0
さ
PASS
れ
AX
まし
AXD
た
PU
。
[149_diet_kaigiroku-17@39,35 ]
(2.43 )
ああ 、 この 土地 の 南 も 北 も 、 皆 敵 で 埋め 尽くさ れ て いる
IP-MAT
INTJ
ああ
PU
、
NP-SBJ
PP
NP
D
この
N
土地
P-ROLE
の
NML
CONJP
NP
N
南
P-CONN
も
NP
N
北
P-CONN
も
PU
、
NP;*SBJ*
Q
皆
___PP-LGS
NP
N
敵
__P-ROLE
で
VB
埋め
VB2
尽くさ
PASS
れ
P-CONN
て
VB2
いる
[356_aozora_Hayashida-2015@36,32 ]
2.3.7 被使役者(-CZZ)を表示する格助詞
使役文における被使役者(-CZZ)を表示する最も一般的な格助詞は「に」および「を」である (例 (2.44 ) および (2.45 ) を参照)。 コーパスには他にも,格助詞「から」「において」「に対し」「に対して」「について」「へ」「をして」等の 助詞によって被使役者が表示された例が見られる。
(2.44 )
これ は 神 の 子たち が 人 の 娘たち の ところ に はいっ て 、 娘たち に 産ま せ た もの で ある 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
これ
P-OPTR
は
NP-PRD
IP-REL
PP-SBJ
NP
PP
NP
N
神
P-ROLE
の
N
子たち
P-ROLE
が
IP-ADV-CONJ
PP
NP
PP
NP
PP
NP
N
人
P-ROLE
の
N
娘たち
P-ROLE
の
N
ところ
P-ROLE
に
VB
はいっ
P-CONN
て
PU
、
___PP-CZZ
NP
N
娘たち
__P-ROLE
に
NP-OB1
*T*
VB
産ま
VB2
せ
AXD
た
N
もの
AX
で
VB2
ある
PU
。
[163_bible_ot@51,47 ]
(2.45 )
わたし は 、 その 人々 を 終り の 日 に よみがえら せる であろう 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
わたし
P-OPTR
は
PU
、
___PP-CZZ
NP;{PEOPLE}
D
その
N
人々
__P-ROLE
を
PP
NP
PP
NP
N
終り
P-ROLE
の
N
日
P-ROLE
に
VB
よみがえら
VB2
せる
MD
であろう
PU
。
[468_bible_nt@16,10 ]
(2.46 )
独裁者 が 部族 に対し その 降伏条件 に 無理矢理 同意 さ せ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
独裁者
P-ROLE
が
___PP-CZZ
NP
N
部族
__P-ROLE
に対し
PP-OB1
NP
D
その
N
降伏条件
P-ROLE
に
ADVP
ADV
無理矢理
VB
同意
VB0
さ
VB2
せ
AXD
た
PU
。
[298_textbook_TANAKA@12,8 ]
(2.47 )
しかるに 女子解放運動 は 、 女子 を して その 母性 を 失わ しめる から 宜《よろし》く ない 。
IP-MAT;{CRITICISING_WOMENS_EMANCIPATION_MOVEMENT_2}
CONJ
しかるに
PP-SBJ
NP;{WOMENS_EMANCIPATION_MOVEMENT}
N
女子解放運動
P-OPTR
は
PU
、
PP-SCON
IP-ADV
___PP-CZZ
NP;{WOMEN}
N
女子
__P-ROLE
を
___P-ROLE
して
PP-OB1
NP;{MATERNITY}
D;{WOMEN}
その
N
母性
P-ROLE
を
VB
失わ
VB2
しめる
P-CONN
から
ADJI
宜《よろし》く
NEG
ない
PU
。
[66_aozora_Yosano-1921@18,14,20 ]
2.3.8 第二目的語(-OB2)を表示する格助詞
授受動詞等多くの三項述語で,第二目的語は格助詞「に」によって示される(2.3.3 を参照)。 加えて,第二目的語を表示するために用いられている格助詞として,本コーパスでは現在のところ,「から」「に対し」「に対して」が見つかっている。
(2.48 )
その 家 は 我々 から 光 を 奪っ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
D
その
N
家
P-OPTR
は
___PP-OB2
NP
PRO
我々
__P-ROLE
から
PP-OB1
NP
N
光
P-ROLE
を
VB
奪っ
AXD
た
PU
。
[756_textbook_TANAKA@14,10 ]
(2.49 )
なお 、 本件 に対し 附帯決議 が 付さ れ て おり ます 。
IP-MAT
CONJ
なお
PU
、
NP-LGS
*pro*
___PP-OB2
NP
N
本件
__P-ROLE
に対し
PP-SBJ
NP
N
附帯決議
P-ROLE
が
VB
付さ
PASS
れ
P-CONN
て
VB2
おり
AX
ます
PU
。
[36_diet_kaigiroku-17@12,8 ]
2.3.9 主語(-SBJ)および第一目的語(-OB1)を表示するその他の格助詞
主語や第一目的語の表示には,「が」や「を」のような典型的なもの以外の格助詞が用いられることがある。 以下に,主語を表示する格助詞,第一目的語を表示する格助詞の順に現在のコーパスから得られるリストを挙げておく。
主語を表示する格助詞: が, の, に, から, より, で, からして, といたしまして, として, において, におかれまして, について, につきまして, によって/に由って, により
第一目的語を表示する格助詞:を, が, に, と, で, へ, において, について, につきまして, によって, により, に対し, に対して, をして, をば, をもって/を以て
以下は「から」および「で」が主語(-SBJ)を表示した例である。
(2.50 )
鈴木さん に は あなた から 伝え て 下さい 。
CP-IMP
IP-SUB
NP-OB1;{MATTER_218}
*pro*
PP-OB2
NP;{SUZUKI_218}
NPR
鈴木さん
P-ROLE
に
P-OPTR
は
___PP-SBJ
NP;{HEARER}
PRO
あなた
__P-ROLE
から
VB
伝え
P-CONN
て
VB2
下さい
PU
。
[218_textbook_kisonihongo@17,13 ]
(2.51 )
後 は 私達 で やり ます 。
IP-MAT
PP-TMP
NP
N
後
P-OPTR
は
___PP-SBJ
NP;{SPEAKER_MEN_237}
PRO
私達
__P-ROLE
で
VB
やり
AX
ます
PU
。
[237_textbook_kisonihongo@12,8 ]
以下は「で」および「について」が第一目的語(-OB1)を表示した例である。
(2.52 )
彼 の 人生 は 困難 で いっぱい です 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PP
NP
PRO
彼
P-ROLE
の
N
人生
P-OPTR
は
___PP-OB1
NP
N
困難
__P-ROLE
で
ADJN
いっぱい
AX
です
PU
。
[814_textbook_TANAKA@18,14 ]
(2.53 )
私 は その 問題 について じっくり 考え た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
私
P-OPTR
は
___PP-OB1
NP
D
その
N
問題
__P-ROLE
について
ADVP
ADV
じっくり
VB
考え
AXD
た
PU
。
[170_textbook_TANAKA@14,8 ]
2.4 任意文法役割を示す格助詞(P-ROLE):の,に,へ,で,から,まで,と,等
助詞句の中の何を任意的なものとするかという判断は助詞を根拠にして行うだけではなく,述語との関係を見なければならない。 方向を表す「まで」(あるいは文脈によっては「に」)は移動を表す基本的な動詞である「行く」にとっては任意的であるかもしれない。 しかし,「到着する」や「来る」のような動詞については,終点が解釈上必須で,そのためにアノテータは「在来線がとうとう村まで来た」における「まで」を PP-OB1 を投射するものして扱う,といったこともありうる。 また,「へ」も「行く」にとっては任意的かもしれない(以下の (2.56 ) のように)。 しかし,「向かう」のような述語にとっては主要文法役割をもつ項をマークするものと扱えるかもしれない。 基本動詞の項構造を取り決めたリストがあれば,このような細かな点の多くを解決することができるであろうが,そのようなものが存在しないため,アノテータはこのような問題について細やかに対応することが求められる。
格助詞(P-ROLE)はそれ自身が文法役割に関する情報を明らかにすることがあるかもしれないが, その役割をより詳しくアノテートすることは,とりわけ助詞が「に」のように多義的なものである場合に役に立つ。 例えば以下の (2.54 ) には「に」を伴う助詞句が2つあり, 一方は時間的な位置を,もう一方は空間的な位置を示している。 これらの情報は拡張タグ -TMP と -LOC を付加することによって特定することができる。
(2.54 )
1997 年 に は 仙台市泉区 に ホームスタジアム で ある 仙台スタジアム が 建設 さ れ た 。
IP-MAT
NP-LGS
*pro*
___PP-TMP
NP
NUMCLP
NUM
1997
CL
年
__P-ROLE
に
P-OPTR
は
___PP-LOC
NP
NPR
仙台市泉区
___P-ROLE
に
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
N
ホームスタジアム
AX
で
VB2
ある
NPR
仙台スタジアム
P-ROLE
が
VB
建設
VB0
さ
PASS
れ
AXD
た
PU
。
[194_wikipedia_Sendai_City@11,4,19,15 ]
「に」は上記のような時や場所を表示するほかに,移動の着点(例:山に登る),変化の結果(例:日本語に翻訳する),移動の目的(例:釣りに出かける),原因(例:酒に酔う,合格に喜ぶ),割合(例:一日に三度ご飯を食べる),等がある(以上,益岡・田窪 1992,日本語記述文法研究会 2009 を参考にした)。 このうち,移動の目的を示す例については,以下のように,助詞句のラベルとして PP-PRP を与えるものとする。 移動の目的は「に」を伴う節によって示されることも多いが,この場合のアノテーションについては,6.16 節を参照されたい。
(6.46 )
彼女 の お母さん は 買い物 に 行き まし た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PP
NP
PRO
彼女
P-ROLE
の
N
お母さん
P-OPTR
は
___PP-PRP
NP
N
買い物
__P-ROLE
に
VB
行き
AX
まし
AXD
た
PU
。
[237_textbook_TANAKA@18,14 ]
以上のような拡張タグの付与は,アノテータが個別に判断して行う必要があり,非常な労力を伴うため,現在のコーパスでは網羅的にはなされていない。 以下の任意文法役割を表示する助詞句の例では,このような拡張タグはアノテーションされていない。
(2.56 )
次 の 日 、 ツバメ は 波止場 へ 行き まし た 。
IP-MAT
NP-TMP
PP
NP
N
次
P-ROLE
の
N
日
PU
、
PP-SBJ
NP
N
ツバメ
P-OPTR
は
PP
NP
N
波止場
__P-ROLE
へ
VB
行き
AX
まし
AXD
た
PU
。
[205_aozora_Yuki-1-2000@23 ]
(2.57 )
爺さん は 酒 の 加減 で なかなか 赤く なっ て いる 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
爺さん
P-OPTR
は
PP
NP
PP
NP
N
酒
P-ROLE
の
N
加減
__P-ROLE
で
IP-SMC-OB1
ADVP
ADV
なかなか
ADJI
赤く
VB
なっ
P-CONN
て
VB2
いる
PU
。
[234_aozora_Natsume-1908@18 ]
(2.58 )
ITEL は 1988 年 から 1992 年 まで APCOM を 所有 し て い た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{ORG}
NPR
ITEL
P-OPTR
は
PP-MSR
NP
NUMCLP
NUM
1988
CL
年
P-ROLE
から
__PP-MSR
NP
NUMCLP
NUM
1992
CL
年
P-ROLE
まで
___PP-OB1
NP;{ORG}
NPR
APCOM
P-ROLE
を
VB
所有
VB0
し
P-CONN
て
VB2
い
AXD
た
PU
。
[1778_misc_JSeM_beta_150530@17,26 ]
(2.59 )
私 は アンディー と 一緒 に パーティー に 行き まし た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
私
P-OPTR
は
PP
NP
NPR
アンディー
__P-ROLE
と
ADVP
ADJN
一緒
AX
に
PP
NP
N
パーティー
P-ROLE
に
VB
行き
AX
まし
AXD
た
PU
。
[329_textbook_djg_basic@12 ]
共同動作者を示す「と」は,共起する述語によっては,第一または第二目的語として扱われることに注意されたい(2.3.4 節を参照)。
助詞「の」の例で最も多く見られるのは「属格」,つまり, ある名詞句ともうひとつの名詞句(主要部)を関係(所有者・所有物,全体・部分,集合・要素,等)づける用法である。
(2.60 )
私 の 心 は 、 不安 と 期待 に 掻き乱れ た .
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PP
NP
PRO
私
__P-ROLE
の
N
心
P-OPTR
は
PU
、
PP
NP
CONJP
NP
N
不安
P-CONN
と
NP
N
期待
P-ROLE
に
VB
掻き乱れ
AXD
た
PU
.
[710_dict_vv-lexicon@8 ]
(2.61 )
日本語 の 勉強 の 時間
FRAG
NP
PP
NP
PP
NP
N
日本語
__P-ROLE
の
N
勉強
___P-ROLE
の
N
時間
[4_misc_EXAMPLE@9,13 ]
主要部名詞句が動作を表すとき,「の」の投射する助詞句が上記の例の主語や目的語と同じ意味役割を表すことがある。 例えば,以下の (2.62 ) と (2.63 ) において, 「の」でマークされた助詞句はそれぞれ,「決定」の対象(theme)および動作主(agent)を表す。 しかし,これらは述語の項ではないので,文法役割の情報が与えられることはない。
(2.62 )
どれ を 優先 する か の 決定 は 、 今後 の 課題 だ 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PP
CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ;{MAN_1214}
*pro*
PP-OB1
NP
WPRO
どれ
P-ROLE
を
VB
優先
VB0
する
P-FINAL
か
__P-ROLE
の
N
決定
P-OPTR
は
PU
、
NP-PRD
PP
NP
N
今後
___P-ROLE
の
N
課題
AX
だ
PU
。
[1214_textbook_kisonihongo@21,34 ]
(2.63 )
4 内閣総理大臣 は 、 ___前項 の 規定 による __閣議 の 決定 が あっ た とき は 、 遅滞 なく 、 基本方針 を 公表 し なけれ ば なら ない 。
IP-MAT
LST
NUMCLP
NUM
4
PP-SBJ
NP
N
内閣総理大臣
P-OPTR
は
PU
、
PP-TMP
NP
IP-EMB
PP-SBJ
NP
PP
NP
PP
NP
N
___前項
P-ROLE
の
N
規定
P-ROLE
による
PP
NP
N
__閣議
P-ROLE
の
N
決定
P-ROLE
が
VB
あっ
AXD
た
N
とき
P-OPTR
は
PU
、
IP-ADV-SCON
NP-SBJ
N
遅滞
ADJI
なく
PU
、
PP-OB1
NP
N
基本方針
P-ROLE
を
VB
公表
VB0
し
NEG
なけれ
P-CONN
ば
VB2
なら
NEG
ない
PU
。
[49_law_h15A119@34,24 ]
「の」という形式は,コピュラの連体形として現れることもあるので注意が必要である(4.13.1 節を参照)。
任意文法役割を表示する格助詞は上記以外にも多くのものがある。 その多くは,いくつかの語が連語となって単一の助詞を作る「複合助詞」である(複合助詞については 2.2 節を参照)。
2.5 非節的要素の等位接続に現れる接続助詞(P-CONN)
2つ以上の名詞句(NP)や助詞句(PP),副詞句(ADVP),補部節(CP-THT)等を接続することで形成された 等位接続構造では,要素間に助詞(接続助詞 -- P-CONN)が現れることが多い。 このような接続助詞は接続詞句(CONJP)を投射するものとしてアノテートされる。 このタイプの等位接続を,(CP は節ではあるが)非節的要素の等位接続と呼ぶことにする。
(2.64 )
鈴木さん と 高津さん が 協議 し た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
___CONJP
___NP;{SUZUKI_317}
NPR
鈴木さん
__P-CONN
と
___NP;{SUZUKI_317}
NPR
高津さん
P-ROLE
が
VB
協議
VB0
し
AXD
た
PU
。
[317_textbook_kisonihongo@8,4,5,10 ]
(2.65 )
スミス か ジョーンズ か アンダーソン が 契約書 に サイン し た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
CONJP
___NP
NPR
スミス
__P-CONN
か
CONJP
___NP
NPR
ジョーンズ
___P-CONN
か
___NP
NPR
アンダーソン
P-ROLE
が
PP
NP
N
契約書
P-ROLE
に
VB
サイン
VB0
し
AXD
た
PU
。
[964_misc_JSeM_beta_150530@8,5,11,14,16 ]
(2.66 )
机 や 椅子 を 並べ て 下さい 。
CP-IMP
IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
PP-OB1
NP
CONJP
___NP
N
机
__P-CONN
や
___NP
N
椅子
P-ROLE
を
VB
並べ
P-CONN
て
VB2
下さい
PU
。
[894_textbook_kisonihongo@11,8,13 ]
(3.127 )
捕り方衆 の 叫び声 が あっち から も こっち から も 聞こえ て 来る 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PP
NP
N
捕り方衆
P-ROLE
の
N
叫び声
P-ROLE
が
PP
CONJP
___PP
NP
PRO
あっち
P-ROLE
から
__P-CONN
も
___PP
NP
PRO
こっち
P-ROLE
から
___P-CONN
も
VB
聞こえ
P-CONN
て
VB2
来る
PU
。
[5_aozora_Kunieda-1925@22,16,24,30 ]
2つの CP-THT を結びつける接続助詞「も」の例:
(2.68 )
しかし 運慶 の 方 で は 不思議 と も 奇体 と も とんと 感じ 得 ない 様子 で 一生懸命 に 彫っ て いる 。
IP-MAT
CONJ
しかし
PP-SBJ
NP
PP
NP
NPR
運慶
P-ROLE
の
N
方
P-ROLE
で
P-OPTR
は
IP-ADV-SCON
NP-PRD
IP-EMB
CP-THT-OB1
CONJP
CP-THT
IP-SUB
NP-SBJ
*pro*
ADJN
不思議
P-COMP
と
__P-CONN
も
___CP-THT
IP-SUB
NP-SBJ
*pro*
ADJN
奇体
P-COMP
と
___P-CONN
も
ADVP
ADV
とんと
VB
感じ
VB2
得
NEG
ない
N
様子
AX
で
NP-OB1
*pro*
ADVP
ADJN
一生懸命
AX
に
VB
彫っ
P-CONN
て
VB2
いる
PU
。
[372_aozora_Natsume-1908@31,33,41 ]
また,上記の接続助詞と同じ位置にはさまざまな接続詞(CONJ)が現れうる。
以下は,接続詞「あるいは」が2つの NP を結びつけている例である。
(2.69 )
近代以降 は 女子 あるいは 成人女性 が 舞う 場合 も 多い 。
IP-MAT
PP-TMP
NP
N
近代以降
P-OPTR
は
PP-SBJ
NP
IP-EMB
NP-OB1
*pro*
PP-SBJ
NP
CONJP
___NP
N
女子
__CONJ
あるいは
___NP
N
成人女性
P-ROLE
が
VB
舞う
N
場合
P-OPTR
も
ADJI
多い
PU
。
[78_wikipedia_KYOTO_12@19,16,21 ]
以下は,接続詞「かつ」が2つの ADVP を結びつけている例である。
(2.70 )
外国語 は 、 楽しく 、 かつ 効果的 に 勉強 し たい 。
IP-MAT
NP-SBJ
*arb*
PP-OB1
NP
N
外国語
P-OPTR
は
PU
、
ADVP
CONJP
___ADVP
ADJI
楽しく
PU
、
__CONJ
かつ
___ADVP
ADJN
効果的
AX
に
VB
勉強
VB0
し
AX
たい
PU
。
[193_textbook_djg_advanced@19,14,21 ]
非節的要素の等位接続構造のアノテーション方法の詳細は,3.5 節を参照されたい。
2.6 節連結に現れる接続助詞(P-CONN)
同一(あるいは類似した)タイプの節を連結することで,さまざまな種類の構造が生じうる。 副詞節に関しては従属接続あるいは等位接続という接続があり, 主名詞を共有する複数の名詞修飾節に関しては単純な並列となる (後者については3.2.6.1 節を参照)。
節連結の環境における接続助詞(P-CONN)には副詞節(IP-ADV)を補部とし,助詞句(PP)を投射するものと, 副詞節の述部に後続する形で副詞節(IP-ADV)の下に置かれるものがある。 前者の場合は,IP-ADV が従属節であれば SCON が,等位節であれば CONJ が PP に拡張タグとして加えられ,PP-SCON,PP-CONJ のようになる(PP-SCON には,従属節が条件を表す場合,拡張タグ CND がさらに加えられ,PP-SCON-CND のようになる)。 後者の場合,拡張タグは IP-ADV に加えられ,IP-ADV-SCON,IP-ADV-CONJ のようになる(従属節が条件を表す場合,拡張タグ CND がさらに加えられ,IP-ADV-SCON-CND のようになる)。 以下では,このような節連結に現れる接続助詞について述べる。 なお,副詞節に付随するコントロール関係に関する議論については 5.3.1 節を,従属節と等位節の区別については 5.1.5.3 節を参照されたい。
2.6.1 条件を表す従属節に現れる接続助詞(P-CONN)
接続助詞(P-CONN)によって導かれる副詞節(IP-ADV)が従属節であり,また条件を表すとき,接続助詞の投射する助詞句は,PP-SCON-CND とラベル付けされる。
(2.71 )
試験 が あまり 難しい と 、 合格者 は 出 ない だろう 。
IP-MAT
___PP-SCON-CND
IP-ADV
PP-SBJ
NP
N
試験
P-ROLE
が
ADVP
ADV
あまり
ADJI
難しい
__P-CONN
と
PU
、
PP-SBJ
NP
N
合格者
P-OPTR
は
VB
出
NEG
ない
MD
だろう
PU
。
[100_textbook_kisonihongo@15,2 ]
ただし,上記の接続助詞が常に条件節を導くわけではないので注意が必要である。 例えば,次の例における「と」は従属節を導いているが,それが条件を表しているわけではない。
(2.72 )
太郎 が ギター を 弾く と 春子 が 歌っ た 。
IP-MAT
PP-SCON
IP-ADV
PP-SBJ
NP
NPR
太郎
P-ROLE
が
PP-OB1
NP
N
ギター
P-ROLE
を
VB
弾く
__P-CONN
と
PP-SBJ
NP
NPR
春子
P-ROLE
が
VB
歌っ
AXD
た
PU
。
[3_misc_TOPTEN@18 ]
また,以下のように,(P-CONN と) が等位節を導く例もある。
(2.73 )
英語 が 上手 だろう と 下手 だろう と そういう こと は 関係 ない 。
IP-MAT
PP-SCON-CND
IP-ADV
NP-SBJ
*pro*
PP-OB1
NP
N
英語
___P-ROLE
が
ADJN
上手
AX
*
MD
だろう
P-CONN
と
PP-SCON-CND
IP-ADV
NP-SBJ
*pro*
__NP-OB1
*pro*
ADJN
下手
AX
*
___MD
だろう
P-CONN
と
PP-SBJ
NP
D
そういう
N
こと
P-OPTR
は
NP-OB1
N
関係
ADJI
ない
PU
。
[639_textbook_djg_advanced@24,10,30 ]
「と」はまた,非節的要素の等位接続に現れる接続助詞(P-CONN)として用いられたり,文法役割を表示する格助詞(P-ROLE)として用いられたり,補部節を導く補文助詞(P-COMP)として用いられたりもする。
「接続助詞(P-CONN)」は,実際の形態的な特性として接尾辞に相当すると考えられる場合には,副詞節(IP-ADV)の終末部に置かれる。その際,拡張タグは IP-ADV に加えられる。この種の接続助詞のうち,条件を表すものとして以下が挙げられる。
(2.74 )
だって 携帯 の 会社 変え たら アドレス とか 全部 変わる もん ね 。
CP-FINAL
IP-SUB
CONJ
だって
___IP-ADV-SCON-CND
NP-SBJ
*arb*
NP-OB1
PP
NP
N
携帯
P-ROLE
の
N
会社
VB
変え
__P-CONN
たら
PP-SBJ
NP
N
アドレス
P-OPTR
とか
NP;*SBJ*
Q
全部
VB
変わる
P-FINAL
もん
P-FINAL
ね
PU
。
[89_blog_KNB@19,5 ]
(2.75 )
まっすぐ に 王城 に 行き着け ば 、 それ で よい の だ 。
IP-MAT
NP-SBJ;{MELOS}
*speaker*
___IP-ADV-SCON-CND;{IP_GOING_STRAIGHT}
ADVP
ADJN
まっすぐ
AX
に
PP
NP;{CASTLE}
N
王城
P-ROLE
に
VB
行き着け
__P-CONN
ば
PU
、
PP
NP;{IP_GOING_STRAIGHT}
PRO
それ
P-ROLE
で
ADJI
よい
FN
の
AX
だ
PU
。
[198_aozora_Dazai-2-1940@18,4 ]
以下は動詞の「テ形」に,とりたて助詞(P-OPTR)「も」が後続して,条件節を作った例である。 この場合,とりたて助詞は助詞句(PP)を投射し,拡張タグ -SCON-CND は PP に加えられることに注意されたい。
(5.52 )
ビール は よく 冷え て い て も 飲み たく ない 。
IP-MAT
NP-SBJ;{SPEAKER_26}
*speaker*
PP-OB1
NP
N
ビール
P-OPTR
は
___PP-SCON-CND
IP-ADV
ADVP
ADJI
よく
VB
冷え
P-CONN
て
VB2
い
___P-CONN
て
__P-OPTR
も
VB
飲み
AX
たく
NEG
ない
PU
。
[26_misc_EXAMPLE@23,10,21 ]
上記のリストに挙げた接続助詞には,条件節を作る用法のほかに,条件節ではない従属節用法(拡張タグ -SCON のみが付加される),さらに接続助詞ではない助詞としての用法もあることに注意されたい。 例えば, (2.77 ) の「たら」の導く節は従属節ではあるが,条件を表しているわけではない。
(2.77 )
奇体 だ と 思っ て い まし たら 、 また 腹かけ から 何 か 出し まし た 。
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
NP-OB1
*pro*
___IP-ADV-SCON
__NP-SBJ
*pro*
CP-THT-OB1
IP-SUB
NP-SBJ
*pro*
ADJN
奇体
AX
だ
P-COMP
と
VB
思っ
P-CONN
て
VB2
い
AX
まし
P-CONN
たら
PU
、
ADVP
ADV
また
PP
NP
N
腹かけ
P-ROLE
から
NP;*OB1*
WPRO
何
P-OPTR
か
VB
出し
AX
まし
AXD
た
PU
。
[773_aozora_Miyazawa-1934@7,6 ]
接続助詞「ば」も条件を表さない場合がある。 以下は「ば」の導く節が等位節の例である。
(2.78 )
漆 も 塗っ て なけれ ば 磨き も かけ て ない 。
IP-MAT
NP-SBJ
*arb*
NP-OB2
*pro*
___IP-ADV-CONJ
PP-OB1
NP
N
漆
P-OPTR
も
VB
塗っ
VB2
て
NEG
なけれ
__P-CONN
ば
PP-OB1
NP
N
磨き
P-OPTR
も
VB
かけ
VB2
て
NEG
ない
PU
。
[292_aozora_Natsume-1908@19,6 ]
2.6.2 条件以外の意味を持つ従属節に現れる接続助詞 (P-CONN)
条件を表す従属節以外にも,従属節は譲歩,逆説,目的,原因,根拠,理由,付加,選択肢,同時や先行といった時間的関係等多様な意味を表す。 接尾辞とされない助詞を伴う場合,このような従属節(IP-ADV)は,拡張タグ -SCON をもつ助詞句(PP)における補部となる。
以下は,「けれども」が従属節を導き,拡張タグ SCONを伴った例である:
(2.79 )
この 論文 は 2 度 読ん で み た けれども 、 理解 でき なかっ た 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
PP-OB1
NP;{PAPER_1171}
D
この
N
論文
P-OPTR
は
___PP-SCON
__IP-ADV
NP-SBJ
*speaker*
NP-OB1;{PAPER_1171}
*pro*
NP-MSR
NUMCLP
NUM
2
CL
度
VB
読ん
P-CONN
で
VB2
み
AXD
た
___P-CONN
けれども
PU
、
VB
理解
VB0
でき
NEG
なかっ
AXD
た
PU
。
[1171_textbook_kisonihongo@13,12,32 ]
以下の例は「から」の導く従属節が理由を表している:
(2.80 )
用事 が あり ます から 、 失礼 し ます 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
___PP-SCON
__IP-ADV
NP-SBJ
*speaker*
PP-OB1
NP
N
用事
P-ROLE
が
VB
あり
AX
ます
___P-CONN
から
PU
、
VB
失礼
VB0
し
AX
ます
PU
。
[1134_textbook_kisonihongo@5,4,18 ]
以下のように,「テ形」に後続した「から」は時間的先行を表す:
(2.81 )
毎朝 ご飯 を 食べ て から , コーヒー を 飲み ます 。
IP-MAT
NP-SBJ;{SPEAKER_5}
*speaker*
NP-TMP
Q
毎朝
___PP-SCON
__IP-ADV
PP-OB1
NP
N
ご飯
P-ROLE
を
VB
食べ
___P-CONN
て
___P-CONN
から
PU
,
PP-OB1
NP
N
コーヒー
P-ROLE
を
VB
飲み
AX
ます
PU
。
[5_misc_EXAMPLE@8,7,17,19 ]
(2.82 )
この 薬 は にがく ない ので , 飲み やすい です 。
IP-MAT
NP-SBJ;{MAN_6}
*pro*
___PP-SCON
__IP-ADV
PP-SBJ
NP;{DRUG_6}
D
この
N
薬
P-OPTR
は
ADJI
にがく
NEG
ない
___P-CONN
ので
PU
,
NP-OB1;{DRUG_6}
*pro*
VB
飲み
AX
やすい
AX
です
PU
。
[6_misc_EXAMPLE@5,4,18 ]
「ながら」,「たら/だら」,「て/で」は時間的関係(同時や先行)や原因・根拠・理由を表す副詞節を形成することがある。 これらの接続助詞は IP-ADV の外(直後)ではなくその下に置かれる。 その場合,拡張タグ -SCON は IP-ADV に加えられる。 以下は同時性を表す接続助詞「ながら」の例である。
(2.83 )
太郎 が ギター を 弾き ながら 歌っ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
NPR
太郎
P-ROLE
が
__IP-ADV-SCON
PP-OB1
NP
N
ギター
P-ROLE
を
VB
弾き
___P-CONN
ながら
VB
歌っ
AXD
た
PU
。
[22_misc_TOPTEN@8,17 ]
2.6.3 IP の等位接続に現れる接続助詞(P-CONN)
節連結のもう1つのタイプに, IP の等位接続がある。 IP の等位接続では,前件となる PP(接続助詞が IP-ADV の下に置かれる場合は,IP-ADV)に拡張タグ CONJ を付ける。 等位節が2つ以上あるときには,従属節のときとは異なり, 等位節はそれぞれ直後の節の下に置かれるものとする。 しかしながら,意味解釈においては等位節はすべて同一の構造的レベルに存在するものとして扱われる。 この構文における,空所と同一指示となる先行詞に課される条件については 5.4 節を参照のこと。
等位節を導く接続助詞には次のようなものがある。
が, けれども, けども, し, とともに/と共に, ども, やら, わ,
等位節を導く助詞と従属節を導く助詞には重複がある。 等位節にしか使われない接続助詞はわずかしかない。 ある節が後続の節から独立し,埋め込まれていないかどうかということは, 文全体の意味および,節と節がどんなパターンで項を共有しうるか,という2つの点で決定する。 詳しくは 5.1.5.3 節を参照。 下の例では,最初の節に接続助詞「が」続いている。 両方の節の主語項が同一の先行詞(ここでは,最左端のATB位置のゼロ代名詞)を取ることに注意。
(2.84 )
前回 は 民主党 の 推薦 を 受け 大勝 し た が 、 今回 は 市民党 の 立場 で 戦う 。
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
PP-CONJ
IP-ADV
PP-TMP
NP
N
前回
P-OPTR
は
___IP-ADV-CONJ
PP-OB1
NP
PP
NP;{ORG}
NPR
民主党
P-ROLE
の
N
推薦
P-ROLE
を
VB
受け
VB
大勝
VB0
し
AXD
た
__P-CONN
が
PU
、
PP-TMP
NP
N
今回
P-OPTR
は
PP
NP
PP
NP
N
市民党
P-ROLE
の
N
立場
P-ROLE
で
VB
戦う
PU
。
[135_news_KAHOKU_28@33,12 ]
等位接続の前件末尾の「て/で」,「たり/だり」,「たら/だら」,「ば」,「たって」は IP-ADV の外ではなく,その下に置かれる。 拡張タグ -CONJ は IP-ADV に加えられる。 以下の例では,等位節の間にゼロ代名詞の主語の他に三つの構成素が共有されている。
(2.85 )
公園 で は 肩掛け送風機 で 落ち葉 を 吹き寄せ て 一 箇所 に 集め て いる .
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
PP
NP
N
公園
P-ROLE
で
P-OPTR
は
PP
NP
N
肩掛け送風機
P-ROLE
で
PP-OB1
NP
N
落ち葉
P-ROLE
を
__IP-ADV-CONJ
VB
吹き寄せ
___P-CONN
て
PP
NP
NUMCLP
NUM
一
CL
箇所
P-ROLE
に
VB
集め
___P-CONN
て
VB2
いる
PU
.
[2724_dict_vv-lexicon@24,27,40 ]
2.7 補文助詞(P-COMP):と,という,等
「と」や「という」のような補文助詞(P-COMP)は典型的には,発話,思考,表現,および感覚の内容を述語や名詞の補部として節の形で導入する。 補文助詞は,準主節(IP-SUB),疑問節(CP-QUE),命令節(IP-IMP),終助詞節(CP-FINAL),感嘆節(CP-EXL),間投詞句(INTJP),多重文(multi-sentence),小節(IP-SMC),等,様々な句カテゴリーをその姉妹としてとり, 補部節(CP-THT)を投射する(補部節に対するアノテーションの詳細は 6.18 節を参照されたい)。 また、「と」は名詞句(NP)を姉妹としてとり,命名の動詞のとる補部を投射する。
2.7.1 述語に対する補部節を導く補文助詞(P-COMP)
述語に対する補部節を導く動詞には次のようなものがある。
以下は,「と」が動詞「言う」の(平叙文の)補部節を導く例である。
(2.86 )
ジョン は 、 ビル が 自分 を 傷つけ た と 言っ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
NPR
ジョン
P-OPTR
は
PU
、
CP-THT-OB1
IP-SUB
PP-SBJ
NP
NPR
ビル
P-ROLE
が
PP-OB1
NP
PRO
自分
P-ROLE
を
VB
傷つけ
AXD
た
__P-COMP
と
___VB
言っ
___AXD
た
PU
。
[1151_misc_JSeM_beta_150530@28,30,32 ]
2.7.2 名詞に対する補部節を導く補文助詞(P-COMP)
名詞に対する補部節を導く助詞には次のようなものがある。
いう, って, っていう, という(と云う, と言う), といった(と言った), とかいう(とか言う), とする, との, なんて, なんていう, なんと云う, の
以下は,「という」が名詞「意味」に対する補部節を導く例である:
(2.87 )
ギリシャ語 の 忘我 ( エクスタシー ) は 何 か の 横 に 立つ という 意味 です
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PP
NP
N
ギリシャ語
P-ROLE
の
N
忘我
PRN
PUL
(
NP
N
エクスタシー
PUR
)
P-OPTR
は
NP-PRD
CP-THT
IP-SUB
NP-SBJ
*arb*
PP
NP
PP
NP
WPRO
何
P-OPTR
か
P-ROLE
の
N
横
P-ROLE
に
VB
立つ
__P-COMP
という
___N
意味
AX
です
[35_ted_talk_3@43,45 ]
上記のような助詞が疑問節を名詞修飾節として導くこともある。
(2.88 )
こんな こと を 続け て も いい の か という 疑問 が 絶えず 私 を 苦しめ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
CP-THT
CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ
*speaker*
PP-OB1
NP;{ACTIVITY_1211}
D
こんな
N
こと
P-ROLE
を
VB
続け
P-CONN
て
P-OPTR
も
ADJI-MD
いい
FN
の
P-FINAL
か
__P-COMP
という
___N
疑問
P-ROLE
が
ADVP
ADV
絶えず
PP-OB1
NP;{SPEAKER_1211}
PRO
私
P-ROLE
を
VB
苦しめ
AXD
た
PU
。
[1211_textbook_kisonihongo@29,31 ]
補文助詞「という」や「って」と同形の助詞が節ではなく名詞句につき,名詞を修飾する場合,その助詞は P-ROLE とラベル付けされ,助詞句(PP)を投射することに注意されたい。
(2.89 )
晩年 の 政宗 は 、 『 酔余口号 』 という 漢詩 を 残し て いる 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{MASAMUNE}
PP
NP
N
晩年
P-ROLE
の
NPR
政宗
P-OPTR
は
PU
、
PP-OB1
NP
___PP
NP
PUL
『
NPR
酔余口号
PUR
』
__P-ROLE
という
___N
漢詩
P-ROLE
を
VB
残し
P-CONN
て
VB2
いる
PU
。
[194_wikipedia_Datemasamune@26,18,28 ]
2.7.3 命名動詞と共に用いられる補文助詞(P-COMP)「と」
「名付ける」や「呼ぶ」といった命名動詞を述語とする構文では,「固有名詞(あるいは言及(mention)用法の語)+P-COMP「と」」に対して -CMPL という拡張タグを与える。
(2.90 )
オンラインコミュニティー の 中 に 、 「 伊達fan 」 と 名付け た 特設ページ を 設ける 。
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
PP
NP
PP
NP
N
オンラインコミュニティー
P-ROLE
の
N
中
P-ROLE
に
PU
、
PP-OB1
NP
IP-REL
NP-OB1
*T*
NP-SBJ
*pro*
___PP-CMPL
NP
PUL
「
___NPR
伊達fan
PUR
」
__P-COMP
と
___VB
名付け
___AXD
た
N
特設ページ
P-ROLE
を
VB
設ける
PU
。
[49_news_KAHOKU_87@33,25,29,35,37 ]
(2.91 )
あらゆる 自然災害 に 備え 、 暮らし の 安全安心 を 生み出す 事業活動 を 「 減災産業 」 と 呼ぶ 。
IP-MAT
NP-SBJ
*arb*
PP-OB1
NP
IP-EMB
NP-SBJ
*arb*
IP-ADV-SCON
PP
NP
D
あらゆる
N
自然災害
P-ROLE
に
VB
備え
PU
、
PP-OB1
NP
PP
NP
N
暮らし
P-ROLE
の
N
安全安心
P-ROLE
を
VB
生み出す
N
事業活動
P-ROLE
を
___PP-CMPL
NP
PUL
「
___N
減災産業
PUR
」
__P-COMP
と
___VB
呼ぶ
PU
。
[5_news_KAHOKU_82@48,40,44,50 ]
2.8 終助詞(P-FINAL):か,ね,よ,等
主節の終末部には次のような助詞が現れる。 これらは,叙述よりも発話行為に関係するものである。
か/かー, かい, かしら, かな/かなあ/かなー/がな, かね, がの, こと, さ/さ-/さー, じゃ/ぢゃ, じゃん, ずら, ぜ, ぞ/ぞオ, ぞい, だい, だって, だと, ぢゃあ, ぢゃい, っけ, ったら, っちゃ, って/ッて/ってえ, ってば, っと/ッと, で, とも, ど, な/なぁ/なあ/なア/なー/ナ, ね/ねぇ/ねえ/ねー, ねん, ので/のでー, のに, べ, ぺ, もの/も, や/ゃ/やー/哉, やい, やら, やん, よ/よう/よー/ヨ, わ/わあ/わー, わい
このような終助詞を,準主節(IP-SUB)を補部として取る CP 投射の主要部としてラベル付けする。 CP のタイプは,終助詞と共起する IP-SUB の組み合わせに応じて, CP-QUE(疑問節),CP-EXL(感嘆節),または CP-FINAL(終助詞節 -- 疑問節でも感嘆節でもないもの)のいずれかとされる。
(2.92 )
「 この 船 は 西 へ 行く ん です か 」
___CP-QUE
PUL
「
IP-SUB
PP-SBJ
NP
D
この
N
船
P-OPTR
は
PP
NP
N
西
P-ROLE
へ
VB
行く
FN
ん
AX
です
__P-FINAL
か
PUR
」
[404_aozora_Natsume-1908@25,1 ]
(5.27 )
「 ああ 、 なんと 彼 を 愛し て おら れ た こと か 」 。
___CP-EXL
PUL
「
IP-SUB
NP-SBJ
*pro*
INTJ
ああ
PU
、
ADVP
WADV
なんと
PP-OB1
NP;{LAZARUS}
PRO
彼
P-ROLE
を
VB
愛し
P-CONN
て
VB2
おら
VB2
れ
AXD
た
__FN
こと
___AX
*
P-FINAL
か
PUR
」
PU
。
[988_bible_nt@30,1,32 ]
(2.94 )
それ は 残念 です ね 。
___CP-FINAL
IP-SUB
PP-SBJ
NP
PRO
それ
P-OPTR
は
ADJN
残念
AX
です
__P-FINAL
ね
PU
。
[163_aozora_Edogawa-1929@13,1 ]
複数の終助詞が現れる文では,すべての終助詞が同じ CP のもとフラットに現れる。
(2.95 )
「 多分 、 あなた は 食用豆類 を いく つ か 見つける こと が できる わ よ 。
___CP-FINAL
PUL
「
IP-SUB
ADVP
ADV
多分
PU
、
PP-SBJ
NP
PRO
あなた
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
IP-EMB
PP-OB1
NP
N
食用豆類
P-ROLE
を
NP;*OB1*
NUMCLP
WNUM
いく
CL
つ
P-OPTR
か
VB
見つける
N
こと
P-ROLE
が
VB
できる
__P-FINAL
わ
___P-FINAL
よ
PU
。
[164_fiction_DICK-1952@41,1,43 ]
2.9 間投助詞(P-INTJ)
間投助詞(P-INTJ)の分布は,呼びかけ句を導入する場合を含め,様々である。 以下に間投助詞のリストを示す。
さ/さー, な/なー, ね/ねー, よ
2.10 とりたて助詞(P-OPTR):か,しか,は,ばかり,も,等
とりたて助詞(副助詞とも呼ばれる)は P-OPTR とラベル付けされる。 とりたて助詞はおおよそ構成素を談話領域に関係づける働きをする。 例えば,「は」は談話の中でトピックとされるものか,または談話中の他のものと対比される要素を表示する。 「も」は肯定文では限られた談話領域に付け加えられるものを表示する。 とりたて助詞の分布は比較的自由である。 NP,ADVP や IP を導く場合,とりたて助詞は PP を投射する。 助詞を主要部とする構成素(PP 或いは CP-THT が典型的)に続く場合,とりたて助詞はその主要部の助詞の横に置かれる。
このグループに含まれる助詞は以下の通りである:
か, きり, くらい, ぐらい, こそ, ごと, さえ, しか, しも, すら, だけ, だって, って, でも, とか, とも, ともあれ, など, なら, ならば, なんか, なんて, にしてからが, にしても, にせよ, に限って, のみ, は, ばかし, ばかり, ばかりか, ほど, 程, も, やら
以下は時間を表す名詞句と共起したとりたて助詞「は」の例である。
(2.96 )
その 時 は 母 も 笑っ た 。
IP-MAT
___PP-TMP
NP
D
その
N
時
__P-OPTR
は
PP-SBJ
NP
N
母
P-OPTR
も
VB
笑っ
AXD
た
PU
。
[538_aozora_Natsume-1908@8,2 ]
以下は,格助詞「と」と共起したとりたて助詞「も」の例である。ここでは,「も」は疑問代名詞「何」と呼応し,否定のスコープに含まれる。
(2.97 )
子供 は 何 と も 云わ なかっ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
子供
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
___WPRO
何
___P-COMP
と
__P-OPTR
も
VB
云わ
NEG
なかっ
AXD
た
PU
。
[535_aozora_Natsume-1908@14,12,10 ]
以下の例では,とりたて助詞「は」の投射する PP に第一目的語(-OB1)の拡張タグが加えられている。 また,とりたて助詞「しか」の投射する PP には主語(-SBJ)の拡張タグが加えられている。
(2.98 )
解決策 は 当事者 しか 導き出せ ない 。
IP-MAT
___PP-OB1
NP
N
解決策
__P-OPTR
は
___PP-SBJ
NP
N
当事者
___P-OPTR
しか
VB
導き出せ
NEG
ない
PU
。
[86_news_KAHOKU_65@6,2,8,12 ]
2.10.1 主題助詞句(PP-TPC)
「は」によって表示された助詞句で,文中での機能が不明なものは通常 PP-TPC とラベル付けされる。
(2.99 )
自分 も 確 に これ は 死ぬ な と 思っ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
自分
P-OPTR
も
CP-THT-OB1
CP-FINAL
IP-SUB
NP-SBJ
*pro*
ADVP
ADJN
確
AX
に
___PP-TPC
NP
PRO
これ
__P-OPTR
は
VB
死ぬ
P-FINAL
な
P-COMP
と
VB
思っ
AXD
た
PU
。
[10_aozora_Natsume-1908@22,18 ]
(2.100 )
帰り は 私 が 先生 を お送り し ます 。
IP-MAT
___PP-TPC
NP
N
帰り
__P-OPTR
は
PP-SBJ
NP
PRO
私
P-ROLE
が
PP-OB1
NP
N
先生
P-ROLE
を
VB
お送り
VB0
し
AX
ます
PU
。
[773_textbook_purple_intermediate@6,2 ]
ただし,「は」表示の名詞句の文法役割が明確にできる場合には,-SBJ や -TMP のような曖昧性解消のための拡張タグが付加され,TPC が付加されることはない。
(2.101 )
今 は 国産的 な もの は 安い 。
IP-MAT
___PP-TMP
NP
N
今
__P-OPTR
は
___PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
国産的
AX
な
N
もの
___P-OPTR
は
ADJI
安い
PU
。
[188_aozora_Nomura-19-1950@6,2,19,8 ]
また,二重主語構文における1つ目の主語はしばしば助詞「は」を伴うが,これに対しても -TPC タグを与えずに,-SBJ タグを与える。2つ目の主語(しばしば助詞「が」を伴う)に対しては -SBJ2 を与える。
(2.102 )
彼 は 財布 が すっからかん だ
IP-MAT
___PP-SBJ
NP
PRO
彼
___P-OPTR
は
___PP-SBJ2
NP
N
財布
__P-ROLE
が
ADJN
すっからかん
AX
だ
[230_dict_pth_q@12,2,6,8 ]
2.11 助詞が節に直接支配される場合
助詞(P)は助詞句(PP)を投射せず,節(IP)に直接支配されることがある。 以下,基本的なケースについて述べる。
2.11.1 副詞節(IP-ADV)の終末部に置かれる接続助詞(P-CONN)
2.6.1 節,2.6.2 節で述べたとおり,接続助詞(P-CONN)に分類される助詞の中でも,実際は形態的に接尾辞に相当するものは,副詞節(IP-ADV)の外ではなくその終末部に置かれる。 以下は,そのような接続助詞のリストである。
て/てー/で/でー(例 (5.52 ) を参照)
ながら(例 (2.83 ) を参照)
ば/ばー(例 (2.75 ), (2.78 ) を参照)
たら/たらー/だら(例 (2.74 ), (2.77 ) を参照)
つつ
たって/だって
たり/だり
がてら
接続助詞「つつ」「たって/だって」「たり/だり」の例を以下に示す。
(2.103 )
太郎 が 新聞 を 読み つつ ご飯 を 食べ て いる 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
NPR
太郎
P-ROLE
が
___IP-ADV-SCON
PP-OB1
NP
N
新聞
P-ROLE
を
VB
読み
__P-CONN
つつ
PP-OB1
NP
N
ご飯
P-ROLE
を
VB
食べ
P-CONN
て
VB2
いる
PU
。
[2_misc_TOPTEN@17,8 ]
(2.104 )
あの 人 に は 話し たって 分かり ませ ん 。
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
___NP-OB1
*pro*
IP-ADV-SCON-CND
NP-SBJ
*pro*
NP-OB1
*pro*
PP-OB2
NP
D
あの
N
人
P-ROLE
に
P-OPTR
は
__VB
話し
P-CONN
たって
VB
分かり
AX
ませ
NEG
ん
PU
。
[315_textbook_djg_basic@21,4 ]
(2.105 )
彼女 は そわそわ と 行っ たり 来 たり し た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
彼女
P-OPTR
は
ADVP
ADV
そわそわ
AX
と
___IP-ADV-CONJ
VB
行っ
__P-CONN
たり
VB
来
P-CONN
たり
VB2
し
AXD
た
PU
。
[120_fiction_DICK-1952@16,13 ]
2.11.2 複雑な述部に含まれる接続助詞・とりたて助詞・格助詞(P-CONN,P-OPTR,P-ROLE)
「VB て/でいる・ある・おく」「VB て/であげる・やる」「VB て/でいく・くる」等,ヴォイスやアスペクトに関係する述部の中に含まれる接続助詞の「て/で」は節(IP)に直接支配され,フラットな構造としてアノテーションされる。 「て/で」の後の補助動詞は VB2 とラベル付けされる(VB2 については, 4.5 節を参照)。
(2.106 )
あいつ は きっと デート を し て いる ん だ 。
___IP-MAT
PP-SBJ
NP;{TANAKA_654}
PRO
あいつ
P-OPTR
は
ADVP
ADV
きっと
PP-OB1
NP
N
デート
P-ROLE
を
VB
し
__P-CONN
て
___VB2
いる
FN
ん
AX
だ
PU
。
[655_textbook_kisonihongo@19,1,21 ]
「VB たり/だりする」における接続助詞「たり/だり」も,後続の「する」(補助動詞 VB2 とラベル付けされる)と姉妹の関係をなすフラットな構造としてアノテーションされる。 「たり/だり」は「VB1 たり/だり,VB2 たり/だりする」のように連続して現れることが多いが,前の「たり/だり」は副詞節(IP-ADV)の終端部に置かれ,後ろの「たり/だり」は補助動詞と共に述部を構成することに注意されたい(例 (2.105 ) も参照)。
(2.107 )
うち の スタッフ が 殴ら れ たり 、 罵倒 さ れ たり する こと も あり ます 。
___IP-MAT
PP-SBJ
NP
IP-EMB
NP-LGS
*pro*
PP-SBJ
NP
PP
NP
N
うち
P-ROLE
の
N
スタッフ
P-ROLE
が
IP-ADV-CONJ
VB
殴ら
PASS
れ
__P-CONN
たり
PU
、
VB
罵倒
VB0
さ
PASS
れ
___P-CONN
たり
___VB2
する
N
こと
P-OPTR
も
VB
あり
AX
ます
PU
。
[102_news_KAHOKU_37@24,34,36,1 ]
「VB などする」におけるとりたて助詞「など」と後続する「する」についても上記と同様のアノテーションがなされる。 「VB なりする」の接続助詞「なり」と「する」も同様である。
(2.108 )
暑い 日 は 帽子 を かぶる など し なさい
CP-IMP
IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
PP-TMP
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJI
暑い
N
日
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
N
帽子
P-ROLE
を
VB
かぶる
__P-OPTR
など
___VB2
し
VB2
なさい
[28_misc_EXAMPLE2@24,26 ]
(2.109 )
読め ない 漢字 は 辞書 を 引く なり 、 日本人 に 聞く なり し なさい 。
CP-IMP
IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
PP-TPC
NP
IP-REL
NP-OB1
*T*
NP-SBJ
*hearer*
VB
読め
NEG
ない
N
漢字
P-OPTR
は
PP-CONJ
IP-ADV
PP-OB1
NP
N
辞書
P-ROLE
を
VB
引く
__P-CONN
なり
PU
、
NP-OB1
*pro*
PP-OB2
NP
N
日本人
P-ROLE
に
VB
聞く
___P-CONN
なり
___VB2
し
VB2
なさい
PU
。
[215_textbook_djg_intermediate@30,44,46 ]
否定文では,とりたて助詞「は」が NEG と共起することが多い。
(2.110 )
岩 で は ない 、
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
NP-PRD
N
岩
AX
で
__P-OPTR
は
___NEG
ない
PU
、
[59_fiction_DICK-1952@9,11 ]
また,上記の接続助詞「て・で」やコピュラ「だ」の連用形「で」の直後等,述語部分の内部に現れたとりたて助詞「は」「も」「しか」「ばかり」「さえ」等もまた,IP に直接支配されるものとする。
(2.111 )
女子 は 遊ん で ばかり い ます 。
___IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
女子
P-OPTR
は
VB
遊ん
___P-CONN
で
__P-OPTR
ばかり
VB2
い
AX
ます
PU
。
[14_textbook_djg_basic@12,1,10 ]
(2.112 )
さっき まで の 絶対的 な 自信 は やや ゆらい だ よう で は あっ た が 。
FRAG
PP-CONJ
___IP-ADV
PP-SBJ
NP
PP
NP
N
さっき
P-ROLE
まで
P-ROLE
の
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
絶対的
AX
な
N
自信
P-OPTR
は
NP-PRD
IP-EMB
ADVP
ADV
やや
VB
ゆらい
AXD
だ
N
よう
___AX
で
__P-OPTR
は
VB2
あっ
AXD
た
P-CONN
が
PU
。
[297_aozora_Doyle-1905@38,3,36 ]
述部を構成する「〜ざるを得ない」「〜に違いない」「〜わけに(も/は)いかない」「〜がいい・〜がよい」に現れる格助詞(P-ROLE)「を」「に」「が」,「〜といい」「〜といけない」「〜なければならない」に現れる接続助詞(P-CONN)「と」「ば」についても,IP に直接支配されるものとする。
(2.113 )
結果 、 江戸幕府 は 院政 の 存在 を 黙認 せ ざる を え なく なる 。
IP-MAT
NP-ADV
N
結果
PU
、
PP-SBJ
NP
NPR
江戸幕府
P-OPTR
は
___IP-SMC-OB1
PP-OB1
NP
PP
NP
N
院政
P-ROLE
の
N
存在
P-ROLE
を
VB
黙認
___VB0
せ
___NEG
ざる
__P-ROLE
を
___VB2
え
___NEG
なく
VB
なる
PU
。
[59_wikipedia_KYOTO_17@32,13,28,30,34,36 ]
(4.51 )
その 国 は たいへん 美しい に 違いない 。
___IP-MAT
PP-SBJ
NP
D
その
N
国
P-OPTR
は
ADVP
ADJN
たいへん
ADJI
美しい
__P-ROLE
に
___MD
違いない
PU
。
[210_textbook_TANAKA@15,17,1 ]
(2.115 )
この 機会 を 逃がす わけ に 行か ない の だ 。
___IP-MAT
NP-SBJ;{IZAWA}
*speaker*
PP-OB1
NP
D
この
N
機会
P-ROLE
を
VB
逃がす
FN
わけ
__P-ROLE
に
___VB2
行か
___NEG
ない
FN
の
AX
だ
PU
。
[337_aozora_Sakaguchi-1947@16,1,18,20 ]
(2.116 )
その 身代り を 呼ぶ が よい 。
CP-IMP
___IP-SUB
NP-SBJ;{MELOS}
*hearer*
PP-OB1
NP;{SELINUNTIUS}
D
その
N
身代り
P-ROLE
を
VB
呼ぶ
__P-ROLE
が
___ADJI-MD
よい
PU
。
[113_aozora_Dazai-2-1940@15,2,17 ]
(2.117 )
▼ 埋蔵資源 が ある と いい 。
___IP-MAT
SYM
▼
PP-SBJ
NP
N
埋蔵資源
__P-ROLE
が
VB
ある
___P-CONN
と
___ADJI-MD
いい
PU
。
[10_news_KAHOKU_8795@8,1,12,14 ]
(2.118 )
明日 の 朝 は 6 時 に 起き ない と いけ ない 。
___IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
PP-TMP
NP
PP
NP
N
明日
P-ROLE
の
N
朝
P-OPTR
は
PP-TMP
NP
NUMCLP
NUM
6
CL
時
P-ROLE
に
VB
起き
NEG
ない
__P-CONN
と
___VB2
いけ
___NEG
ない
PU
。
[562_textbook_kisonihongo@29,31,33,1 ]
(2.119 )
生活費 は かせが なけれ ば なら ない 。
___IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
PP-OB1
NP
N
生活費
P-OPTR
は
VB
かせが
___NEG
なけれ
__P-CONN
ば
___VB2
なら
___NEG
ない
PU
。
[603_aozora_Harada-1960@14,1,12,16,18 ]
2.11.3 動作名詞に「を」が付く場合
動作名詞 (VB)に「を」が付く例がいくつか見られる。 このような場合には,(P-ROLE を) が VB と姉妹関係に IP のすぐ下に置かれる。
(2.120 )
そして 、 ある 定め られ た 日 に は 床の間 で 彼ら を 供養 を する の です 」
___IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
CONJ
そして
PU
、
PP
NP
D
ある
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-LGS
*pro*
VB
定め
PASS
られ
AXD
た
N
日
P-ROLE
に
P-OPTR
は
PP
NP
N
床の間
P-ROLE
で
PP
NP
PRO
彼ら
P-ROLE
を
___VB
供養
__P-ROLE
を
VB0
する
FN
の
AX
です
PUR
」
[259_aozora_Hayashida-2015@43,41,1 ]
2.12 助詞を名詞句の下に置く場合
名詞句が並列されるとき,「とか」「と」「やら」「か」「も」等の接続助詞が最後の並列句の後に現れるとき,それは並列句をまとめた NP の下に置かれる。
(2.121 )
この 近く に は 温泉 とか 野球場 とか が あっ て 、 とても 楽しい です 。
IP-MAT
PP
NP;{VICINITY_884}
D
この
N
近く
P-ROLE
に
P-OPTR
は
IP-ADV-CONJ
PP-SBJ
___NP
CONJP
NP
N
温泉
__P-CONN
とか
NP
N
野球場
___P-CONN
とか
P-ROLE
が
VB
あっ
P-CONN
て
PU
、
NP-SBJ
*speaker*
ADVP
ADV
とても
ADJI
楽しい
AX
です
PU
。
[884_textbook_kisonihongo@19,14,24 ]
また,「か」「も」等のとりたて助詞が疑問詞と結びついて不定性を示す場合にも,これらを NP の下に置く(詳しくは 3.3.1.3 を参照)。
(2.122 )
誰 か が 助ける だろう 。
IP-MAT
NP-OB1;{MAN_67}
*pro*
PP-SBJ
___NP
WPRO
誰
__P-OPTR
か
P-ROLE
が
VB
助ける
MD
だろう
PU
。
[67_textbook_kisonihongo@8,5 ]
(2.123 )
誰 も その 問題 を 解け なかっ た 。
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
___NP;*SBJ*
WPRO
誰
__P-OPTR
も
PP-OB1
NP;{PROBLEM_737}
D
その
N
問題
P-ROLE
を
VB
解け
NEG
なかっ
AXD
た
PU
。
[737_textbook_kisonihongo@7,4 ]
助詞句(PP)が積み重なることは基本的にはない。 すなわち,助詞句(PP)は通常,助詞(P)の補部とはならない。 複数の助詞が続く場合は,同じ助詞句(PP)や補部節(CP-THT)下に複数の助詞(P)がフラットに配置される。
2つの格助詞が隣接する場合(へ+と):
(2.124 )
その カート は 都市 へ と 方向転換 し た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
D
その
N
カート
P-OPTR
は
___PP
NP
N
都市
__P-ROLE
へ
___P-ROLE
と
VB
方向転換
VB0
し
AXD
た
PU
。
[714_fiction_DICK-1952@14,16,10 ]
(3.10 )
この 点 は どの 作物 について も 言える こと で あり ます 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
D
この
N
点
P-OPTR
は
NP-PRD
IP-EMB
NP-SBJ
*pro*
___PP
NP
WD
どの
N
作物
__P-ROLE
について
___P-OPTR
も
VB
言える
N
こと
AX
で
VB2
あり
AX
ます
PU
。
[36_diet_kaigiroku-7@20,14,22 ]
(2.126 )
脇役 が 良い から こそ 、 主役 が 引き立つ .
IP-MAT
___PP-SCON
IP-ADV
PP-SBJ
NP
N
脇役
P-ROLE
が
ADJI
良い
__P-CONN
から
___P-OPTR
こそ
PU
、
PP-SBJ
NP
N
主役
P-ROLE
が
VB
引き立つ
PU
.
[2569_dict_vv-lexicon@12,14,2 ]
(2.127 )
そんな に 頼ま れ て は いや と は 言え ない ね 。
CP-FINAL
IP-SUB
NP-SBJ
*speaker*
PP-SCON-CND
IP-ADV
NP-LGS
*pro*
ADVP
ADJN
そんな
AX
に
VB
頼ま
PASS
れ
P-CONN
て
P-OPTR
は
___CP-THT-OB1
IP-SUB
NP-SBJ
*pro*
NP-OB1
*pro*
__ADJN
いや
___P-COMP
と
P-OPTR
は
VB
言え
NEG
ない
P-FINAL
ね
PU
。
[994_textbook_particles@28,30,22 ]
この方針に関する唯一の例外となるのが,助詞句(PP)の等位構造である(詳しくは 2.5 節,3.5 節を参照)。
(2.128 )
「 …… 卑猥 に も 不潔 に も なじむ こと が ない 。
IP-MAT
PUL
「
PU
……
PP-SBJ
NP
IP-EMB
NP-SBJ
*hearer*
___PP
CONJP
___PP
NP
N
卑猥
__P-ROLE
に
___P-CONN
も
___PP
NP
N
不潔
___P-ROLE
に
___P-CONN
も
VB
なじむ
N
こと
P-ROLE
が
ADJI
ない
PU
。
[553_aozora_Hisao-1939@17,13,19,25,21,27,11 ]
文法役割を表す「が,を,へ,に」等の格助詞が,会話や新聞記事の見出し等で省略されることがしばしばある。 このような裸の名詞句が文の左端に現れる場合,主題としての談話的役割を帯びることが多い。 しかし,述語に対する裸の名詞句が果たす文法機能(主語なのか第一目的語なのか等)が分かる場合には, 名詞句(NP)のタグに文法機能を示す拡張タグを直接付けるか, あるいはその機能を表示すると考えられる助詞を書き入れ,それが投射する助詞句(PP)のタグに拡張タグを付ける。 このような助詞を便宜上,「省略された助詞」と呼ぶことにする。 基本的に,裸の名詞句が主要文法役割を担う項である場合,省略された助詞についての言及はなされず,当該の項は NP-SBJ,NP-OB1 等のラベルを貼られる。 例えば,下の (2.129 ) の例では「掲示板のポスター」という名詞句につくはずの「を」が省略されているが,この場合は「を」を補うことはなく,単にその名詞句が直接 NP-OB1 とラベル付けされ,述語「見た」の目的語であることが示される。
(2.129 )
なんか 、 美奈子 、 掲示板 の ポスター 、 見 た ?
CP-QUE
IP-SUB
ADVP
ADV
なんか
PU
、
NP-VOC;{ADDRESSEE}
NPR
美奈子
NP-SBJ;{ADDRESSEE}
*hearer*
PU
、
__NP-OB1
PP
NP
N
掲示板
P-ROLE
の
N
ポスター
PU
、
___VB
見
___AXD
た
PU
?
[28_spoken_JF6@15,26,28 ]
一方,裸名詞句が付加詞である(つまり,任意文法役割を示す)場合は,PP 投射が作りだされ,省略された助詞が補完される。 この際,終端ノードとして,* に挟まれた形で本来の助詞が挿入される。 例えば,以下の(2.130 )では, 裸名詞句「炊き出し準備」が,省略された助詞 *で* の補部として扱われている。
(2.130 )
炊き出し準備 、 高台避難後 に 自宅 に 戻る ( 宮城県七ケ浜町 )
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
PP
___NP
N
炊き出し準備
__P-ROLE
*で*
PU
、
PP
NP
N
高台避難後
P-ROLE
に
PP
NP
N
自宅
P-ROLE
に
VB
戻る
PRN
PUL
(
NP
NPR
宮城県七ケ浜町
PUR
)
[77_news_KAHOKU_34@8,5 ]
句は語と節の間の中間的なレベルの構造である。 句は外的な機能と内的な形によって性格づけることができる。 本章では句の形式について記述するが,その機能についても参照先の節と共に言及することがある。 「形式」とは句の構造がより小さな要素からどのようにつくられるかという方法を意味する。 それぞれの句は「主要部」と「従属部」から作られる。 主要部とは,句がその存在のために要求する語である。 句は主要部のみから作られることもある。 句の名称は主要部の品詞に基づいて与えられる。 日本語の記述において必要な句には, 名詞句(第 3.2 節), 助数詞句(第 section 3.3 節), 副詞句(第 section 3.4 節)がある。 本節ではまた,句の並列のアノテーションについても 第 3.5 節 において扱う。
3.2 名詞句(NP)
名詞句(NP)は名詞的な要素を主要部(名詞(N),固有名詞(NPR),代名詞(PRO),疑問代名詞(WPRO),等)とする。 量化詞(Q),数量詞句(NUMCLP)も名詞句の主要部となる。
3.2.1 Noun phrase roles
IP によって直接支配される NP はすべて何らかの機能をラベル付けされる。 そのような NP に関する議論は 1.6.2 および 1.7.2 を参照されたい。 述語となった NP については 4.16 節を参照されたい。
所有名詞句(NP-POS)は代名詞「わが(我が)」の投射する NP である。 「わが(我が)」は後続する名詞と助詞を介さずに直接に結びつくため,(NP-POS (PRO わが)) が後続の名詞と姉妹の関係を作るものとする。
(3.1 )
母親 は 我が 子 に 駆け寄っ た .
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
母親
P-OPTR
は
PP
___NP
__NP-POS
PRO
我が
N
子
P-ROLE
に
VB
駆け寄っ
AXD
た
PU
.
[736_dict_vv-lexicon@10,9 ]
呼格(呼び掛け)は NP-VOC とラベル付けされる。
(3.2 )
「 先生 、 もう お忘れ です か ? 」
CP-QUE
PUL
「
IP-SUB
__NP-VOC;{ADDRESSEE}
N
先生
NP-SBJ;{ADDRESSEE}
*hearer*
PU
、
NP-OB1
*pro*
ADVP
ADV
もう
VB
お忘れ
AX
です
P-FINAL
か
PU
?
PUR
」
[92_aozora_Hayashida-2015@5 ]
(3.3 )
『 芳一 ! 』
FRAG
PUL
『
__NP-VOC
NPR
芳一
PU
!
PUR
』
[42_aozora_Togawa-1937-1@4 ]
(3.4 )
…… 芳一 、 まア 喜べ !――
CP-IMP
PU
……
IP-SUB
__NP-VOC;{HOICHI}
NPR
芳一
NP-SBJ;{HOICHI}
*hearer*
PU
、
INTJ
まア
VB
喜べ
PU
!――
[227_aozora_Togawa-1937-1@5 ]
上記 (3.4 ) のように,命令文における呼格 NP は,空要素との関連付けを必要とする。詳細は,5.2.3 を参照されたい。
明示的な主要部を伴わない NP は,空の名詞的主要部を持つと考えられる。 これは,いわゆる N-bar 削除(あるいは,所有者句の短縮)に見られる( 6.3 節を参照)。 この空の主要部はアノテーション中に明示的に表記されることはないが,それが投射する NP の中に潜在的に存在する。
(3.5 )
三 番目 の に も 仁王 は い なかっ た 。
IP-MAT
PP
___NP
IP-REL
__NP-SBJ
*T*
NP-PRD
NUMCLP
NUM
三
CL
番目
AX
の
P-ROLE
に
P-OPTR
も
PP-SBJ
NP
NPR
仁王
P-OPTR
は
VB
い
NEG
なかっ
AXD
た
PU
。
[388_aozora_Natsume-1908@5,3 ]
名詞(N)は言語の中で最大のクラスである。 以下はコーパス中で最も頻度の高い名詞のいくつかを挙げたリストだが,形式名詞や関係名詞が多く含まれることに注意。
こと, の, よう, もと, 人, 中, ため, 方, 今, ところ, 前, ほう, 時, 家, 後, 子供, とが, 上, 部屋, 先生, うち, 父
なお,形式名詞は述語本体に後続し,述語拡張系を作ることがあるが,この場合の形式名詞には,N ではなく,FN というラベルが与えられること注意されたい(4.3 節および 4.21 を参照)。
固有名詞(NPR)は2番目に大きなクラスである。 以下にコーパス中で最も多く現れる固有名詞のいくつかを挙げる。
日本, 太郎, ヘプバーン, ヨーロッパ, グレゴール, イエス, 花子, スミス, 東京, ジョン, アメリカ, 大阪, 政宗, 中国, ジョーンズ, 仙台, 京都, 東北
代名詞(PRO)および空要素(*pro* )を主要部とする NP にはソート情報が付与されることがある。 ソート情報については 1.8 節を参照。 使用頻度の高い代名詞(PRO)は以下のとおり。
ここ, そこ, あそこ, こちら, そちら, あちら, こっち, そっち, あっち, これ, それ, あれ, これら, それら, あれら 私, 私たち, おれ, 我々, 僕, うち, あなた, 君, おまえ, 彼, 彼ら, あいつ,
再帰代名詞は,本アノテーションでは他の代名詞と同様に PRO のラベルを与えられる。 以下に見るように,再帰代名詞のリストはそれほど大きくはない。 また,「彼ら自身」のように再帰代名詞が他の名詞や代名詞に対して同格的に現れた場合には,再帰代名詞(PRO)の投射する NP を 括弧挿入句(PRN)の下に置き, PRN が名詞あるいは代名詞と共に名詞句を構成するものとしてアノテーションされる(PRN については 1.3.8 節を参照)。 また,代名詞の「わが(我が)」のアノテーションについては 3.2.1.1 節を参照。
己, おのれ, 自分, ご自分, 自身, ご自身, 自ら, みずから, 自体, そのもの, その物
(3.6 )
「 彼ら 自身 の 民族 。
FRAG
PUL
「
NP
PP
NP
___PRO
彼ら
___PRN
NP
__PRO
自身
P-ROLE
の
N
民族
PU
。
[415_fiction_DICK-1952@11,7,9 ]
疑問代名詞(WPRO)は典型的には疑問節で用いられる。 使用頻度の高い疑問代名詞(WPRO)は以下のとおりである。
いくつ, いくら, いずれ, いつ, おいくら, だれ, どこ, どちら, どちら様, どっち, どなた, どれ, なに, なん, 何, 何れ, 誰
疑問代名詞にとりたて助詞「か」「も」あるいは「でも」等が後接すると,量化された意味を持つ構成素が作られる。 これには,例えば,「だれか」のように不定の意味を持つもの,「どれも」のように全称量化の意味を持つもの,また「いつでも」のように認容の意味を持つものがある(詳しくは 3.3.1.3 節を参照)。 一般に,WPRO を主要部とする NP と同様に,疑問を表す語 WPRO, WD, WADV, WNUM のいずれかを含む句は,疑問の焦点を受けたり,量化がなされたりする。
(3.7 )
誰 が 買っ た チョコレート も おいしい 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-OB1
*T*
PP-SBJ
NP
__WPRO
誰
P-ROLE
が
VB
買っ
AXD
た
N
チョコレート
P-OPTR
も
ADJI
おいしい
PU
。
[6_misc_BUFFALO@9 ]
量化詞(Q)は補部の役割を持つ名詞,浮遊量化子,指示表現等の主要部となることができる。 出現頻度の高い量化詞(Q)の例をいくつか以下に挙げる。 量化表現に関しては,3.3 節を参照のこと。
いっぱい, いろいろ, 大勢, 多く, 数多く, かなり, 十分, 少し, すべて, 全(員) , 全体, 全部, それぞれ, たくさん, 多少, 多数, 一人一人, 複数, ほとんど, みんな, 毎日, 全国, 全員, 両手, 各地, 毎年, 各々, 毎朝, 全体, 各号
数詞(NUM)または疑問数詞(WNUM)を伴う量化表現を NUMCLP(助数詞句)とラベル付けする。 NUMCLP は典型的には「三人」「4台」のように NUM または WNUM と助数詞(CL)から成るが, NUM または WNUM のみから成ることもある。 詳細は3.3.1.2 節を参照のこと。
3.2.3 中間名詞節(NML)
節以外の構成素の等位接続(詳細は 3.5 節を参照)を除き, 本アノテーション体系においては NP が積み上がることは基本的にはない。 どうしても中間的な名詞句が必要な場合は,NML が使われる。 これが起きるのは, (i) 並列された要素を修飾する語句が存在する場合,または (ii) 並列された要素に同格的な量化句が後続する場合である。 前者の例を挙げる。
(3.8 )
/ 意思表示 の 時期 ・ 方法 探る
IP-MAT
NP-SBJ;{REGION}
*pro*
PU
/
NP-OB1
PP
NP
N
意思表示
P-ROLE
の
__NML
CONJP
___NP
N
時期
PU
・
___NP
N
方法
VB
探る
[11_news_KAHOKU_89@13,15,20 ]
後者の例は以下のとおり。
(3.9 )
中立的 な 立場 の 素粒子物理学者 や 経済学者 ら 10 人 程度 で 構成 し 計画 を 検証 する 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PP
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
中立的
AX
な
N
立場
P-ROLE
の
__NML
CONJP
NP
N
素粒子物理学者
P-CONN
や
NP
N
経済学者
N
ら
PRN
___NP;*
NUMCLP
NUM
10
CL
人
N
程度
P-ROLE
で
IP-ADV-CONJ
NP-OB1;{WORKINGGROUP}
*pro*
VB
構成
VB0
し
PP-OB1
NP
N
計画
P-ROLE
を
VB
検証
VB0
する
PU
。
[24_news_KAHOKU_89@17,30 ]
3.2.4 限定詞(D)と疑問限定詞(WD)
NP を談話領域に関係づけることによって,その NP の指示対象を規定する表現は限定詞と呼ばれる。 限定詞は D と,疑問限定詞は WD とラベル付けされる。 限定詞は通常は句を投射せず、それが修飾する名詞に隣接して現れる。 主な限定詞(D)のリストを以下に示す。
この, その, あの, こんな, そんな, あんな, こういう, そういう, ああいう, こういった, そういった, ああいった, こうした, そうした, ある, いわゆる, あらゆる, さらなる, 例の
疑問限定詞(WD)には次のようなものがある。
どの, どんな, どういう, どういった, どのような, いかなる
限定詞(D)も疑問限定詞(WD)も通常,句の主要部となることはなく,名詞(N)に対する単一の単語から成る修飾部として名詞句(NP)の直下に現れる。
(3.10 )
この 点 は どの 作物 について も 言える こと で あり ます 。
IP-MAT
PP-SBJ
___NP
___D
この
N
点
P-OPTR
は
NP-PRD
IP-EMB
NP-SBJ
*pro*
PP
___NP
__WD
どの
N
作物
P-ROLE
について
P-OPTR
も
VB
言える
N
こと
AX
で
VB2
あり
AX
ます
PU
。
[36_diet_kaigiroku-7@16,15,4,3 ]
ただし,例外的に D ないし WD が NP の主要部としてアノテートされることがある。 そのような例のひとつとして,「この・くらい,その・くらい,あの・くらい,どの・ぐらい」における「この,その,あの,どの」が挙げられる。以下の (3.11 ) に見るように,このとき「この,その,あの,どの」は NP の主要部となり,そこに P-OPTR 「くらい,ぐらい」が付加されて,PP を作る。
(3.11 )
ロンドン で は どの くらい 雪 が 降り ます か 。
CP-QUE
IP-SUB
PP
NP
NPR
ロンドン
P-ROLE
で
P-OPTR
は
PP-MSR
___NP
__WD
どの
___P-OPTR
くらい
PP-SBJ
NP
N
雪
P-ROLE
が
VB
降り
AX
ます
P-FINAL
か
PU
。
[464_textbook_purple_basic@13,12,15 ]
また,以下の (__Kainoki_18_law_h15A119__) の「その」は NP の主要部となり,それが VB「取り扱う」の主語として機能している。
(3.12 )
___その 取り扱う 個人情報 の 量 及び 利用方法 から
PP
NP
___PP
NP
IP-REL
NP-OB1
*T*
__NP-SBJ
D
___その
VB
取り扱う
N
個人情報
P-ROLE
の
NML
CONJP
NP
N
量
CONJ
及び
NP
N
利用方法
P-ROLE
から
[20#18_law_h15A119@8,3,10 ]
疑問の焦点や数量化に関しては WD を含む構成素は WPRO を含む構成素と似たような振る舞いをする。
PNL は,伝統文法で連体詞とされるもののうち,限定詞として機能する語を除いたものである。 通常,句の主要部となることはなく,名詞(N)に対する修飾部として名詞句(NP)の直下に現れる。 通常見られる PNL のリストを以下に挙げる。本コーパスに出現する語を含む。
ただの, ずぶの, まったくの, まるっきりの, たいした, とんだ, れっきとした, ふとした, だいそれた, いろんな, ひょんな, いわゆる, たんなる, なだたる, あらぬ, よからぬ, おもわぬ, みちならぬ, あるまじき, きたるべき, あしき, よき, くしき, はずべき, おおきな, ちいさな, おかしな, ちょっとした
上に挙げた語のうちどれも,主節や従属節の中で述語として使用されることはほぼない。 しかしながら,いくつかの語(特に,おおきな,ちいさな,おかしな)は,副詞的句に修飾されたり、或いは「目が大きな子犬」のように, 二重主語構文の NP-SBJ に相当する主名詞を修飾する関係節の主要部となることができる。 こういった場合は PNL は IP-REL の直下に置かれる。
(3.13 )
自分 で も 驚く ほど 大きな 声 が 出 まし た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
___IP-REL
NP-SBJ
*T*
PP-SCON
IP-ADV
NP-SBJ
*speaker*
PP
NP
PRO
自分
P-ROLE
で
P-OPTR
も
VB
驚く
P-OPTR
ほど
__PNL
大きな
N
声
P-ROLE
が
VB
出
AX
まし
AXD
た
PU
。
[104_news_KAHOKU_34@23,4 ]
句カテゴリー PNLP については 3.2.6.6 節を参照のこと。
名詞修飾節とは,述語の連体形が主要部となり,後続する N,PRO,WPRO,Q,または NPR を修飾する節である。 いくつかのコピュラの短縮形や化石化した形式を除いて,述語の連体形は過去終止形や非過去終止形と区別することはできない。 名詞修飾節は,空所のある節,空所の無い節,および補文の3つのタイプに分けられる。
第一のグループの名詞修飾節は, 主名詞(修飾される名詞)に対応する空所(トレース)を含んでいる。 この種の名詞修飾節においては,主名詞を(格役割を表す要素を加えた上で)その空所に入れることで,完全な文を復元することが出来る。 このような「空所を持つ」名詞修飾節は IP-REL (関係節) とラベル付けされる。
第二の名詞修飾節は,主名詞が節内部で格役割を果たさないものであり,IP-EMB (空所なし名詞修飾節) とラベル付けされる。
第三の名詞修飾節は,「という」「との」等の複合的な補文助詞を伴って後続する N,PRO,WPRO,Q,NPR を修飾するものである。 それは通常 CP-THT に支配される IP-SUB という形式を取る。
以下では,これら3つの種類の名詞修飾節を見てゆく。 加えて,第 3.2.6.4 節と第 3.2.6.6 節において,さらなる名詞修飾節のタイプについても触れる。
関係節構造では,主要部の関係節における文法機能を特定するための情報を伴ったトレースが節の先頭に置かれる(1.5.5 節を参照)。 (3.14 ) では,(NP-SBJ *T*) のようにトレースが関係節における主語であることが示されている。
(3.14 )
彼 は 紙 で あふれ た 机 に もたれ て いる 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
彼
P-OPTR
は
PP
NP
__IP-REL
___NP-SBJ
*T*
PP
NP
N
紙
P-ROLE
で
VB
あふれ
AX
た
N
机
P-ROLE
に
VB
もたれ
P-CONN
て
VB2
いる
PU
。
[173_aozora_Yuki-1-2000@10,11 ]
以下は,トレースが第一目的語の文法役割を果たす例である。
(3.15 )
何 か 欲しい もの は ない の ? 」
CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
NP;*OB1*
WPRO
何
P-OPTR
か
PP-OB1
NP
__IP-REL
___NP-OB1
*T*
NP-SBJ
*hearer*
ADJI
欲しい
N
もの
P-OPTR
は
ADJI
ない
FN
の
PU
?
PUR
」
[93_aozora_Harada-1960@12,13 ]
次に長距離依存の例を示す。 関係節の中にさらに節が埋め込まれており,トレースはその埋め込まれた節における第一目的語の文法役割を果たしている。 INCORRECT HIGHLIGHT
(3.16 )
おばあさん に 作っ て もらっ た 「 きび団子 」 を 持っ て 出発 し まし た 。
IP-MAT
NP-SBJ;{MOMOTARO}
*pro*
IP-ADV-SCON
PP-OB1
NP;{KIBIDANGO_TEN_MADE_BY_GRANDMOTHER}
__IP-REL
___NP-SBJ;{MOMOTARO}
*pro*
PP-DOB1
NP;{GRANDMOTHER}
N
おばあさん
P-ROLE
に
IP-SMC-OB1
NP-OB1
*T*
VB
作っ
P-CONN
て
VB
もらっ
AXD
た
PUL
「
NPR
きび団子
PUR
」
P-ROLE
を
VB
持っ
P-CONN
て
VB
出発
VB0
し
AX
まし
AXD
た
PU
。
[12_fiction_momotaro@7,8 ]
次の例では,関係節の中にさらに別の関係節が,その中にさらにまた別の関係節が埋め込まれている。
(3.17 )
これ は 、 ジャック が 建て た 家 に 置か れ た 麦芽 を 食べ た ねずみ です 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{REF3}
PRO
これ
P-OPTR
は
PU
、
NP-PRD;{RAT}
__IP-REL
___NP-SBJ
*T*
PP-OB1
NP;{MALT}
___IP-REL
___NP-SBJ
*T*
NP-LGS
*pro*
PP
NP;{HOUSE}
___IP-REL
___NP-OB1
*T*
PP-SBJ
NP;{JACK}
NPR
ジャック
P-ROLE
が
VB
建て
AXD
た
N
家
P-ROLE
に
VB
置か
PASS
れ
AXD
た
N
麦芽
P-ROLE
を
VB
食べ
AXD
た
N
ねずみ
AX
です
PU
。
[4_misc_CALDECOTT-1878@11,16,23,12,17,24 ]
次の例では,2つの関係節が1つの主名詞を共有している。
(3.18 )
最も 貧しい 10億 人 を 表し た 向こう に ある 箱 が 見え ます か ?
CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
PP-OB1
NP
__IP-REL
NP-SBJ
*T*
PP-OB1
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADVP
ADV
最も
ADJI
貧しい
NUMCLP
NUM
10億
CL
人
P-ROLE
を
VB
表し
AX
た
___IP-REL
NP-SBJ
*T*
PP
NP
N
向こう
P-ROLE
に
VB
ある
___N
箱
P-ROLE
が
VB
見え
AX
ます
P-FINAL
か
PU
?
[101_ted_talk_7@7,31,42 ]
次の例では主名詞が2つの等位接続された節によって修飾されている。 このような場合,本アノテーションでは関係節のうちの主節(IP-REL)にトレースを置き,等位された節(CONJ の拡張タグが与えられる)が ATB 抽出によってそれを受け継ぐ。 INCORRECT HIGHLIGHT
(3.19 )
彼女 は ピアノ が 弾け そして 絵 も かける 人 です 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{WOMAN_27}
PRO
彼女
P-OPTR
は
NP-PRD
__IP-REL
NP-SBJ
*T*
IP-ADV-CONJ
PP-OB1
NP
N
ピアノ
P-ROLE
が
VB
弾け
___CONJ
そして
PP-OB1
NP
N
絵
P-OPTR
も
VB
かける
N
人
AX
です
PU
。
[27_misc_EXAMPLE@9,21 ]
3.2.6.2 空所なし名詞修飾節(IP-EMB)
もうひとつの名詞修飾節はそれだけで充足した構造をなし,修飾される名詞が修飾節の中で直接的な文法役割を持つことはない。 このタイプの名詞修飾節は IP-EMB とラベル付けされる。
よく見られるタイプの空所なし名詞修飾節構造は,非飽和名詞を修飾するものである。 多くの非飽和名詞(「こと」「ため」「の」「よう」等)はほとんどの場合に修飾要素を伴って現れ, また修飾要素がない場合は,慣用的な表現である(「為になる話」「事が運ばない」「モノを言うのは金だ」等)。 これらの要素は修飾節の項として復元することができないので,それを修飾する節は IP-EMB(空所なし名詞修飾節)なのである。
(3.20 )
かけぶとん を はねのける の は 、 まったく 簡単 だっ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
__IP-EMB
NP-SBJ
*pro*
PP-OB1
NP
N
かけぶとん
P-ROLE
を
VB
はねのける
___N
の
P-OPTR
は
PU
、
ADVP
ADV
まったく
ADJN
簡単
AX
だっ
AXD
た
PU
。
[107_aozora_Harada-1960@4,15 ]
(3.21 )
沿線 に は 大学 が 多い ため 学生利用 が 多い 。
IP-MAT
NP-ADV
__IP-EMB
PP
NP
N
沿線
P-ROLE
に
P-OPTR
は
PP-SBJ
NP
N
大学
P-ROLE
が
ADJI
多い
___N
ため
PP-SBJ
NP
N
学生利用
P-ROLE
が
ADJI
多い
PU
。
[7_wikipedia_KYOTO_19@3,20 ]
(3.22 )
私 が する よう に やっ て み て ください 。
CP-IMP
IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
PP
NP
__IP-EMB
PP-SBJ
NP;{SPEAKER_1168}
PRO
私
P-ROLE
が
VB
する
___N
よう
P-ROLE
に
VB
やっ
P-CONN
て
VB2
み
P-CONN
て
VB2
ください
PU
。
[1168_textbook_kisonihongo@7,16 ]
言語表現,思考,知覚,感覚,出来事,動作,性質,原因,結果,様態,描写等の命題的な内容を持つ名詞に対して,その内容を補充する名詞修飾節も,IP-EMB としてはラベル付けされる。 このような名詞の中には絵画名詞(picture nouns)も含まれる。
(6.33 )
子供 が 笑っ て いる 写真 が 置い て あっ た 。
IP-MAT
NP-LGS
*pro*
PP-SBJ
NP
__IP-EMB
PP-SBJ
NP
N
子供
P-ROLE
が
VB
笑っ
P-CONN
て
VB2
いる
___N
写真
P-ROLE
が
VB
置い
P-CONN
て
PASS
*
VB2
あっ
AXD
た
PU
。
[1218_textbook_kisonihongo@6,19 ]
また,「時」「間」「前」「後」等の,いわゆる「相対名詞」(Teramura 1984, Nihongo02 2009)の項として, 名詞修飾節が何らかの基準を与えるような場合も,そのような節はIP-EMB としてラベル付けされる。
(3.24 )
画面 が 見え なく なる 前 に
FRAG
PP
NP
__IP-EMB
NP-SBJ
*pro*
IP-SMC-OB1
PP-OB1
NP
N
画面
P-ROLE
が
VB
見え
NEG
なく
___VB
なる
N
前
P-ROLE
に
[37_blog_KNB@4,18 ]
「以来」「以降」に先行し,これを修飾する節の述語動詞は決まって「テ形」となるが,このような名詞修飾節も IP-EMB としてラベル付けする。
(3.25 )
肝臓 を 患っ て 以来 、 酒 は やめ て いる 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
NP-TMP
__IP-EMB
PP-OB1
NP
N
肝臓
P-ROLE
を
VB
患っ
___P-CONN
て
___N
以来
PU
、
PP-OB1
NP
N
酒
P-OPTR
は
VB
やめ
P-CONN
て
VB2
いる
PU
。
[142_textbook_djg_advanced@5,14,16 ]
「とき(時)」「際」「場合」等の名詞が名詞修飾節を伴う場合は,これらが修飾節中で任意文法役割を持つと見なせることから,関係節(IP-REL)とする考え方もありうる。 しかし,本アノテーションでは「前」「後」等の相対名詞との連続を重視して,原則としてIP-EMB として扱う。
(3.26 )
今度 彼 に 会っ た とき に これ を 渡し て 下さい 。
CP-IMP
IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
PP-TMP
NP
__IP-EMB
NP-TMP
N
今度
PP-OB1
NP;{MAN_1273}
PRO
彼
P-ROLE
に
VB
会っ
AXD
た
___N
とき
P-ROLE
に
NP-OB2;{MAN_1273}
*pro*
PP-OB1
NP;{STUFF_1273}
PRO
これ
P-ROLE
を
VB
渡し
P-CONN
て
VB2
下さい
PU
。
[1273_textbook_kisonihongo@7,21 ]
勿論,文法役割がはっきりしている場合は関係節(IP-REL)を採用する:
(3.27 )
そして 意外 な 時 に 出 て 来 て 外界 を のぞく 事 が ある 。
IP-MAT
CONJ
そして
PP-SBJ
NP
IP-EMB
NP-SBJ
*pro*
IP-ADV-CONJ
PP-TMP
NP
__IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
意外
AX
な
___N
時
P-ROLE
に
VB
出
P-CONN
て
VB2
来
P-CONN
て
PP-OB1
NP
N
外界
P-ROLE
を
VB
のぞく
N
事
P-ROLE
が
VB
ある
PU
。
[67_aozora_Terada-1921@12,19 ]
これとは逆に,名詞修飾節と主名詞との間に明確な文法関係が成り立っていない場合,その節は IP-EMB として扱われる。
(3.28 )
魚 が 焼ける におい が する 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
__IP-EMB
PP-SBJ
NP
N
魚
P-ROLE
が
VB
焼ける
___N
におい
P-ROLE
が
VB
する
PU
。
[1216_textbook_kisonihongo@4,13 ]
3.2.6.3 名詞を修飾する補部節(CP-THT)
補文助詞(P-COMP)「という」あるいは「との」の投射する補部節(CP-THT)が名詞を修飾することがある。
(3.29 )
外国人 に 日本語 を 教える という 仕事 は 容易 な 仕事 で は ない 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
__CP-THT
IP-SUB
NP-SBJ
*arb*
PP-OB2
NP
N
外国人
P-ROLE
に
PP-OB1
NP
N
日本語
P-ROLE
を
VB
教える
___P-COMP
という
N
仕事
P-OPTR
は
NP-PRD
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
容易
AX
な
N
仕事
AX
で
P-OPTR
は
NEG
ない
PU
。
[1221_textbook_kisonihongo@4,22 ]
(3.30 )
この 計画 の 狙い は 何 か との 質問 が あっ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
__CP-THT
CP-QUE
IP-SUB
PP-SBJ
NP
PP
NP;{PLAN_1210}
D
この
N
計画
P-ROLE
の
N
狙い
P-OPTR
は
NP-PRD
WPRO
何
AX
*
P-FINAL
か
___P-COMP
との
N
質問
P-ROLE
が
VB
あっ
AXD
た
PU
。
[1210_textbook_kisonihongo@4,28 ]
主要部内在型関係節の例はコーパス内でそれほど多くはないが,一定数存在する。 主要部内在型関係節では,主要部「の」と同一指示と見なされる構成素 (NP または PP) の直前に (PP (NP *T*) (P-ROLE *.e*)) を置く。
(3.31 )
財布 が 落ち て いる の を 拾っ た 。
IP-MAT
NP-SBJ;{SPEAKER_34}
*speaker*
PP-OB1
NP
IP-REL
___PP
NP
*T*
__P-ROLE
*.e*
PP-SBJ
NP
N
財布
P-ROLE
が
VB
落ち
P-CONN
て
VB2
いる
N
の
P-ROLE
を
VB
拾っ
AXD
た
PU
。
[34_misc_EXAMPLE@10,7 ]
(3.32 )
それから 星 の 破片 の 落ち た の を 拾っ て 来 て 、 かろく 土 の 上 へ 乗せ た 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
CONJ
それから
PP-OB1
NP
IP-REL
___PP
NP
*T*
__P-ROLE
*.e*
PP-SBJ
NP
PP
NP
N
星
P-ROLE
の
N
破片
P-ROLE
の
VB
落ち
AXD
た
N
の
P-ROLE
を
IP-ADV-CONJ
VB
拾っ
P-CONN
て
VB2
来
P-CONN
て
PU
、
ADVP
ADJI
かろく
PP
NP
PP
NP
N
土
P-ROLE
の
N
上
P-ROLE
へ
VB
乗せ
AXD
た
PU
。
[50_aozora_Natsume-1908@12,9 ]
被修飾の主名詞と同一指示となる指示代名詞,または指示的表現が名詞修飾節の中に現れることがある。 これは関係節(IP-REL)の特別なタイプであり,主名詞が関係節の中で任意文法役割を持つか, あるいは文法役割を帯びた名詞句を修飾する構成素(所有格PP や関係節等)の内部からの「移動」である時に見られることがある。 このときトレースは (P-ROLE ***) の投射する PP の下に置かれる。 同時に,同一指示の要素にはソート情報が与えられる。
(3.33 )
有間皇子 が どう し て も そこ から 逃れる こと の でき なかっ た 悲運
FRAG
NP;{MISFORTUNE}
___IP-REL
PP-SBJ
NP
NPR
有間皇子
P-ROLE
が
PP-SCON-CND
IP-ADV
ADVP-CMPL
WADV
どう
VB
し
P-CONN
て
P-OPTR
も
PP-OB1
NP
IP-EMB
___PP
NP
*T*
__P-ROLE
***
PP
NP;{MISFORTUNE}
PRO
そこ
P-ROLE
から
VB
逃れる
N
こと
P-ROLE
の
VB
でき
NEG
なかっ
AXD
た
N
悲運
[7_misc_EXAMPLE2@27,24,3 ]
(3.34 )
自分 の 兄弟 だけ が その 中 で 苦しん で いる 壕 の なか
FRAG
NP
PP
NP;{FOXHOLE_45}
___IP-REL
___PP
NP
*T*
__P-ROLE
***
PP-SBJ
NP
PP
NP;{SELF}
PRO
自分
P-ROLE
の
N
兄弟
P-OPTR
だけ
P-ROLE
が
PP
NP
D;{FOXHOLE_45}
その
N
中
P-ROLE
で
VB
苦しん
P-CONN
で
VB2
いる
N
壕
P-ROLE
の
N
なか
[8_misc_EXAMPLE2@9,6,5 ]
PNLP のカテゴリーは下記の図式によっては適切に表すことができない名詞修飾を指すのに用いられる。
(NP (D ...) (N ...))
(NP (PNL ...) (N ...))
(NP (PP (NP ...) (P-ROLE の)) (N ...))
(NP (IP-REL ...) (N ...))
(NP (IP-EMB ...) (N ...))
(NP (CP-THT (IP-SUB ...) (P-COMP という)) (N ...))
例えば,名詞修飾を行うイ形容詞の中には,修飾先の主名詞がいかなる直接的な意味でもその形容詞の主語ではなく, 修飾要素が主名詞の命題的内容を表すこともないものが存在する。
(3.35 )
昨晩 古い 友人 が 訪ね て 来 た
IP-MAT
NP-TMP
N
昨晩
PP-SBJ
___NP
__PNLP
ADJI
古い
___N
友人
P-ROLE
が
VB
訪ね
P-CONN
て
VB2
来
AXD
た
[2_misc_EXAMPLE2@7,6,10 ]
連体句(PNLP)は連体詞(PNL)を主要部とするものではないことに注意されたい。 PNL はそれ自体修飾されることはなく,主節でも副詞節でも述語の位置に現れることはなく, いくつかの例外的な場合を除いて,N を修飾し,その N の投射する NP の元に置かれる(3.2.5 節を参照)。
本節では量化に用いられる要素を主要部とする様々な表現について見る。 これらの要素は, (i) 数詞を含まず,それ独自で量化の機能を果たすもの, (ii) 数詞を含むもの, (iii) 不定性を表す疑問詞で,助詞「も」「か」と結びついて量化表現となるものの3つに分類することができる。 これらの要素を,これから「量化作用素」と呼ぶことにする。 量化作用素は,修飾要素を含んで,直ちにNPを投射する。 このNP投射を「量化的NP」と呼ぶことにする。 量化的NPは,独立した構成素として振る舞うこともあれば, 量化の領域を表現する「ホスト名詞」と結合することもある。
数詞(NUM)あるいは疑問数詞(WNUM)なしで, 独立して量化作用素となる語をQ(量化詞)とラベル付けする。 Q は常に名詞句(NP)を投射する。
(3.36 )
泥棒 は 店 から 宝石 を すべて 奪い去っ た .
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
泥棒
P-OPTR
は
PP-OB2
NP
N
店
P-ROLE
から
PP-OB1
NP
N
宝石
P-ROLE
を
___NP;*OB1*
__Q
すべて
VB
奪い去っ
AXD
た
PU
.
[338_dict_vv-lexicon@21,20 ]
本コーパスにおいて比較的頻度の高い Q を以下に示す。
全て, ことごとく, よろず, 一同, 一切, 全部, 皆, 全, 全員, 全額, 全体, 全量, 全般, 全域, 全長, 全国, 全世帯, 全世界, 等
おのおの(各々), それぞれ, めいめい, 各, 各位, 各国, 各地, 各駅, 各戸, 各所, 各要素, 各紙, 各自, 各項目
毎回, 毎夜, 毎年, 毎年度, 毎度, 毎日, 毎時, 毎晩, 毎月, 毎朝, 毎秒, 毎試合, 毎週, 毎号
両方, 双方, 両人, 両件, 両側, 両国, 両手, 両日, 両案, 両者, 両親, 両論, 両足, 両郡, 両陣営, 両面, 両駅, 同士, 共
多く, 多勢, 多少, 多数, 多額, かなり, ぎょうさん, 大半, 大抵, 大方, たくさん, たっぷり, 誰一人, すこし, ちょっと, なにひとつ, ほとんど, もろもろ, 一杯, 一部, 半分, 半数, 大部分, 大量, 定量, 小量, 少量, 少し, 少数, 幾分, 幾多, 悉く, 数々, 数多, 数多く, 殆ど, 倍, 倍量, 若干
数詞(NUM)または疑問数詞(WNUM)を伴う量化表現を, 序数的か基数的かに関わらず, NUMCLP(助数詞句)とラベル付けする。
(3.37 )
青春時代 、 友達 が デート __に 明け暮れる の をよそに 、 僕 は 家 に 一人 こもっ て SF を 読ん で い た 。
IP-MAT
PP
NP
IP-EMB
NP-TMP
N
青春時代
PU
、
PP-SBJ
NP
N
友達
P-ROLE
が
PP
NP
N
デート
P-ROLE
__に
VB
明け暮れる
N
の
P-ROLE
をよそに
PU
、
PP-SBJ
NP
PRO
僕
P-OPTR
は
IP-ADV-SCON
PP
NP
N
家
P-ROLE
に
NP-ADV
NUMCLP
NUM
一人
VB
こもっ
P-CONN
て
PP-OB1
NP
N
SF
P-ROLE
を
VB
読ん
P-CONN
で
VB2
い
AXD
た
PU
。
[454_textbook_djg_advanced@21 ]
(3.38 )
この アート は 何百 年 も 続い て いる の です
IP-MAT
PP-SBJ
NP
D
この
N
アート
P-OPTR
は
PP-MSR
NP
__NUMCLP
WNUM
何百
CL
年
P-OPTR
も
VB
続い
P-CONN
て
VB2
いる
FN
の
AX
です
[18_ted_talk_1@12 ]
(3.39 )
第一 章 総則
FRAG
NP
__NUMCLP
NUM
第一
CL
章
N
総則
[2_law_h15A119@3 ]
NUMCLP は典型的には NUM または WNUM と助数詞(CL)から成るが, NUM または WNUM だけで,CL を伴うことなく NUMCLP を作ることもある。 これには2つの場合があり,1つはCLが本当にない場合である。
(3.40 )
私 は まだ 十八 です わ 。
CP-FINAL
IP-SUB
PP-SBJ
NP
PRO
私
P-OPTR
は
ADVP
ADV
まだ
NP-PRD
___NUMCLP
__NUM
十八
AX
です
P-FINAL
わ
PU
。
[213_textbook_djg_gram_terms@14,13 ]
(3.41 )
もう 六 時 半 で 、 針 は 落ちつき払っ て 進ん で いく 。
IP-MAT
IP-ADV-CONJ
NP-SBJ
*pro*
ADVP
ADV
もう
NP-PRD
__NUMCLP
NUM
六
CL
時
___NUMCLP
___NUM
半
AX
で
PU
、
PP-SBJ
NP
N
針
P-OPTR
は
IP-ADV-SCON
VB
落ちつき払っ
P-CONN
て
VB
進ん
P-CONN
で
VB2
いく
PU
。
[51_aozora_Harada-1960@9,14,15 ]
もう1つは,「一人」(ひとり)「二人」(ふたり)のように, 熟字訓で読まれる場合である。
(3.42 )
第2テノール の 一人 は パヴァロッティ だ 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PP
NP
N
第2テノール
P-ROLE
の
__NUMCLP
___NUM
一人
P-OPTR
は
NP-PRD
NPR
パヴァロッティ
AX
だ
PU
。
[229_misc_JSeM_beta_150530@10,11 ]
ここから分かることとして, NUMCLP の主要部となる必須要素は NUM のほうである。
CL(助数詞)は基本的に名詞的な性質を持つ。 典型的な CL には次のようなものがある。
円, 回, 階, 階建て, ヶ月, ヶ国, 項, 号, 時, 時間, 時間目, セット, 足, (いく)つ, 月, 度, 名, 日, 人, 年, 年間, パーセント, 杯, 匹, 分, 本, 枚, 面
しかし,CL はこれらだけに限らない。 以下の例 (3.43 ) のように, 一般名詞であっても,柔軟にCLの役割を果たすことがある (「特別委員会」が一般名詞であることは,項位置への出現可能性から明らかである。 「*個が開かれた」と「特別委員会が開かれた」を比較のこと)。
(3.43 )
次 に 、 ただいま 決定 いたし まし た 特別委員会 を 除く 四 特別委員会 につきまして は 、 理事会 で 合意 いたし まし た とおり 設置 する こと と し 、 本日 の 本会議 において 議決 する に 御異議 あり ませ ん か 。
CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
PP
NP
N
次
P-ROLE
に
PU
、
PP
IP-NMZ
IP-ADV-CONJ
PP
NP
IP-EMB
NP-ADV
IP-EMB
PP
NP
IP-EMB
NP-SBJ
*exp*
PP-OB1
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-TMP
N
ただいま
VB
決定
VB0
いたし
AX
まし
AXD
た
N
特別委員会
P-ROLE
を
VB
除く
NML
__NUMCLP
NUM
四
___CL
特別委員会
P-ROLE
につきまして
P-OPTR
は
PU
、
PP
NP
N
理事会
P-ROLE
で
VB
合意
VB0
いたし
AX
まし
AXD
た
N
とおり
VB
設置
VB0
する
N
こと
P-ROLE
と
VB
し
PU
、
PP
NP
PP
NP
N
本日
P-ROLE
の
N
本会議
P-ROLE
において
VB
議決
VB0
する
P-ROLE
に
NP-OB1
N
御異議
VB
あり
AX
ませ
NEG
ん
P-FINAL
か
PU
。
[28_diet_kaigiroku-14@49,52 ]
NUMCLP はその複合的な成り立ちにも拘わらず, あたかも1語かのように,Nとして振る舞う。 NUMCLPは,Q と同様に,常に NP を投射する。 数量表現への修飾は,NUMCLP投射とそのさらに上のNP投射の間で行われる。
(3.44 )
この 店 は 朝 7 時 から 営業 し て いる 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{SHOP_219}
D
この
N
店
P-OPTR
は
PP-MSR
___NP
N
朝
__NUMCLP
NUM
7
CL
時
P-ROLE
から
VB
営業
VB0
し
P-CONN
て
VB2
いる
PU
。
[219_textbook_kisonihongo@14,11 ]
(3.45 )
この 3 年間 は 消費 が 冷え込ん で いる .
IP-MAT
PP-TMP
___NP
D
この
__NUMCLP
NUM
3
CL
年間
P-OPTR
は
PP-SBJ
NP
N
消費
P-ROLE
が
VB
冷え込ん
P-CONN
で
VB2
いる
PU
.
[2499_dict_vv-lexicon@6,3 ]
(3.46 )
がらんと し た 旅館 の 一 室 。
FRAG
___NP;{ROOM_20}
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADVP-CMPL
ADV
がらんと
VB
し
AX
た
PP
NP
N
旅館
P-ROLE
の
__NUMCLP
NUM
一
CL
室
PU
。
[20_aozora_Kajii-1925@19,2 ]
(3.47 )
各店 も 対策 に 追わ れる 1 年 に なる だろう 。
IP-MAT
NP-SBJ
*exp*
IP-SMC-OB1
___NP-PRD
IP-EMB
PP-SBJ
NP
Q
各店
P-OPTR
も
PP-LGS
NP
N
対策
P-ROLE
に
VB
追わ
PASS
れる
__NUMCLP
NUM
1
CL
年
AX
に
VB
なる
MD
だろう
PU
。
[62_news_KAHOKU_113@23,5 ]
3.3.1.3 疑問詞を伴う量化表現(W表現)
疑問詞(すなわち,疑問代名詞(WPRO), 疑問限定詞(WD),疑問副詞(WADV),および疑問数詞(WNUM))を含む表現は, 助詞「か」または「も」を伴って,量化作用素をつくる。 便宜的にこれらを「W表現」と呼ぶことにする。
W 表現が「も」を伴う場合,表現全体は譲歩(自由選択)という量化の働きを持つ。
(3.48 )
試験 に 通り さえ すれ ば 、 何 も 問題 は ない 。
IP-MAT
IP-ADV-SCON-CND
NP-SBJ;{MAN_830}
*pro*
PP
NP
N
試験
P-ROLE
に
VB
通り
P-OPTR
さえ
VB2
すれ
P-CONN
ば
PU
、
NP;*SBJ*
__WPRO
何
___P-OPTR
も
PP-SBJ
NP
N
問題
P-OPTR
は
ADJI
ない
PU
。
[830_textbook_kisonihongo@22,24 ]
(3.49 )
会計士 は 誰 も 会議 に 出席 し なかっ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
会計士
P-OPTR
は
NP;*SBJ*
__WPRO
誰
___P-OPTR
も
PP
NP
N
会議
P-ROLE
に
VB
出席
VB0
し
NEG
なかっ
AXD
た
PU
。
[1024_misc_JSeM_beta_150530@9,11 ]
(3.50 )
津波 は 誰 に も 止め られ ない 。
IP-MAT
PP-OB1
NP
N
津波
P-OPTR
は
PP-SBJ
NP
__WPRO
誰
P-ROLE
に
___P-OPTR
も
VB
止め
VB2
られ
NEG
ない
PU
。
[57_news_KAHOKU_63@10,14 ]
W 表現が「か」を伴う場合,表現全体で不定指示の存在量化的な働きをする。
(3.51 )
社員 が 誰 か 移動 を 希望 し て いる 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
社員
P-ROLE
が
NP;*SBJ*
__WPRO
誰
___P-OPTR
か
PP-OB1
NP
N
移動
P-ROLE
を
VB
希望
VB0
し
P-CONN
て
VB2
いる
PU
。
[27_misc_JSeM_beta_150530@9,11 ]
また,複合的な助詞「もかも」が W表現に付く例があり,自由選択としての解釈を受ける。 本コーパスではこのような表現は全体で一語として扱われ,Qとアノテートされる。
(3.52 )
「 何もかも が 失敗 だ 、 ワトスン
IP-MAT
PUL
「
PP-SBJ
NP
__Q
何もかも
P-ROLE
が
NP-PRD
N
失敗
AX
だ
PU
、
NP-VOC;{WATSON}
NPR
ワトスン
[329_aozora_Doyle-1905@6 ]
3.3.2 量化的NPの真正な等位接続と,見せかけの等位接続
量化作用素は,(NPを投射しながら)並列句(CONJP) ( 3.5 節を参照)を構成することがある。 以下の例では 選言的な接続助詞(P-CONN)「か」が2つの数量表現NPを等位接続する。
(3.53 )
たとえば この あいだ も 二 晩 か 三 晩 かかっ て 小さな 額ぶち を つくり まし た 。
IP-MAT
NP-SBJ;{GREGOR}
*pro*
ADVP
ADV
たとえば
PP-TMP
NP
D
この
N
あいだ
P-OPTR
も
IP-ADV-SCON
NP-SBJ
*exp*
NP-OB1
*pro*
NP-MSR
___CONJP
___NP
NUMCLP
NUM
二
CL
晩
__P-CONN
か
___NP
NUMCLP
NUM
三
CL
晩
VB
かかっ
P-CONN
て
PP-OB1
NP;{FRAME}
PNL
小さな
N
額ぶち
P-ROLE
を
VB
つくり
AX
まし
AXD
た
PU
。
[196_aozora_Harada-1960@28,21,22,30 ]
また,次の例では NUMCLP が投射する複数の NP が, 対応する,音形のあるような P-CONN なしで等位接続されている。
(3.54 )
つづい て 和尚 は 、 第二 、 第三 、 第四 の 抽斗 を 開け た
IP-MAT
IP-ADV-SCON
NP-SBJ
*exp*
VB
つづい
P-CONN
て
PP-SBJ
NP
N
和尚
P-OPTR
は
PU
、
PP-OB1
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
CONJP
__NP
___NUMCLP
NUM
第二
PU
、
CONJP
___NP
___NUMCLP
NUM
第三
PU
、
___NP
___NUMCLP
NUM
第四
AX
の
N
抽斗
P-ROLE
を
VB
開け
AXD
た
[45_aozora_Togawa-1937-3@24,25,31,32,37,38 ]
以上は,意味の観点から考えても真正の等位接続である。
一方で,連続した量化作用素が真正の等位接続として分析できない場合は, それぞれの量化作用素にNPを投射させることをせず, 同一の NP 投射を共有し,その下で並置されるものとする。 日付や時刻などが典型例である。
(3.55 )
さわやか な 九 月 一日 の 朝 でし た 。
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
NP-PRD
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
さわやか
AX
な
PP
__NP
___NUMCLP
NUM
九
CL
月
___NUMCLP
NUM
一日
P-ROLE
の
N
朝
AX
でし
AXD
た
PU
。
[16_aozora_Miyazawa-1934@13,14,19 ]
(3.56 )
六 時 半 に W君 が 来 た 。
IP-MAT
PP-TMP
__NP
___NUMCLP
NUM
六
CL
時
___NUMCLP
NUM
半
P-ROLE
に
PP-SBJ
NP
NPR
W君
P-ROLE
が
VB
来
AXD
た
PU
。
[111_aozora_Dazai-1-1940@3,4,9 ]
もう1つの真正でない例は,NUMCLPの重畳で,分配性と全体性を強調するような構文である。
(3.57 )
「 それ を 一 枚 一 枚 はがし て 、 貧しい 人 に あげ なさい 。
CP-IMP
PUL
「
IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
PP-OB1
NP
PRO
それ
P-ROLE
を
IP-ADV-CONJ
__NP;*OB1*
___NUMCLP
NUM
一
CL
枚
___NUMCLP
NUM
一
CL
枚
VB
はがし
P-CONN
て
PU
、
PP
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJI
貧しい
N
人
P-ROLE
に
VB
あげ
VB2
なさい
PU
。
[271_aozora_Yuki-1-2000@14,15,20 ]
3.3.3 量化的NPとホスト名詞との関連付け
量化的NPがある別のNPと量化的な関係にあるとは, 当該の量化的NPが,もう一方のNPの数量または割合を特定しているとき(すなわち,もう一方のNPが量化的NPの量化域になっているとき)にいう。 このとき,量化的NPではないほうのNPは,「ホストNP」と呼ばれる。 例えば,(3.58 )では,量化的NP「多く」があり, そのホストNPは「人」である。 「多く」は,「人」の数量が一定以上あることを示している。
(3.58 )
多く の 人 が その 本 を 褒めちぎっ て いる .
IP-MAT
PP-SBJ
NP
IP-REL;*
NP-SBJ
*T*
__NP-PRD
Q
多く
AX
の
___N
人
P-ROLE
が
PP-OB1
NP
D
その
N
本
P-ROLE
を
VB
褒めちぎっ
P-CONN
て
VB2
いる
PU
.
[2898_dict_vv-lexicon@7,12 ]
量化的NPと,それが隣接するNPとの間の関係は,いつも量化的であるとは限らない。 (__Kainoki_414_aozora_Harada_1960__)は明らかな非量化的な関係の例である (「両腕」は「父親」の数量を示しているわけではない):
(3.59 )
かけ て いっ た 父親 の 両腕 の なか に
PP
NP
PP
NP
PP
NP;{FATHER}
IP-REL
NP-SBJ
*T*
VB
かけ
P-CONN
て
VB2
いっ
AXD
た
__N
父親
P-ROLE
の
___Q
両腕
P-ROLE
の
N
なか
P-ROLE
に
[46#414_aozora_Harada-1960@18,22 ]
しかも, 3.3.5.3 節で見るように, これらの関係が量化的か否かについて,統語的配置から一意的に決まるとも限らない。 このため,量化的NPともう1つのNPとの関係が確かに量化的である場合, ソート情報( 1.8 節を参照)を追加することで 量化的関係を明示する。 大まかな方針としては,
量化表現がホスト名詞の投射の内側にあるときには, ;* が量化表現の投射する IP-REL に添えられる;
(3.60 )
すべて の 日本人研究者 が ノーベル賞 を 欲し がっ て いる 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{PERSON}
__IP-REL;*
NP-SBJ
*T*
___NP-PRD
Q
すべて
AX
の
N
日本人研究者
P-ROLE
が
PP-OB1
NP
NPR
ノーベル賞
P-ROLE
を
ADJI
欲し
AX
がっ
P-CONN
て
VB2
いる
PU
。
[44_misc_JSeM_beta_150530@4,7 ]
量化表現がホスト名詞から遊離しているときには, ;*SBJ* ,;*OB1* など,ホストの文法役割 が量化表現の投射する NP に添えられる (sectionref:[__annotationofgrammaticalroles__] 節も参照);
(3.61 )
ステーキ用 の 肉 が たくさん 冷凍庫 に 入っ て いる 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PP
NP
N
ステーキ用
P-ROLE
の
N
肉
P-ROLE
が
__NP;*SBJ*
Q
たくさん
PP
NP
N
冷凍庫
P-ROLE
に
VB
入っ
P-CONN
て
VB2
いる
PU
。
[155_misc_JSeM_beta_150530@14 ]
また,量化子NPが独立した項であり, 同時に,先行する主題化された NP の割合を表すような場合がある。 この場合, 主題NPを表す空代名詞 *pro* が量化子NPの所有者位置におかれ, 主題NPと空代名詞の両方に同一のソート情報を加えることにする (3.3.5.6 節を参照)。
(3.62 )
集合 は 半分 が 駄目 だ
IP-MAT
PP
NP;{WHOLE_47}
N
集合
P-OPTR
は
P-ROLE
***
PP-SBJ
NP
PP
__NP;{WHOLE_47}
*pro*
P-ROLE
*の*
___Q
半分
P-ROLE
が
ADJN
駄目
AX
だ
[10_misc_EXAMPLE2@13,17 ]
(3.63 )
人間 の 体 は 60 % が 水 、 魚 は 75 % 、 くらげ にいたって は 96 % が 水 だ 。
IP-MAT
IP-ADV-CONJ
IP-ADV-CONJ
PP-TPC
NP;{BODY}
PP
NP
N
人間
P-ROLE
の
N
体
P-OPTR
は
P-ROLE
***
PP-SBJ
__NP
PP
NP;{BODY}
*pro*
___P-ROLE
*の*
NUMCLP
NUM
60
CL
%
P-ROLE
が
NP-PRD
N
水
AX
*
PU
、
PP-TPC
NP;{FISH}
N
魚
P-OPTR
は
P-ROLE
***
NP-SBJ
PP
NP;{FISH}
*pro*
P-ROLE
*の*
NUMCLP
NUM
75
CL
%
PU
、
PP-TPC
NP;{JELLYFISH}
N
くらげ
P-ROLE
にいたって
P-OPTR
は
P-ROLE
***
PP-SBJ
NP
PP
NP;{JELLYFISH}
*pro*
P-ROLE
*の*
NUMCLP
NUM
96
CL
%
P-ROLE
が
NP-PRD
N
水
AX
だ
PU
。
[332_textbook_djg_advanced@19,23 ]
3.3.4 連体修飾するW表現のためのフラットなアノテーション
W表現による量化的NPには,「だれ+も」「何+か」のように,W表現+P からなるもの (3.64 ) があり, また,「どの+人+も」のように,W表現+N+P からなるものもある (3.65 )。
(3.64 )
振り返っ て 後ろ を 見 た が 、 誰 も い なかっ た .
IP-MAT
PP-CONJ
IP-ADV
NP-SBJ
*pro*
IP-ADV-CONJ
VB
振り返っ
P-CONN
て
PP-OB1
NP
N
後ろ
P-ROLE
を
VB
見
AXD
た
P-CONN
が
PU
、
NP-SBJ
*pro*
NP;*SBJ*
__WPRO
誰
___P-OPTR
も
VB
い
NEG
なかっ
AXD
た
PU
.
[2817_dict_vv-lexicon@28,30 ]
(3.65 )
どの 社員 も 異動 を 希望 し て い ない 。
IP-MAT
NP-SBJ
__WD
どの
___N
社員
___P-OPTR
も
PP-OB1
NP
N
異動
P-ROLE
を
VB
希望
VB0
し
P-CONN
て
VB2
い
NEG
ない
PU
。
[127_misc_JSeM_beta_150530@3,5,7 ]
W表現+P(例:「だれも」)は,それ全体で量化的NPとなり,さらにホストNPを外部に持つことがある。 例えば,(3.66 ) では, 「誰も」のホストNPは,主語NP「会計士たち」である。
(3.66 )
会計士たち は 誰 も 会議 に 出席 し なかっ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
___NP
N
会計士たち
P-OPTR
は
___NP;*SBJ*
__WPRO
誰
___P-OPTR
も
PP
NP
N
会議
P-ROLE
に
VB
出席
VB0
し
NEG
なかっ
AXD
た
PU
。
[1020_misc_JSeM_beta_150530@9,11,8,3 ]
一方で,W表現+N+P (例:「何の+N+P」「どの+N+P」)については, その中のNはいつも量化的NPの量化域となるのであり, 意味的な観点からは,NはW表現のホスト名詞と呼ばれてしかるべきものである。 しかし,本ツリーバンクにおける構文の検索の便宜のことを考慮し, この構文に対して,特別に,フラットなアノテーションを行う。 ソート情報は使われない。
(3.67 )
私たち に は 何 の 問題 も ない わ 。
CP-FINAL
IP-SUB
PP-SBJ
NP
PRO
私たち
P-ROLE
に
P-OPTR
は
NP-OB1
PP
NP
__WPRO
何
___P-ROLE
の
___N
問題
P-OPTR
も
ADJI
ない
P-FINAL
わ
PU
。
[608_fiction_DICK-1952@14,16,18 ]
(3.68 )
どの 取引先 から も 注文 が 来 まし た 。
IP-MAT
PP
NP
__WD
どの
___N
取引先
P-ROLE
から
P-OPTR
も
PP-SBJ
NP
N
注文
P-ROLE
が
VB
来
AX
まし
AXD
た
PU
。
[4_textbook_purple_intermediate@4,6 ]
W表現の「ホスト名詞」は,実質的には, (3.66 )のように W表現から遊離している名詞句ばかりである。
3.3.5 量化的NPの様々な構文
日本語において,量化的NPは様々な構文を取りうる。
[N の] Q/NUMCLP/W (例:学生の全員が / 学生の3人が / 学生のだれもが)
N Q/NUMCLP (例:学生全員が / 学生3人が)
[Q/NUMCLP/W の] N (例:全員の学生が / 3人の学生が / どれかの学生が)
N ... [Q/NUMCLP/W] (もしくは逆順のもの) (例:学生が全員(逮捕された) / 学生が3人(逮捕された) / 学生はだれも(逮捕されなかった))
[Q/NUMCLP/W] (独立,項的) (例:全員が / 3人が / だれもが)
[Q/NUMCLP/W] (独立,副詞的) (例:数日(休んだ) / 3日(休んだ) / 何日も(休んだ))
以下,これらの構文を一つ一つ解説する。
3.3.5.1 主要部として働く Q / NUMCLP / W表現 で,修飾を受けるような場合:[N の] Q/NUMCLP/W
その量化の範囲が,自らを修飾する連体修飾句(所有格PPであることが多い)で示されるような量化詞のアノテーションは, 通常のNPのアノテーションと何ら変わりはない。 ソート情報は不要である。
(3.69 )
ヨーロッパ人 の 全員 が ヨーロッパ の 中 を 自由 に 移動 できる 。
IP-MAT
PP-SBJ
__NP
PP
NP
N
ヨーロッパ人
P-ROLE
の
___Q
全員
P-ROLE
が
PP-OB1
NP
PP
NP
NPR
ヨーロッパ
P-ROLE
の
N
中
P-ROLE
を
ADVP
ADJN
自由
AX
に
VB
移動
VB0
できる
PU
。
[311_misc_JSeM_beta_150530@3,10 ]
3.3.5.2 同格の Q / NUMCLP:N Q/NUMCLP
Q や NUMCLP が,何かしらの名詞の直後に現れる場合がある。 このような場合,ホストの投射する NP の下に PRN を置き, Q または NUMCLP の投射する NP をその下に配置する: (NP (N ホスト) (PRN (NP (Q/NUMCLP 量化表現))))
(3.70 )
初 の 仙台公演 で は ビゼー の 華麗 な 音楽 に 彩ら れ た 名作 「 カルメン 」 全 4 幕 を 上演 し ます 。
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
PP
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
初
AX
の
N
仙台公演
P-ROLE
で
P-OPTR
は
PP-OB1
__NP
PRN
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
PP-LGS
NP
PP
NP
NPR
ビゼー
P-ROLE
の
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
華麗
AX
な
N
音楽
P-ROLE
に
VB
彩ら
PASS
れ
AX
た
N
名作
PUL
「
___NPR
カルメン
PUR
」
___PRN
NP
___Q
全
___NUMCLP
NUM
4
CL
幕
P-ROLE
を
VB
上演
VB0
し
AX
ます
PU
。
[51_news_KAHOKU_61@20,55,59,61,63 ]
Q または NUMCLP が投射する量化的NPが,直前の名詞を量化させている場合には, これらの間に量化的関係があると認め, 最小のソート情報 ;* が量化的NPに添えられる ((NP (N ホスト) (PRN (NP;* (Q/NUMCLP 量化表現)))) )。 この [ホスト + Q/NUMCLP] という対の作るホスト名詞は通常,特定の指示対象を持つ。 そして,この外側のより大きなNPは,直後に助詞が続いたり,それ自身が名詞述語(NP-PRD)になったりする。
(3.71 )
社員 全員 が 書庫 の 鍵 を 持っ て いる 。
IP-MAT
PP-SBJ
__NP
___N
社員
___PRN
___NP;*
___Q
全員
___P-ROLE
が
PP-OB1
NP
PP
NP
N
書庫
P-ROLE
の
N
鍵
P-ROLE
を
VB
持っ
P-CONN
て
VB2
いる
PU
。
[320_misc_JSeM_beta_150530@3,4,6,7,8,10 ]
(3.72 )
宮城県内外 の 自治体職員 や 企業 の 防災担当者 ら 40 人 が 参加 。
IP-MAT
PP-SBJ
__NP
PP
NP
N
宮城県内外
P-ROLE
の
NML
CONJP
NP
N
自治体職員
P-CONN
や
NP
PP
NP
N
企業
P-ROLE
の
N
防災担当者
___N
ら
___PRN
___NP;*
___NUMCLP
NUM
40
CL
人
P-ROLE
が
VB
参加
PU
。
[12_news_KAHOKU_34@3,26,28,29,30 ]
上記以外の場合はソート情報はつけない。 以下の例(3.73 )は, 単なる同格であって,量化関係にはない(「僕たち」と呼ばれうるものが3つ存在しているわけではない)。
(3.73 )
ナニー が 先頭 に なっ て 、 僕たち 三 人 は ベッド の 足元 に ひざまずい た 。
IP-MAT
IP-ADV-SCON
PP-SBJ
NP;{NANNIE}
NPR
ナニー
P-ROLE
が
IP-SMC-OB1
NP-PRD
N
先頭
AX
に
VB
なっ
P-CONN
て
PU
、
PP-SBJ
__NP;{SPEAKER+AUNT+NANNIE}
___PRO
僕たち
___PRN
NP
___NUMCLP
NUM
三
CL
人
P-OPTR
は
PP
NP
PP
NP
N
ベッド
P-ROLE
の
N
足元
P-ROLE
に
VB
ひざまずい
AXD
た
PU
。
[121_aozora_Joyce-1914@22,23,25,27 ]
NUMCLP の直後に括弧で囲まれた NUMCLP があるときは,後者を投射する NP を PRN で包む。
(3.74 )
1926 年 ( 大正 15 年 ) に 仙台市電 が 開業 し た 。
IP-MAT
PP
__NP
___NUMCLP
NUM
1926
CL
年
___PRN
PUL
(
___NP
NPR
大正
___NUMCLP
NUM
15
CL
年
PUR
)
P-ROLE
に
PP-SBJ
NP
NPR
仙台市電
P-ROLE
が
VB
開業
VB0
し
AXD
た
PU
。
[157_wikipedia_Sendai_City@3,4,9,12,15 ]
3.3.5.3 Q による連体修飾:[Q の] N
[Q + の] という形式をとる連体修飾表現には,それが指示表現か数量表現であるかに応じて, 2種類の異なる分析が可能であり, アノテーションに際してはこれらのうちの1つを選ばなくてはならない。 例えば,(3.75 ) に含まれる, 「両方のチーム」という表現は,それだけでは意味的に曖昧である。 「2つのチーム(例えば,巨人と阪神)の双方」という解釈が可能で,また, 「両方の個体(例えば,孫正義と王貞治)の経営する(1つの)チーム」という解釈もありうる。 前者の場合,Q を伴う表現は,ホスト名詞の数量を真正に示している。 後者の場合,Q を伴う表現は指示表現である。 どちらがアノテーションとして適切かということは, 文脈を参照することによってはじめて決定することができる。 今問題にしている例については,述語「攻め合う」により, 「両方」が「チーム」を量化していると確定するのに十分な文脈が提供されている。 そこで,この例における [Q + の] は IP-REL;* とラベル付けされる。
(3.75 )
両方 の チーム が 攻め 合っ た .
IP-MAT
PP-SBJ
___NP
___IP-REL;*
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
__Q
両方
___AX
の
N
チーム
P-ROLE
が
VB
攻め
VB2
合っ
AXD
た
PU
.
[1413_dict_vv-lexicon@8,4,10,3 ]
以下は,真正に量化的であるNPの追加の例である:
(3.76 )
この 音楽 は 一部 の 人々 に 熱狂的 に 支持 さ れ て いる 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
D
この
N
音楽
P-OPTR
は
PP-LGS
___NP
___IP-REL;*
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
__Q
一部
___AX
の
N
人々
P-ROLE
に
ADVP
ADJN
熱狂的
AX
に
VB
支持
VB0
さ
PASS
れ
P-CONN
て
VB2
いる
PU
。
[20_misc_EXAMPLE2@16,11,12,18 ]
(3.77 )
空 に は 無数 の 星 が きらめい て い た 。
IP-MAT
PP
NP
N
空
P-ROLE
に
P-OPTR
は
PP-SBJ
___NP
___IP-REL;*
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
__Q
無数
___AX
の
N
星
P-ROLE
が
VB
きらめい
P-CONN
て
VB2
い
AXD
た
PU
。
[640_textbook_TANAKA@16,11,12,18 ]
一方,Q を含む表現が指示表現である場合, [Q + の] はPPとして分析され, ソート情報 ;* は用いられない (例:(NP (PP (NP (Q 両方) の) (N チーム)) )。 連体修飾表現のIP-REL分析と属格PP分析の選択については, 4.23 節を参照。 以下は追加の例である:
THE FOLLOWING EXAMPLE NO LONGER WORKS! --> NOW IT SHOULD WORK!
(3.78 )
津波 の 爪痕 を 目 に 焼き付け 、 体験談 を それぞれ の 地元 に 持ち帰る
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
IP-ADV-SCON
PP-OB1
NP
PP
NP
N
津波
P-ROLE
の
N
爪痕
P-ROLE
を
PP
NP
N
目
P-ROLE
に
VB
焼き付け
PU
、
PP-OB1
NP
N
体験談
P-ROLE
を
PP
NP
IP-REL;*
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
Q
それぞれ
AX
の
N
地元
P-ROLE
に
VB
持ち帰る
[65_news_KAHOKU_39 ]
3.3.5.4 NUMCLP による連体修飾:[NUMCLP の] N
NUMCLP の投射する NP が「の」を伴って連体修飾を行うときには, 量化的NPと,修飾される N との関係に従って,3つの分析が可能である。
1つめは,NUMCLP の投射する NP が N の数量を表す場合である。 [NUMCLP + の] は IP-REL;* とラベル付けされる。
(3.79 )
二人 の 剣豪 は お互い に 剣 を 突き返し た .
IP-MAT
PP-SBJ
___NP
___IP-REL;*
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
__NUMCLP
NUM
二人
___AX
の
___N
剣豪
P-OPTR
は
PP
NP
PRO
お互い
P-ROLE
に
PP-OB1
NP
N
剣
P-ROLE
を
VB
突き返し
AXD
た
PU
.
[1660_dict_vv-lexicon@8,3,4,11,13 ]
次の例 (3.80 ) も数量表現の一種であるが, NUMCLP の投射する NP が個数ではなく, 割合を示している。 このときも,IP-REL にはソート情報 ;* が添えられる。
(3.80 )
この 1956 年 に アメリカ で 行わ れ た 調査 で は 30 % の 人 が 人生 が 非常 に 幸せ だ と 答え て い ます
IP-MAT
PP
NP
D
この
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-LGS
*pro*
PP
NP
NUMCLP
NUM
1956
CL
年
P-ROLE
に
PP
NP
NPR
アメリカ
P-ROLE
で
VB
行わ
PASS
れ
AXD
た
N
調査
P-ROLE
で
P-OPTR
は
PP-SBJ
___NP
___IP-REL;*
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
__NUMCLP
NUM
30
CL
%
___AX
の
___N
人
P-ROLE
が
CP-THT-OB1
IP-SUB
PP-SBJ
NP
N
人生
P-ROLE
が
ADVP
ADJN
非常
AX
に
ADJN
幸せ
AX
だ
P-COMP
と
VB
答え
P-CONN
て
VB2
い
AX
ます
[21_ted_talk_3@44,39,40,49,51 ]
2つめの場合は,NUMCLP の投射する NP が N の大きさ,順序等何らかの属性を表す場合である。 このとき,[NUMCLP + の] は IP-REL または IP-EMB とラベル付けされるが, ソート情報 ;* を添えることはない。
(3.81 )
すべて の 四 本 足 の 哺乳類 は 四 本 足 の 動物 だ 。
IP-MAT
PP-SBJ
___NP
IP-REL;*
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
Q
すべて
AX
の
___IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
__NUMCLP
NUM
四
CL
本
N
足
___AX
の
___N
哺乳類
P-OPTR
は
NP-PRD
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
NUMCLP
NUM
四
CL
本
N
足
AX
の
N
動物
AX
だ
PU
。
[1323_misc_JSeM_beta_150530@16,3,12,23,25 ]
(3.82 )
不意 に 第二 の アイディア が 起こっ た 。
IP-MAT
ADVP
ADJN
不意
AX
に
PP-SBJ
___NP
___IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
__NUMCLP
NUM
第二
___AX
の
___N
アイディア
P-ROLE
が
VB
起こっ
AXD
た
PU
。
[134_aozora_Kajii-1925@13,8,9,16,18 ]
(3.83 )
「 ハイ 、 あれ が 二十五 歳 の 時 の お話 で ござい ます よ 」
CP-FINAL
PUL
「
IP-SUB
NP-SBJ
*pro*
INTJ
ハイ
PU
、
NP-PRD
PP
___NP
___IP-EMB
PP-SBJ
NP
PRO
あれ
P-ROLE
が
NP-PRD
__NUMCLP
NUM
二十五
CL
歳
___AX
の
___N
時
P-ROLE
の
N
お話
AX
で
VB2
ござい
AX
ます
P-FINAL
よ
PUR
」
[146_aozora_Edogawa-1929@22,13,14,27,29 ]
3つめの分析は,NUMCLP の投射する NP が何らかの指示対象を持つ場合である。 このとき,[NUMCLP + の] は PP としてラベル付けされる。 PP にソート情報 ;* を添えることはない。
(3.84 )
運命 が 二人 の 仲 を 引き裂い た .
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
運命
P-ROLE
が
PP-OB1
___NP
___PP
NP
__NUMCLP
NUM
二人
___P-ROLE
の
___N
仲
P-ROLE
を
VB
引き裂い
AXD
た
PU
.
[2537_dict_vv-lexicon@12,9,10,15,17 ]
(3.85 )
二 月 十七 日 の 晩 で あっ た 。
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
___NP-PRD
___PP
NP
__NUMCLP
NUM
二
CL
月
___NUMCLP
NUM
十七
CL
日
___P-ROLE
の
___N
晩
AX
で
VB2
あっ
AXD
た
PU
。
[28_aozora_Mori-1912@7,12,4,5,17,19 ]
3.3.5.5 遊離量化表現の Q / NUMCLP / W表現
量化詞の遊離とは,それ自体で独立した節レベルの構成素を作ると同時に, 節レベルのホスト名詞を量化することからそう呼ばれる。 この場合の量化詞NPは必ずホスト名詞を量化する。 そのために,どの名詞句がホストなのかを示すために, ;*SBJ* , ;*OB1* 等のように 文法役割を伴ったソート情報が明記される。 遊離量化詞は,基本的に,何かしらの項をそのホスト名詞とし,自身は格助詞を伴わない。
(3.86 )
店 に は 、 人 が いっぱい いる 。
IP-MAT
PP
NP
N
店
P-ROLE
に
P-OPTR
は
PU
、
PP-SBJ
NP
N
人
P-ROLE
が
___NP;*SBJ*
__Q
いっぱい
VB
いる
PU
。
[103_textbook_kisonihongo@19,18 ]
(3.87 )
彼女 は 夫 の 欠点 を ひと つ ひと つ 言い立て た .
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
彼女
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
PP
NP
N
夫
P-ROLE
の
N
欠点
P-ROLE
を
___NP;*OB1*
__NUMCLP
NUM
ひと
CL
つ
___NUMCLP
NUM
ひと
CL
つ
VB
言い立て
AXD
た
PU
.
[93_dict_vv-lexicon@21,20,26 ]
ホスト名詞が文中に明示されていない場合,その存在はゼロ代名詞によって示される。 格標識を伴わない量化子に対しては,それが単独で項としてのNPをなすアノテーションも考えられるが, 本コーパスではゼロ代名詞からの遊離というアノテーションを優先的に行う。
(3.88 )
部長 が 、 すべて うまく 行く よう に 取り計らっ て くれ た .
IP-MAT
NP-OB1
*pro*
PP-SBJ
NP
N
部長
P-ROLE
が
PU
、
PP
NP
IP-EMB
NP-SBJ
*pro*
___NP;*SBJ*
__Q
すべて
ADVP
ADJI
うまく
VB
行く
N
よう
P-ROLE
に
VB
取り計らっ
P-CONN
て
VB2
くれ
AXD
た
PU
.
[1977_dict_vv-lexicon@18,17 ]
(3.89 )
『 みな 私 の 手落ち だ !――
IP-MAT
PUL
『
NP-SBJ
*pro*
___NP;*SBJ*
__Q
みな
NP-PRD
PP
NP
PRO
私
P-ROLE
の
N
手落ち
AX
だ
PU
!――
[220_aozora_Togawa-1937-1@7,6 ]
NUMCLP も遊離して現れることがある。
(3.90 )
台所 に お酒 が 二 升 あっ た 。
IP-MAT
PP
NP
N
台所
P-ROLE
に
PP-SBJ
NP;{DAZAI_LIQUOR_2_SHO}
N
お酒
P-ROLE
が
___NP;*SBJ*
__NUMCLP
NUM
二
CL
升
VB
あっ
AXD
た
PU
。
[103_aozora_Dazai-1-1940@15,14 ]
(3.91 )
彼女 は ブーツ を 一 足 買っ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
彼女
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
N
ブーツ
P-ROLE
を
___NP;*OB1*
__NUMCLP
NUM
一
CL
足
VB
買っ
AXD
た
PU
。
[789_textbook_TANAKA@15,14 ]
以下は,NUMCLP による量化的 NP のホスト名詞がゼロ代名詞である例である。
(3.92 )
すると また 一 匹 あらわれ た 。
IP-MAT
___NP-SBJ
*pro*
CONJ
すると
ADVP
ADV
また
___NP;*SBJ*
__NUMCLP
NUM
一
CL
匹
VB
あらわれ
AXD
た
PU
。
[620_aozora_Natsume-1908@10,9,2 ]
W表現も遊離しうる。
(3.93 )
「 ここ に は 、 生き て いる もの は だれ も い ない よ 、
CP-FINAL
PUL
「
IP-SUB
PP
NP
PRO
ここ
P-ROLE
に
P-OPTR
は
PU
、
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
VB
生き
P-CONN
て
VB2
いる
N
もの
P-OPTR
は
___NP;*SBJ*
__WPRO
だれ
___P-OPTR
も
VB
い
NEG
ない
P-FINAL
よ
PU
、
[405_fiction_DICK-1952@31,30,33 ]
以下は,遊離したW表現のホスト名詞がゼロ代名詞である例である。
(3.94 )
巴里 の 有名 な 貿易商 、 山田和市氏 の 夫人 と 令嬢 で 、 どちら も 相当 に 日本語 を 話す 。
IP-MAT
___NP-SBJ
*pro*
IP-ADV-CONJ
NP-PRD
PP
NP
PRN
NP
PP
NP
NPR
巴里
P-ROLE
の
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
有名
AX
な
N
貿易商
PU
、
NPR
山田和市氏
P-ROLE
の
NML
CONJP
NP
N
夫人
P-CONN
と
NP
N
令嬢
AX
で
PU
、
___NP;*SBJ*
__WPRO
どちら
___P-OPTR
も
ADVP
ADJN
相当
AX
に
PP-OB1
NP
N
日本語
P-ROLE
を
VB
話す
PU
。
[11_aozora_Hisao-1939@46,45,48,2 ]
遊離した Q / NUMCLP / W表現はホスト名詞よりも後に現れる例が多いが, ホスト名詞に先行して現れる例もある。
(3.95 )
しかし その 海岸 一帯 に は 、 たくさん 不思議 な 事 が 見聞き さ れる 。
IP-MAT
NP-LGS
*arb*
CONJ
しかし
PP
NP
D
その
N
海岸
PRN
NP;*
Q
一帯
P-ROLE
に
P-OPTR
は
PU
、
___NP;*SBJ*
__Q
たくさん
PP-SBJ
___NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
不思議
AX
な
N
事
P-ROLE
が
VB
見聞き
VB0
さ
PASS
れる
PU
。
[9_aozora_Togawa-1937-1@23,22,26 ]
(3.96 )
「 もう 一 つ ルビー を 持っ て いき ましょ う か 」
CP-QUE
PUL
「
IP-SUB
NP-SBJ
*speaker*
___NP;*OB1*
ADVP
ADV
もう
__NUMCLP
NUM
一
CL
つ
PP-OB1
___NP
N
ルビー
P-ROLE
を
VB
持っ
P-CONN
て
VB2
いき
AX
ましょ
AX
う
P-FINAL
か
PUR
」
[181_aozora_Yuki-1-2000@11,7,17 ]
(3.97 )
彼ら 三 人 しか 客 が 乗っ て い ない 電車 に は 、 暖かい 陽 が ふり注い で い た 。
IP-MAT
PP
NP
IP-REL
PP
NP
*T*
P-ROLE
*に*
___PP;*SBJ*
NP;{FATHER+MOTHER+GRETE}
PRO
彼ら
PRN
NP
__NUMCLP
NUM
三
CL
人
P-OPTR
しか
PP-SBJ
___NP
N
客
P-ROLE
が
VB
乗っ
P-CONN
て
VB2
い
NEG
ない
N
電車
P-ROLE
に
P-OPTR
は
PU
、
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJI
暖かい
N
陽
P-ROLE
が
VB
ふり注い
P-CONN
で
VB2
い
AXD
た
PU
。
[1224_aozora_Harada-1960@16,10,24 ]
(3.98 )
誰 も 消火 に 手伝う 者 は い なかっ た 。
IP-MAT
___NP;*SBJ*
__WPRO
誰
___P-OPTR
も
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
PP
___NP
N
消火
P-ROLE
に
VB
手伝う
N
者
P-OPTR
は
VB
い
NEG
なかっ
AXD
た
PU
。
[442_aozora_Sakaguchi-1947@3,2,5,13 ]
3.3.5.6 Q による指示表現,NUMCLP による指示表現
量化表現 Q あるいは NUMCLP が主要文法役割を表す助詞でマークされ (従って, 3.3.5.5 節のもののように遊離しているわけではない), そのホストが特定性を持つ時, ホストと量化表現は「全体-部分」の関係を持つが,このような量化表現は項として,つまり,指示的な表現として扱われる。 ホストNPは,(P-ROLE ***) の補部となり,さらにソート情報を付与される。 加えてこれと同じソート情報をもつゼロ代名詞が,(NP (PP (NP;{WHOLE} *pro*) (P *の*)) (Q ...)) のような形で, Q あるいは NUMCLP の補部として導入される。
(3.99 )
自分たち は ほとんど が 次男坊 ばかり です から 」
FRAG
PP-SCON
IP-ADV
PP-TPC
NP;{WHOLE}
PRO
自分たち
P-OPTR
は
___P-ROLE
***
PP-SBJ
___NP
___PP
___NP;{WHOLE}
*pro*
___P-ROLE
*の*
__Q
ほとんど
P-ROLE
が
PP-PRD
NP
N
次男坊
P-OPTR
ばかり
AX
です
P-CONN
から
PUR
」
[247_aozora_Hayashida-2015@19,13,14,15,17,10 ]
(3.100 )
県内 で 48 店舗 を 持つ 同生協 は 、 被害 が 大きかっ た 2 店 が 閉店 し た 。
IP-MAT
PP-TPC
NP;{COOP}
IP-REL
NP-SBJ
*T*
PP
NP
N
県内
P-ROLE
で
PP-OB1
NP
NUMCLP
NUM
48
CL
店舗
P-ROLE
を
VB
持つ
N
同生協
P-OPTR
は
___P-ROLE
***
PU
、
PP-SBJ
___NP
___PP
___NP;{COOP}
*pro*
___P-ROLE
*の*
IP-REL
NP-SBJ
*T*
PP-SBJ2
NP
N
被害
P-ROLE
が
ADJI
大きかっ
AXD
た
__NUMCLP
NUM
2
CL
店
P-ROLE
が
VB
閉店
VB0
し
AXD
た
PU
。
[19_news_KAHOKU_39@52,28,33,34,35,37 ]
(3.101 )
製造業 は 14 業種 の うち 11 業種 、 非製造業 は 12 業種 の うち 9 業種 が 上向い た 。
IP-MAT
IP-ADV-CONJ
PP-TPC
NP;{MANUFACTURING_INDUSTRY}
N
製造業
P-OPTR
は
___P-ROLE
***
NP-ADV
PP
___NP
___PP
___NP;{MANUFACTURING_INDUSTRY}
*pro*
___P-ROLE
*の*
__NUMCLP
NUM
14
CL
業種
P-ROLE
の
N
うち
NP-SBJ
NUMCLP
NUM
11
CL
業種
PU
、
PP-TPC
NP;{NON_MANUFACTURING_INDUSTRY}
N
非製造業
P-OPTR
は
P-ROLE
***
NP-ADV
PP
NP
PP
NP;{NON_MANUFACTURING_INDUSTRY}
*pro*
P-ROLE
*の*
NUMCLP
NUM
12
CL
業種
P-ROLE
の
N
うち
PP-SBJ
NP
NUMCLP
NUM
9
CL
業種
P-ROLE
が
VB
上向い
AXD
た
PU
。
[15_news_KAHOKU_113@19,9,13,14,15,17 ]
3.3.5.3 節で簡単に述べたように, 文脈さえあれば,量化表現を数量表現でなく独立した指示表現として扱うのに十分な根拠が与えられる。 しかし一方で,量化表現の中には,それ自体が含む要素のおかげで指示表現としての解釈を受けるものがある。 例えば,Q や NUMCLP が節構成素の主要部となり, 限定詞(D)または定名詞句によって修飾されて定指示となる場合である(3.3.1.2 節を参照)。 このような量化表現は指示表現として取り扱うことができ, 3.3.5.1 節で述べられているように, ソート情報によって明示的要素あるいは空要素にリンクされることはない。 例えば,以下の(3.102 )において, 量化詞「すべて」は「の」が付加された名詞句によって修飾されており,これが量化表現全体を定としている。 このような指示的な量化表現は,必須項として助詞のマーキングを受ける強い傾向がある。
(3.102 )
国内企業 の すべて が 週休二日制 を 導入 し て いる 。
IP-MAT
PP-SBJ
___NP
PP
NP
N
国内企業
___P-ROLE
の
__Q
すべて
P-ROLE
が
PP-OB1
NP
N
週休二日制
P-ROLE
を
VB
導入
VB0
し
P-CONN
て
VB2
いる
PU
。
[48_misc_JSeM_beta_150530@10,8,3 ]
(3.103 )
アンケート は 県内 の 沿岸自治体 15 市町 の 245 校 を 対象 に 実施 し た 。
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
PP-OB1
NP
N
アンケート
P-OPTR
は
IP-ADV2-SCON
PP-DOB1
NP
PP
NP
PP
NP
N
県内
P-ROLE
の
N
沿岸自治体
PRN
NP;*
__NUMCLP
NUM
15
CL
市町
___P-ROLE
の
___NUMCLP
NUM
245
CL
校
P-ROLE
を
IP-SMC-OB1
NP-PRD
N
対象
AX
に
VB
実施
VB0
し
AXD
た
PU
。
[24_news_KAHOKU_2275@25,30,32 ]
(3.104 )
本年度 は 2 月 1日 から ___3 月 ___10日 まで 計 約1800 ___人 が 参加 し た 。
IP-MAT
PP-TMP
NP
N
本年度
P-OPTR
は
PP
NP
__NUMCLP
NUM
2
CL
月
___NUMCLP
NUM
1日
P-ROLE
から
PP
NP
NUMCLP
NUM
___3
CL
月
NUMCLP
NUM
___10日
P-ROLE
まで
PP-SBJ
NP
N
計
NUMCLP
NUM
約1800
CL
___人
P-ROLE
が
VB
参加
VB0
し
AXD
た
PU
。
[64_news_KAHOKU_39@10,15,24,29,40 ]
3.3.5.7 ホストなしの副詞的な Q または NUMCLP
Q あるいは NUMCLPに由来する,節の構成素としての NP は,ホスト名詞を量化するのではなく, それ単体で副詞的に機能することがある。 最も典型的なのは,時間や,期間,距離,度合いを示す場合である。 このような場合,Q あるいは NUMCLP の投射する NP は ソート情報を与えられることなく, NP-TMP,NP-ADV あるいは NP-MSR としてラベル付けされる (拡張タグ -TMP,-ADV,-MSR については 1.7.2 節を参照)。 THE STRUCTURE HAS CHANGED FOR ID@Kainoki_86_ted_talk_9
(3.105 )
尿道 を つくる 工程 と 似 て い ます が もう 少し 複雑 です
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
PP-CONJ
IP-ADV
PP-OB1
NP
IP-EMB
NP-SBJ
*speaker+pro*
PP-OB1
NP
N
尿道
P-ROLE
を
VB
つくる
N
工程
P-ROLE
と
VB
似
P-CONN
て
VB2
い
AX
ます
P-CONN
が
ADVP
ADVP
ADV
もう
ADV
少し
ADJN
複雑
AX
です
[86_ted_talk_9 ]
(3.106 )
全国平均 を 5.3 ポイント 下回っ た 。
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
PP-OB1
NP
N
全国平均
P-ROLE
を
___NP-ADV
__NUMCLP
NUM
5.3
CL
ポイント
VB
下回っ
AXD
た
PU
。
[22_news_KAHOKU_113@11,10 ]
(3.107 )
私 は 、 もう 少し ここ で 待と う 、 と 考え て い た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{SPEAKER_1088}
PRO
私
P-OPTR
は
PU
、
CP-THT-OB1
IP-SUB
NP-SBJ
*speaker*
__ADVP
ADVP
ADV
もう
ADV
少し
PP
NP;{CURRENT_PLACE_1088}
PRO
ここ
P-ROLE
で
VB
待と
AX
う
PU
、
P-COMP
と
VB
考え
P-CONN
て
VB2
い
AXD
た
PU
。
[1088_textbook_kisonihongo@14 ]
(3.108 )
スミス は 2 年間 バーミンガム に 住ん だ 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
NPR
スミス
P-OPTR
は
__NP-MSR
___NUMCLP
NUM
2
CL
年間
PP
NP
NPR
バーミンガム
P-ROLE
に
VB
住ん
AXD
だ
PU
。
[1724_misc_JSeM_beta_150530@8,9 ]
3.4 副詞句(ADVP)
副詞句(ADVP)は通常,述語を意味的に修飾する。 ADVP はまた,名詞を修飾し,量,度合,程度等を表すこともある。
(3.109 )
けれども 耕助 の いかり は なかなか 解け ませ ん でし た 。
IP-MAT
CONJ
けれども
PP-SBJ
NP
PP
NP
NPR
耕助
P-ROLE
の
N
いかり
P-OPTR
は
__ADVP
ADV
なかなか
___VB
解け
AX
ませ
NEG
ん
AX
でし
AXD
た
PU
。
[674_aozora_Miyazawa-1934@16,19 ]
(3.110 )
学校 の 最も 近く に 住ん で いる の は 佐藤さん です 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
PP
NP
PP
NP
N
学校
P-ROLE
の
__ADVP
ADV
最も
___N
近く
P-ROLE
に
VB
住ん
P-CONN
で
VB2
いる
N
の
P-OPTR
は
NP-PRD
NPR
佐藤さん
AX
です
PU
。
[18_misc_EXAMPLE2@15,18 ]
ADVP の主要部は多くの場合,副詞(ADV)あるいは疑問副詞(WADV)である。 場合によっては修飾部や補部を伴うこともある。 本コーパスにおいて比較的頻度の高い ADV には次のようなものがある。 このリストに見るように,動詞の「テ形」から派生したものも多い。
もう, そう, ちょっと, まだ, また, すぐ, とても, 少し, まず, もし, やはり, 一番, こう, ただ, あまり, 特に, もっと きわめて, 次いで, 追って, 初めて, 総じて, 改めて, 時として, etc.
疑問副詞(WADV) には次のようなものがある。
いかが, いかに, いくら, どう, どうして, どのように, どんなに, なぜ, 何故, なんて
ADV は格助詞(P-ROLE)と共に用いられることもある。 このような P-ROLE の代表的なものは,「に」「の」である(コーパス中には「として」「という」「で」等の例も見られる)。 この P-ROLE は,ADV の投射する ADVP の姉妹であり,かつ助詞句(PP)を投射するものとしてアノテートされる。
(3.111 )
すぐ に 決着 する わ 。 」
CP-FINAL
IP-SUB
NP-SBJ
*pro*
___PP
___ADVP
__ADV
すぐ
___P-ROLE
に
VB
決着
VB0
する
P-FINAL
わ
PU
。
PUR
」
[402_fiction_DICK-1952@7,6,5,9 ]
(3.112 )
彼 は あまり の 悲しみ に 泣き叫ん だ .
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
彼
P-OPTR
は
___PP
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
__ADJN
あまり
AX
の
N
悲しみ
___P-ROLE
に
VB
泣き叫ん
AXD
だ
PU
.
[2029_dict_vv-lexicon@13,8,19 ]
なお,副詞的表現の中には「と」や「に」で終わるものもある。 これらのうち,「と」や「に」を除外すると語として成立しないものは, 一語の ADV として扱われる。
きっと, やっと, ちょっと, ずっと, じっと, そっと, とっとと, さっと, さっさと, ふわっと, etc.
特に, さらに, ついに, 現に, 主に, すでに, おおいに, ただちに, etc.
一方で,随意的に省くことのできるような「と」で終わる副詞的表現も存在する。 このようなケースでは,「と」は独立した一語として扱われ,AX とラベル付けされる。 ただし最大投射が ADVP であることには変わりない。
(3.113 )
ドール は ゆっくり と 携帯武器 を はずし た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
NPR
ドール
P-OPTR
は
__ADVP
ADV
ゆっくり
___AX
と
PP-OB1
NP
N
携帯武器
P-ROLE
を
VB
はずし
AXD
た
PU
。
[351_fiction_DICK-1952@8,11 ]
(3.114 )
息切れ が 早く も はっきり と 表われ 始め た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
息切れ
P-ROLE
が
PP
ADVP
ADJI
早く
P-OPTR
も
__ADVP
ADV
はっきり
___AX
と
VB
表われ
VB2
始め
AXD
た
PU
。
[814_aozora_Harada-1960@14,17 ]
ADV に加えて,イ形容詞(ADJI)の連用形も ADVP を投射できる(優しく,早く,しかたなく,大きく,小さく,等)。
(3.115 )
僕 の 友だち は 優しく 、 寛大 に 微笑ん だ 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{PRINCE}
PP
NP;{BOKU}
PRO
僕
P-ROLE
の
N
友だち
P-OPTR
は
__ADVP
___ADJI
優しく
PU
、
ADVP
ADJN
寛大
AX
に
VB
微笑ん
AXD
だ
PU
。
[97_fiction_SAINT-EXUPERY-1943@14,15 ]
また,コピュラの連用形(AX)の「に」あるいは「と」は,ナ形容詞(ADJN)に後続した場合に ADVP を投射できる(不機嫌に,きれいに,しずかに,やわらかに,茫然と,公然と,等;上記 (3.115 ) の「寛大に」も参照)。
(3.116 )
ドール は 不機嫌 に 言っ た 。
IP-MAT
NP-OB1
*pro*
PP-SBJ
NP
NPR
ドール
P-OPTR
は
__ADVP
___ADJN
不機嫌
___AX
に
VB
言っ
AXD
た
PU
。
[179_fiction_DICK-1952@10,11,13 ]
(3.117 )
彼 は 茫然 と 、 立ちすくん だ 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{MELOS}
PRO
彼
P-OPTR
は
__ADVP
___ADJN
茫然
___AX
と
PU
、
VB
立ちすくん
AXD
だ
PU
。
[204_aozora_Dazai-2-1940@8,9,11 ]
ADVP はとりたて助詞を伴うことができる。
(3.118 )
たまに は おごれ よ 。
CP-IMP
IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
PP
__ADVP
ADV
たまに
___P-OPTR
は
VB
おごれ
P-FINAL
よ
PU
。
[288_textbook_purple_intermediate@6,9 ]
ADVP は並列構造の中に現れることがある。 多くの場合,並列される副詞句は「そして」「かつ」「あるいは」といった接続詞で結ばれる。
(3.119 )
彼ら は 狙い を うまく 、 そして 完全 に 定め た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
彼ら
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
N
狙い
P-ROLE
を
ADVP
CONJP
__ADVP
ADJI
うまく
PU
、
___CONJ
そして
ADVP
___ADJN
完全
AX
に
VB
定め
AXD
た
PU
。
[138_fiction_DICK-1952@16,21,24 ]
3.5 副詞節でない要素の並列(CONJP)
この節では副詞節(IP-ADV)ではない要素の並列を扱う。 このような真の並列は2つ以上の副詞句(ADVP)の間,助詞句(PP)の間,名詞句(NP)の間,疑問節(CP-QUE)の間などで生じうる。
これらが接続助詞や等位接続詞によって結び付けられる時,最後を除く全ての並列句は CONJP とラベル付けされる。 CONJP の主要部は CONJ あるいは P-CONN となる。 これらは最後の並列句と結びつけられ,句を構成する。 次のスキーマを参照のこと。
(3.120 )
(XP (CONJP (XP 並列句)
(CONJ/P-CONN 助詞/接続詞))
(CONJP (XP 並列句)
(CONJ/P-CONN 助詞/接続詞))
(XP 最後の並列句))
句の並列の際に現れる接続助詞には様々なものがある。 詳しくは 2.5 節を参照。
また,次に示すように,並列を示すために使われる決まった構造がいくつかある。
∼も∼も, ∼か∼か, ∼なり∼なり, ∼とか∼とか, ∼など∼など, ∼だの∼だの, ∼だとか∼だとか, ∼やら∼やら
3.5.1 名詞句(NP)の並列
接続助詞(P-CONN)あるいは等位接続詞(CONJ)は,非終端の NP を支配する CONJP の主要部となることができる。
(3.121 )
昔々 、 ある 所 に おじいさん と おばあさん が おり まし た 。
IP-MAT
NP-TMP
N
昔々
PU
、
PP
NP;{GRANDPARENT_INHABITANCE}
D
ある
N
所
P-ROLE
に
PP-SBJ
___NP
___CONJP
___NP;{GRANDFATHER}
N
おじいさん
__P-CONN
と
___NP;{GRANDMOTHER}
N
おばあさん
P-ROLE
が
VB
おり
AX
まし
AXD
た
PU
。
[2_fiction_momotaro@21,16,17,18,23 ]
(3.122 )
まず 、 租税 及び 印紙収入 について 申し上げ ます 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
ADVP
ADV
まず
PU
、
PP
___NP
___CONJP
___NP
N
租税
__CONJ
及び
___NP
N
印紙収入
P-ROLE
について
VB
申し上げ
AX
ます
PU
。
[38_diet_kaigiroku-13@15,10,11,12,17 ]
P-CONN と CONJ はひとつの CONJP の下で共起することもある。
(3.123 )
この 申込書 は 本人 か 、 もしくは 保証人 が 記入 し なけれ ば なら ない 。
IP-MAT
PP-OB1
NP
D
この
N
申込書
P-OPTR
は
PP-SBJ
NP
___CONJP
NP
N
本人
__P-CONN
か
PU
、
___CONJ
もしくは
NP
N
保証人
P-ROLE
が
VB
記入
VB0
し
NEG
なけれ
P-CONN
ば
VB2
なら
NEG
ない
PU
。
[249_textbook_djg_advanced@16,12,20 ]
いくつかの接続助詞は同じ助詞と対で用いられることがある。 この時,後ろの接続助詞が並列構造全体をマークして前節で示したようなタイプの構造を作る。 並列構造全体をマークする助詞は,並列が総記的なものか,そうでないかを示す。 これらの並列リストを閉じる助詞は,並列句をまとめた NPの下に置かれる(詳細は,2.12 節を参照)。
(3.124 )
こうして 天 と 地 と 、 その 万象 と が 完成 し た 。
IP-MAT
CONJ
こうして
PP-SBJ
___NP
CONJP
___NP
N
天
__P-CONN
と
CONJP
___NP
N
地
___P-CONN
と
PU
、
___NP
D
その
N
万象
___P-CONN
と
P-ROLE
が
VB
完成
VB0
し
AXD
た
PU
。
[72_bible_ot@10,5,7,13,16,25,20 ]
(3.125 )
私 は 電車 か バス か で 行き ます 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
私
P-OPTR
は
PP
___NP
CONJP
___NP
N
電車
__P-CONN
か
___NP
N
バス
___P-CONN
か
P-ROLE
で
VB
行き
AX
ます
PU
。
[74_textbook_djg_basic@14,9,11,16,19 ]
3.5.2 助詞句(PP)の並列
助詞句(PP)もまた,非節的等位接続構造をなすことがある。 上で述べたような対で用いる助詞については, (3.124)や(3.127)が示すように,それ自体としてPPを投射しないことに注意。
(3.126 )
終日 近鉄線内 のみ 、 もしくは 地下鉄烏丸線内 のみ の 運用 も ある 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-MSR
N
終日
PP-PRD
CONJP
___PP
NP
N
近鉄線内
P-OPTR
のみ
PU
、
__CONJ
もしくは
___PP
NP
N
地下鉄烏丸線内
P-OPTR
のみ
AX
の
N
運用
P-OPTR
も
VB
ある
PU
。
[33_wikipedia_KYOTO_19@20,12,22 ]
(3.127 )
捕り方衆 の 叫び声 が あっち から も こっち から も 聞こえ て 来る 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PP
NP
N
捕り方衆
P-ROLE
の
N
叫び声
P-ROLE
が
PP
CONJP
PP
NP
PRO
あっち
___P-ROLE
から
__P-CONN
も
___PP
NP
PRO
こっち
P-ROLE
から
P-CONN
も
VB
聞こえ
P-CONN
て
VB2
来る
PU
。
[5_aozora_Kunieda-1925@22,20,24 ]
3.5.3 副詞句(ADVP)の並列
副詞句(ADVP)の並列は通常,「また」「かつ」「しかも」「しかし」等の等位接続詞を伴う。
(3.128 )
涼しさ の 生じる ため に は 、 どう も 時間的 に また 空間的 に 温度 の 短週期的変化 の ある こと が 必要条件 で ある らしい 。
IP-MAT
PP
NP
IP-EMB
PP-SBJ
NP
N
涼しさ
P-ROLE
の
VB
生じる
N
ため
P-ROLE
に
P-OPTR
は
PU
、
ADVP
WADV
どう
P-OPTR
も
PP-SBJ
NP
IP-EMB
ADVP
CONJP
___ADVP
ADJN
時間的
AX
に
__CONJ
また
___ADVP
ADJN
空間的
AX
に
PP-SBJ
NP
PP
NP
N
温度
P-ROLE
の
N
短週期的変化
P-ROLE
の
VB
ある
N
こと
P-ROLE
が
NP-PRD
N
必要条件
AX
で
VB2
ある
MD
らしい
PU
。
[14_aozora_Terada-1929@36,31,38 ]
(3.129 )
そんな 服 を 着 た まま 、 この 老人 は ひどく 窮屈 に 、 しかし 安らか に 眠っ て いる の だっ た 。
IP-MAT
NP-ADV
IP-EMB
PP-OB1
NP
D
そんな
N
服
P-ROLE
を
VB
着
AXD
た
N
まま
PU
、
PP-SBJ
NP;{FATHER}
D
この
N
老人
P-OPTR
は
ADVP
CONJP
___ADVP
ADVP
___ADJI
ひどく
ADJN
窮屈
AX
に
PU
、
__CONJ
しかし
ADVP
ADJN
安らか
AX
に
VB
眠っ
P-CONN
て
VB2
いる
FN
の
AX
だっ
AXD
た
PU
。
[855_aozora_Harada-1960@40,30,32 ]
3.5.4 疑問節(CP-QUE)の並列
疑問節(CP-QUE)が並列されることがあり,その際明示的な接続詞を伴うこともあれば伴わないこともある。 それぞれの並列要素に「か」のような同じ助詞が後続する場合,2種類のアノテーションが考えられる。 一つは,「か」を P-FINAL とし,CP-QUE を投射させる方法であり, もう一つは,「か」を P-CONNとし,3.5.1 節のような構造を作る方法である。 このうちのどちらを選択すべきかは,並列の性質によって決まる。 疑問節が単に等位接続されている場合は,(3.130 )のように前者の方法が採られ, 疑問節が互いに排他的な選択肢(オルタナティヴ)となっている場合は,(3.131 )のように後者が採用される。
(3.130 )
それ は 、 わたし が どこ から き た の か 、 また 、 どこ へ 行く の か を 知っ て いる から で ある 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
それ
P-OPTR
は
PU
、
PP-PRD
IP-ADV
NP-SBJ
*speaker*
PP-OB1
CP-QUE
CONJP
___CP-QUE
IP-SUB
PP-SBJ
NP;{JESUS}
PRO
わたし
P-ROLE
が
PP
NP
WPRO
どこ
P-ROLE
から
VB
き
AXD
た
FN
の
__P-FINAL
か
PU
、
CONJ
また
PU
、
___CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ
*speaker*
PP
NP
WPRO
どこ
P-ROLE
へ
VB
行く
FN
の
___P-FINAL
か
P-ROLE
を
VB
知っ
P-CONN
て
VB2
いる
P-CONN
から
AX
で
VB2
ある
PU
。
[635_bible_nt@37,17,59,45 ]
(3.131 )
傘 を 駅 に 置き忘れ た の か 事務所 に 忘れ た の か 、 はっきり 覚え て い ませ ん 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
CP-QUE-OB1
CONJP
___CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ
*speaker*
PP-OB1
NP;{UMBRELLA}
N
傘
P-ROLE
を
PP
NP
N
駅
P-ROLE
に
VB
置き忘れ
AXD
た
FN
の
__P-CONN
か
___CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ
*speaker*
NP-OB1;{UMBRELLA}
*pro*
PP
NP
N
事務所
P-ROLE
に
VB
忘れ
AXD
た
FN
の
___P-CONN
か
PU
、
ADVP
ADV
はっきり
VB
覚え
P-CONN
て
VB2
い
AX
ませ
NEG
ん
PU
。
[87_textbook_djg_intermediate@28,6,48,30 ]
ただし,疑問文の発話が複数引用されていると考えられる場合には, multi-sentenceというタグを用いることに注意(詳しくは 6.6 節参照)。
(3.132 )
え ? どの 医者 が そんな 便利 な 診断書 を くれる ん です か 、 と 伊沢 が 仰天 し て 訊ねる と 、 仕立屋 の 方 が 呆気にとられ た 面持 で 、 なん です か 、 よそ じゃ 、 そう じゃ ない ん です か 、 と 訊い た 。
IP-MAT
PP-SCON
IP-ADV
CP-THT-OB1
___multi-sentence
INTJP
INTJ
え
PU
?
___CP-QUE
IP-SUB
PP-SBJ
NP
WD
どの
N
医者
P-ROLE
が
PP-OB1
NP
D
そんな
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
便利
AX
な
N
診断書
P-ROLE
を
VB
くれる
FN
ん
AX
です
__P-FINAL
か
PU
、
P-COMP
と
PP-SBJ
NP
NPR
伊沢
P-ROLE
が
IP-ADV-CONJ
VB
仰天
VB0
し
P-CONN
て
VB
訊ねる
P-CONN
と
PU
、
PP-SBJ
NP
PP
NP
N
仕立屋
P-ROLE
の
N
方
P-ROLE
が
PP
NP
IP-EMB
VB
呆気にとられ
AXD
た
N
面持
P-ROLE
で
PU
、
CP-THT-OB1
___multi-sentence
___CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ
*pro*
NP-PRD
WPRO
なん
AX
です
___P-FINAL
か
PU
、
___CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ
*pro*
PP
NP
N
よそ
P-ROLE
じゃ
PU
、
ADVP-PRD
ADV
そう
AX
じゃ
NEG
ない
FN
ん
AX
です
___P-FINAL
か
PU
、
P-COMP
と
VB
訊い
AXD
た
PU
。
[19_aozora_Sakaguchi-1947@42,5,11,94,103,93,130,107 ]
述語は節の中でもっとも重要な統語上の単位であり,他のほとんどすべての構成素はこれと結びついた機能を果たしている。 日本語の述語は,ボイス,アスペクト,極性,モダリティ,証拠性等を示す要素によって拡張される。 以下,述語をなす基本的な要素について論じていく。
4.2 動詞(VB)
動詞(VB)を中心として形成された述語は,主語と共に現れて節を投射する。 以下は,「覚った」が主節(IP-MAT)を,「達したのだ」が準主節(IP-SUB)を投射した例である。
(4.1 )
芳一 は 大きな 門口 に 達し た の だ と 覚っ た ――
__IP-MAT
PP-SBJ
NP
NPR
芳一
P-OPTR
は
CP-THT-OB1
___IP-SUB
NP-SBJ
*pro*
PP
NP
PNL
大きな
N
門口
P-ROLE
に
___VB
達し
___AXD
た
___FN
の
___AX
だ
P-COMP
と
___VB
覚っ
___AXD
た
PU
――
[59_aozora_Togawa-1937-1@1,30,32,20,22,24,26,9 ]
(7.33 )
家事 一切 に 関わら ず 、 のんびり と 心 の ぜいたく を する 。
___IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
___IP-ADV-CONJ
PP
NP
N
家事
PRN
NP;*
Q
一切
P-ROLE
に
__VB
関わら
NEG
ず
PU
、
ADVP
ADV
のんびり
AX
と
PP-OB1
NP
PP
NP
N
心
P-ROLE
の
N
ぜいたく
P-ROLE
を
VB
する
PU
。
[15_news_KAHOKU_10414@15,1,4 ]
小節(IP-SMC)を選択する例 (IP-SMC が用いられるのは,「もらう」「いただく」「する」「なる」等が後接する場合である。 詳しくは 4.6 および 4.8 節を参照):
(4.3 )
冷蔵庫 に 入れ て も 硬く なら ない 不思議 な 「 バター餅 」 。
___IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
NP-PRD
IP-REL
NP-SBJ
*T*
PP-SCON-CND
IP-ADV
NP-SBJ
*pro*
PP
NP
N
冷蔵庫
P-ROLE
に
VB
入れ
P-CONN
て
P-OPTR
も
___IP-SMC-OB1
ADJI
硬く
__VB
なら
NEG
ない
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
不思議
AX
な
PUL
「
N
バター餅
PUR
」
AX
*
PU
。
[40_news_KAHOKU_457@27,24,1 ]
(4.4 )
邦彦 は いったん やめ た たばこ を また 吸い出し た 。
___IP-MAT
PP-SBJ
NP
NPR
邦彦
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
___IP-REL
NP-OB1
*T*
NP-SBJ
*pro*
ADVP
ADV
いったん
__VB
やめ
AXD
た
N
たばこ
P-ROLE
を
ADVP
ADV
また
VB
吸い出し
AXD
た
PU
。
[148_textbook_djg_advanced@18,10,1 ]
(4.5 )
ただ 餅 を 搗く 音 だけ する 。
___IP-MAT
ADVP
ADV
ただ
PP-SBJ
NP
___IP-EMB
NP-SBJ
*pro*
PP-OB1
NP
N
餅
P-ROLE
を
__VB
搗く
N
音
P-OPTR
だけ
VB
する
PU
。
[505_aozora_Natsume-1908@16,7,1 ]
本アノテーションでは,BCCWJ および CSJ で語彙的複合動詞として扱われている表現(例えば「かきわける」「そぎとる」「とりいれる」「はりつける」等)を単一のセグメントとして扱う。 その一方で,BCCWJ および CSJ で長単位としてチャンクされている様々なタイプの補助動詞は本コーパスでは構成素に分割され,大抵VB2 とラベル付けされる。 補助動詞は伝統的な定義では,ある文脈では主要な語彙的動詞として現れるが, 二次的な動詞としての位置に現れて,ダイクシス,アスペクト,極性等の文法カテゴリーの値を表すこともある形式とされる。
倒置法(6.21.4 節)を除けば,節中の述語本体には次のような要素が後続し,述語拡張形を作る。
P-CONN(接続助詞)・P-OPTR(とりたて助詞)
VB0(軽動詞)
VB2(補助動詞)
AX(助動詞)
MD(モーダル要素)
FN (形式名詞)
1.3.6 節で述べたように, 上記の要素は IP に直接支配され,フラットな構造を作る。 要素のラベル付けに関しては,次のような特別なケースを設ける。
助動詞(AX)に分類されるべき要素のうち,直接受動の「られ・れ」には PASS のラベルを与える(6.9 参照)。 また,間接受動の「られ・れ」には PASS2 のラベル与える(6.12 参照)。
助動詞(AX)あるいはモーダル要素(MD)に分類されるべき要素のうち,否定辞「ない」「ず」や否定的意志・推量を表す「まい」等には NEG のラベルを与える。
テンス標識(AXD)「た・だ」は,過去ではなく状態性の意味を表すような連体修飾用法の場合に助動詞(AX) のラベルを与える (4.11 を参照)。
4.4 軽動詞(VB0)
軽動詞(VB0)として,まず,「する」「いたす(致す)」「なさる」「申し上げる」「下さる」「できる」等の動詞が挙げられる。 VB0は「移動,チェック」のような「動作名詞」と呼ばれる VB に後続して現れる。 また,補助動詞(VB2), 受動(PASS), 否定(NEG)等の要素を後続させることがある。 さらに,VB0 に先行する動作名詞 VB がとりたて助詞(P-OPTR)の「は」「も」等を伴うことがある。
(4.6 )
「 やあ 耕助君 、 失敬 し た ねえ 。 」
CP-FINAL
PUL
「
IP-SUB
INTJ
やあ
NP-SBJ
NPR
耕助君
PU
、
___VB
失敬
__VB0
し
AXD
た
P-FINAL
ねえ
PU
。
PUR
」
[669_aozora_Miyazawa-1934@14,12 ]
(4.7 )
誰 も 殺害 に対する 責任 を 主張 し なかっ た 。
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
NP;*SBJ*
WPRO
誰
P-OPTR
も
PP-OB1
NP
PP
NP
N
殺害
P-ROLE
に対する
N
責任
P-ROLE
を
___VB
主張
__VB0
し
___NEG
なかっ
AXD
た
PU
。
[54_news_Voice_of_America@23,21,25 ]
(4.8 )
軍隊 は 一般的 な 職業 で 、 また 軍人 は 名誉 で あり 、 尊敬 も さ れる 。 」
IP-MAT
IP-ADV-CONJ
IP-ADV-CONJ
PP-SBJ
NP
N
軍隊
P-OPTR
は
NP-PRD
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
一般的
AX
な
N
職業
AX
で
PU
、
CONJ
また
PP-SBJ
NP
N
軍人
P-OPTR
は
ADJN
名誉
AX
で
VB2
あり
PU
、
NP-SBJ
*pro*
___NP-LGS
*arb*
___VB
尊敬
__P-OPTR
も
___VB0
さ
PASS
れる
PU
。
PUR
」
[431_fiction_DICK-1952@46,42,44,48 ]
VB0 を後続させる動作名詞(VB)は,接頭辞「お」または「ご(御)」を伴い尊敬語や謙譲語を作ることがある。
(4.9 )
花子 は 鈴木先生 に 結果 を ご報告 し た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{HANAKO_1311}
NPR
花子
P-OPTR
は
PP-OB2
NP;{SUZUKI_1311}
NPR
鈴木先生
P-ROLE
に
PP-OB1
NP
N
結果
P-ROLE
を
___VB
ご報告
__VB0
し
AXD
た
PU
。
[1311_textbook_kisonihongo@22,20 ]
また,VB0が「なさる」や「下さる」のような敬語形をとることもある。 これは後述する補助動詞(VB2)の用法とは区別しなければならない。 判断の基準として,動作名詞に接頭辞「お・ご(御)」がある場合はそれをとり,さらにVB0候補を「する」に置き換えることができれば, そのような候補は実際にVB0の敬語形であると見なすことができる(例:(4.10 ) において「御安心なさい」は「安心する」に置き換え可能)。 そうでない場合はVB2である(例:(4.11 ) において「置きなさい」は「*置きする」に置き換え不可能)。
(4.10 )
もう 大丈夫 です から 、 御安心 なさい 。
CP-IMP
IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
PP-SCON
IP-ADV
ADVP
ADV
もう
ADJN
大丈夫
AX
です
P-CONN
から
PU
、
___VB
御安心
__VB0
なさい
PU
。
[254_aozora_Akutagawa-1921@20,18 ]
(4.11 )
「 鉛筆 を 置き なさい ! 」
CP-IMP
PUL
「
IP-SUB
NP-SBJ;{SHAKESPEARE}
*hearer*
PP-OB1
NP
N
鉛筆
P-ROLE
を
___VB
置き
__VB2
なさい
PU
!
PUR
」
[105_ted_talk_11@15,13 ]
4.5 補助動詞(VB2)
補助動詞(VB2)は,活用可能な動詞や形容詞に続いて現れる動詞のことである。 以下,補助動詞として分類される要素を示す。 動詞(連用形)の直後に現れる VB2 には次のようなものがある。
アスペクトを表すもの(始める,出す,かける,続ける,終える,終る,止む,あげる,等)
可能性を表すもの(兼る,得る,抜く,損う,おおす,等)
程度を表すもの(過ぎる, 尽す,果てる,切る,足りる,等)
方向を表すもの(込む,回る,去る,等)
他の様々な意味を表すもの(忘れる, 間違える,直す,合う,慣れる,等)
(4.12 )
やがて 光 は 消え 始め た 。
IP-MAT
ADVP
ADV
やがて
PP-SBJ
NP
N
光
P-OPTR
は
___VB
消え
__VB2
始め
AXD
た
PU
。
[513_fiction_DICK-1952@13,11 ]
動詞の「て形」の後に現れる VB2 には次のようなものがある。 「て・で」は接続助詞(P-CONN)とラベル付けされることに注意されたい。
いる,ある,おく,しまう,みる,みせる,あげる,くれる,やる,くださる,いく,くる,いらっしゃる,まいる,お出で,ご覧,頂戴,等
(4.13 )
今 、 調べ て い ます 。
IP-MAT
NP-SBJ;{MAN_478}
*pro*
NP-OB1;{MATTER_478}
*pro*
NP-TMP
N
今
PU
、
___VB
調べ
___P-CONN
て
__VB2
い
AX
ます
PU
。
[478_textbook_kisonihongo@15,11,13 ]
(4.14 )
震災 は 人々 の 記憶 から 薄れ 始め て いる の か 。
CP-QUE
IP-SUB
PP-SBJ
NP
N
震災
P-OPTR
は
PP
NP
PP
NP
N
人々
P-ROLE
の
N
記憶
P-ROLE
から
___VB
薄れ
___VB2
始め
___P-CONN
て
__VB2
いる
FN
の
P-FINAL
か
PU
。
[6_news_KAHOKU_39@27,25,21,23 ]
イ形容詞(ADJI)・ナ形容詞(ADJN)の直後に現れる次のような要素も VB2 として扱われる。
すぎる:多すぎる,元気すぎる
ござる・存じる:ありがとうございます,ありがとう存じます
(4.15 )
逆 に 階段 の 段差 は 小学生 に は 高 すぎる 。
IP-MAT
ADVP
ADJN
逆
AX
に
PP-SBJ
NP
PP
NP
N
階段
P-ROLE
の
N
段差
P-OPTR
は
PP
NP
N
小学生
P-ROLE
に
P-OPTR
は
___ADJI
高
__VB2
すぎる
PU
。
[83_news_KAHOKU_37@29,27 ]
助動詞(AX)「だ」の連用形に続く「ある」,イ形容詞の連用形に続く「ある」も VB2 として扱われる。
(4.16 )
彼 は いと 高き 神 の 祭司 で ある 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{MELCHIZEDEK}
PRO
彼
P-OPTR
は
NP-PRD
PP
NP
PNLP
ADVP
ADV
いと
ADJI
高き
N
神
P-ROLE
の
N
祭司
___AX
で
__VB2
ある
PU
。
[368_bible_ot@25,23 ]
(4.17 )
この 本 は あまり よく あり ませ ん 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
D
この
N
本
P-OPTR
は
ADVP
ADV
あまり
ADJI
よく
__VB2
あり
___AX
ませ
NEG
ん
PU
。
[6_textbook_djg_basic@15,17 ]
義務的モダリティを表す複雑な表現中に現れる動詞は VB2 として扱われる。
なら:なければならない,なくてはならない,てはならない
いけ:なければいけない,なくてはいけない,てはいけない
(4.18 )
それら は 雄 と 雌 と で なけれ ば なら ない 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{PAIR}
PRO
それら
P-OPTR
は
NP-PRD
CONJP
NP
N
雄
P-CONN
と
NP
N
雌
P-CONN
と
AX
で
___NEG
なけれ
___P-CONN
ば
__VB2
なら
___NEG
ない
PU
。
[186_bible_ot@26,22,24,28 ]
(4.19 )
「 もちろん 他 の 像 を 立て なくて は なら ない 」 と 市長 は 言い まし た 。
IP-MAT
CP-THT-OB1
IP-SUB
PUL
「
NP-SBJ
*speaker+pro*
ADVP
ADV
もちろん
PP-OB1
NP
PP
NP
N
他
P-ROLE
の
N
像
P-ROLE
を
VB
立て
___NEG
なくて
___P-OPTR
は
__VB2
なら
___NEG
ない
PUR
」
P-COMP
と
PP-SBJ
NP
N
市長
P-OPTR
は
VB
言い
AX
まし
AXD
た
PU
。
[318_aozora_Yuki-1-2000@29,25,27,31 ]
(4.20 )
学校 で は 携帯 を 使っ て は いけ ない 。
IP-MAT
NP-SBJ
*hearer*
PP
NP
N
学校
P-ROLE
で
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
N
携帯
P-ROLE
を
VB
使っ
___P-CONN
て
___P-OPTR
は
__VB2
いけ
___NEG
ない
PU
。
[610_textbook_purple_basic@24,20,22,26 ]
「する」は以下のような環境で VB2 として扱われる。
「述語の連用形 + 接続助詞「たり・だり」」に後続した「する」
(4.21 )
「 それ は 鉄 と まぜ たり 、 薬 を つくっ たり する の だ そう です 。 」
IP-MAT
PUL
「
NP-SBJ
*pro*
PP-TPC
NP
PRO
それ
P-OPTR
は
IP-ADV-CONJ
NP-OB1
*pro*
PP
NP
N
鉄
P-ROLE
と
VB
まぜ
P-CONN
たり
PU
、
PP-OB1
NP
N
薬
P-ROLE
を
VB
つくっ
___P-CONN
たり
__VB2
する
FN
の
AX
だ
MD
そう
AX
です
PU
。
PUR
」
[192_aozora_Miyazawa-1934@37,35 ]
「VB +とりたて助詞「など」「とか」」に後続した「する」(例 (2.108 ) も参照)
(4.22 )
国 が 所有者 から 土地 を 一時的 に 借り上げる など し 、 復興 を 加速 さ せる べき だっ た 」
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
国
P-ROLE
が
IP-ADV-CONJ
PP-OB2
NP
N
所有者
P-ROLE
から
PP-OB1
NP
N
土地
P-ROLE
を
ADVP
ADJN
一時的
AX
に
VB
借り上げる
___P-OPTR
など
__VB2
し
PU
、
PP-CZZ
NP
N
復興
P-ROLE
を
VB
加速
VB0
さ
VB2
せる
MD
べき
AX
だっ
AXD
た
PUR
」
[105_news_KAHOKU_51@30,28 ]
「VB + 接続助詞「なり」」に後続した「する」(例 (2.109 ) を参照)。
「すれ + 接続助詞「ば」 + する + ほど・だけ」における「する」
(4.23 )
早く すれ ば する だけ 有利 だ 。
___IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
PP-SCON
IP-ADV
NP-OB1
*pro*
ADVP
___ADJI
早く
VB
すれ
__P-CONN
ば
___VB2
する
P-OPTR
だけ
ADJN
有利
AX
だ
PU
。
[58_textbook_particles@13,9,1,15 ]
「VB(連用形) + とりたて助詞「は」「も」「さえ」「や」「でも」 + する」における「する」
(4.24 )
あの 男 に は 説明 し て も 分かり は し ない 。
IP-MAT
NP-OB1
*pro*
PP-SBJ
NP
D
あの
N
男
P-ROLE
に
P-OPTR
は
PP-SCON-CND
IP-ADV
NP-SBJ
*pro*
NP-OB1
*pro*
VB
説明
VB0
し
P-CONN
て
P-OPTR
も
VB
分かり
___P-OPTR
は
__VB2
し
NEG
ない
PU
。
[493_textbook_djg_intermediate@32,30 ]
副詞節(IP-ADV)末の「なく + し + て」「ず + し + て」における「し」
(4.25 )
努力 なく し て は この 事業 は でき ない 。
IP-MAT
NP-SBJ
*arb*
PP-SCON-CND
___IP-ADV
NP-SBJ
N
努力
___ADJI
なく
__VB2
し
___P-CONN
て
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
D
この
N
事業
P-OPTR
は
VB
でき
NEG
ない
PU
。
[271_textbook_djg_advanced@11,9,13,5 ]
(4.26 )
シカゴ に は ___親しい 友人 が 何 人 か いる ので 、 ホテル に 泊まら ず とも よい 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
PP-SCON
IP-ADV
PP
___NP
NPR
シカゴ
P-ROLE
に
P-OPTR
は
PP-SBJ
NP
___IP-REL
NP-SBJ
__*T*
ADJI
___親しい
N
友人
P-ROLE
が
NP;*SBJ*
NUMCLP
WNUM
何
CL
人
P-OPTR
か
VB
いる
P-CONN
ので
PU
、
PP
NP
N
ホテル
P-ROLE
に
VB
泊まら
NEG
ず
P-OPTR
とも
ADJI-MD
よい
PU
。
[648_textbook_djg_advanced@18,7,16,20 ]
敬語形をつくる接頭辞「お」または「ご(御)」を伴った動詞が助詞「に」を後続させ, それに動詞「なる」が続く場合, 「なる」は VB2 として扱われる。
(4.27 )
鈴木先生 は 本 を お書き に なっ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{SUZUKI_1295}
NPR
鈴木先生
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
N
本
P-ROLE
を
___VB
お書き
___AX
に
__VB2
なっ
AXD
た
PU
。
[1295_textbook_kisonihongo@18,14,16 ]
4.6 動詞「する」「なる」に関して
動詞「する」(および類似の動詞「いたす」「なさる」等も)および「なる」の前に「イ形容詞の連用形」,「ナ形容詞の語幹+に」または「名詞述語+に/と」があるとき,これらはしばしば小節(IP-SMC)を投射し,このとき「する」「なる」は動詞述部の最初の要素,すなわち VB のラベルを与えられる。 次の3つの条件が全て満たされていれば,「イ形容詞の連用形」,「ナ形容詞の語幹+に」,「名詞述語+に/と」は小節を投射すると判断できると考えられる: (i) 小節の主要部はイベントでなく属性を表す, (ii) 「する」のとる第一目的語(-OB1)あるいは「なる」の主語(-SBJ)が小節(IP-SMC)の主語と解釈できる, (iii) 「する」のとる第一目的語(-OB1)あるいは「なる」の主語(-SBJ)が小節(IP-SMC)に先行する(ただし,小節にとりたて助詞(P-OPTR)が付く場合を除く)。
上記の構文における,「する」に先行する IP-SMC は拡張タグ -CNT (連用形)を与えられる。 次の例の「細帯を長くして」において「長い」は「細帯」の属性であると解釈できる。 また,「言語学者(だ)」は「息子」の属性であると解釈できる。 したがって,「長く」「言語学者に」は IP-SMC-CNT を投射すると判断される。
(4.28 )
そうして 細帯 を 長く し て 、 子供 を 縛っ て おい て 、 その 片端 を 拝殿 の 欄干 に 括りつける 。
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
CONJ
そうして
IP-ADV-CONJ
IP-ADV-CONJ
PP-OB1
NP
N
細帯
P-ROLE
を
___IP-SMC-CNT
ADJI
長く
__VB
し
P-CONN
て
PU
、
PP-OB1
NP
N
子供
P-ROLE
を
VB
縛っ
P-CONN
て
VB2
おい
P-CONN
て
PU
、
PP-OB1
NP
D
その
N
片端
P-ROLE
を
PP
NP
PP
NP
N
拝殿
P-ROLE
の
N
欄干
P-ROLE
に
VB
括りつける
PU
。
[566_aozora_Natsume-1908@17,14 ]
(4.29 )
息子 を 言語学者 に し たい なんて 。
CP-EXL
FRAG
CP-THT
IP-SUB
NP-SBJ;{MAN_349}
*pro*
PP-OB1
NP
N
息子
P-ROLE
を
___IP-SMC-CNT
NP-PRD
N
言語学者
AX
に
__VB
し
AX
たい
P-OPTR
なんて
PU
。
[349_textbook_kisonihongo@19,13 ]
このような分析は「形容詞+する」を含む他の構文には適用されないことに注意。 「する」が第一目的語(OB1)をもたず,「する」の主語が形容詞の主語として解釈可能な場合, そのような形容詞はIP-SMC-OB1を投射する。
(4.30 )
花子 は その 時 おとなしく し て い た らしい 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{HANAKO_356}
NPR
花子
P-OPTR
は
NP-TMP
D
その
N
時
___IP-SMC-OB1
ADJI
おとなしく
__VB
し
P-CONN
て
VB2
い
AXD
た
MD
らしい
PU
。
[356_textbook_kisonihongo@16,13 ]
一方,「なる」に先行する IP-SMC は拡張タグ -OB1 を与えられる。 下の例では,「路はだんだん暗くなる」,「花子はきれいになった」の表す事象が実現した際には, 「路」について属性「暗い」が当てはまることを,「花子」については属性「きれい(だ)」が当てはまることが含意される。 そのため,「暗く」「きれいに」は IP-SMC-OB1 を投射する。
(4.31 )
路 は だんだん 暗く なる 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
路
P-OPTR
は
ADVP
ADV
だんだん
___IP-SMC-OB1
ADJI
暗く
__VB
なる
PU
。
[209_aozora_Natsume-1908@14,11 ]
(4.32 )
花子 は きれい に なっ た
IP-MAT
PP-SBJ
NP
NPR
花子
P-OPTR
は
___IP-SMC-OB1
ADJN
きれい
AX
に
__VB
なっ
AXD
た
[25_misc_EXAMPLE2@13,8 ]
時には,第二主語名詞句(-SBJ2)が小節にコントロールを及ぼすこともある。
(4.33 )
気 が 変 に なり そう な ん です 。
IP-MAT
NP-SBJ;{MCFARLANE}
*speaker*
___PP-SBJ2
NP
PP
NP;{MCFARLANE}
*pro*
P-ROLE
*の*
N
気
P-ROLE
が
___IP-SMC-OB1
ADJN
変
AX
に
__VB
なり
AX
そう
AX
な
FN
ん
AX
です
PU
。
[40_aozora_Doyle-1905@20,15,4 ]
「なる」の前のイ形容詞,ナ形容詞が2つの項を必要とするものであれば,2つ目の項,つまり第一目的語(-OB1)は形容詞の投射する IP-SMC-OB1 の中に含まれる。
(4.34 )
おかあさん が 恋しく なっ た わけ で は ない 、
IP-MAT
NP-SBJ;{HARU}
*speaker*
___IP-SMC-OB1
PP-OB1
NP;{OKASAN}
N
おかあさん
P-ROLE
が
___ADJI
恋しく
__VB
なっ
AXD
た
FN
わけ
AX
で
P-OPTR
は
NEG
ない
PU
、
[7_book_excerpt-22@13,4,11 ]
(4.35 )
私 は また あの 花火 という やつ が 好き に なっ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
私
P-OPTR
は
CONJ
また
___IP-SMC-OB1
PP-OB1
NP
D
あの
PP
NP
N
花火
P-ROLE
という
N
やつ
P-ROLE
が
___ADJN
好き
AX
に
__VB
なっ
AXD
た
PU
。
[28_aozora_Kajii-1925@29,10,25 ]
この小節としての分析は,上記のような主述関係が成り立たず(主語が構造のより深い部分をコントロールすることはありうるが), また属性の解釈もできないような例には適用されない。
(4.36 )
新しい 機種 も 気 に なる し 。
FRAG
PP-CONJ
IP-ADV
NP-SBJ
*pro*
PP-OB1
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJI
新しい
N
機種
P-OPTR
も
PP-CMPL
NP
N
気
P-ROLE
に
__VB
なる
P-CONN
し
PU
。
[80_blog_KNB@23 ]
(4.37 )
今後 の 医療運営 は 被災地 の 人口流出 に も 向き合う こと に なる 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PP
NP
N
今後
P-ROLE
の
N
医療運営
P-OPTR
は
PP
NP
IP-EMB
PP
NP
PP
NP
N
被災地
P-ROLE
の
N
人口流出
P-ROLE
に
P-OPTR
も
VB
向き合う
N
こと
P-ROLE
に
__VB
なる
PU
。
[25_news_KAHOKU_93@37 ]
4.7 イ形容詞(ADJI)
「大きい」「うつくしい」等のイ形容詞(ADJI)は,例えば命令形を持たない等の独特な活用パラダイムを持っている。 ADJI は修飾句や述語拡張形との共起関係に関して制限を有し,文脈によっては焦点について助詞との間に特別な相互作用を見せる。 しかし投射に関しては,他の述語と同様の振舞いをする。 名詞句の範囲外で主語と共に出現する場合,イ形容詞は主節,CP の下の IP-SUB,IP-ADV,または IP-SMC を投射し, 文法機能に関しても文法表示に関しても基本的に動詞や他の述語と同一の制約を持つ。
(4.38 )
新市 を 軌道 に 乗せる 意欲 は 強い 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
IP-EMB
NP-SBJ
*pro*
PP-OB1
NP
N
新市
P-ROLE
を
PP
NP
N
軌道
P-ROLE
に
VB
乗せる
N
意欲
P-OPTR
は
__ADJI
強い
PU
。
[160_news_KAHOKU_28@25 ]
(4.39 )
そんな こと も ない です か ?
CP-QUE
___IP-SUB
PP-SBJ
NP
D
そんな
N
こと
P-OPTR
も
__ADJI
ない
AX
です
P-FINAL
か
PU
?
[21_news_KAHOKU_10414@11,2 ]
(4.40 )
人間 で 言え ば 80 歳 近い のに 、 まだ やんちゃ です よ 」
CP-FINAL
___IP-SUB
NP-SBJ
*pro*
PP-SCON
___IP-ADV
IP-ADV-SCON-CND
NP-SBJ
*speaker*
NP-OB1
*pro*
PP
NP
N
人間
P-ROLE
で
VB
言え
P-CONN
ば
PP
NP
NUMCLP
NUM
80
CL
歳
P-ROLE
*に*
__ADJI
近い
P-CONN
のに
PU
、
ADVP
ADV
まだ
ADJN
やんちゃ
AX
です
P-FINAL
よ
PUR
」
[8_news_KAHOKU_13153@31,6,2 ]
(4.41 )
家族愛 の 深さ は 尊い が 、 互い を 心配 する あまり 、 津波避難 が 遅れる 場合 も ある 。
IP-MAT
PP-CONJ
___IP-ADV
PP-SBJ
NP
PP
NP
N
家族愛
P-ROLE
の
N
深さ
P-OPTR
は
__ADJI
尊い
P-CONN
が
PU
、
NP-ADV
IP-EMB
NP-SBJ
*pro*
PP-OB1
NP
PRO
互い
P-ROLE
を
VB
心配
VB0
する
N
あまり
PU
、
PP-SBJ
NP
IP-EMB
PP-SBJ
NP
N
津波避難
P-ROLE
が
VB
遅れる
N
場合
P-OPTR
も
VB
ある
PU
。
[45_news_KAHOKU_63@16,3 ]
(4.42 )
この いちご は 甘く て おいしい です 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
D;{STRAWBERRY_27}
この
N
いちご
P-OPTR
は
___IP-ADV-CONJ
__ADJI
甘く
P-CONN
て
ADJI
おいしい
AX
です
PU
。
[27_misc_BUFFALO@11,10 ]
(4.43 )
阪神大震災 で も 心 の 問題 は 3 年目 に 多く なっ た 。
IP-MAT
PP
NP
NPR
阪神大震災
P-ROLE
で
P-OPTR
も
PP-SBJ
NP
PP
NP
N
心
P-ROLE
の
N
問題
P-OPTR
は
PP
NP
NUMCLP
NUM
3
CL
年目
P-ROLE
に
___IP-SMC-OB1
__ADJI
多く
VB
なっ
AXD
た
PU
。
[25_news_KAHOKU_616@32,31 ]
イ形容詞が主語(空要素も含む)を伴って名詞を修飾する場合, それがイ形容詞単独の修飾であっても,イ形容詞が目的語や副詞句を伴う場合であっても区別は行わない。その多くは関係節(IP-REL)を投射するもとのして扱われる。また,主名詞との関係によっては,空所なし名詞修飾節(IP-EMB)を投射するものとして扱われることもある。
(4.44 )
ジョン は 赤い 車 を 持っ て いる 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
NPR
ジョン
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
___IP-REL
NP-SBJ
*T*
__ADJI
赤い
N
車
P-ROLE
を
VB
持っ
P-CONN
て
VB2
いる
PU
。
[1191_misc_JSeM_beta_150530@13,10 ]
(4.45 )
おそらく すでに 春 が 近い しるし だろう
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
ADVP
ADV
おそらく
NP-PRD
___IP-EMB
ADVP
ADV
すでに
PP-SBJ
NP
N
春
P-ROLE
が
__ADJI
近い
N
しるし
AX
*
MD
だろう
[919_aozora_Harada-1960@18,8 ]
2番目の項を必要とする特別な意味を持つ形容詞が多数存在する。 このような,2つの項を持つイ形容詞のリスト(網羅的ではない)を,第一目的語を表示する典型的な助詞と共に以下に挙げておく。
いっぱい(で), 睦まじい(と), 親しい(と), ふさわしい(に, と), につかわしい(に, と), ひとしい(に, と), 紛らわしい(に, と), 欲しい(が), 遠い(から), 近い(に), ない(に), 多い(に), 少ない(に), 乏しい(に), 厚い(に), 優しい(に), 冷たい(に), 甘い(に), よそよそしい(に), 厳しい(に), うるさい(に), くちやかましい(に), 恥ずかしい(に), 悪い(に), 弱い(に), 強い(に), 詳しい(に), 明るい(に), 暗い(に), 疎い(に, から), 鋭い(に), 鈍い(に), 忙しい(に, で)
「欲しい」のように両方の項の名詞句が「が」により表示されるものもあることに注意が必要である。 この種の文と,二重主語文とは注意深く区別しなければならない。 「が」で表示された名詞句のうちの片方のみを述語と組み合わせ, 文脈を用いて適切な文の意味を得ることができるならば, そのような名詞句は同じ述語の主語あるいは第一目的語である。 例えば,「私がチョコレートが欲しい」という文が与えられたとして, 以下に示すどちらの文も,文脈を与えれば適切である。
この場合は,「私」は NP-SBJ であり,「チョコレート」は NP-OB1 となる。
一方,「象が鼻が長い」のような文では,「象」は -SBJ ,「鼻」は -SBJ2 の二重主語文である。なぜなら「象が長い」は「象が鼻が長い」という文の意味を念頭に置かなければ「長い」の主語が「象」とは解釈できないからである。
4.8 特別な場合(イ形容詞と関連して)
助動詞的な働きをするイ形容詞「ほしい」は IP-SMC-OB1 を補部としてとり,この補部は常に主語ではない要素からコントロールを受ける。この IP-SMC は (VB ...) (P-CONN て) あるいは (VB0 ...) (P-CONN て) と分析される。
(4.46 )
私 に 何 を し て ほしい の ?
CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
PP-DOB1
NP
PRO
私
P-ROLE
に
___IP-SMC-OB1
PP-OB1
NP
WPRO
何
P-ROLE
を
___VB
し
___P-CONN
て
__ADJI
ほしい
FN
の
PU
?
[329_textbook_purple_intermediate@22,11,18,20 ]
4.9 テンス標識(AXD)
過去テンスおよび完了アスペクトの「た・だ」はテンス標識(AXD)とラベル付けされる。 動詞連用形に接続し,終止・連体形として使用される。 AXDのラベルは古語の「き・し,たり,り」にも与えられる。
(4.47 )
本当 に 喜べる 日 は もう 少し 先 と なっ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
IP-EMB
NP-SBJ
*pro*
ADVP
ADJN
本当
AX
に
VB
喜べる
N
日
P-OPTR
は
IP-SMC-OB1
ADVP
ADVP
ADV
もう
ADV
少し
NP-PRD
N
先
AX
と
VB
なっ
__AXD
た
PU
。
[9_news_KAHOKU_117@32 ]
「た・だ」は,ただし,動詞が名詞を修飾する際に,過去や完了でなく状態としての意味をもち,形容詞に近い役割を果たすことがある。その場合には,AXD ではなく AX のラベルを与えられる(詳しくは, 4.11 節を参照)。
助動詞(AX)は次のような要素に対するラベルとして用いられる。以下に主な助動詞を挙げる。このうち,最後の「コピュラ」については, 4.13 でより詳しく見る。
イ形容詞と同じ活用形を持つ派生接尾辞:がたい,たい,やすい,らしい
ナ形容詞・名詞と同じふるまいをする派生接尾辞:がち,そう,っぱなし
動詞と同じ活用形を持つ派生接尾辞:がる,ちまう,ます,まする,やがる,ごたる
いわゆる「比況・例示」の助動詞:ごとし(ごとく/ごとき)
未然形に後続し,意志や推量を表す助動詞:う/よう
テンス/アスペクト的な意味を持たない「た/だ」
コピュラ:だ(で/な/の/に),です(でし/でしょ),じゃ・じゃあ,たる(たら/たり),なる(なら/なり),や(やっ/やん),だんし,でっしゃ
なお,イ形容詞と同じ活用形を持つ派生接尾辞の中でも「づらい」(しづらい,分かりづらい,見えづらい,等)については,先行する動詞語幹と合わせて単一の形容詞(ADJI) として扱われる。
4.11 「た・だ」の特別な場合
動詞によっては助動詞「た・だ」を伴って名詞を修飾する際に,過去や完了の意味をもたず,単に被修飾名詞の状態を叙述することがある。 このような「た・だ」は,言い切りの形としては「ている・でいる」で意味を変えることなく置き換えられるのが特徴である。 そのような場合,「た・だ」は AXD ではなく AX としてラベル付けされる。
折れ曲がった道 → 道が折れ曲がっている (≠ 道が折れ曲がった)
以下に AX としての「た」を伴う例を挙げる:
安定した, 生きた, 落ち着いた, 思いあがった, 思い切った, 思い詰めた, 折れ曲がった, 限られた, 固めた, 勝ち誇った, 兼ねた, かぶった, 加味した, 冠った, 刈り込んだ, かわいた, 組み合わせた, 悟り切った, 覚ました, 従った, しぼった, 緊めた, 湿った, しゃれた, すぐれた, 背負った, 洗練された, 想定した, 相当した, そろった, 対応した, 体感した, たたえた, 立て切った, 立てた, 付いた, 使い古した, 使った, 突き上げた, 包まれた, 詰まった, 積もった, 吊るした, 説いた, ねじれた, 載せた, ばかげた, 離れた, はめた, 控えた, 含めた, 伏せた, 肥った, 古びた, 平然とした, 向いあった, 面した, 用いた, 持った, 盛り込んだ, やせ衰えた, 緩めた, 汚れた, 連携した
4.12 モーダル要素(MD, ADJI-MD, ADJN-MD)
MD, ADJI-MD, ADJN-MDは,文のモダリティを指定するのに寄与する語を支配する特別なカテゴリーである(以下MDで代表する)。そのような語をMDノードの下に分離しておくことの利点として,以下が挙げられる:
モダリティを指定する表現の,少なくともいくつかを特定するのに役に立つ --MDとは指定されていない要素が,モダリティに影響を与えるケースも数多くあることに注意。
項構造を完全に書き出すことが不適切であるような場合に,依存関係を作り出す必要がなくなる(例えば,補語をとる名詞由来であったり,助詞と動詞から構成されたりするモーダル表現のうち,元来の意味を読み解くのが難しい表現など)
モーダルな関係を合成的に説明するために重要な形態的・意味的な情報を取り出すことが可能である(例えば,否定など)。
モーダル(MD)に属する要素の大部分は用言の終止・連体形に接続する。以下が典型例である:
かもしれない,そう(伝聞),だろう,ちがいない,べし,みたい,よう(推測),らしい
以下に注意を要する例を挙げる:
「かもしれない」「かもしれません」は間接疑問を表す終助詞「か」の後に,それを選択する可能動詞未然形「しれ」が後続する,複雑な文法化表現の一部分である。
(4.48 )
彼 は 飲み物 を 勧める かもしれません 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
彼
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
N
飲み物
P-ROLE
を
VB
勧める
__MD
かもしれません
PU
。
[359_textbook_djg_intermediate@16 ]
終止形の用言に後接する「そう」は伝聞を意味し,必ずコピュラを伴う。 動詞連用形,イ形容詞語幹,およびナ形容詞本体に接続するAXとしての「そう」の用法に付いては 4.10 節を参照。
(4.49 )
大昔 、 火星 に 水 が あっ た そう だ 。
IP-MAT
NP-TMP
N
大昔
PU
、
PP
NP
N
火星
P-ROLE
に
PP-SBJ
NP
N
水
P-ROLE
が
VB
あっ
___AXD
た
__MD
そう
AX
だ
PU
。
[600_textbook_particles@23,21 ]
「だろう」「であろう」「でしょう」はコピュラから派生したものであり,述語に推量のモダリティを加える。
(4.50 )
先生 でも わから ない でしょう 。
IP-MAT
NP-OB1
*pro*
PP-SBJ
NP
N
先生
P-OPTR
でも
VB
わから
__NEG
ない
MD
でしょう
PU
。
[132_textbook_particles@12 ]
「違いない」とその変形は確実性を意味する構文の一部分。
(4.51 )
その 国 は たいへん 美しい に 違いない 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
D
その
N
国
P-OPTR
は
ADVP
ADJN
たいへん
ADJI
美しい
P-ROLE
に
__MD
違いない
PU
。
[210_textbook_TANAKA@17 ]
終止・連体形に後続する「よう」についての詳細は 7.4 参照。述語の未然形に後接する「よう」はAXとタグ付けされる。
上記から示唆されるように,モダリティと関係がある(そして独立の単位をなすと見なされることもある)一方で, MDというラベルをもたない表現も存在する。 「なければならない」および「はず」が代表的な例である。 NPCMJにおいて,前者は元の条件文的な構造を維持されており,V「なら」を支配するVB2によって特徴づけられる。 後者はFNというタグをもつ。詳しくは,それぞれ4.5 節および4.21 節を参照。
ADJI-MDは2種類のモダリティ構文で用いられるイ形容詞を支配するカテゴリーである。 1つは「良い」を含む,許可や望ましさを表す構文(「ても良い」「たら良い」「ば良い」「と良い」等)であり, もう1つは不必要性を表す構文(「までもない」等)である。 合成的構造を維持することにより, これらの構文のバリエーションを捉えることが可能となる。
(4.52 )
窓 を 開け て も いい ?
CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ
*speaker*
PP-OB1
NP
N
窓
P-ROLE
を
VB
開け
___P-CONN
て
___P-OPTR
も
__ADJI-MD
いい
PU
?
[594_textbook_purple_basic@17,13,15 ]
(4.53 )
どう し たら いい です か 。
CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ
*speaker*
ADVP-CMPL
WADV
どう
VB
し
___P-CONN
たら
__ADJI-MD
いい
AX
です
P-FINAL
か
PU
。
[556_textbook_purple_basic@12,10 ]
(4.54 )
歴史 は 歴史家 に 任せ て 、 小説家 は 小説 を 書け ば よい の だ 。
IP-MAT
IP-ADV-CONJ
NP-SBJ
*pro*
PP-OB1
NP
N
歴史
P-OPTR
は
PP
NP
N
歴史家
P-ROLE
に
VB
任せ
P-CONN
て
PU
、
PP-SBJ
NP
N
小説家
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
N
小説
P-ROLE
を
VB
書け
___P-CONN
ば
__ADJI-MD
よい
FN
の
AX
だ
PU
。
[53_aozora_Nomura-13-1954@39,37 ]
(4.55 )
南十字星 が 見える と いい な 。
CP-FINAL
IP-SUB
NP-SBJ
*speaker*
PP-OB1
NP
N
南十字星
P-ROLE
が
___VB
見える
__P-CONN
と
ADJI-MD
いい
P-FINAL
な
PU
。
[535_textbook_particles@13,11 ]
(4.56 )
すし が 日本 の 代表的 な 料理 で ある こと は 言う までも ない 。
IP-MAT
NP-SBJ
*arb*
PP-OB1
NP
IP-EMB
PP-SBJ
NP
N
すし
P-ROLE
が
NP-PRD
PP
NP
NPR
日本
P-ROLE
の
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
代表的
AX
な
N
料理
AX
で
VB2
ある
N
こと
P-OPTR
は
VB
言う
___P-OPTR
までも
__ADJI-MD
ない
PU
。
[152_textbook_djg_advanced@41,39 ]
ADJN-MDは許可あるいは禁止を表す構文(「て結構だ」「てはだめだ」等)で用いられるナ形容詞を支配するカテゴリーである。これらの構文を分析的に扱うことの根拠はADJI-MDの場合と同様である。
(4.57 )
大臣 は 退席 を さ れ て 結構 で ござい ます 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
大臣
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
N
退席
P-ROLE
を
VB
さ
VB2
れ
___P-CONN
て
__ADJN-MD
結構
___AX
で
VB2
ござい
AX
ます
PU
。
[17_diet_kaigiroku-8@20,18,22 ]
(4.58 )
ここ で 止め て は 駄目 だ
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
PP
NP
PRO
ここ
P-ROLE
で
VB
止め
___P-CONN
て
___P-OPTR
は
__ADJN-MD
駄目
___AX
だ
[127_dict_pth_r@16,12,14,18 ]
コピュラは多くの場合ナ形容詞(ADJN)や名詞句(NP)に後続するが,副詞句(ADVP)や助詞句(PP)等に後続することもある。コピュラの機能は,主語名詞句を他の名詞句等と関連付けることであり,それには次の3つの基本的な意味的タイプがある。
(i) 同一性(identity)「遊び人の金さんは奉行の遠山景元だ」
(ii) 属性叙述(property ascription)「油揚げは狐色だ」
(iii) 指定(specification)「勝つのは俺だ」
4.13.1 コピュラおよびコピュラの脱落
この節ではコピュラの形式と分布について記述する。 コピュラ「だ」とそれに類する要素は,AX とラベル付けされる。 複合的形式の「である」もまたコピュラの機能を果たす。この形式は以下のように分析される。
(... (AX で)
(VB2 ある))
コピュラの否定形もまた複合的形式によって表される。多くの場合,コピュラと否定の「ない」の間にはとりたて助詞が挿入される。
(... (AX で)
(P-OPTR は)
(NEG ない))
「だ」とそれに類する要素は,名詞述語(NP-PRD)やナ形容詞(ADJN)に後続する他に,形式名詞(例えば, (FN の) )やモーダル要素((MD みたい) , (MD べき) , (MD そう) )の後にも現れる。
単純な(肯定・非過去・非意志形の)コピュラ「だ」は,「らしい,みたい,かもしれない,にちがいない」等のモーダル要素や,助詞「なら」等の前では生起不可能だが,「である」はこの位置に出現することができる。 前者の場合,コピュラのゼロ形式 (AX *) がモーダルや「なら」の前に挿入される。
(4.59 )
札 は 十 円 札 らしい 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
札
P-OPTR
は
___NP-PRD
NUMCLP
NUM
十
CL
円
N
札
___AX
*
__MD
らしい
PU
。
[509_aozora_Natsume-1908@18,8,16 ]
意志/推量形(未然形)の表現では,コピュラのゼロ形式 (AX *) にモーダル助動詞の「だろう」「でしょう」「であろう」が後続する。
(4.60 )
これ は あなたがた にとって 、 小さい こと であろう か 。
CP-QUE
IP-SUB
PP-SBJ
NP
PRO
これ
P-OPTR
は
PP
NP
PRO
あなたがた
P-ROLE
にとって
PU
、
___NP-PRD
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJI
小さい
N
こと
___AX
*
__MD
であろう
P-FINAL
か
PU
。
[551_bible_ot@27,25,17 ]
終助詞(P-FINAL)「か」「さ」等の直前で,「だ」は省略される。 埋め込まれた間接疑問節においても「だ」は省略されることが多い(ただし,「だか」という連続が出現することもある)。
(4.61 )
「 私 は 涙 という もの が どんな もの か を 知ら なかっ た 。
IP-MAT
PUL
「
PP-SBJ
NP
PRO
私
P-OPTR
は
PP-OB1
CP-QUE
IP-SUB
PP-SBJ
NP
PP
NP
N
涙
P-ROLE
という
N
もの
P-ROLE
が
NP-PRD
WD
どんな
N
もの
___AX
*
__P-FINAL
か
P-ROLE
を
VB
知ら
NEG
なかっ
AXD
た
PU
。
[78_aozora_Yuki-1-2000@32,30 ]
(4.62 )
なぜ だ か は 分かり ませ ん 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
PP-OB1
CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ
*pro*
ADVP-PRD
WADV
なぜ
___AX
だ
__P-FINAL
か
P-OPTR
は
VB
分かり
AX
ませ
NEG
ん
PU
。
[303_aozora_Hayashida-2015@14,12 ]
また,とりたて助詞(P-OPTR)「なら」の前でも「だ」は省略される。
(4.63 )
「 ハンドガン なら 持っ てる よ 」
CP-FINAL
PUL
「
IP-SUB
NP-SBJ
*speaker+pro*
PP-SCON-CND
IP-ADV
NP-SBJ
*pro*
NP-PRD;{HANDGUN}
N
ハンドガン
___AX
*
__P-CONN
なら
NP-OB1;{HANDGUN}
*pro*
VB
持っ
VB2
てる
P-FINAL
よ
PUR
」
[268_fiction_DICK-1952@16,14 ]
「ね」「よ」等いくつかの終助詞の前では「だ」は任意的である。これらの「だ」が省略されるすべての場合のアノテーションにおいて,コピュラのゼロ形式を補充する必要はない。
(4.64 )
あなた は 女 よ 。
CP-FINAL
IP-SUB
PP-SBJ
NP;{HEARER_1312}
PRO
あなた
P-OPTR
は
NP-PRD
N
女
__P-FINAL
よ
PU
。
[1313_textbook_kisonihongo@12 ]
他方,終助詞の中にも「ぞ,ぜ,わ,な」のように,直前の「だ」を省略できないものもある。また,伝聞を表すモーダル助動詞「そう」の後では「だ」は省略できない。さらに,従属節を導く助詞「けれど,とも,から,し,が」等の直前でも「だ」は省略することができない。
述語の拡張形である (FN の) (AX だ) の場合にも,「だ」の省略に関して以上と同じようなことが言える。例えば,終助詞「か」の前で単純な語形「だ」は通常省略されるが,丁寧形等の複合的な語形は省略されない。
のだ/*のだか/のか;
んだ/*んだか/んか;
のです/のですか;
んです/んですか; 等
コピュラは以下に見るように,様々な活用形を持つ。
だ / だっ / だろ / だい / で / に / と / の / な
です / でし / でしょ
や / やっ / やん
じゃ
たる / たら / たり
なる / なら / なり
だんし
でっしゃ
このような活用形のうち,コピュラ「だ」の連用形「で」は,「ある,いる,ござる」を従えて複合的なコピュラを作るほか, 単独で従属節の終末部を構成するコピュラとして出現することができる。
(4.65 )
< SL銀河 > 客車 は 4 両 編成 で 、 定員 180 人 を 予定 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRN
PUL
<
NP
NPR
SL銀河
PUR
>
N
客車
P-OPTR
は
IP-ADV-CONJ
NP-PRD
NUMCLP
NUM
4
CL
両
N
編成
__AX
で
PU
、
PP-OB1
NP
N
定員
NUMCLP
NUM
180
CL
人
P-ROLE
を
VB
予定
PU
。
[30_news_KAHOKU_1917@25 ]
(4.75 )
仙台 は 静か で とても きれい でし た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
NPR
仙台
P-OPTR
は
IP-ADV-CONJ
ADJN
静か
__AX
で
ADVP
ADV
とても
ADJN
きれい
___AX
でし
AXD
た
PU
。
[9_misc_EXAMPLE@11,18 ]
上記の例における (AX で) は「であって」と交替可能である。
古いコピュラ「なり」の変化形のひとつ「なら」は,同形の「なら」が接続助詞およびとりたて助詞にもあることに注意されたい。
「に」と「と」はコピュラの連用形が期待されるとき現れる。 「に」は特に,ナ形容詞(ADJN)の後に現れるが, 小節(IP-SMC)では述語名詞句の後(NP-PRD)に現れることもある。 「と」も同じような状況で現れる。 このような「に」や「と」は (AX に) や (AX と) のように分析される(詳細については,7.2.1 節--7.2.3 節を参照)。
(4.67 )
子供 は 一生懸命 に 手拭 を 見 て い た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
子供
P-OPTR
は
___ADVP
ADJN
一生懸命
__AX
に
PP-OB1
NP
N
手拭
P-ROLE
を
VB
見
P-CONN
て
VB2
い
AXD
た
PU
。
[262_aozora_Natsume-1908@11,8 ]
(4.68 )
全学級 の 大騒ぎ に なっ た 。
IP-MAT
NP-SBJ;{AKUN_AGITATING}
*pro*
IP-SMC-OB1
___NP-PRD
PP
NP
Q
全学級
P-ROLE
の
N
大騒ぎ
__AX
に
VB
なっ
AXD
た
PU
。
[60_aozora_Dazai-1-1940@14,5 ]
(4.69 )
急 に 室 の 中 が 暗く 陰気 と なっ た 。
IP-MAT
___ADVP
ADJN
急
__AX
に
PP-SBJ
NP
PP
NP
N
室
P-ROLE
の
N
中
P-ROLE
が
IP-SMC-OB1
IP-ADV-CONJ
ADJI
暗く
___ADJN
陰気
___AX
と
VB
なっ
AXD
た
PU
。
[52_aozora_Ogawa-1909@5,2,25,23 ]
「に」または「と」が「ある」と縮約した「なる」「たる」はコピュラの連体形として用いられる。
(4.70 )
あれ は 無意味 なる 沈鬱 で ある 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
あれ
P-OPTR
は
NP-PRD
IP-REL
NP-SBJ
*T*
___ADJN
無意味
__AX
なる
N
沈鬱
AX
で
VB2
ある
PU
。
[13_aozora_Terada-1929@14,12 ]
(4.71 )
彼 に は 確固 たる 考え が ある 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
彼
P-ROLE
に
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
___ADJN
確固
__AX
たる
N
考え
P-ROLE
が
VB
ある
PU
。
[17_misc_EXAMPLE2@17,15 ]
4.14 ナ形容詞(ADJN)
ナ形容詞(ADJN)に含まれるのは,いわゆる「形容動詞」と「タル・ト型活用の形容動詞」(例:鬱々たる/と,閑散たる/と,決然たる/と,騒然たる/と,漠然たる/と,呆然と,満々たる/と,黙々たる/と,隆々たる/と),「文語形容動詞」(速やか-なる,確固-たる)である。 「ナ形容詞の語幹」は ADJN と,「活用語尾」は AX(コピュラ)とラベル付けされる。 ADJN と AX が述語を構成し,主語と共起する場合には IP を投射する。 これらの表現が述語的性質を持つということに疑いの余地は無く, またこれらを節として分析することを指示する統語論的事実が多数存在する。 ナ形容詞が単独の品詞と認められるのは,(1)コピュラの連体形としての特別な形式として「な」を持つこと,(2)連体修飾を拒むこと,(3)「か」や補文助詞「と」「という」「といった」等以外の助詞が直接付加されることがないことによる。
ナ形容詞は,動詞やイ形容詞と同様に節を投射する。
(4.72 )
父 は 娘 が 心配 だ
___IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
父
P-OPTR
は
PP-SBJ2
NP
N
娘
P-ROLE
が
__ADJN
心配
___AX
だ
[103_dict_pth_q@14,16,1 ]
(4.73 )
太郎 と 花子 で は 、 どちら が 歌 が 上手 です か 。
CP-QUE
___IP-SUB
PP-SBJ
NP
PP
NP
CONJP
NP;{TARO_335}
NPR
太郎
P-CONN
と
NP;{HANAKO_335}
NPR
花子
P-ROLE
で
P-OPTR
は
PU
、
WPRO
どちら
___P-ROLE
が
PP-OB1
NP
N
歌
P-ROLE
が
__ADJN
上手
AX
です
P-FINAL
か
PU
。
[335_textbook_kisonihongo@32,24,2 ]
(4.74 )
家庭 が 不安定 だ と 子ども の 状態 は 良く なら ない 。
IP-MAT
PP-SCON-CND
___IP-ADV
PP-SBJ
NP
N
家庭
P-ROLE
が
__ADJN
不安定
___AX
だ
P-CONN
と
PP-SBJ
NP
PP
NP
N
子ども
P-ROLE
の
N
状態
P-OPTR
は
IP-SMC-OB1
ADJI
良く
VB
なら
NEG
ない
PU
。
[39_news_KAHOKU_616@10,12,3 ]
(4.75 )
仙台 は 静か で とても きれい でし た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
NPR
仙台
P-OPTR
は
___IP-ADV-CONJ
__ADJN
静か
___AX
で
ADVP
ADV
とても
ADJN
きれい
AX
でし
AXD
た
PU
。
[9_misc_EXAMPLE@9,11,8 ]
(4.76 )
また も 不思議 に 思っ て 彼 を 見つめ た 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
IP-ADV-CONJ
NP-DOB1
*pro*
PP
ADVP
ADV
また
P-OPTR
も
___IP-SMC-OB1
__ADJN
不思議
___AX
に
VB
思っ
P-CONN
て
PP-OB1
NP
PRO
彼
P-ROLE
を
VB
見つめ
AXD
た
PU
。
[93_aozora_Hayashida-2015@14,16,13 ]
(4.77 )
『 可哀そう な 男 だ 。
IP-MAT
PUL
『
NP-SBJ
*hearer*
NP-PRD
___IP-REL
NP-SBJ
*T*
__ADJN
可哀そう
___AX
な
N
男
AX
だ
PU
。
[156_aozora_Togawa-1937-1@10,12,7 ]
(4.78 )
大衆 が 静か な こと は 日本人 の 特徴 で ある 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
___IP-EMB
PP-SBJ
NP
N
大衆
P-ROLE
が
__ADJN
静か
___AX
な
N
こと
P-OPTR
は
NP-PRD
PP
NP
N
日本人
P-ROLE
の
N
特徴
AX
で
VB2
ある
PU
。
[40_aozora_Hayashida-2015@11,13,4 ]
イ形容詞の場合と同じく,ナ形容詞にコピュラの連用形の「に」「と」が続き,副詞的に使用される場合,これは副詞句(ADVP)を投射する。
(4.79 )
カメラ付き携帯電話 の 普及 など で 、 一般 の 人々 が 写真 や 映像 を 撮影 し 提供 する 機会 が 飛躍的 に 増え た 。
IP-MAT
PP
NP
PP
NP
N
カメラ付き携帯電話
P-ROLE
の
N
普及
P-OPTR
など
P-ROLE
で
PU
、
PP-SBJ
NP
IP-EMB
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
一般
AX
の
N
人々
P-ROLE
が
IP-ADV-CONJ
PP-OB1
NP
CONJP
NP
N
写真
P-CONN
や
NP
N
映像
P-ROLE
を
VB
撮影
VB0
し
NP-OB1
*pro*
VB
提供
VB0
する
N
機会
P-ROLE
が
___ADVP
__ADJN
飛躍的
___AX
に
VB
増え
AXD
た
PU
。
[24_news_KAHOKU_39@63,65,62 ]
(4.80 )
彼 は 公然 と 語っ て いる のに 、 人々 は これ に対して 何 も 言わ ない 。
IP-MAT
NP-OB1
*pro*
PP-SCON
IP-ADV
NP-OB1
*pro*
PP-SBJ
NP
PRO
彼
P-OPTR
は
___ADVP
__ADJN
公然
___AX
と
VB
語っ
P-CONN
て
VB2
いる
P-CONN
のに
PU
、
PP-SBJ
NP
N
人々
P-OPTR
は
PP
NP
PRO
これ
P-ROLE
に対して
NP;*OB1*
WPRO
何
P-OPTR
も
VB
言わ
NEG
ない
PU
。
[560_bible_nt@15,17,14 ]
「好きだ」「嫌いだ」「上手だ」のようなナ形容詞は「が」が付加された名詞句を2つ持つが,そのうちの1つだけが主語(-SBJ)の役割を持つものとして分析される。 2つめの名詞句は第一目的語(OB1)の役割を与えられる。
(4.81 )
鈴木さん が 一番 英語 が 上手 です 。
IP-MAT
___PP-SBJ
NP
NPR
鈴木さん
P-ROLE
が
ADVP
ADV
一番
___PP-OB1
NP
N
英語
P-ROLE
が
__ADJN
上手
___AX
です
PU
。
[493_textbook_purple_basic@17,19,11,2 ]
この種の形容詞を伴う文といわゆる二重主語文とは細心の注意を払って区別する必要がある。 「が」あるいは「は」が後接する名詞句の片方を取り出しても,残りの名詞句が(文脈が与えられれば)述語と共に文として自立した意味をもち,述語に対する項としての役割を果たしている場合,それは述語の主語(-SBJ)または第一目的語(OB1)であり二重主語文ではない。 以下の例において「必要だ」は二項述語であり,「専用アプリのインストール」は第一目的語(OB1)である一方で, 「簡単」は「スマホやタブレット端末」と「操作」を主語とする二重主語文の述語である。
(4.82 )
スマホ や タブレット端末 は 専用アプリ の インストール が 必要 だ が 、 操作 は 簡単 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
CONJP
NP
N
スマホ
P-CONN
や
NP
N
タブレット端末
P-OPTR
は
PP-CONJ
IP-ADV
___PP-OB1
NP
PP
NP
N
専用アプリ
P-ROLE
の
N
インストール
P-ROLE
が
__ADJN
必要
___AX
だ
P-CONN
が
PU
、
PP-SBJ2
NP
N
操作
P-OPTR
は
___ADJN
簡単
PU
。
[74_news_KAHOKU_97@29,31,17,43 ]
また,形態としてはナ形容詞に類似しているが,名詞修飾の位置にしか出現しないために,伝統文法で「連体詞」として分類されている「大きな」「小さな」「可笑しな」のような語がある。 これらは単独の用法では PNL とラベル付けされる(3.2.5 節を参照)。
4.15 ナ形容詞分析の特例と例外
通常のナ形容詞が存在すると同時に,まったく同じ語幹に対して「な」の代りに「の」が後接された形式が存在することがある(例:不思議な/の,当たり前な/の,キレイ好きな/の,等)。 「別な食べ物・別の食べ物」「特別な措置・特別の措置」のように語の中には,名詞修飾の際に意味を変えることなしに,コピュラ連体形の「な」と「の」を許容する。 違う分析をする理由が特にない限りは,これらもまた ADJN と分析する。
ただし,「元気な子供」「元気の源」のように,「な」と「の」によって属性叙述かそうでないかが表現しわけられることがある。 このような場合には,前者の「元気」を ADJN と,後者の「元気」を N とラベル付けする。 また,「鮮やかなピンクの花・鮮やかなピンクな花」のように,「な・の交代」が認められる要素が名詞修飾を受ける場合は N とラベル付けする。
ただし,「よう」「はず」「ふう」のように,通常の名詞と同様に修飾を受け,また格助詞が付加できるにもかかわらず,名詞を修飾する際に,「の」ではなく「な」を後接させる語が存在する。 これらは FN(名詞)として分析する(4.21 節を参照)。
4.16 名詞句述語(NP-PRD)
名詞句述語は,主要部としてN(名詞),NPR(固有名詞),Q(量化詞),PRO(代名詞),WPRO(疑問代名詞)等をもち,NP-PRD とラベル付けされる。 名詞句述語はコピュラと結合し, (1) 主語名詞句の属性の指示, (2) 主語名詞句との同一関係の叙述,あるいは (3) 集団を指示する名詞のメンバーの特定,もしくは属性を指示する名詞の値の特定,のいずれかを行う。
NP-PRD により構成された述語は,他の種類の述語と同様に,主語と共起して節を投射する。
(4.83 )
暗黒エネルギー の 正体 を 探る こと が 現代宇宙論 の 最大 の テーマ です 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
IP-EMB
NP-SBJ
*pro*
PP-OB1
NP
PP
NP
N
暗黒エネルギー
P-ROLE
の
N
正体
P-ROLE
を
VB
探る
N
こと
P-ROLE
が
__NP-PRD
PP
NP
N
現代宇宙論
P-ROLE
の
IP-REL
NP-SBJ
*T*
___ADJN
最大
___AX
の
N
テーマ
AX
です
PU
。
[14_news_KAHOKU_11382@25,35,37 ]
(4.84 )
- 審査委員長一押し の 提案 は 何 です か 。
CP-QUE
IP-SUB
SYM
-
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
___NP-PRD
___N
審査委員長一押し
___AX
の
N
提案
P-OPTR
は
__NP-PRD
___WPRO
何
___AX
です
P-FINAL
か
PU
。
[101_news_KAHOKU_52@19,20,22,10,11,13 ]
従属節として用いられた IP-ADV の中の用例:
(4.85 )
自分 は 虜 だ から 、 腰 を かける 訳 に 行か ない 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
自分
P-OPTR
は
PP-SCON
___IP-ADV
__NP-PRD
___N
虜
___AX
だ
P-CONN
から
PU
、
PP-OB1
NP
N
腰
P-ROLE
を
VB
かける
FN
訳
P-ROLE
に
VB2
行か
NEG
ない
PU
。
[297_aozora_Natsume-1908@10,13,11,9 ]
等位節として用いられた IP-ADV の中の用例:
(4.86 )
藤原氏 は 小保内氏 の 側近 で 、 昨年 3 月 に 退任 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{PERSON}
NPR
藤原氏
P-OPTR
は
___IP-ADV-CONJ
__NP-PRD
PP
NP;{PERSON}
NPR
小保内氏
P-ROLE
の
___N
側近
___AX
で
PU
、
PP-TMP
NP
N
昨年
NUMCLP
NUM
3
CL
月
P-ROLE
に
VB
退任
PU
。
[127_news_KAHOKU_28@9,8,18,16 ]
(6.90 )
その 間 が 、 たっぷり 一 時間 は あっ た 様 に 思わ れ ます 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
PP-DOB1
NP
D
その
N
間
P-ROLE
が
PU
、
___IP-SMC-OB1
__NP-PRD
IP-EMB
PP;*SBJ*
NP
ADVP
ADV
たっぷり
NUMCLP
NUM
一
CL
時間
P-OPTR
は
VB
あっ
AXD
た
N
様
AX
に
VB
思わ
VB2
れ
AX
ます
PU
。
[249_aozora_Edogawa-1929@15,14 ]
(4.112 )
国際学術コンペ の 審査委員長 で 、 フロリダ大西洋大教授 の フランク・シュニッドマンさん に 聞い た 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
NP-OB1
*pro*
PP
NP;{PERSON}
___IP-REL
NP-SBJ
*T*
IP-ADV-CONJ
NP-PRD
PP
NP
N
国際学術コンペ
P-ROLE
の
N
審査委員長
AX
で
PU
、
__NP-PRD
N
フロリダ大西洋大教授
AX
の
NPR
フランク・シュニッドマンさん
P-ROLE
に
VB
聞い
AXD
た
PU
。
[82_news_KAHOKU_52@25,8 ]
(4.89 )
だとすると 、 彼 が 犯人 で ある 可能性 は 低い 。
IP-MAT
CONJ
だとすると
PU
、
PP-SBJ
NP
___IP-EMB
PP-SBJ
NP;{TANAKA_175}
PRO
彼
P-ROLE
が
__NP-PRD
N
犯人
AX
で
VB2
ある
N
可能性
P-OPTR
は
ADJI
低い
PU
。
[176_textbook_kisonihongo@15,8 ]
(4.90 )
「 先生 、 この 人 が 生れつき 盲人 な の は 、 だれ が 罪 を 犯し た ため です か 。
CP-QUE
PUL
「
IP-SUB
NP-VOC
N
先生
PU
、
PP-SBJ
NP
___IP-EMB
PP-SBJ
NP
D
この
N
人
P-ROLE
が
NP-ADV
N
生れつき
__NP-PRD
N
盲人
AX
な
N
の
P-OPTR
は
PU
、
NP-PRD
IP-EMB
PP-SBJ
NP
WPRO
だれ
P-ROLE
が
PP-OB1
NP
N
罪
P-ROLE
を
VB
犯し
AXD
た
N
ため
AX
です
P-FINAL
か
PU
。
[749_bible_nt@24,12 ]
4.17 助詞句述語(PP-PRD)
名詞句(NP)や副詞(ADV)等に格助詞(P-ROLE)やとりたて助詞(P-OPTR)が後続し,そこにさらにコピュラが後続することがある(擬似分裂文が典型的である)。 この場合,助詞の投射した助詞句(PP)に述語としての拡張タグを付け,PP-PRD とする。
(4.91 )
第二 は 、 本法改正 の 遡及適用 について で あり ます 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
NUMCLP
NUM
第二
P-OPTR
は
PU
、
__PP-PRD
___NP
PP
NP
N
本法改正
P-ROLE
の
N
遡及適用
___P-ROLE
について
AX
で
VB2
あり
AX
ます
PU
。
[19_diet_kaigiroku-4@11,12,21 ]
(4.92 )
私 が 持っ て いる の は 本 だけ です 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-OB1
*T*
PP-SBJ
NP
PRO
私
P-ROLE
が
VB
持っ
P-CONN
て
VB2
いる
N
の
P-OPTR
は
__PP-PRD
___NP
N
本
___P-OPTR
だけ
AX
です
PU
。
[420_textbook_TANAKA@23,24,27 ]
4.18 副詞句述語(ADVP-PRD)
副詞(ADV)を主要部とする副詞句(ADVP)が,後続するコピュラを伴って述語となることがある。 この場合,副詞の投射した副詞句に述語としての拡張タグを付け,ADVP-PRD とする。 この種の構文には典型的には「そう」のような指示的な副詞が含まれる。
(4.93 )
ルール は こう だ 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
ルール
P-OPTR
は
__ADVP-PRD
ADV
こう
AX
だ
PU
。
[40_news_KAHOKU_179@8 ]
4.19 IPが述語となるケース(IP-ADV-PRD)
少数ながら,IP-ADVが後続するコピュラを伴って述語となることがある。 この場合も拡張タグ-PRDを用いて,IP-ADV-PRDとする。
(4.94 )
視覚的 だっ たり 聴覚 から で あっ たり 、 感触 から で あっ たり 抽象的 な 捉え方 も し ます し 、 動き ながら だっ たり
FRAG
IP-ADV-CONJ
PP-CONJ
IP-ADV
IP-ADV-CONJ
NP-SBJ;{THINK_ABOUT_WORLD}
*pro*
IP-ADV-CONJ
IP-ADV-CONJ
ADJN
視覚的
AX
だっ
P-CONN
たり
PP-PRD
NP
N
聴覚
P-ROLE
から
AX
で
VB2
あっ
P-CONN
たり
PU
、
PP-PRD
NP
N
感触
P-ROLE
から
AX
で
VB2
あっ
P-CONN
たり
NP-SBJ
*arb*
PP-OB1
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
抽象的
AX
な
N
捉え方
P-OPTR
も
VB
し
AX
ます
P-CONN
し
PU
、
__IP-ADV-PRD
VB
動き
P-CONN
ながら
AX
だっ
P-CONN
たり
[196_ted_talk_11@65 ]
4.20 CPが述語となるケース(CP-THT-PRD, CP-QUE-PRD)
CP-THTあるいはCP-QUEがコピュラを伴って述語となることがある。 それぞれ6.18.6 節,6.17.4 節を参照。
4.21 形式名詞(FN)+コピュラ(AX)
「形式名詞+コピュラ」は次のような文法機能を持つ。 主節の終末部に現れる場合,アスペクト,情報構造,モダリティ,証拠性等,様々な役割を果たす。 この種の語のうち基本的なものには,「はず」(見込み),「わけ」(根拠,結論),「もの」(習慣,不可避性)がある。 この他に,多様な文脈で現れる以下の語を付け加えることができる:「ふう」(様態),「つもり,気,魂胆」(意図),「ところ」(始動,完了,仮定),「ため」(理由,原因),「せい,おかげ」(原因),「ほう」(選択肢),「まま」(現状維持),等。 これらの語のほとんどは名詞修飾節内部の主語表示における「が/の交替」を許さない(これらを含むコピュラ文自体が名詞を修飾する場合を除く)。 これらの語の品詞タグは本コーパスでは FN とする。 主節の終末部に現れる場合,直接 IP に支配されるものとしてアノテーションされる。
(4.95 )
こう 感じ て いる 酔客 は 多い はず だ 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADVP
ADV
こう
VB
感じ
P-CONN
て
VB2
いる
N
酔客
P-OPTR
は
ADJI
多い
__FN
はず
___AX
だ
PU
。
[52_news_KAHOKU_107@22,24 ]
形式名詞の一部(例えば,「はず」や「わけ」)は,名詞述語に係る場合,その述語のコピュラが「な」形連体形になる場合がある。
(4.96 )
この 計画 は 、 実現不可能 な わけ で も ない 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
D
この
N
計画
P-OPTR
は
PU
、
ADJN
実現不可能
___AX
な
__FN
わけ
AX
で
P-OPTR
も
NEG
ない
PU
。
[142_textbook_particles@16,14 ]
文末の「のだ」を構成する「の」も FN(形式名詞)とラベル付けされ,動詞等の文構成素と同レベルに置かれて,直接 IP に支配されるものとしてアノテーションされる。 このようなフラットなアノテーションを行うのは,(1)形式名詞「の」の前の節が文に埋め込まれていると解釈した場合に生じる,スコープを決定するという困難を避ける;(2)名詞修飾節に見られるような「が/の交替」が認められない,という理由がある。
(4.97 )
田中 が 会い に 来 た の で は ない 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{TANAKA_730}
NPR
田中
P-ROLE
が
PP-PRP
IP-NMZ
NP-OB1
*pro*
VB
会い
P-ROLE
に
VB
来
AXD
た
__FN
の
AX
で
P-OPTR
は
NEG
ない
PU
。
[730_textbook_kisonihongo@20 ]
「のだ」構文の主要部として現在形の名詞述語が現われる場合,「な」形連体形のコピュラが使用されることに注意。
(4.98 )
この 猫 は 、 いわば 、 我が家 の 一員 な ___の __です ___。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
D
この
N
猫
P-OPTR
は
PU
、
ADVP
ADV
いわば
PU
、
NP-PRD
PP
NP
N
我が家
P-ROLE
の
N
一員
AX
な
FN
___の
AX
__です
PU
___。
[713_textbook_TANAKA@31,29,33 ]
4.23 「の」をコピュラの連体形と見なす際の基準
「の」はコピュラとして AX とラベル付けされるのか助詞(P-ROLE)としてラベル付けされるのか判断が難しいことがある。 本アノテーションでは原則として,「NP1 の N2 」を「[NP N2 ] は NP1 である」や 「NP1 である N2 」と言い換えることに問題がなく, また,NP1 と N2 が同格関係にある場合には,「の」をコピュラと見なし,AX とラベル付けする。 この際の修飾句は関係節(IP-REL)(または,空所なし名詞修飾節(IP-EMB))とされる。
(4.99 )
「 そこ に 小さな マッチ売り の 少女 が いる 。
IP-MAT
PUL
「
PP
NP
PRO
そこ
P-ROLE
に
PP-SBJ
NP
PNL
小さな
___IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
N
マッチ売り
__AX
の
N
少女
P-ROLE
が
VB
いる
PU
。
[225_aozora_Yuki-1-2000@20,14 ]
ただし,上記の原則だけでは「の」の扱いに迷いが生じる可能性がある。 以下では,このように迷いが生じる可能性のあるケースにおける本アノテーションでの方針を述べる。
「NP1 のため」(原因,理由): 「NP1 のため」で原因や理由を表す場合は,「の」を AX とした上,修飾句全体を IP-EMB とする。 この用法においては,「の」を「である」に置き換えて, 「NP1 であるため」を命題内容を変えずに得ることが可能である。
(4.100 )
被災地 で は まだ 、 保護者 が 大変 な 時期 の ため 、 子ども が うまく 甘え られ ない 面 も ある 。
IP-MAT
PP
NP
N
被災地
P-ROLE
で
P-OPTR
は
NP-ADV
___IP-EMB
ADVP
ADV
まだ
PU
、
PP-SBJ
NP
N
保護者
P-ROLE
が
NP-PRD
IP-EMB
ADJN
大変
AX
な
N
時期
__AX
の
___N
ため
PU
、
PP-SBJ
NP
IP-EMB
PP-SBJ
NP
N
子ども
P-ROLE
が
ADVP
ADJI
うまく
VB
甘え
VB2
られ
NEG
ない
N
面
P-OPTR
も
VB
ある
PU
。
[99_news_KAHOKU_55@31,11,33 ]
「NP1 のため」(受益者・目的):ただし,「NP1 のため」が受益者や目的を表す場合には,「の」を「である」で置き換えることができない。 この「の」は P-ROLE とする。
(4.101 )
彼女 は 彼 の ため に 口添え し た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
彼女
P-OPTR
は
PP
NP
PP
NP
PRO
彼
__P-ROLE
の
___N
ため
P-ROLE
に
VB
口添え
VB0
し
AXD
た
PU
。
[532_textbook_TANAKA@14,16 ]
(4.102 )
この 「 毒殺未遂事件 」 の 正体 は 、 反政宗派一掃 の ため の 自作自演 説 も ある 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PP
NP;{MASAMUNE_ASSASSINATE_THEORY}
D
この
PUL
「
N
毒殺未遂事件
PUR
」
P-ROLE
の
N
正体
P-OPTR
は
PU
、
PP-OB1
NP
NML
PP
NP
PP
NP
N
反政宗派一掃
__P-ROLE
の
___N
ため
P-ROLE
の
N
自作自演
N
説
P-OPTR
も
VB
ある
PU
。
[46_wikipedia_Datemasamune@31,33 ]
「NP1 のせい」(原因,理由):「NP1 のせい」の「の」は「である」と置き換えが可能な場合と不可能な場合がある。 前者の「の」は AX と,後者の「の」は P-ROLE とする。
(4.103 )
彼女 は ガン の せい で 死ん だ 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
彼女
P-OPTR
は
PP
NP
PP
NP
N
ガン
__P-ROLE
の
___N
せい
P-ROLE
で
VB
死ん
AXD
だ
PU
。
[443_textbook_TANAKA@14,16 ]
(4.104 )
あなた の せい で 、 こんな こと に なっ た ん です 。
IP-MAT
NP-SBJ;{SITUATION_87}
*pro*
PP
NP
PP
NP;{HEARER_87}
PRO
あなた
__P-ROLE
の
___N
せい
P-ROLE
で
PU
、
ADVP-CMPL
NP-PRD;{AFTERMATH_87}
D
こんな
N
こと
AX
に
VB
なっ
AXD
た
FN
ん
AX
です
PU
。
[87_textbook_kisonihongo@10,12 ]
「NP1 のこと」の「の」は多くの場合「である」と置換えが不可能であり,P-ROLE とされる。 しかし,「NP1 の」が性質を表し,「こと」を主要部とする関係節(IP-REL)と解釈できる場合もあるので注意されたい。
(4.105 )
旦那さん が 本当 の こと を 言わ ない ん です か 。
CP-QUE
IP-SUB
PP-SBJ
NP
N
旦那さん
P-ROLE
が
PP-OB1
NP
___IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
本当
__AX
の
___N
こと
P-ROLE
を
VB
言わ
NEG
ない
FN
ん
AX
です
P-FINAL
か
PU
。
[688_textbook_kisonihongo@16,11,18 ]
「NP1 のよう」:「NP1 のよう」では,(以下の(4.106)のように) 「である」と置換えが可能な場合は「の」を AX とした上で修飾句全体を IP-EMB とする。 そうでない場合(例えば,(4.107)では),P-ROLE とされる。
(4.106 )
どうやら 全員 ご賛成 の よう です ので 、 その よう に 決め させ て いただき ます 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
NP-DOB1
*hearer*
PP-SCON
IP-ADV
NP-SBJ
*exp*
NP-PRD
___IP-EMB
NP-OB1;{SOLUTION_613}
*pro*
ADVP
ADV
どうやら
NP-SBJ
Q
全員
VB
ご賛成
__AX
の
___N
よう
AX
です
P-CONN
ので
PU
、
IP-SMC-OB1
NP-CZZ
*speaker*
NP-OB1;{ISSUE_613}
*pro*
PP
NP;{SOLUTION_613}
D
その
N
よう
P-ROLE
に
VB
決め
VB2
させ
P-CONN
て
VB
いただき
AX
ます
PU
。
[614_textbook_kisonihongo@22,24,11 ]
(4.107 )
ブラウンさん は 日本人 の よう な 考え方 を する 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
NPR
ブラウンさん
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
PP
NP
N
日本人
__P-ROLE
の
___N
よう
AX
な
N
考え方
P-ROLE
を
VB
する
PU
。
[104_textbook_djg_intermediate@18,20 ]
「NP1 の N2 」の例の中には,NP1 と「の」の間に何らかの格助詞を補うことのできるものがある。 例えば,「物理の本」「母のプレゼント」は「物理についての本」,「母からのプレゼント/母へのプレゼント」のように「について」「から」「へ」を補うことができる。 このような例は文脈によっては「(この)本は物理だ」「(この)プレゼントは母だ」のように「の」を「だ」「である」で置き換えられるかもしれないが,現行のアノテーションでは P-ROLE としておくことにする。
(4.108 )
ジャック は どう し て も 私 の 手紙 に 返事 を 書こ う と し ない 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
NPR
ジャック
P-OPTR
は
PP-SCON-CND
IP-ADV
ADVP-CMPL
WADV
どう
VB
し
P-CONN
て
P-OPTR
も
PP
NP
PP
___NP
PRO
私
__P-ROLE
の
___N
手紙
P-ROLE
に
PP-OB1
NP
N
返事
P-ROLE
を
VB
書こ
AX
う
AX
と
VB2
し
NEG
ない
PU
。
[873_textbook_TANAKA@25,22,27 ]
「じゃがいもの皮むき」「佐藤の参加」「酒の酔い(がまわってきた)」「明日の開催」等,NP2 が事態を表し,NP1 がその事態の補語を表す場合も,「の」を P-ROLE としてアノテーションする。
(4.109 )
近代的 な 官僚制 の 誕生 と 産業革命 の 開始 とともに 始まっ た の です
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
PP
NP
CONJP
NP
PP
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
近代的
AX
な
N
官僚制
__P-ROLE
の
N
誕生
P-CONN
と
NP
PP
NP
N
産業革命
___P-ROLE
の
N
開始
P-ROLE
とともに
VB
始まっ
AXD
た
FN
の
AX
です
[83_ted_talk_8@19,30 ]
「多くの意見」「二人の学生」「幅2センチの紐」等のように,量化詞あるいは数量詞が NP1 の主要部であり,それが N2 の数量あるいは属性を表している場合,「の」は AX とされる。 このとき,「NP1 の」が量化の働きをしていれば,それを示すために関係節のラベル IP-REL に ;* が加えられる(詳細は 3.3 節を参照)。
(4.110 )
洪水 で 3 人 の 人 が 行方不明 だ 。
IP-MAT
PP
NP
N
洪水
P-ROLE
で
PP-SBJ
NP
___IP-REL;*
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
___NUMCLP
NUM
3
CL
人
__AX
の
___N
人
P-ROLE
が
ADJN
行方不明
AX
だ
PU
。
[470_textbook_TANAKA@19,10,14,21 ]
ただし,「NP1 の」が NP2 の数量も属性も表していない場合は, 他の名詞句と同じような扱いを受け,「の」が P-ROLE として分析されることに注意されたい。
(4.111 )
彼 は 二人 の 結婚 に 立ち会っ た .
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
彼
P-OPTR
は
PP
NP
PP
___NP
NUMCLP
NUM
二人
__P-ROLE
の
___N
結婚
P-ROLE
に
VB
立ち会っ
AXD
た
PU
.
[1529_dict_vv-lexicon@15,11,17 ]
4.23.1 連体形「の」の等位節テスト
「である」の置き換えだけでは「の」が連体形のコピュラである場合をすべて識別できるわけではない。 例えば,「昔、子供の頃」にこのテストを適用すると,*「昔、子供である頃」が得られ,不合格である。 しかし「である」ではなく「であった」で置き換えた,「昔、子供であった頃」は可能である。 したがって,この例はコピュラ分析が適切である。 別のテストとして,等位節を利用するものが挙げられる。 コピュラは等位節の前件では連用形の「で」となる。 もし,問題となっている表現からコピュラ節と等位関係にある節を作ると, 前の節では「まだ子供でウブだった頃」,後ろの節では「まだウブで子供の頃」となるため,「の」がコピュラとして分析できることが分かる。 以下の(4.112)はその実例のひとつである。
(4.112 )
国際学術コンペ の 審査委員長 で 、 フロリダ大西洋大教授 の フランク・シュニッドマンさん に 聞い た 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
NP-OB1
*pro*
PP
NP;{PERSON}
IP-REL
NP-SBJ
*T*
IP-ADV-CONJ
NP-PRD
PP
NP
N
国際学術コンペ
P-ROLE
の
___N
審査委員長
__AX
で
PU
、
NP-PRD
___N
フロリダ大西洋大教授
AX
の
NPR
フランク・シュニッドマンさん
P-ROLE
に
VB
聞い
AXD
た
PU
。
[82_news_KAHOKU_52@21,19,26 ]
IP節とは,述語が投射する節であり,述語と項との関係を表現する。 述語が何であるのかに関しては, 1.3.6 節と sectionref:[__predicates__] 節で定めてある。 この節では,様々なIP節の下位分類について説明する。 IPは,その統語的環境と機能によって,拡張タグが必ず付与される。 以下その一覧である。
Table 5.1: IPの下位分類
統語タグ 解説
IP-MAT 主節
IP-SUB (CPに埋め込まれる)準主節
IP-REL 関係節
IP-EMB(2) 空所なし名詞修飾節
IP-ADV-CONJ 等位接続節
IP-ADV(2)-SCON(-CND) 従属節・条件節
IP-NMZ(2) 名詞化節
IP-SMC(2) 小節
5.1.1 主節(IP-MAT)と準主節(IP-SUB)
主節(IP-MAT)は,トップレベルに位置するような節である。 基本的に,IP-MATは他のIP節やCP節の中に埋め込まれることはない。
IP-MATが等位接続することは,原則的にはない。 なぜなら,2つのIP-MATの連なりは2つの発話の単位であり, 別々の木としてコーパスの中で保存されるはずだからである。 ある文の中に補部節があり,そこで複数の発話が同時に引用されるような場合は, IP-MATが並置され, multi-sentence を通じてCP-THTに埋め込まれる。 multi-sentence には,IP-MATのほか, 独立した発話を形成しているCP,FRAGおよびINTJPが置かれることもある (詳しくは 6.6 節を参照)。
(5.1 )
さつき町内会長 の 亀卦川正一さん ( 79 ) は 「 3 月 なら 釧路 の 最低気温 は マイナス 20 度 前後 、 昼 でも プラス に なる かどうか 。 屋外 で は 凍死 し て しまう 」 など と 話し た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
N
さつき町内会長
AX
の
NPR
亀卦川正一さん
PRN
PUL
(
NP
NUMCLP
NUM
79
PUR
)
P-OPTR
は
___CP-THT-OB1
___multi-sentence
PUL
「
__IP-MAT
PP-TMP
NP
NUMCLP
NUM
3
CL
月
P-OPTR
なら
PP-SBJ
NP
PP
NP
NPR
釧路
P-ROLE
の
N
最低気温
P-OPTR
は
NP-PRD
N
マイナス
NUMCLP
NUM
20
CL
度
N
前後
AX
*
PU
、
CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ;{DAYTIME_TEMPERATURE}
*pro*
PP-TMP
NP
N
昼
P-OPTR
でも
IP-SMC-OB1
NP-PRD
N
プラス
AX
に
VB
なる
P-FINAL
かどうか
PU
。
___IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
PP
NP
N
屋外
P-ROLE
で
P-OPTR
は
VB
凍死
VB0
し
P-CONN
て
VB2
しまう
PUR
」
P-OPTR
など
P-COMP
と
VB
話し
AXD
た
PU
。
[10_news_KAHOKU_95@29,87,26,25 ]
(5.2 )
谷藤裕明市長 は 2 月 27 日 の 定例記者会見 で 「 予定 し て い た 事業 が なかなか 進ま ない 。 何とか 工夫 を 凝らし 打開 し なけれ ば なら ない 」 と 懸念 し た 。
IP-MAT
NP-OB1
*pro*
PP-SBJ
NP
NPR
谷藤裕明市長
P-OPTR
は
PP
NP
PP
NP
NUMCLP
NUM
2
CL
月
NUMCLP
NUM
27
CL
日
P-ROLE
の
N
定例記者会見
P-ROLE
で
___CP-THT-ADV
___multi-sentence
PUL
「
__IP-MAT
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-OB1
*T*
NP-SBJ
*speaker+pro*
VB
予定
VB0
し
P-CONN
て
VB2
い
AXD
た
N
事業
P-ROLE
が
ADVP
ADV
なかなか
VB
進ま
NEG
ない
PU
。
___IP-MAT
NP-SBJ
*speaker+pro*
ADVP
ADV
何とか
IP-ADV-CONJ
PP-OB1
NP
N
工夫
P-ROLE
を
VB
凝らし
NP-OB1
*pro*
VB
打開
VB0
し
NEG
なけれ
P-CONN
ば
VB2
なら
NEG
ない
PUR
」
P-COMP
と
VB
懸念
VB0
し
AXD
た
PU
。
[66_news_KAHOKU_51@34,30,31,65 ]
(5.3 )
気迫 が 通じ た もの か 、 「 __よろしい 。 わかり まし た 」 と 相手側 の 代表者 が 意外 な 柔軟さ を みせ て いっ た 。
IP-MAT
CP-QUE-ADV
IP-SUB
PP-SBJ
NP
N
気迫
P-ROLE
が
VB
通じ
AXD
た
FN
もの
AX
*
P-FINAL
か
PU
、
CP-THT-OB1
multi-sentence
PUL
「
___IP-MAT
___NP-SBJ;{REDO}
*pro*
ADJI
__よろしい
PU
。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
NP-OB1;{REDO}
___*pro*
VB
わかり
AX
まし
AXD
た
PUR
」
P-COMP
と
PP-SBJ
NP;{PARTNER_COMPANY_DELEGATE}
PP
NP;{PARTNER_COMPANY}
N
相手側
P-ROLE
の
N
代表者
P-ROLE
が
IP-ADV-SCON
PP-OB1
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
意外
AX
な
N
柔軟さ
P-ROLE
を
VB
みせ
P-CONN
て
VB
いっ
AXD
た
PU
。
[24_misc_1709kytext2@30,26,27,37 ]
準主節(IP-SUB)は,CPレベルの下でのトップレベルのIPである。 これもまた,様々なCPの中に埋め込まれる ( 5.2 節を参照)ものの, IP-MATと同様,他のIP節の中に埋め込まれることはなく,IPに関して常にトップレベルに位置する。
主節と準主節は,どちらも,コントロール( 5.3 節)や ATB抽出( 5.4 節)に関与しない。
5.1.2 関係節(IP-REL)と空所なし連体節(IP-EMB)
空所あり名詞修飾節はIP-RELとアノテートされ,修飾する名詞の姉妹位置に置かれる。 IP-RELの内部には,トレース *T* が少なくとも1つ以上なければならない。
同じ名詞を修飾する複数のIP-RELは,名詞句の下で単に並置される。
(5.4 )
イギリス人 の 偉大 な テノール歌手 が いる 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
___IP-REL
NP-SBJ
__*T*
NP-PRD
N
イギリス人
AX
の
___IP-REL
NP-SBJ
___*T*
ADJN
偉大
AX
な
N
テノール歌手
P-ROLE
が
VB
いる
PU
。
[162_misc_JSeM_beta_150530@6,4,14,12 ]
(5.5 )
とはいっても 、 壁 は ぎざぎざ や とがっ た ところ が たくさん ある 念入り に 彫刻 さ れ た 家具 で さえぎら れ て い た 。
IP-MAT
CONJ
とはいっても
PU
、
PP-SBJ
NP
N
壁
P-OPTR
は
PP-LGS
NP
___IP-REL
NP-SBJ
__*T*
PP-OB1
NP
CONJP
NP
N
ぎざぎざ
P-CONN
や
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
VB
とがっ
AX
た
N
ところ
P-ROLE
が
NP;*OB1*
Q
たくさん
VB
ある
___IP-REL
NP-SBJ
___*T*
NP-LGS
*pro*
ADVP
ADJN
念入り
AX
に
VB
彫刻
VB0
さ
PASS
れ
AX
た
N
家具
P-ROLE
で
VB
さえぎら
PASS
れ
P-CONN
て
VB2
い
AXD
た
PU
。
[819_aozora_Harada-1960@16,14,44,42 ]
IP-RELは,コントロール( 5.3 節)や ATB抽出( 5.4 節)に関与しない。
被修飾主名詞に相当する空要素をもたない名詞修飾節は, IP-EMBとタグ付けされる。 IP-EMBは典型的には絵画名詞(走る姿),内容名詞(新病棟のベッドを減らす計画), 事態名詞(長男を失った経験,持ち直す可能性), 相対名詞(食べたあと,回復するはず), 機能名詞(チーターの走る速度)等に帰せられる命題内容を表す。
同じ名詞を修飾する複数のIP-EMBは,IP-RELと同様,名詞句NPの下で単に並置される。
(5.6 )
いかに も 立派 な 邸 で は ある が 、 なんとなく 様式離れ の し た 、 趣味 の 無い 、 そして 陰気 な 構造 の よう に 感ぜ られる 。
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
PP-CONJ
IP-ADV
ADVP
WADV
いかに
P-OPTR
も
NP-PRD;{MANSION}
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
立派
AX
な
N
邸
AX
で
P-OPTR
は
VB2
ある
P-CONN
が
PU
、
NP-DOB1;{MANSION}
*pro*
IP-SMC-OB1
NP-PRD
PP
___NP
__IP-EMB
ADVP
ADV
なんとなく
PP-SBJ
NP
N
様式離れ
P-ROLE
の
VB
し
AX
た
PU
、
___IP-EMB
PP-SBJ
NP
N
趣味
P-ROLE
の
ADJI
無い
PU
、
___IP-REL
NP-SBJ
*T*
CONJ
そして
ADJN
陰気
AX
な
N
構造
P-ROLE
の
N
よう
AX
に
VB
感ぜ
VB2
られる
PU
。
[25_aozora_Mori-1912@37,53,64,36 ]
IP-EMBは,IP-RELとは異なり, 後述するコントロール環境をなす( 5.3 節)。
IP-RELおよびIP-EMBの,名詞修飾節としての詳細は 3.2.6.1 節 および 3.2.6.2 節を参照。
5.1.3 名詞化節(IP-NMZ)
IPの中には,修飾すべき名詞や名詞化接辞がないのにもかかわらず,名詞的な環境に現れるような,特殊なものがある。 このような IP には IP-NMZ(名詞化節)のタグが与えられる。
(5.7 )
弟子たち は 食物 を 買い に 町 に 行っ て い た の で ある 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
弟子たち
P-OPTR
は
PP-PRP
__IP-NMZ
PP-OB1
NP
N
食物
P-ROLE
を
VB
買い
P-ROLE
に
PP
NP
N
町
P-ROLE
に
VB
行っ
P-CONN
て
VB2
い
AXD
た
FN
の
AX
で
VB2
ある
PU
。
[217_bible_nt@9 ]
(5.8 )
しかし 幹細胞治療 を 臨床応用 する に は 長い 道のり が あり ます
IP-MAT
CONJ
しかし
PP
__IP-NMZ
NP-SBJ
*speaker+pro*
PP-OB1
NP
N
幹細胞治療
P-ROLE
を
VB
臨床応用
VB0
する
P-ROLE
に
P-OPTR
は
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJI
長い
N
道のり
P-ROLE
が
VB
あり
AX
ます
[24_ted_talk_9@5 ]
上に挙げたような例は,節が事態全体,あるいは動作を示す事態名詞化(event nominalization)の例と考えることができる。 この意味的な特徴を踏まえると, IP-NMZ は,以下のような,単なる修飾先なしの関係節(targetless relative clauses)とは区別されなければならない。
(5.9 )
残る は 勾坂甚内 だけ 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
VB
残る
P-OPTR
は
PP-PRD
NP;{KOSAKA_JINNAI}
NPR
勾坂甚内
P-OPTR
だけ
__AX
*
PU
。
[280_aozora_Kunieda-1925@17 ]
IP-NMZの等位接続は,その名詞的な性質に従い,NPに準じることとする。 NPの等位接続は, 3.5 節にあるように,CONJPを通して行われる。
(5.10 )
性格 が 明るい か 、 あるいは 暗い か によって 、 人生 は 非常 に 変わっ て くる 。
IP-MAT
NP-SBJ
*arb*
PP
CP-QUE
__CONJP
CP-QUE
IP-SUB
PP-SBJ2
NP
N
性格
P-ROLE
が
ADJI
明るい
P-CONN
か
PU
、
CONJ
あるいは
CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ2
*pro*
ADJI
暗い
P-CONN
か
P-ROLE
によって
PU
、
PP-SBJ2
NP
N
人生
P-OPTR
は
ADVP
ADJN
非常
AX
に
VB
変わっ
P-CONN
て
VB2
くる
PU
。
[14_textbook_djg_advanced@6 ]
IP-NMZはコントロール環境をなす( 5.3 節)。
5.1.4 小節(IP-SMC)
本コーパスにおける小節(IP-SMC)は,一般的な言語学の用法よりも広い意味で使われ, 何かしらの述語が選択する(この点で,後述するIP-ADVとは異なる), 格が付与されない(この点で,IP-NMZとは異なる)補文であり, 時制または項について何かしらの欠陥がある(この点で,IP-SUBとは異なる)ようなものである。 IP-SMCは,特定の述語によって要求される。 特定の述語が何であるかについては, 1.6.3 節, 4.6 節, 4.8 節, 6.19 節, 6.20 節, 7.2.2 節, 7.2.3 節, 7.4 節を参照。
IP-SMCは,「と」,「という」などの補文標識を伴うことがある。 この場合,IP-SMCはCP-THTの下に直接置かれる。
(6.87 )
温度 を 一定 だ と する
IP-MAT
NP-SBJ;{SPEAKER_30}
*speaker*
PP-DOB1
NP
N
温度
P-ROLE
を
___CP-THT-OB1
__IP-SMC
ADJN
一定
AX
だ
P-COMP
と
VB
する
[30_misc_EXAMPLE@11,10 ]
IPに直接支配されるIP-SMCに対しては,文法的な役割を拡張タグとして明示する (4.6 節, 6.10 節, 6.12 節, および 1.6.3 節)。
IP-SMCの等位接続は,もしあるとすれば,述語の右方節点繰り上げ ( 6.4 節)の例として扱われる。 IP-SMCはコントロール環境をなす( 5.3 節)。
5.1.5 副詞節(IP-ADV)
以上で挙げられたものに分類されないような節(以後,節1と呼ぶ)として, 述語の連用形,接続助詞,あるいは接続副詞で終わり, もう1つの節(節2)に後続されるようなものが存在する。
さらに,この種の節の配置を,「節の連結」と呼ぶことにする。 本コーパスでは,2つの節の間の意味関係に拘わらず, 節1が節2によって支配されるようにアノテーションを行う。
「節の連結」における節1は,従属節と等位節に二分される。 いずれの場合も,節1は IP-ADV としてアノテートされる。 IP-ADV は,どちらの場合であっても,後続する節2の直下に置かれるか, 接続助詞(P-CONN)による投射PPを介して節2の下に置かれる。 IP-ADV(接続助詞による投射PPがあれば,それ)は,必ず追加の拡張タグが付与される。 -SCON は従属節であり, -SCON-CND は,従属節の中でも,条件節を表す。 -CONJ は等位節のことである。
IP-ADV-SCON(-CND)(またはPP-SCON(-CND))は, コントロール環境をなす( 5.3 節)。 一方で,IP-ADV-CONJ (またはPP-CONJ)は, ATB抽出( 5.4 節)を許す。
複数のIP-ADV-SCON(-CND)(またはPP-SCON(-CND))同士が並置されるかどうかは, これらの節がそれぞれ自らを支配する節と「節の連結」の関係にあるかどうかで判断される。
以下は並置ではない例:
(5.12 )
鶏 が 鳴い て も 女 が 来 なけれ ば 、 自分 は 逢わ ずに 殺さ れ て しまう 。
IP-MAT
__IP-ADV-SCON-CND
___PP-SCON-CND
IP-ADV
PP-SBJ
NP
N
鶏
P-ROLE
が
VB
鳴い
___P-CONN
て
P-OPTR
も
PP-SBJ
NP
N
女
P-ROLE
が
VB
来
NEG
なけれ
___P-CONN
ば
PU
、
PP-SBJ
NP
PRO
自分
P-OPTR
は
IP-ADV-SCON
NP-OB1
*pro*
VB
逢わ
NEG
ずに
NP-LGS
*pro*
VB
殺さ
PASS
れ
P-CONN
て
VB2
しまう
PU
。
[316_aozora_Natsume-1908@2,3,13,27 ]
以下は2つの IP-ADV2-SCON が並置である例:
(5.13 )
盗ん だ 金 だけに 糸目 を つけ ず 惜し気 なく パッパッ と 使う ので どこ へ 行っ て も モテル の で あっ た 。
IP-MAT
NP-SBJ;{KOSAKA_JINNAI}
*pro*
__PP-SCON
IP-ADV
PP-SCON
IP-ADV
NP-SBJ;{GOLD}
*pro*
NP-PRD
IP-REL
NP-OB1
*T*
NP-SBJ;{KOSAKA_JINNAI}
*pro*
VB
盗ん
AXD
だ
N
金
AX
*
P-CONN
だけに
IP-ADV-SCON
PP-OB1
NP
N
糸目
P-ROLE
を
VB
つけ
NEG
ず
IP-ADV-SCON
NP-OB1
N
惜し気
ADJI
なく
ADVP
ADV
パッパッ
AX
と
VB
使う
___P-CONN
ので
PP-SCON-CND
IP-ADV
PP
NP
WPRO
どこ
P-ROLE
へ
VB
行っ
P-CONN
て
P-OPTR
も
VB
モテル
FN
の
AX
で
VB2
あっ
AXD
た
PU
。
[198_aozora_Kunieda-1925@4,50 ]
一方で,IP-ADV-CONJ (またはPP-CONJ)は,その名の通り, (節2との)等位接続の関係を表現する「節の連結」である。 これらが置かれる位置については,その解説を次節に譲る。
5.1.5.2 平板な構造を保つための等位節へのアノテーション
等位接続とは,普通,「カテゴリー X n に支配された X 1,2...n-1 が姉妹の関係にあること(X は IP のこともあれば,VP のような中間的な節のこともある)」 を指すものとされる。 これは,意味計算を行うため,そして,構造を捉えるための一般的なやり方ではあるが,しかし, このツリーバンクにおいて,X n の層を加えると, (i) X n に支配される等位節 X 1,2...n-1 の文法的機能,および (ii) X n が自らを支配するカテゴリー(つまり,上位の節)に対してもつ機能 が不明瞭になってしまう。 本ツリーバンクは,すべての構成素の文法的機能を明示的に示そうとしており, そのおかげで,文法現象が常に最小限の構造によって定義され, そして予測不能でアドホックなツリー構造に頼らずに,その現象を検索することが可能になるものである。 この方針のために,節の並列を,CONJ を伴った節の付加として捉えるための特別の戦略をとることにする。
方針として,節1と節2の並列は,節1が節2によって支配されるものとしてアノテーションし, 節1に -CONJ 拡張タグを加える。 節1の具体的な形としては,節2の直下にあるような IP-ADV-CONJ か, 接続助詞の投射する PP-CONJ の下に置かれる IP-ADV (全体として,(PP-CONJ (IP-ADV ...) (P ...)) ) かのいずれかである。 (接続助詞については 2.6.3 節を参照のこと。) 等位接続の関係にある節が3つ以上ある場合には,すべての節が積み上げられているものとする。 つまり,節1が節2の下に,節2が節1と共に節3の下に置かれる。 詳しくは 5.4.2 節を参照。
従属節 IP-ADV-SCON(-CND) と等位節 IP-ADV-CONJ は当然,何かしらの基準に基づくものでなければ,その区別には意味がない。
述語の不定形の活用で終わる節(すなわち,述語連用形の節およびテ節)に関しては,現時点では,基準を, Nihongo08 2008 の 282–287ページに掲げられたものを利用して定めている。 すなわち,「並列」「対比」「継起」用法は等位節 IP-ADV-CONJ,順接条件は IP-ADV-SCON-CND,その他の用法は IP-ADV-SCONとする。
それ以外の節,すなわち,接続助詞もしくは接続副詞で終わる節は,それらの助詞または副詞に従って決まる。 以下,主なものを挙げる。
IP-ADV-SCON:つつ,とも-なく
PP-SCON: から(理由), とともに,と同時に,やいなや, ので,けど,けれど,けれども,のに,ものの,にもかかわらず,からといって,だけに, (せず)に, (する)に(は)(目的),ほど,より(は),につれて,というより,どころか, からには, (て)から,まで
IP-ADV-SCON-CND:たら(仮定),れば,(た)って,て-は,ちゃ
PP-SCON-CND:なら,ならば,ものなら,と(条件),(て)も(譲歩),であれ,にしても,(て)は(意外),(て)こそ
IP-ADV2-SCON:がてら,ながら
IP-ADV-CONJ:たり,でも(最小),のみ-なら-ず
PP-CONJ:が(順接・逆接),やら,とか,し(並列),にして,なり,か(選言)
定形節全体に対して,程度や限定を表す「だけ」「ばかり」「くらい」がつくことがある。 この場合,IP-ADV が用いられる。
(5.14 )
やれる だけ やっ て み よう 。
CP-IMP
IP-SUB
NP-SBJ
*speaker+hearer*
PP
__IP-ADV
VB
やれる
___P-OPTR
だけ
VB
やっ
P-CONN
て
VB2
み
AX
よう
PU
。
[56_textbook_particles@6,9 ]
(5.15 )
だが 、 それ を 見届ける だけ の 生命 が 私 に ある かどうか の 自信 は なかっ た 。
IP-MAT
NP-SBJ;{AUTHOR}
*speaker*
CONJ
だが
PU
、
PP-OB1
NP
PP
CP-QUE
IP-SUB
PP-OB1
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
PP-PRD
__IP-ADV
NP-SBJ;{AUTHOR}
*pro*
PP-OB1
NP;{FUTURE_FOR_MASAKO+MIGIFUMI}
PRO
それ
P-ROLE
を
VB
見届ける
___P-OPTR
だけ
AX
の
N
生命
P-ROLE
が
PP-SBJ
NP;{AUTHOR}
PRO
私
P-ROLE
に
VB
ある
P-FINAL
かどうか
P-ROLE
の
N
自信
P-OPTR
は
ADJI
なかっ
AXD
た
PU
。
[97_aozora_Tsuboi-1968@19,30 ]
(5.16 )
どの 演奏 も 若さ と 情熱 が あふれん ばかり に 満ち て い た 。
IP-MAT
NP-LOC
WD
どの
N
演奏
P-OPTR
も
PP-SBJ
NP
CONJP
NP
N
若さ
P-CONN
と
NP
N
情熱
P-ROLE
が
PP-SCON
__IP-ADV
VB
あふれん
___P-OPTR
ばかり
P-ROLE
に
VB
満ち
P-CONN
て
VB2
い
AXD
た
PU
。
[325_textbook_djg_advanced@23,26 ]
(5.17 )
ともかく 、 両足 を ふだん と は ちがう くらい 高く 上げ た 。
IP-MAT
NP-SBJ;{FATHER}
*pro*
ADVP
ADV
ともかく
PU
、
PP-OB1
NP
Q
両足
P-ROLE
を
ADVP
PP
__IP-ADV
NP-SBJ
*pro*
PP
NP
N
ふだん
P-ROLE
と
P-OPTR
は
VB
ちがう
___P-OPTR
くらい
ADJI
高く
VB
上げ
AXD
た
PU
。
[804_aozora_Harada-1960@17,30 ]
テ形節に直接「の」が付き,連体修飾を行うような構文もある。
(5.18 )
生まれつい て の 芸術家
FRAG
NP
PP
__IP-ADV
VB
生まれつい
___P-CONN
て
___P-ROLE
の
N
芸術家
[346_dict_vv-lexicon@4,7,9 ]
(5.19 )
見 て の とおり 、 道 から 部屋 の 中 を 覗きこめる ん だ 。
IP-MAT;{LOOK_FROM_OUTSIDE}
NP-SBJ
*arb*
NP-ADV
PP
__IP-ADV
NP-SBJ
*arb*
VB
見
___P-CONN
て
___P-ROLE
の
N
とおり
PU
、
PP
NP
N
道
P-ROLE
から
PP-OB1
NP
PP
NP;{OLDACRE_HOUSE_BEDROOM}
N
部屋
P-ROLE
の
N
中
P-ROLE
を
VB
覗きこめる
FN
ん
AX
だ
PU
。
[374_aozora_Doyle-1905@6,11,13 ]
5.2 CP タグを持つ節
CP節とは,終助詞(引用の助詞を含む)が, 文の残りの要素を自身の補部(IP,CP,FRAG)としながら投射するものである。 CP節の中に含まれるものとして以下がある:
終助詞(P-FINAL)
補部となる節(次のいずれか)
準主節(IP-SUB)
小節(IP-EMB)
断片(FRAG)
別のCP節
CPの下位分類として,疑問節(CP-QUE), 感嘆節(CP-EXL), 命令節(CP-IMP), 終助詞節(CP-FINAL), 補部節(CP-THT)の5つがある。 この節では,CP-THTを除いた4つを解説する。 CP-THTについては 6.18 節を参照のこと。
5.2.1 疑問節(CP-QUE)
疑問の内容を表す節(IP-SUB や FRAG 等)はCP-QUEの直下に, 疑問の終助詞(P-FINAL)があるならばそれとともに,置かれる。 一般的に,終助詞(P-FINAL)は,疑問節に伴うこともあれば,伴わないこともある。
疑問には直接疑問と間接疑問の2種類があるが,ラベル(CP-QUE)によってそれらを区別することはしない。 以下直接疑問と間接疑問のそれぞれの場合について解説する。
直接疑問文については, 文全体が CP-QUE とラベル付けされ, その下に 疑問の内容を表す節(IP-SUB や FRAG 等)が置かれる。
(5.20 )
目ざまし が 鳴ら なかっ た の だろう か 。
__CP-QUE
___IP-SUB
PP-SBJ
NP;{ALARM_CLOCK}
N
目ざまし
P-ROLE
が
VB
鳴ら
NEG
なかっ
AXD
た
FN
の
MD
だろう
___P-FINAL
か
PU
。
[53_aozora_Harada-1960@1,2,19 ]
(5.21 )
あなた 、 明日 の 会議 お出 に なる 。
__CP-QUE
___IP-SUB
NP-SBJ;{HEARER_691}
PRO
あなた
PU
、
PP
NP
PP
NP
N
明日
P-ROLE
の
N
会議
P-ROLE
*に*
VB
お出
AX
に
VB2
なる
PU
。
[691_textbook_kisonihongo@1,2 ]
(5.22 )
「 それから ?
__CP-QUE
PUL
「
___FRAG
CONJ
それから
PU
?
[696_aozora_Miyazawa-1934@1,4 ]
(5.23 )
頭痛 が ひどい って ?
__CP-QUE
___FRAG
CP-THT
IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
PP-SBJ2
NP
N
頭痛
P-ROLE
が
ADJI
ひどい
P-COMP
って
PU
?
[883_textbook_particles@1,2 ]
間接疑問については,一つの場合として, まず,疑問節(CP-QUE)に補文助詞(P-COMP)が続き, 全体として補部節(CP-THT)を作るものが挙げられる。
(5.24 )
最後 に 自分 に 神 を 信仰 する か と 尋ね た 。
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
PP
NP
N
最後
P-ROLE
に
PP
NP
PRO
自分
P-ROLE
に
___CP-THT-OB1
__CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ
*speaker*
PP-OB1
NP
N
神
P-ROLE
を
VB
信仰
VB0
する
P-FINAL
か
___P-COMP
と
VB
尋ね
AXD
た
PU
。
[434_aozora_Natsume-1908@17,16,33 ]
また,補文助詞を伴わない間接疑問もある。 このような場合には,疑問節(CP-QUE)を,適切な拡張タグをつけた上で,上位の節(IP)の直下に置く。 なお,間接疑問における CP-QUE への拡張タグについては, 6.17 節を参照されたい。
(5.25 )
新聞紙面 の 中 で 、 スポーツ面 が どれ だけ 、 復興 の 力 に なる の か 、 正直 分から ない 。
___IP-MAT
NP-SBJ;{SATO}
*speaker*
__CP-QUE-OB1
IP-SUB
PP
NP
PP
NP
N
新聞紙面
P-ROLE
の
N
中
P-ROLE
で
PU
、
PP-SBJ
NP
N
スポーツ面
P-ROLE
が
PP-ADV
NP
WPRO
どれ
P-OPTR
だけ
PU
、
IP-SMC-OB1
NP-PRD
PP
NP
N
復興
P-ROLE
の
N
力
AX
に
VB
なる
FN
の
P-FINAL
か
PU
、
ADVP
ADV
正直
VB
分から
NEG
ない
PU
。
[61_news_KAHOKU_206@,4,1 ]
さらに,本コーパスでは,並列された疑問節に「か」のような同じ助詞が後続する場合には,「か」をP-FINALとする分析と,「か」を P-CONN とする分析の2種類を設ける。この2種類の分析については,3.5.4 節を参照されたい。
5.2.2 感嘆節(CP-EXL)
感嘆節は CP-EXL とラベル付けされる。 このコーパスでは,現在のところ,以下のような構文を CP-EXL として扱っている。
「なんて/なんと/なんていう/なんという」を含み,「な-の」「こと」「だろう」,コピュラや「か」で終わる文
(5.26 )
なんて 奇妙 な 状況 な の だろう !
__CP-EXL
IP-SUB
NP-SBJ
*pro*
NP-PRD
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADVP
WADV
なんて
ADJN
奇妙
AX
な
N
状況
AX
な
FN
の
MD
だろう
PU
!
[143_fiction_DICK-1952@1 ]
(5.27 )
「 ああ 、 なんと 彼 を 愛し て おら れ た こと か 」 。
__CP-EXL
PUL
「
IP-SUB
NP-SBJ
*pro*
INTJ
ああ
PU
、
ADVP
WADV
なんと
PP-OB1
NP;{LAZARUS}
PRO
彼
P-ROLE
を
VB
愛し
P-CONN
て
VB2
おら
VB2
れ
AXD
た
FN
こと
AX
*
P-FINAL
か
PUR
」
PU
。
[988_bible_nt@1 ]
ただし,感嘆符がついていても,その発話が名詞句のみから構成されている文は,CP-EXL とラベル付けはしない。
(5.28 )
「 うわぁ 、 おいし そう な ケーキ ! 」
IP-MAT
PUL
「
NP-SBJ
*pro*
INTJ
うわぁ
PU
、
__NP-PRD
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJI
おいし
AX
そう
AX
な
N
ケーキ
AX
*
PU
!
PUR
」
[1089_textbook_particles@10 ]
とりたて助詞(P-OPTR)「なんて」あるいは「とは」を文末に持つ文。 このとき,「なんて」あるいは「とは」は補部節(CP-THT)の下に置かれ,その補部節は全体として断片(FRAG)として扱われる。
(5.29 )
こんな に うれしい こと が ある なんて !
__CP-EXL
___FRAG
___CP-THT
IP-SUB
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADVP
ADJN
こんな
AX
に
ADJI
うれしい
N
こと
P-ROLE
が
VB
ある
___P-OPTR
なんて
PU
!
[3_misc_EXAMPLE2@1,2,3,23 ]
5.2.3 命令節(CP-IMP)
命令文は CP-IMP とラベル付けされる。 命令形やテ形の動詞を主たる述語として伴うCP-IMP は IP-SUBを直接支配する一方で, 他の CP-IMP は FRAG を支配することもある。 現在のところ,述語が次のような形をとるものを命令文として扱っている。
(5.30 )
「 こっち に 来い よ 。 」
__CP-IMP
PUL
「
___IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
PP
NP
PRO
こっち
P-ROLE
に
___VB
来い
P-FINAL
よ
PU
。
PUR
」
[314_fiction_DICK-1952@1,4,13 ]
動作名詞に軽動詞(VB0)「願います」および「ください(下さい)」が続く文
(5.31 )
これ に お名前 を ご記入 の 上 ご提出 ください
__CP-IMP
___IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
NP-ADV
PP
IP-ADV
PP
NP
PRO
これ
P-ROLE
に
PP-OB1
NP
N
お名前
P-ROLE
を
VB
ご記入
P-ROLE
の
N
上
VB
ご提出
___VB2
ください
[19_misc_EXAMPLE2@1,2,28 ]
(5.32 )
投票箱 閉鎖 。
__CP-IMP
___IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
NP-OB1
N
投票箱
___VB
閉鎖
PU
。
[14_diet_kaigiroku-10@1,2,8 ]
文末で,動詞のテ形に補助動詞(VB2)命令形「ください(下さい)」,「くれ(けれ,くれえ,おくれ,お呉れ)」,「ごらん」,「ちょうだい(頂戴)」が続く文
(5.33 )
取り替え て ください 。
__CP-IMP
___IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
VB
取り替え
___P-CONN
て
___VB2
ください
PU
。
[251_textbook_purple_intermediate@1,2,7,9 ]
(5.34 )
「 見 て !
__CP-IMP
PUL
「
___IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
NP-OB1
*pro*
___VB
見
___P-CONN
て
PU
!
[54_fiction_DICK-1952@1,4,9,11 ]
(5.35 )
こら 、 笑う な 。
__CP-IMP
___IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
INTJ
こら
PU
、
___VB
笑う
___NEG
な
PU
。
[282_textbook_purple_intermediate@1,2,9,11 ]
「〜ように」で終わり,その後で動詞の命令形(例えば,「しろ」「しなさい」「なれ」「あれ」)が省略されていると考えられる文。
(5.36 )
/ 福 が いっぱい あり ます ように !
__CP-IMP
PU
/
___IP-SUB
PP-SBJ
NP
N
福
P-ROLE
が
NP;*SBJ*
Q
いっぱい
VB
あり
AX
ます
___P-FINAL
ように
PU
!
[37_news_KAHOKU_105@1,4,18 ]
文末の動詞が「タ形」である文が命令文となっている場合。
(5.37 )
さっさと 行っ た 。
__CP-IMP
___IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
ADVP
ADV
さっさと
___VB
行っ
___AX
た
PU
。
[532_textbook_kisonihongo@1,2,8,10 ]
改まった文体では 「〜のこと」(「IP-NMZ(の)+こと」と分析される) 「〜すること」(「IP-REL+こと」)のような形で命令文となることがある。 これらの形の命令文に対しては, NP を断片(FRAG)の下に置き, FRAG を CP-IMP の下に置く。 FRAG については 1.3.7 節を参照のこと。
(5.38 )
( 戒名 と 道号 について は 「 戒名 」 の 項目 を 参照 の こと 。 )
__CP-IMP
___FRAG
PUL
(
___NP
PP
IP-NMZ
PP
NP
CONJP
NP
N
戒名
P-CONN
と
NP
N
道号
P-ROLE
について
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
PP
NP
PUL
「
N
戒名
PUR
」
P-ROLE
の
N
項目
P-ROLE
を
VB
参照
___P-ROLE
の
___N
こと
PU
。
PUR
)
[11_wikipedia_KYOTO_5@1,2,5,41,43 ]
命令文の主語は,それが表現されていない場合でも必ずアノテーションされる。 主語が明示されていない例では,空要素 (NP-SBJ *hearer*) を加える。
(5.39 )
「 助け て !
__CP-IMP
PUL
「
IP-SUB
___NP-SBJ;{GREGOR}
*hearer*
NP-OB1;{MOTHER}
*speaker*
VB
助け
P-CONN
て
PU
!
[406_aozora_Harada-1960@1,5 ]
聞き手を示す名詞句が格助詞(P-ROLE)またはとりたて助詞(P-OPTR)を伴って現れている場合,それは主語を示しているものと解釈し,その句に -SBJ の拡張タグを付ける。
(5.40 )
君 が 行っ て くれ 。
__CP-IMP
IP-SUB
___PP-SBJ
NP
PRO
君
___P-ROLE
が
VB
行っ
P-CONN
て
VB2
くれ
PU
。
[293_textbook_purple_intermediate@1,3,7 ]
(5.41 )
君 は ここ に い なさい 。
__CP-IMP
IP-SUB
___PP-SBJ
NP;{HEARER_537}
PRO
君
___P-OPTR
は
PP
NP;{CURRENT_PLACE_537}
PRO
ここ
P-ROLE
に
VB
い
VB2
なさい
PU
。
[537_textbook_kisonihongo@1,3,7 ]
聞き手を示す名詞句が助詞なしで現れている場合,通常は,呼格の名詞句 NP-VOC としてラベル付けし,空要素との関連付けを次のような方法で行う: (i) NP-VOC にソート情報を加える。 (ii) 代替要素の直後に空要素 (NP-SBJ *hearer*) を置き,NP-VOC と共通のソート情報を付け加える。 これら3つのノードがこの順番で並んで現れることが肝要であり,空要素を節の先頭に置くという方針( 1.5.6 節)に従う必要はない。 呼格の名詞句については, 3.2.1.2 節も参照。
(5.42 )
田中君 、 取引先 に 資料 を 送り なさい 。
__CP-IMP
IP-SUB
___NP-VOC;{TANAKA}
NPR
田中君
___NP-SBJ;{TANAKA}
*hearer*
PU
、
PP-OB2
NP
N
取引先
P-ROLE
に
PP-OB1
NP
N
資料
P-ROLE
を
VB
送り
VB2
なさい
PU
。
[312_textbook_purple_intermediate@1,3,6 ]
なお,命令の受け手を示す名詞句が助詞なしで現れているが,呼格の名詞句と解釈できない場合がある。 このような場合には,名詞句を NP-SBJ としてラベル付けするものとする。
(5.43 )
◎ 前向き な 姿勢 、 政府 示せ
__CP-IMP
IP-SUB
SYM
◎
NP-OB1
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-OB1;{ATTRACTION}
*pro*
ADJN
前向き
AX
な
N
姿勢
PU
、
___NP-SBJ
N
政府
VB
示せ
[67_news_KAHOKU_89@1,19 ]
5.2.4 終助詞節(CP-FINAL)
終助詞(P-FINAL)を伴う文が,疑問,命令,感嘆という特定の発話行為の表現と分類されないような場合, それらは終助詞節(CP-FINAL)とラベル付けされる。 終助詞はそれに先行する準主節(IP-SUB)の姉妹として,終助詞節の直下に置かれる。 以下は,終助詞「よ」を含む終助詞節の例である(加えて, 2.8 節の用例も参照)。
(5.44 )
私たち は 船 を 着陸 さ せ なけれ ば なら ない の だ よ 。 」
__CP-FINAL
___IP-SUB
PP-SBJ
NP
PRO
私たち
P-OPTR
は
PP-CZZ
NP
N
船
P-ROLE
を
VB
着陸
VB0
さ
VB2
せ
NEG
なけれ
P-CONN
ば
VB2
なら
NEG
ない
FN
の
AX
だ
___P-FINAL
よ
PU
。
PUR
」
[106_fiction_DICK-1952@1,2,33 ]
次の例のように,節(IP)を構成しない断片(FRAG)に終助詞が続くこともある。
(5.45 )
行き たい ん だ けど なー 。
__CP-FINAL
___FRAG
PP-SCON
IP-ADV
NP-SBJ
*speaker*
VB
行き
AX
たい
FN
ん
AX
だ
P-CONN
けど
___P-FINAL
なー
PU
。
[89_spoken_JM9@1,2,17 ]
先行する節(IP)のある構成素が,終助詞(P-FINAL)の後のところにまで後置された場合,それはその終助詞の姉妹位置に置かれる。 このような例は不連続構造の構文としての扱いを受ける。 不連続構造については,1.4 節を参照のこと。
(5.46 )
「 文字 だ よ 、 確か に 。 」
__CP-FINAL
PUL
「
___IP-SUB
NP-SBJ
*pro*
ADVP
*ICH*-1
NP-PRD
N
文字
AX
だ
___P-FINAL
よ
PU
、
ADVP-1
ADJN
確か
AX
に
PU
。
PUR
」
[321_fiction_DICK-1952@1,4,14 ]
また,終助詞がない場合でも,構成素の節外への転置を適切にアノテーションするための方策として, CP-FINAL(あるいは別の種類の CP)が投射され, 節と後置される要素とが,そのCP の下に置かれる。
(5.47 )
世界 を 動かし ます それ !
__CP-FINAL
___IP-SUB
NP-SBJ
*ICH*-1
PP-OB1
NP
N
世界
P-ROLE
を
VB
動かし
AX
ます
___NP-1
PRO
それ
PU
!
[91_ted_talk_7@1,2,15 ]
CP節は,IP節を補部として取ることが多い。 別の言い方をすれば,IP節の上に,さらにCP投射が設けられることが少なからずある。 IP投射は,述語がある限り必ず存在するが,CP投射はそうではない。 CPが投射されるのは,
明示的な,あるいは省略されたと考えられるような文末助詞がある場合,もしくは
文末助詞が決して現れないが,それが陰に現れているような節だと分析するに値するような, 特殊な機能を持つ節(例:肯定命令文:これは文末助詞によって実現されることはない)
の場合だけである。これら以外の場合,CPが投射されることは決してない。
CP投射に支配されるIPは,IP-SUB(準主節)のみである( 5.1.1 )。
CP節が,他の節に項,または付加的な節のいずれかとして埋め込まれていることがある。 どちらの場合であっても,-OB1,-ADV,-CMPLなどの,主節における役割を表現するような拡張タグを, CP節のスタックの一番外側につけなければならない ( 1.6.3 節)。 内側には逆につけてはならない。
(5.48 )
「 大丈夫 ? 先生 ! 」 と 驚い た 声 で 僕ら は 聞い た 。
IP-MAT
__CP-THT-OB1
CP-QUE
PUL
「
IP-SUB
NP-SBJ;{TEACHER}
*pro*
ADJN
大丈夫
AX
*
PU
?
NP-VOC;{TEACHER}
N
先生
PU
!
PUR
」
P-COMP
と
PP
NP
IP-EMB2
VB
驚い
AX
た
N
声
P-ROLE
で
PP-SBJ
NP;{STUDENTS}
PRO
僕ら
P-OPTR
は
NP-OB2;{TEACHER}
*pro*
VB
聞い
AXD
た
PU
。
[6_misc_discourse_1@2 ]
5.2.7 CP節とコントロール・ATB
CP投射自体は,後で述べる コントロール環境( 5.3 節), 及びATB(Across the Boad Extraction; 5.4 節) の認可に,直接的には関与はしない。 ただし,CP投射がよく取る準主節(IP-SUB)は,これらを必ず阻害する。
5.3 コントロール環境としての従属節
拡張タグ SCON または SCON-CND を伴う副詞的な従属節(IP-ADV), 小節(IP-SMC), 空所なし名詞修飾節(IP-EMB)あるいは名詞化節(IP-NMZ)において, 主語のゼロ代名詞が何に言及しているかが, 先行詞(antecedent)であるすぐ上位の節の項によって決まることがある。 このような状況における先行詞とゼロ主語代名詞の関係を,言語学では,コントロール(control)と呼ぶ。 このうち,ゼロ主語代名詞は普通(big)PRO と呼ばれるが, これは本コーパスでは明示的な代名詞のラベルと衝突するため, 以降,これを「(コントロールの)受け手」(controllee)と呼ぶことにする。
インデクス付けを可能な限り避けるという, 本アノテーション体系の,大枠における目標 (例えば 1.5 節における空要素のアノテーションを参照)に従い, 下位の節の中の(big)PRO のアノテーション(*pro* を置くこと)は行わない。 したがって,コントロール関係はアノテーションでは明示されない。 それにもかかわらず,コントロールに関する情報は,アノテーション中の構造から得ることが出来る。 この節では,コントロール環境を作り出すアノテーションの統語的な配置(configurations)について述べる。 表5.2にどのタイプの節がコントロール環境を生じるかを示す。
Table 5.2: コントロール環境の有無の一覧
統語タグ & コントロール環境の有無
IP-MAT(主節) & no
IP-SUB(CPに埋め込まれる準主節)& no
IP-REL(関係節) & no
IP-ADV-CONJ(等位接続節)& no
IP-ADV(2)-SCON(-CND)(従属節)& yes
IP-EMB(空所なし名詞修飾節) & yes
IP-NMZ(名詞化節)& yes
IP-SMC(小節)& yes(義務的)
表5.2にあるように, コントロール環境は関係節(IP-REL)および主節(IP-MAT)の層を挟んで成り立つことはない。 コントロール環境は IP-SUB の層( CP* が必ず直ぐ上に置かれる)の層を挟んで成り立つこともない。 ただし,CPが全てコントロール環境を阻害するわけでは必ずしもなく, 小節(IP-SMC)の層が, CP-THT の下に直接置かれていても,CPを跨いでコントロール環境が成り立つことに 注意が必要である。 また,副詞節(IP-ADVもしくはPP)の層については, 拡張タグ -SCON(-CND) を伴う場合にはコントロール環境が成り立ち,拡張タグ -CONJ では成り立たないことにも注意されたい。
上位の節中のコントロール元(先行詞)として複数の可能性がある時, 照応関係はアクセス可能性の階層により決定される。 この階層は先行詞の文法役割に基づいており,アクセス可能性の高い順から並べると,以下のようになる。
(5.49 ) OB2 > OB1 > SBJ2 > SBJ
以上のコントロールのアクセス階層の例外として,先行詞として主語のみを取りうるようなコントロール節がある。 アクセス階層を無視して,特定の意味役割ものを先行詞としたい場合,節のラベルを IP-ADV2 とする。 ひとつの例として,接続詞「ながら」が後続する節が挙げられる。
より一般的に,全てのコントロール環境(上記の表 5.3.5 参照)において, タグに「2」をつける(IP-EMB2, IP-SMC2, IP-NMZ2)ことで上位の節の主語によるコントロールを保証することが可能である。
殆どのコントロール環境においては,主語の役割以外の先行詞は,コントロールの受け手に対して先行することが条件である。 一方で,主語先行詞の場合,副詞節 (IP-ADV-SCON(-CND)) に後続しても先行詞となりうる。 また,小節(IP-SMC),「2」節に関しては,先行するという条件はどの役割の先行詞にも課されない。
以下,コントロールを容認する節の配置パターンを,コントロール関係と共に示す。
5.3.1 副詞節(IP-ADV-SCON(-CND))へのコントロール
本節では SCON または SCON-CND によって曖昧性解消を受ける IP-ADV について述べる。 IP-ADVが助詞句 PP の補部で,その PP が SCON や SCON-CND の拡張タグを持つものも該当する。 IP-ADV が SCON / SCON-CND ではなく CONJ の拡張タグを持つ場合, 上位の先行詞と(従属節中の)空要素との間の照応はコントロールとは異なる関係でなされるものと考える。 この環境については,5.4 節を参照されたい。
IP-ADV内に SBJ が現れない場合, コントロールの受け手に対するすぐ上位の節からのコントロール継承は, 上位の節に項が存在し,アクセス可能であれば, OB2,OB1,SBJ2, SBJ の順で行われる。 ただし,SBJ は語順に関わらず常にコントロールされる側からアクセス可能なのに対し, 他の項については IP-ADV に先行するもののみがアクセス可能であると考える。
5.3.1.1 IP-ADV-SCON(-CND) へのコントローラーとしてのOB2
以下は -OB2 がコントロールを行っている場合を図示したものである。
Figure 5.1: OB2 as controller
次は,OB2 が(PP-SCONの中の)IP-ADVへのコントロールを行う例である。
(5.50 )
ランドセル は 孫 に , 小学校 に 上がっ た ので あげ まし た 。
IP-MAT
NP-SBJ;{SPEAKER_21}
*speaker*
PP-OB1
NP
N
ランドセル
P-OPTR
は
___PP-OB2
NP
N
孫
P-ROLE
に
PU
,
___PP-SCON
__IP-ADV
PP
NP
N
小学校
P-ROLE
に
VB
上がっ
AXD
た
P-CONN
ので
VB
あげ
AX
まし
AXD
た
PU
。
[21_misc_EXAMPLE@19,10,18 ]
5.3.1.2 IP-ADV-SCON(-CND) へのコントローラーとしてのOB1
以下は OB1 がコントロールを行っている場合を図示したものである。
Figure 5.2: OB1 as controller
次は,OB1 がコントロールを行う例である。
(5.51 )
その お菓子 は , まずかっ た ので 弟 に やっ た 。
IP-MAT
NP-SBJ;{SPEAKER_20}
*speaker*
___PP-OB1
NP;{SWEET_20}
D
その
N
お菓子
P-OPTR
は
PU
,
___PP-SCON
__IP-ADV
ADJI
まずかっ
AXD
た
P-CONN
ので
PP-OB2
NP
N
弟
P-ROLE
に
VB
やっ
AXD
た
PU
。
[20_misc_EXAMPLE@15,14,4 ]
(5.52 )
ビール は よく 冷え て い て も 飲み たく ない 。
IP-MAT
NP-SBJ;{SPEAKER_26}
*speaker*
___PP-OB1
NP
N
ビール
P-OPTR
は
___PP-SCON-CND
__IP-ADV
ADVP
ADJI
よく
VB
冷え
P-CONN
て
VB2
い
P-CONN
て
P-OPTR
も
VB
飲み
AX
たく
NEG
ない
PU
。
[26_misc_EXAMPLE@11,10,4 ]
5.3.1.3 IP-ADV-SCON(-CND) へのコントローラーとしてのSBJ
以下は SBJ がコントロールを行っている場合を図示したものである。
Figure 5.3: SBJ as controller into IP-ADV-SCON(-CND)
Figure 5.4: SBJ as controller into IP-ADV under PP-SCON(-CND)
SBJ がコントロールを行っている例を以下に示す。
(5.53 )
寂しかっ た ので 私 は 友人 を 呼ん だ 。
IP-MAT
___PP-SCON
__IP-ADV
ADJI
寂しかっ
AXD
た
P-CONN
ので
___PP-SBJ
NP;{SPEAKER_19}
PRO
私
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
N
友人
P-ROLE
を
VB
呼ん
AXD
だ
PU
。
[19_misc_EXAMPLE@3,2,10 ]
(5.54 )
ギョッと し て 武士 は 足 を 早める 。
IP-MAT
__IP-ADV-SCON
ADVP-CMPL
ADV
ギョッと
VB
し
P-CONN
て
___PP-SBJ
NP;{KOSAKA_JINNAI}
N
武士
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
N
足
P-ROLE
を
VB
早める
PU
。
[57_aozora_Kunieda-1925@2,10 ]
5.3.2 空所なし名詞修飾節(IP-EMB)へのコントロール
(5.55 ) OB2 > OB1 > SBJ2 > SBJ
IP-ADV におけるコントロール継承(5.3.1 節を参照のこと)と同様, IP-EMB でも上位の節からのコントロール継承は, それらが存在する場合,OB2,OB1,SBJ2,SBJ の順で行われる。 IP-ADV の場合と同様に, 上位節中の IP-EMB に対する NP の位置がアクセス可能性を決める。 すなわち,主語が常にアクセス可能であることを除けば,コントロール元となる名詞句は IP-EMB よりも前に位置しなければならない。
5.3.2.1 IP-EMBへのコントローラーとしてのOB2
以下の図は,OB2 がコントロールを行う場合を示したものである。
Figure 5.5: OB2 as controller into IP-EMB
OB2 がコントロールを行う例を以下に示す:
(5.56 )
手紙 は 太郎 に ここ へ 来 た とき に 渡し た 。
IP-MAT
NP-SBJ;{SPEAKER_24}
*speaker*
PP-OB1
NP
N
手紙
P-OPTR
は
___PP-OB2
NP
NPR
太郎
P-ROLE
に
PP-TMP
NP
__IP-EMB
PP
NP;{SPEAKER_CURRENT_POS_24}
PRO
ここ
P-ROLE
へ
VB
来
AXD
た
N
とき
P-ROLE
に
VB
渡し
AXD
た
PU
。
[24_misc_EXAMPLE@18,10 ]
5.3.2.2 IP-EMBへのコントローラーとしてのOB1
以下の図は,OB1 がコントロールを行う場合を示したものである。
Figure 5.6: OB1 as controller into IP-EMB
OB1 がコントロールを行う例を以下に示す:
(5.57 )
二郎 は たこ焼 を 熱い うち に 太郎 に 渡し た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
NPR
二郎
P-OPTR
は
___PP-OB1
NP
N
たこ焼
P-ROLE
を
PP
NP
__IP-EMB
ADJI
熱い
N
うち
P-ROLE
に
PP-OB2
NP
NPR
太郎
P-ROLE
に
VB
渡し
AXD
た
PU
。
[23_misc_EXAMPLE@16,8 ]
5.3.2.3 IP-EMBへのコントローラーとしてのSBJ
以下の図は,SBJ がコントロールを行う場合を示したものである。
Figure 5.7: SBJ as controller into IP-EMB
Figure 5.8: SBJ as controller into IP-EMB
上位節の主語が外の NP を通してその主要部の名詞を修飾する IP-EMB の中へとコントロールするためには, その NP の中に主要部の N と IP-EMB 以外に何も入っていないことが条件である。
SBJ がコントロールを行う例を以下に示す。
(5.58 )
試験 を 受ける 前 に 、 トイレ に 行っ た 。
IP-MAT
___NP-SBJ
*speaker*
PP
NP
__IP-EMB
PP-OB1
NP
N
試験
P-ROLE
を
VB
受ける
N
前
P-ROLE
に
PU
、
PP
NP
N
トイレ
P-ROLE
に
VB
行っ
AXD
た
PU
。
[1111_textbook_kisonihongo@6,2 ]
(5.59 )
小さかっ た ころ 私 は 犬 を 怖がっ て い た 。
IP-MAT
NP-TMP
__IP-EMB
ADJI
小さかっ
AXD
た
N
ころ
___PP-SBJ
NP;{SPEAKER_22}
PRO
私
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
N
犬
P-ROLE
を
VB
怖がっ
P-CONN
て
VB2
い
AXD
た
PU
。
[22_misc_EXAMPLE@3,10 ]
5.3.3 名詞化節(IP-NMZ)へのコントロール
OB2 > OB1 > SBJ2 > SBJ
IP-ADV-SCON(-CND) とIP-EMB におけるコントロール継承と同様, IP-NMZ でも上位の節からのコントロール継承は, それらが存在する場合,OB2,OB1,SBJ2,SBJ の順で行われる。 IP-ADV, IP-EMB の場合と同様に,上位節中の IP-EMB に対する NP の位置がアクセス可能性を決める。 すなわち,主語が常にアクセス可能であることを除けば,コントロール元となる名詞句は IP-EMB よりも前に位置しなければならない。
SBJ がコントロールを行う例を以下に示す。
(5.60 )
彼 の 子孫 は それ を 所有 する に いたる であろう 。
IP-MAT
___PP-SBJ
NP
PP
NP;{CALEB}
PRO
彼
P-ROLE
の
N
子孫
P-OPTR
は
PP
__IP-NMZ
PP-OB1
NP;{LAND_THAT_CALEB_EXPLORED}
PRO
それ
P-ROLE
を
VB
所有
VB0
する
P-ROLE
に
VB
いたる
MD
であろう
PU
。
[502_bible_ot@15,2 ]
(5.61 )
辺 の 部分 に フラップ を 作る に は 、 円 の 2分の1 が 必要 です
IP-MAT
___NP-SBJ
*arb*
PP
__IP-NMZ
PP
NP
PP
NP
N
辺
P-ROLE
の
N
部分
P-ROLE
に
PP-OB1
NP
N
フラップ
P-ROLE
を
VB
作る
P-ROLE
に
P-OPTR
は
PU
、
PP-OB1
NP
PP
NP
N
円
P-ROLE
の
NUMCLP
NUM
2分の1
P-ROLE
が
ADJN
必要
AX
です
[105_ted_talk_1@5,2 ]
なお,現状では主語以外の項がコントロール元となる例は見つかっていない。
5.3.4 小節(IP-SMC)へのコントロール
IP-SMC は主語を持つ節としてアノテーションされることはなく, 従って,義務的にコントロール環境がそこで生じる。 IP-SMC は典型的には,それを直接埋め込む節の述語の補部を形作り,上位の節の中のすべての種類の項によりコントロールを受けることが出来る。 コントロール元となる優先順位は,OB2,OB1,SBJ となる。 その際,これらの名詞句の位置は、IP-ADV-SCON(-CND),IP-EMB,IP-NMZの場合とは異なり,無関係である。
5.3.4.1 IP-SMCへのコントローラとしてのOB2
次の2つの図は,OB2 がコントロールを行っている場合を示している。 埋め込む節の中のOB2の項が束縛を行う結果として,IP-SMC 中の SBJ が束縛されている。
Figure 5.9: OB2 controller into IP-SMC
Figure 5.10: OB2 controller into IP-SMC
5.3.4.2 IP-SMCへのコントローラとしてのOB1
次の図は,OB1 がコントロールを行っている場合である。
Figure 5.11: OB1 controller into IP-SMC
Figure 5.12: OB1 controller into IP-SMC
OB1 がコントロールを行っている例を以下に示す。
(5.62 )
私 は 弟 に 買い物 に 行っ て もらっ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{SPEAKER_16}
PRO
私
P-OPTR
は
PP-DOB1
NP
N
弟
P-ROLE
に
__IP-SMC-OB1
PP-PRP
NP
N
買い物
P-ROLE
に
VB
行っ
P-CONN
て
VB
もらっ
AXD
た
PU
。
[16_misc_EXAMPLE@14 ]
(5.63 )
わたくし の 考え を 述べ させ て いただき ます 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
NP-DOB1
*hearer*
__IP-SMC-OB1
NP-CZZ
*speaker*
PP-OB1
NP
PP
NP;{SPEAKER_1292}
PRO
わたくし
P-ROLE
の
N
考え
P-ROLE
を
VB
述べ
VB2
させ
P-CONN
て
VB
いただき
AX
ます
PU
。
[1292_textbook_kisonihongo@6 ]
5.3.4.3 IP-SMCへのコントローラとしてのSBJ
次の図は,SBJ がコントロールを行っている場合である。
Figure 5.13: SBJ controller intro IP-SMC
SBJ がコントロールを行っている例を以下に示す。
(5.64 )
死に たく 思う 。
IP-MAT
___NP-SBJ;{DAZAI}
*speaker*
__IP-SMC-OB1
VB
死に
AX
たく
VB
思う
PU
。
[96_aozora_Dazai-1-1940@4,2 ]
5.3.5 IP-*2 へのコントローラーとしてのSBJ
「2」と標示されたIP(すなわち,IP-ADV2-SCON(-CND),IP-EMB2,IP-NMZ2,IP-SMC2)は、 IP-SMCと同様に、義務的なコントロール環境をもたらす。 IP-SMCと異なるのは,コントロール元だけでなく,先行詞もまた主語(SBJまたはSBJ2)でなければならない,という点である。 先行詞の位置は問われない。
以下は SBJ が IP-ADV2-SCON の内部に対してコントロールを行っている例である。
(5.65 )
絵本 を 買っ た 子供 が 、 それ を おやつ を 食べ ながら 読ん で い た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
IP-REL
___NP-SBJ
*T*
PP-OB1
NP;{PICTBOOK}
N
絵本
P-ROLE
を
VB
買っ
AXD
た
N
子供
P-ROLE
が
PU
、
PP-OB1
NP;{PICTBOOK}
PRO
それ
P-ROLE
を
__IP-ADV2-SCON
PP-OB1
NP
N
おやつ
P-ROLE
を
VB
食べ
P-CONN
ながら
VB
読ん
P-CONN
で
VB2
い
AXD
た
PU
。
[22_misc_EXAMPLE2@29,5 ]
5.3.6 空要素によるコントロールの防止
当該の環境の上位節の項によるコントロール(これは,埋め込みIP節の種類とアクセス可能性の階層によって一意に定まる)が望まれない場合, NP-SBJ として *pro* ,*speaker* ,*hearer* ,*arb* 等 1.5 節を参照のこと) の適切な空要素を付加して, コントロール継承を妨げなければならない。 これは、コントロール継承が,条件さえ満たせば(他に指定がない限り)自ずと出現するという性質によるものである。
以下の例では,IP-EMB 内部に *arb* が付加され, その*arb* が,埋め込み節の主語が主節の SBJ により束縛されることを妨げている。
(5.66 )
私 の 趣味 は 料理 を する こと です 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PP
NP;{SPEAKER_29}
PRO
私
P-ROLE
の
N
趣味
P-OPTR
は
NP-PRD
__IP-EMB
___NP-SBJ
*arb*
PP-OB1
NP
N
料理
P-ROLE
を
VB
する
N
こと
AX
です
PU
。
[29_misc_EXAMPLE@15,16 ]
天候を表す述語のように,コントロール継承も ATB による束縛 ( 5.4 節)も不適切な場合がある。 このような場合,人手で *exp* とアノテーションすることによって,コントロール関係を防止することが出来る。 次に示すのは,述語「寒くなる」を伴う例である。
(5.67 )
春子 は 寒く なる と 学校 に 来 なく なる 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
NPR
春子
P-OPTR
は
PP-SCON-CND
IP-ADV
__NP-SBJ
*exp*
IP-SMC-OB1
ADJI
寒く
VB
なる
P-CONN
と
IP-SMC-OB1
PP
NP
N
学校
P-ROLE
に
VB
来
NEG
なく
VB
なる
PU
。
[12_misc_TOPTEN@10 ]
上位の項とコントロール環境中の空要素との間に同一指示関係があっても, (i) 正しい先行詞がコントロール元からアクセスできない, (ii) 空要素が主語でない(そもそもコントロールの対象外であるのだが),あるいは (iii) (i)と(ii)の両方があてはまる, のいずれかの理由でコントロール関係が適切でない場合,ゼロ代名詞 (NP-SBJ *pro*) を付加し,さらに, ゼロ代名詞と先行詞の両方に共通のソート情報を与えることで同一指示関係を確保することができる。
(5.68 )
ダウンロード し て 印刷 すれ ば 、 学校 や 家庭 で 手軽 に 取り組める 。
IP-MAT
__NP-SBJ
*pro*
IP-ADV-SCON-CND
___NP-OB1;{FILE}
*pro*
IP-ADV-CONJ
VB
ダウンロード
VB0
し
P-CONN
て
VB
印刷
VB0
すれ
P-CONN
ば
PU
、
NP-OB1;{FILE}
*pro*
PP
NP
CONJP
NP
N
学校
P-CONN
や
NP
N
家庭
P-ROLE
で
ADVP
ADJN
手軽
AX
に
VB
取り組める
PU
。
[55_news_KAHOKU_97@2,5 ]
5.4 節の等位接続とATB抽出
5.1.5.1 節および 5.1.5.2 節で既に述べられているように, ATB抽出の環境は, IP-ADV-CONJ(もしくは,PP-CONJに支配されているIP-ADV)でのみ起こる。 このような等位接続構造では2つめのIP-ADV から最後の IP-ADV までがそれらに先行する構成素を継承することになる。 以下 5.4.1 節では節が2つ並ぶ場合をとりあげ、 5.4.2 節では3つ以上の節が並んだ場合をとりあげる。
ATB 環境ではコントロール環境と同様にゼロ代名詞のアノテーションは行わない。 コントロール環境と異なる点として,上述のように,ATB 環境では IP-ADV に先行する構成素の継承が IP-ADV の主語に限定されないということに注意されたい。 また,この継承は構成素の文法役割を変えることなく行われるという点でもコントロールとは異なっている。
以下の例では等位接続の関係にある両方の節が各々充足しており, いかなる束縛も IP-ADV 中に入り込まない:
(5.69 )
また 一方 で 、 地元マスメディア も 地元 の 人材活用 を する よう に なっ て 、 バンド ・ タレント ・ 芸能人 ・ モデル など の ローカルタレント が 増加 し て 、 隣県 の メディア に 進出 する 者 も 表れ た 。
IP-MAT
CONJ
また
PP
NP
N
一方
P-ROLE
で
PU
、
IP-ADV-CONJ
__IP-ADV-CONJ
PP-SBJ
NP
N
地元マスメディア
P-OPTR
も
PP
NP
IP-EMB
PP-OB1
NP
PP
NP
N
地元
P-ROLE
の
N
人材活用
P-ROLE
を
VB
する
N
よう
P-ROLE
に
VB
なっ
P-CONN
て
PU
、
PP-SBJ
NP
PP
NP
CONJP
NP
N
バンド
PU
・
CONJP
NP
N
タレント
PU
・
CONJP
NP
N
芸能人
PU
・
NP
N
モデル
P-OPTR
など
P-ROLE
の
N
ローカルタレント
P-ROLE
が
VB
増加
VB0
し
P-CONN
て
PU
、
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
PP
NP
PP
NP
N
隣県
P-ROLE
の
N
メディア
P-ROLE
に
VB
進出
VB0
する
N
者
P-OPTR
も
VB
表れ
AXD
た
PU
。
[263_wikipedia_Sendai_City@13 ]
Figure 5.14: Saturated conjuncts
IP-ADV 中に NP-SBJ の束縛のみが入り込む例:
(5.70 )
それ は 1万5千 円 の もの です が , 今 は バーゲン で 1万 円 です 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{COMMODITY_7}
PRO
それ
P-OPTR
は
PP-CONJ
__IP-ADV
NP-PRD
___IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
NUMCLP
NUM
1万5千
CL
円
AX
の
N
もの
AX
です
P-CONN
が
PU
,
PP-TMP
NP
N
今
P-OPTR
は
IP-ADV-SCON
NP-PRD
N
バーゲン
AX
で
NP-PRD
NUMCLP
NUM
1万
CL
円
AX
です
PU
。
[8_misc_EXAMPLE@9,11 ]
Figure 5.15: SBJ into conjunction
次の例では上記の例と同様に NP-SBJ の束縛がある。 しかし,OB1 はそれぞれの節で別々に明示されている。 また,SBJ と並んで付加詞「昨日は」も IP-ADV に継承されている。
(5.71 )
昨日 は 刺身 を 食べ て , お腹 を 壊し て しまい まし た 。
IP-MAT
___NP-SBJ;{SPEAKER_13}
*speaker*
PP-TMP
NP
N
昨日
P-OPTR
は
__IP-ADV-CONJ
___PP-OB1
NP
N
刺身
P-ROLE
を
VB
食べ
P-CONN
て
PU
,
___PP-OB1
NP
N
お腹
P-ROLE
を
VB
壊し
P-CONN
て
VB2
しまい
AX
まし
AXD
た
PU
。
[13_misc_EXAMPLE@10,2,11,23 ]
IP-ADV 中に NP-SBJ と NP-OB1 の束縛が入り込む例:
(5.72 )
晩ごはん を 作っ て , 食べ ます 。
IP-MAT
___NP-SBJ
*speaker*
___PP-OB1
NP
N
晩ごはん
P-ROLE
を
__IP-ADV-CONJ
VB
作っ
P-CONN
て
PU
,
VB
食べ
AX
ます
PU
。
[11_misc_EXAMPLE@10,2,4 ]
Figure 5.16: SBJ and OB1 into conjunction
IP-ADV中に NP-SBJ,NP-OB1,NP-OB2 すべての束縛が入り込む例はコーパス内にまだ見つかっていない。 しかし,これを図示すると次のようになる。
Figure 5.17: SBJ, OB1 and OB2 into conjunction
もしも接続詞(CONJ)が明示的に存在する場合は,それは上位の節の構成素,言い換えれば IP レベルの語として扱われる。
(5.73 )
私 は 長い 間 この 動き を 観察 し て そして 参加 し て き まし た
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
私
P-OPTR
は
NP-MSR
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJI
長い
N
間
__IP-ADV-CONJ
___PP-OB1
NP
D
この
N
動き
P-ROLE
を
VB
観察
VB0
し
P-CONN
て
CONJ
そして
VB
参加
VB0
し
P-CONN
て
VB2
き
AX
まし
AXD
た
[15_ted_talk_5@16,17 ]
5.4.2 3つ以上の節が並ぶ場合
5.1.5.2 節にあるように, 等位接続の関係にある節が3つ以上ある場合には,すべての節が積み上げられているものとする。 つまり,節1が節2の下に,節2が(節1と共に)節3の下に置かれる。 積み上げられる節は,そのすぐ上位の節の(それが積み上げられた節の中の最後の節である場合を除いて)最も左側に置かれる。 以下の (5.74 ), (5.75 ),および以下の図を参照。
(5.74 )
暗く て 、 たくましく て 、 ちょっと もの悲しい リアス式海岸 は 、 僕 にとって の 東北 の 原点 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
___IP-ADV-CONJ
__IP-ADV-CONJ
ADJI
暗く
P-CONN
て
PU
、
ADJI
たくましく
P-CONN
て
PU
、
ADVP
ADV
ちょっと
ADJI
もの悲しい
N
リアス式海岸
P-OPTR
は
PU
、
NP-PRD
PP
NP
PP
NP
PRO
僕
P-ROLE
にとって
P-ROLE
の
NPR
東北
P-ROLE
の
N
原点
AX
*
PU
。
[36_news_KAHOKU_303@8,7 ]
(5.75 )
僕 は 集め て 集め て 集め まくっ た 。
IP-MAT
NP-OB1;{STUFF_38}
*pro*
PP-SBJ
NP
PRO
僕
P-OPTR
は
___IP-ADV-CONJ
__IP-ADV-CONJ
VB
集め
P-CONN
て
VB
集め
P-CONN
て
VB
集め
VB2
まくっ
AXD
た
PU
。
[1_misc_EXAMPLE2@11,10 ]
Figure 5.18: Stacked conjunction
上図の積み上げ構造に従うアノテーションを解釈する際には, 以下のような派生されたCONJP構造( 3.5 を参照)が 基礎となると考えてよい。 このような(自動的な正規化プロセスにより得られる)派生構造は, 3.5 節で見る, 非節的要素の並列に与えられる明示的なCONJP構造と本質的に同じである。
Figure 5.19: Interpretation with IML
この節では,様々な構文のアノテーションについて説明する。
日本語には「二重主語文」と呼ばれる構文があり,頻繁に使用される。
(6.1 )
神戸 は 夜景 が きれい だ 。
IP-MAT
__PP-SBJ
NP;{KOBE}
NPR
神戸
P-OPTR
は
___PP-SBJ2
NP
N
夜景
P-ROLE
が
ADJN
きれい
AX
だ
PU
。
[762_textbook_kisonihongo@2,8 ]
上の例文において,助詞「は」と「が」は両方とも,それぞれ NP に対し文法上の主語であるという表示を行っている。 2番目の主語(述語に近い方)は,他の要因からは独立して,述語に対して単純に主語の役割を果たしている。 最初の(左側の)主語は,2番目の主語や述語,あるいはこれら2つが形作る叙述(詳細は以下を参照のこと)との関係に依存する。 本アノテーションの枠組みでは,最初の主語は -SBJ と,2番目の「が」の付いた主語は -SBJ2 とラベル付けされる。 これらは両方ともコントロール元の項となることができる。
関係節を除いた節の中で最初の主語は典型的には「は」「も」「なら」「だって」等のとりたて助詞によってマークされる。 この構文のもう1つの特徴は,適切な文脈さえ与えられれば最初の主語は「が」でも表示されうることである。 これは,関係節の中でも可能である。
オランダがチューリップが綺麗なことは知れ渡っている。
また,以下のように特別な焦点を伴う場合にも現れる。
Q. ヨーロッパ旅行、どこが良かった? A. オランダがチューリップが綺麗だったわ。
2つの主語および述語の間にどのような関係が成り立つかによって, この種の文は少くとも3つのタイプに分けられる ( Nihongo09 2009, pp. 186-189 を参照のこと)。 これらのタイプの区別はアノテーションには記されないが, それに関する知識は,この構文を認識するに際して有用である。
最初のタイプは,「は」が表示する最初の主語が「が」の表示する2番目の主語を意味的に修飾するものである。 そのため,「A は B が C(だ)」の文は,ほぼ意味の変更を伴わず「A の B が C(だ)」と言い換えることが出来る。以下に例を挙げる。
象は鼻が長い → 象の鼻が長い
神戸は夜景がきれいだ → 神戸の夜景がきれいだ
日本語は文字が複雑だ → 日本語の文字が複雑だ
第二のタイプには述語名詞が現れ,最初の主語がこの述語名詞の項として解釈できる。 すなわち,「A は B が C だ。」は「B が A の C だ」と言い換えられる。 典型的には,C は A の重要または不可欠な側面を表す。 例を以下に示す。
カキ料理は広島が本場だ。(→ 広島がカキ料理の本場だ)
あの店はあさってがオープンだ。(→ あさってがあの店のオープンだ)
第三のタイプにおいては,2つの主語や述語の間に特定の関係が成り立たない。 最初の主語は,2番目の主語と述語が形作る叙述と関係する。 例えば,
この文においては,「この匂い」は「ガス」や「漏れている」と修飾 - 被修飾や項 - 述語の関係にない。 「ガス」と「漏れている」とが構成する叙述に対し,総体的に関係づけられている。
二重主語文は日本語に広く見られる。 関係節のトレースや,省略によるゼロ代名詞, あるいは上位の節からのコントロールという形で, 音形をもたない空要素が二重主語文の -SBJとして解釈されることがある。 下の例文で,IP-MAT の主語は話し手であるが, 同時に二重主語文である IP-ADV へのコントロールを行っている。
(6.2 )
実家 が 塩釜 の 海産物屋 な ので 、 浜 の におい の 中 で 育っ た 。
IP-MAT
__NP-SBJ
*speaker*
PP-SCON
___IP-ADV
___PP-SBJ2
NP
N
実家
P-ROLE
が
NP-PRD
PP
NP
NPR
塩釜
P-ROLE
の
N
海産物屋
AX
な
P-CONN
ので
PU
、
PP
NP
PP
NP
PP
NP
N
浜
P-ROLE
の
N
におい
P-ROLE
の
N
中
P-ROLE
で
VB
育っ
AXD
た
PU
。
[33_news_KAHOKU_303@2,6,5 ]
この種の構文と「が」によって表示される第一目的語(NP-OB1)を持つ文との区別に注意する必要がある。 4.7 節で詳細に説明したように,「が」が NP-OB1 を表示する文において, NP-OB1 が表現されない場合,NP-SBJ は依然として述語の主語としての解釈が可能である。 これに対して大多数の二重主語文では,NP-SBJ を単純に述語の主語として解釈することはできない。 さらに,「が」表示の目的語を伴う述語は数が限られているのに対し,二重主語構文に関しては,NP-SBJ の関連性が見出される限りにおいて, 述語のタイプについての制限はほぼ存在しない。
以下の例文は,-SBJ2 が主題化されて左方移動し,-SBJ が総記の焦点化を受けて出来たと考えることが可能である。
チューリップはオランダが奇麗だ。
歌は太郎が上手い。
編集は教科書が難しい。
このような例を二重主語文として扱うべきかどうかは,明らかでない。
また,三重主語文や四重主語文も可能であることはよく知られている。 例えば,「日本は女性は平均寿命が長い。」 1つの節の中にいくつの主語が許されるかについて,今後調査する必要がある。 本コーパスでは, -SBJ と -SBJ2 以外に主語のための拡張タグを用いない。
さらに,第一のタイプの二重主語文の定義は,他動詞「ある」(所有の「ある」)の構文にも当てはまる。 しかし,本アノテーションではこのような構文における「が」を伴う名詞句は NP-OB1 として扱われる。
6.3 N-bar 削除
稀ではあるが,主要部としての名詞が削除され,「の」が導く助詞句が一般化された個体を限定するような例がある。
(6.3 )
すごい いい デザイン の が あっ て これ に 決め た !!
IP-MAT
___NP-SBJ
*speaker*
NP-OB1
*pro*
IP-ADV-SCON
__PP-SBJ
NP
PP
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADVP
ADJI
すごい
ADJI
いい
N
デザイン
P-ROLE
の
P-ROLE
が
VB
あっ
P-CONN
て
PP
NP
PRO
これ
P-ROLE
に
VB
決め
AXD
た
PU
!!
[107_blog_KNB@7,2 ]
この現象は「N-バー削除」と呼ばれる。この場合,主要部は空のままにし,明示的なアノテーションを行わない。
6.4 右方節点繰上げ構文
等位節では,すべての節に共通の述語が最後のものをのぞいて削除されていると見なすことのできる例がある。
(6.4 )
右 から 開く と 防災マップ 、 左 から 開く と 高齢者見守り の マップ と なる よう に デザイン し た 。
IP-MAT
NP-SBJ;{AAT}
*pro*
NP-OB1;{AAT_MAP}
*pro*
PP
NP
IP-EMB
NP-SBJ;{AAT_MAP}
*pro*
__IP-ADV-CONJ
PP-SCON-CND
IP-ADV
___NP-SBJ
*arb*
NP-OB1;{AAT_MAP}
*pro*
PP
NP
N
右
P-ROLE
から
VB
開く
P-CONN
と
___NP-OB1
N
防災マップ
PU
、
PP-SCON-CND
IP-ADV
NP-SBJ
*arb*
NP-OB1;{AAT_MAP}
*pro*
PP
NP
N
左
P-ROLE
から
VB
開く
P-CONN
と
IP-SMC-OB1
NP-PRD
PP
NP
N
高齢者見守り
P-ROLE
の
N
マップ
AX
と
VB
なる
N
よう
P-ROLE
に
VB
デザイン
VB0
し
AXD
た
PU
。
[13_news_KAHOKU_33@11,14,28 ]
これはいわゆる「右方節点繰上げ(Right-node raising)」と呼ばれる現象である。 このような例では,非終結節でない節の述語は空のまま,つまり明示的なアノテーションを行わないことに注意されたい。
(6.5 )
最終的 に 舞台 の アンネ役 は スーザン・ストラスバーグ が 、 映画 の アンネ役 は ミリー・パーキンス が 演じ た 。
IP-MAT
ADVP
ADJN
最終的
AX
に
__IP-ADV-CONJ
PP-OB1
NP
PP
NP
N
舞台
P-ROLE
の
N
アンネ役
P-OPTR
は
___PP-SBJ
NP
NPR
スーザン・ストラスバーグ
P-ROLE
が
PU
、
PP-OB1
NP
PP
NP
N
映画
P-ROLE
の
N
アンネ役
P-OPTR
は
PP-SBJ
NP
NPR
ミリー・パーキンス
P-ROLE
が
VB
演じ
AXD
た
PU
。
[129_wikipedia_Audrey_Hepburn@7,20 ]
(6.6 )
太郎 は 小説 が 、 花子 は 詩 が 、 好き だ 。
IP-MAT
__IP-ADV-CONJ
PP-SBJ
NP;{TARO_1230}
NPR
太郎
P-OPTR
は
___PP-OB1
NP
N
小説
P-ROLE
が
PU
、
PP-SBJ
NP;{HANAKO_1230}
NPR
花子
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
N
詩
P-ROLE
が
PU
、
ADJN
好き
AX
だ
PU
。
[1230_textbook_kisonihongo@2,9 ]
また,この構文において,最初の述部のない節は IP-ADV-CONJ とアノテートされることに注意されたい。
以上の右方節点繰上げと同じような方法でアノテートされる構造が他にもある。 次の例の最初の節では,述語(「寄せられた」)だけでなく,名詞修飾節に付く助詞(「など・の」)と主要部名詞(回答)も削除されている。 等位節同士の並行性は,IP-ADV-CONJ が述語を欠くことに加え, その内部で主要部を欠いたカテゴリーが明示されることで表されている。
(6.7 )
参加者 の アンケート に は 、 過去 に 経験 の ある 人 から 「 メンバー が 変わる と 答え も 変わっ た 」 、 初めて の 人 から 「 こんな に 多様 な 意見 が ある と は 思わ なかっ た 」 など の 回答 が 寄せ られ た 。
IP-MAT
PP
NP
PP
NP
N
参加者
P-ROLE
の
N
アンケート
P-ROLE
に
P-OPTR
は
PU
、
__IP-ADV-CONJ
PP-LGS
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
PP
NP
N
過去
P-ROLE
に
PP-OB1
NP
N
経験
P-ROLE
の
VB
ある
N
人
P-ROLE
から
PP-SBJ
NP
PP
IP-NMZ
PUL
「
PP-SCON-CND
IP-ADV
PP-SBJ
NP
N
メンバー
P-ROLE
が
VB
変わる
P-CONN
と
PP-SBJ
NP
N
答え
P-OPTR
も
VB
変わっ
AXD
た
PUR
」
PU
、
PP-LGS
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-OB1
*pro*
ADJN
初めて
AX
の
N
人
P-ROLE
から
PP-SBJ
NP
PP
IP-NMZ
PUL
「
NP-SBJ
*pro*
CP-THT-OB1
IP-SUB
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADVP
ADJN
こんな
AX
に
ADJN
多様
AX
な
N
意見
P-ROLE
が
VB
ある
P-COMP
と
P-OPTR
は
VB
思わ
NEG
なかっ
AXD
た
PUR
」
P-OPTR
など
P-ROLE
の
N
回答
P-ROLE
が
VB
寄せ
PASS
られ
AXD
た
PU
。
[15_news_KAHOKU_34@18 ]
6.5 動詞なしの付帯状況構文
述語を欠くという点で「右方節点繰上げ(Right-node raising)」に似ているが, 後続の叙述と並行的というよりは,それに対して副詞的に働くという点で異なる構文がある。 これを付帯状況構文と呼ぶ。 この構文は [A を B に] のような形をとっており, 右方節点繰上げ構文と異なって IP-ADV-SCON 下に置かれる。 これらはさらに異なる構造を持つ2つのタイプに分けられる。
「に」を「として」で置き換え,文意が変わらない場合,「に」はコピュラ(AX)の連用形,[B に] は小節(IP-SMC-OB1)と分析される。
(6.8 )
__インターネット を介して 音楽 や 映画 を 配信 できる よう に なっ た 。
IP-MAT
NP-SBJ
*arb*
PP
NP
IP-EMB
PP
NP
N
__インターネット
P-ROLE
を介して
PP-OB1
NP
CONJP
NP
___N
音楽
P-CONN
や
___NP
N
映画
P-ROLE
を
VB
配信
VB0
できる
N
よう
P-ROLE
に
VB
なっ
AXD
た
PU
。
[415_textbook_djg_advanced@10,17,21 ]
(6.9 )
親鸞 は 、 ここ を 拠点 に 精力的 な 布教活動 を 行う 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
NPR
親鸞
P-OPTR
は
PU
、
__IP-ADV-SCON
PP-DOB1
NP
PRO
ここ
P-ROLE
を
___IP-SMC-OB1
NP-PRD
N
拠点
___AX
に
PP-OB1
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
精力的
AX
な
N
布教活動
P-ROLE
を
VB
行う
PU
。
[77_wikipedia_KYOTO_7@10,17,21 ]
「に」を「として」で置き換えられない場合,「に」は格助詞,[B に] は助詞句(PP-OB2)と分析される。
(6.10 )
オリンピック を 前 に 、 選手たち は 泳ぎ込ん だ .
IP-MAT
__IP-ADV-SCON
PP-OB1
NP
NPR
オリンピック
P-ROLE
を
___PP-OB2
NP
N
前
P-ROLE
に
PU
、
PP-SBJ
NP
N
選手たち
P-OPTR
は
VB
泳ぎ込ん
AXD
だ
PU
.
[569_dict_vv-lexicon@2,9 ]
(6.11 )
地図 を 手 に 目的地 を 探し た 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
__IP-ADV-SCON
PP-OB1
NP
N
地図
P-ROLE
を
___PP-OB2
NP
N
手
P-ROLE
に
PP-OB1
NP
N
目的地
P-ROLE
を
VB
探し
AXD
た
PU
。
[1166_textbook_kisonihongo@4,11 ]
6.6 複数の文から成る引用
IP-MAT, IP-IMP や CP レベルの節が連続して引用されたり,あるいは発話・思考内容を表す補部名詞句を表示する助詞「という」「といった」等が後接する場合,これらの節は multi-sentence の下に直接置かれる。 FRAG や INTJP が独立した複数の発話をなす場合も直接 multi-sentence の下に置かれる。
(6.12 )
「 イライラ が 募る の か 。 明らか に 震災後 の 現象 だ 」 と 校長 は 対応 に 困惑 する 。
IP-MAT
CP-THT-OB1
___multi-sentence
PUL
「
CP-QUE
IP-SUB
PP-SBJ
NP
N
イライラ
P-ROLE
が
VB
募る
FN
の
P-FINAL
か
PU
。
__IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
ADVP
ADJN
明らか
AX
に
NP-PRD
PP
NP
N
震災後
P-ROLE
の
N
現象
AX
だ
PUR
」
P-COMP
と
PP-SBJ
NP
N
校長
P-OPTR
は
PP
NP
N
対応
P-ROLE
に
VB
困惑
VB0
する
PU
。
[21_news_KAHOKU_37@22,3 ]
ANNOTATION HAS CHANGED FOR: Kainoki_11_news_KAHOKU_87
(6.13 )
私的日記 に とどまら ない 、 「 誰 か の ため に なる 」 「 役 に 立つ 」 「 琴線 に 触れる 」 よう な ブログ が 、 読み手 の 共感 を 得る 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
PP
NP
N
私的日記
P-ROLE
に
VB
とどまら
NEG
ない
PU
、
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
IP-EMB
CONJP
IP-EMB
PUL
「
IP-SMC-OB1
NP-PRD
PP
NP
WPRO
誰
P-OPTR
か
P-ROLE
の
N
ため
AX
に
VB
なる
PUR
」
CONJP
IP-EMB
PUL
「
PP
NP
N
役
P-ROLE
に
VB
立つ
PUR
」
IP-EMB
PUL
「
PP
NP
N
琴線
P-ROLE
に
VB
触れる
PUR
」
N
よう
AX
な
N
ブログ
P-ROLE
が
PU
、
PP-OB1
NP
PP
NP
N
読み手
P-ROLE
の
N
共感
P-ROLE
を
VB
得る
PU
。
[11_news_KAHOKU_87 ]
CP-THT 下での IP-SUBなどとは異なり, multi-sentence タグはそれ自体が統語的な島を作り出すわけではないことに注意されたい。 島の効果が生じるのはむしろ,発話レベルのカテゴリー(つまりIP-MAT, IP-IMP, FRAG, INTJP, CP-QUE, CP-EXL, CP-FINAL)のみを multi-sentence の下に許しているからである。
6.7 焦点を伴う擬似分裂文
焦点を伴う擬似分裂文はコピュラ文と分析され, 典型的には名詞「の」がトレースを持つ IP-REL に修飾されて主語となる。 この主語は擬似分裂文の前提部分を形作る。 焦点部分はコピュラによる叙述が表し,それは典型的には NP-PRD によって構成される。
(6.14 )
太郎 が 勉強 し て いる の は 日本史 だ 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
__IP-REL
NP-OB1
*T*
PP-SBJ
NP;{TARO_1062}
NPR
太郎
P-ROLE
が
VB
勉強
VB0
し
P-CONN
て
VB2
いる
N
の
P-OPTR
は
___NP-PRD
N
日本史
AX
だ
PU
。
[1062_textbook_kisonihongo@4,25 ]
焦点部分を PP-PRD が占めることもある。
(6.15 )
「 わたしたち が 信じる の は 、 もう あなた が 話し て くれ た から で は ない 。
IP-MAT
PUL
「
PP-SBJ
NP
IP-EMB
NP-OB1
*pro*
PP-SBJ
NP;{SAMARITANS}
PRO
わたしたち
P-ROLE
が
VB
信じる
N
の
P-OPTR
は
PU
、
ADVP
ADV
もう
__PP-PRD
IP-ADV
NP-OB1
*pro*
PP-SBJ
NP;{WOMAN}
PRO
あなた
P-ROLE
が
VB
話し
P-CONN
て
VB2
くれ
AXD
た
P-CONN
から
AX
で
P-OPTR
は
NEG
ない
PU
。
[284_bible_nt@26 ]
一方で,IP-RELではなく IP-EMBをもつと分析される擬似分裂文も存在する。 焦点要素が前提部分の理由を表すケースが典型的である。 このようなケースは,IP-REL分析を仮定した場合トレースとして何を置くべきかが自明ではないため,IP-EMBが置かれている。
(6.16 )
あなたがた が 信じ ない の は 、 わたし の 羊 で ない から で ある 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
__IP-EMB
NP-OB1
*speaker*
PP-SBJ
NP
PRO
あなたがた
P-ROLE
が
VB
信じ
NEG
ない
N
の
P-OPTR
は
PU
、
PP-PRD
IP-ADV
NP-SBJ
*hearer*
NP-PRD;{SHEEP}
PP
NP;{JESUS}
PRO
わたし
P-ROLE
の
N
羊
AX
で
NEG
ない
P-CONN
から
AX
で
VB2
ある
PU
。
[900_bible_nt@4 ]
また,等位接続された複数の擬似分裂文の場合,そのうちの一つでも IP-EMB分析が強いられるのであれば,残りの擬似分裂文も(IP-REL分析が可能であっても) IP-EMB分析がなされる。
(6.17 )
二人 が 知り合っ た の は 友人 を介して で あり 、 ヘプバーン と ドッティ と の 結婚生活 が 終わり を 迎え よう と し て い た 時期 だっ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
IP-EMB
PP-SBJ
NP
NUMCLP
NUM
二人
P-ROLE
が
VB
知り合っ
AXD
た
N
の
P-OPTR
は
IP-ADV-CONJ
PP-PRD
NP
N
友人
P-ROLE
を介して
AX
で
VB2
あり
PU
、
NP-PRD
__IP-EMB
PP-SBJ
NP
PP
NP
CONJP
NP
NPR
ヘプバーン
P-CONN
と
NP
NPR
ドッティ
P-CONN
と
P-ROLE
の
N
結婚生活
P-ROLE
が
PP-OB1
NP
N
終わり
P-ROLE
を
VB
迎え
AX
よう
AX
と
VB2
し
P-CONN
て
VB2
い
AXD
た
N
時期
AX
だっ
AXD
た
PU
。
[304_wikipedia_Audrey_Hepburn@34 ]
焦点を伴う擬似分裂文と同じ形をしているが, 分裂文に特徴的な「質問/答え」のペアが想定できない文もある。 このような文を擬似分裂文から区別する特別なアノテーションは行わない。
(6.18 )
津波 に 対抗 し て 堤防 を 高く する の は 、 技術力 に 依存 し た 20 世紀 型 の 発想 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
__IP-EMB
NP-SBJ
*pro*
IP-ADV-CONJ
PP
NP
N
津波
P-ROLE
に
VB
対抗
VB0
し
P-CONN
て
PP-OB1
NP
N
堤防
P-ROLE
を
IP-SMC-CNT
ADJI
高く
VB
する
N
の
P-OPTR
は
PU
、
NP-PRD
IP-REL
NP-SBJ
*T*
PP
NP
N
技術力
P-ROLE
に
VB
依存
VB0
し
AXD
た
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
NUMCLP
NUM
20
CL
世紀
N
型
AX
の
N
発想
AX
*
PU
。
[97_news_KAHOKU_78@4 ]
6.8 二重ヲ格構文
助詞「を」を伴う助詞句(PP-OB1)に, さらに「を」を伴う他動詞的な動作名詞(VB)と VB0 が続くような「二重ヲ格構文」が, 例えば国会議事録のような改まった発話状況で稀に用いられることがある。 このような場合,2つめの「を」は IP に直接支配される構成素として扱うことにする:
(6.19 )
ただいま 議題 と なり まし た 法律案 につきまして 、 経済産業委員会 における 審査 の 経過 と 結果 を 御報告 を 申し上げ ます 。
___IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
PP
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
IP-SMC-OB1
NP-TMP
N
ただいま
NP-PRD
N
議題
AX
と
VB
なり
AX
まし
AXD
た
N
法律案
P-ROLE
につきまして
PU
、
PP-OB1
__NP
PP
NP
PP
NP
N
経済産業委員会
P-ROLE
における
N
審査
P-ROLE
の
NML
CONJP
NP
N
経過
P-CONN
と
NP
N
結果
___P-ROLE
を
VB
御報告
P-ROLE
を
VB0
申し上げ
AX
ます
PU
。
[145_diet_kaigiroku-17@31,1,54 ]
(6.20 )
また 材料 も 厳選 さ れ た もの を 素材 に応じて あくぬき など を し ながら 、 味 を ひきだす 技術 が 要求 さ れる 。
IP-MAT
NP-LGS;{CRAFTSMAN}
*pro*
CONJ
また
PP-TPC
NP
N
材料
P-OPTR
も
PP-SBJ
NP
IP-EMB
NP-SBJ;{CRAFTSMAN}
*pro*
___IP-ADV-SCON
__PP-OB1
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-LGS;{CRAFTSMAN}
*pro*
VB
厳選
VB0
さ
PASS
れ
AXD
た
N
もの
___P-ROLE
を
PP
NP
N
素材
P-ROLE
に応じて
VB
あくぬき
P-OPTR
など
P-ROLE
を
VB0
し
P-CONN
ながら
PU
、
PP-OB1
NP
N
味
P-ROLE
を
VB
ひきだす
N
技術
P-ROLE
が
VB
要求
VB0
さ
PASS
れる
PU
。
[57_wikipedia_KYOTO_16@18,17,35 ]
直接受動文は,-SBJ が主要な述語の被動者あるいは受領者(Patient/Recipient)の意味役割を果たし, 主体(Agent)の意味役割を果たす名詞句が(もしあれば), 格助詞「に」「から」「によって」等を伴う文である。 これは,元来 OB1 あるいは OB2 であったものが主語の位置に昇格し, SBJ であったものが斜格の位置に降格したものと考えることができる。 主体の意味役割を持つ NP あるいは PP は LGS(論理的主語)の拡張タグを与えられる。 受動を表す助動詞は PASS とラベル付けされる。
(6.21 )
そう すれ ば お父さん から ぶた れ ない だろう 」
IP-MAT
NP-SBJ
*hearer*
IP-ADV-SCON-CND
ADVP-CMPL
ADV
そう
VB
すれ
P-CONN
ば
__PP-LGS
NP
N
お父さん
P-ROLE
から
VB
ぶた
___PASS
れ
NEG
ない
MD
だろう
PUR
」
[231_aozora_Yuki-1-2000@12,20 ]
受動構文に基づいて二重主語構文を形成することが可能である。
(6.22 )
ジョン は 論文 が 受理 さ れ た 。
IP-MAT
___NP-LGS
*pro*
___PP-SBJ
NP
NPR
ジョン
P-OPTR
は
___PP-SBJ2
NP
N
論文
P-ROLE
が
VB
受理
VB0
さ
__PASS
れ
AXD
た
PU
。
[1209_misc_JSeM_beta_150530@20,2,4,10 ]
ANNOTATION HAS CHANGED FOR: Kainoki_397_aozora_Doyle-1905
(6.23 )
金庫 の 中身 は 、 大部分 が テーブル の 上 に 出さ れ て い た 。
IP-MAT
NP-LGS
*pro*
PP-TPC
NP;{SAFE_INSIDE}
PP
NP;{SAFE}
N
金庫
P-ROLE
の
N
中身
P-OPTR
は
PU
、
PP-SBJ
NP
PP
NP;{SAFE_INSIDE}
*pro*
P-ROLE
*の*
Q
大部分
P-ROLE
が
PP
NP
PP
NP;{OLDACRE_HOUSE_BEDROOM_TABLE}
N
テーブル
P-ROLE
の
N
上
P-ROLE
に
VB
出さ
PASS
れ
P-CONN
て
VB2
い
AXD
た
PU
。
[397_aozora_Doyle-1905 ]
6.9.1 受動文における目的語
目的語を2つ取る他動詞の受動文においては,OB1 と OB2 のどちらも主語の位置に昇格が可能である。残りの目的語は文法役割を変えない。
(6.24 )
二 第三者 に 提供 ___さ れる 個人データ の 項目
FRAG
NP
LST
NUMCLP
NUM
二
PP
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-LGS
__*pro*
PP-OB2
NP
N
第三者
P-ROLE
に
VB
提供
VB0
___さ
PASS
れる
N
個人データ
P-ROLE
の
N
項目
[125_law_h15A119@13,23 ]
このことから,OB1 と PASS が同一の IP に共起するのは, 主語が OB2 の位置から昇格した場合だけである。
(6.25 )
難しい 時代 に 直面 する 今 、 私たち は 構想力 を 問わ れ て いる 。
IP-MAT
NP-LGS
*
NP-TMP
IP-EMB
NP-SBJ
*pro*
PP
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJI
難しい
N
時代
P-ROLE
に
VB
直面
VB0
する
N
今
PU
、
PP-SBJ
NP
PRO
私たち
P-OPTR
は
__PP-OB1
NP
N
構想力
P-ROLE
を
VB
問わ
___PASS
れ
P-CONN
て
VB2
いる
PU
。
[12_news_KAHOKU_706@33,41 ]
論理的主語が OB2 と同じ節の中に現れる場合,通常は「に」以外の「から」「によって」「により」等の助詞による表示を受ける。
(6.26 )
その 後 、 禅宗 の 最高峰 を 極め た 臨済宗 は 、 南宋時代 の 中国 に 渡り 学ん だ 栄西ら によって 、 鎌倉時代 に 日本 に 伝え られ て いる 。
IP-MAT
NP-TMP
D
その
N
後
PU
、
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
PP-OB1
NP
PP
NP
NPR
禅宗
P-ROLE
の
N
最高峰
P-ROLE
を
VB
極め
AXD
た
NPR
臨済宗
P-OPTR
は
PU
、
PP-LGS
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
IP-ADV-CONJ
PP
NP
PP
NP
NPR
南宋時代
P-ROLE
の
NPR
中国
P-ROLE
に
VB
渡り
VB
学ん
AXD
だ
NPR
栄西ら
___P-ROLE
によって
PU
、
PP-TMP
NP
NPR
鎌倉時代
P-ROLE
に
__PP-OB2
NP
NPR
日本
P-ROLE
に
VB
伝え
___PASS
られ
P-CONN
て
VB2
いる
PU
。
[13_wikipedia_KYOTO_2@72,62,80 ]
使役構文は,述語の項フレームに対する新しい項(使役者 causer)が付け加えられるという点で結合価を増加させる構文である。 使役構文において,主動詞(VB),主語以外の項,主動詞の意味上の主体(被使役者 causee)および統語上の主語(使役者 causer)は すべて姉妹関係に置かれる。 被使役者 (典型的には「に」または「を」を付加される) は -CZZ と拡張ラベル付けされる。 助動詞「(さ)せる」(VB2)は述語の直後に置かれる。
(6.27 )
私 は 弟 に ケーキ を 食べ させ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{SPEAKER_15}
PRO
私
P-OPTR
は
__PP-CZZ
NP
N
弟
P-ROLE
に
PP-OB1
NP
N
ケーキ
P-ROLE
を
VB
食べ
___VB2
させ
AXD
た
PU
。
[15_misc_EXAMPLE@8,22 ]
(6.28 )
「 どこ から パン を 買っ て き て 、 この 人々 に 食べ させ よう か 」 。
CP-QUE
PUL
「
IP-SUB
NP-SBJ
*speaker*
IP-ADV-CONJ
PP
NP
WPRO
どこ
P-ROLE
から
PP-OB1
NP
N
パン
P-ROLE
を
VB
買っ
P-CONN
て
VB2
き
P-CONN
て
PU
、
__PP-CZZ
NP
D
この
N
人々
P-ROLE
に
NP-OB1
*pro*
VB
食べ
___VB2
させ
AX
よう
P-FINAL
か
PUR
」
PU
。
[398_bible_nt@30,42 ]
使役受動文における主語は,統語的には 使役を表す VB2「(さ)せ」と受動を表す PASS「られ」とが合わさった要素の主語でありながら,意味上は主動詞の主体でもある。 また,拡張タグ LGS を付加された項は VB2「(さ)せ」が述語とともに表す使役的事象の主体に当たる。
(6.29 )
高津さん は その 事件 を 調べ させ られ た 。
IP-MAT
___NP-LGS
*pro*
PP-SBJ
NP;{TAKATSU_435}
NPR
高津さん
P-OPTR
は
PP-OB1
NP;{CASE_425}
D
その
N
事件
P-ROLE
を
VB
調べ
__VB2
させ
___PASS
られ
AXD
た
PU
。
[435_textbook_kisonihongo@20,22,2 ]
(6.30 )
そこで 妹 は 母親 の 忠告 によって 自分 の 決心 を ひるがえさ せ られ たり し て は い なかっ た 。
IP-MAT
CONJ
そこで
PP-SBJ
NP;{GRETE}
N
妹
P-OPTR
は
___PP-LGS
NP
PP
NP;{MOTHER}
N
母親
P-ROLE
の
N
忠告
P-ROLE
によって
PP-OB1
NP
PP
NP
PRO
自分
P-ROLE
の
N
決心
__P-ROLE
を
VB
ひるがえさ
VB2
せ
___PASS
られ
P-CONN
たり
VB2
し
P-CONN
て
P-OPTR
は
VB2
い
NEG
なかっ
AXD
た
PU
。
[704_aozora_Harada-1960@32,38,10 ]
直接受動文(6.9 節を参照)と異なり,間接受動構文における助動詞「れる・られる」は PASS2 のラベルを与えられる。 間接受動構文は,影響を受ける者を表す -SBJ が項フレームに加えられる一方で,主動詞の論理的主語が LGS に降格して「に」によって示されるという点で,結合価を増加させる構文である。 この2つの項は主動詞(VB),受動を表す PASS2「れる・られる」や主動詞の他の項と姉妹関係に置かれ, SBJ と LGS 以外の項の文法役割は主動詞に対するものがそのまま引き継がれる。
(6.31 )
太郎 が 花子 に 泣か れ た 。
IP-MAT
___PP-SBJ
NP;{PERSON}
NPR
太郎
P-ROLE
が
___PP-LGS
NP;{PERSON}
NPR
花子
P-ROLE
に
VB
泣か
__PASS2
れ
AXD
た
PU
。
[1822_misc_JSeM_beta_150530@16,2,8 ]
(6.32 )
太郎 は 先生 に 絵 を ほめ られ た 。
IP-MAT
___PP-SBJ
NP;{TARO_413}
NPR
太郎
P-OPTR
は
___PP-LGS
NP
N
先生
P-ROLE
に
PP-OB1
NP
N
絵
P-ROLE
を
VB
ほめ
__PASS2
られ
AXD
た
PU
。
[413_textbook_kisonihongo@22,2,8 ]
テアル構文は,意図的な行為の結果について動作主性を背景化して描写するために用いられる,状態的な構文である。
テアル構文の分析は元の動詞が他動詞か自動詞かによって2つに分かれる。 前者では,元の他動詞の目的語がテアル構文でどのような助詞をとるかという観点からさらに2つに分かれる。 元の動詞の名詞句目的語が助詞「が」をとる場合(または,名詞修飾節において「の」をとる場合), その名詞句は主語(-SBJ)としてアノテーションされ, (P-CONN て) の後にノード (PASS *) が導入される。 また,CP-THTがテアル形の伝達動詞(例:「書いてある」)の項として用いられ、 同じ節に明示的な主語が無い場合も, そのような CP-THT は拡張タグ -SBJ を与えられ(6.18.2 節も参照), 同様に(PASS *) ノードが導入される。 このような場合,元の他動詞の主語は完全に抑制され, 元の目的語が主語に昇格していると分析されるわけだが, 他の名詞句の文法的役割(特に,OB2)はテアル構文においても変わることはない。
(6.33 )
子供 が 笑っ て いる 写真 が 置い て あっ た 。
IP-MAT
NP-LGS
*pro*
PP-SBJ
NP
IP-EMB
PP-SBJ
NP
N
子供
P-ROLE
が
VB
笑っ
P-CONN
て
VB2
いる
N
写真
P-ROLE
が
VB
置い
__P-CONN
て
___PASS
*
___VB2
あっ
AXD
た
PU
。
[1218_textbook_kisonihongo@25,27,29 ]
(6.34 )
それから 鼠花火 という の は 一 つ ずつ 輪 に なっ て い て 箱 に 詰め て ある 。
IP-MAT
CONJ
それから
PP-SBJ
NP
PP
NP
N
鼠花火
P-ROLE
という
N
の
P-OPTR
は
PP;*SBJ*
NP
NUMCLP
NUM
一
CL
つ
P-OPTR
ずつ
IP-ADV-CONJ
IP-SMC-OB1
NP-PRD
N
輪
AX
に
VB
なっ
P-CONN
て
VB2
い
P-CONN
て
NP-LGS
*pro*
PP-OB2
NP
N
箱
P-ROLE
に
VB
詰め
__P-CONN
て
___PASS
*
___VB2
ある
PU
。
[30_aozora_Kajii-1925@50,52,54 ]
テアル構文において,元の動詞の名詞目的語がそのまま助詞「を」をとる場合, あるいは助詞なしで現れる場合,あるいはとりたて助詞をとって現れる場合, これは OB1 として扱われる。 主語がないように見える場合は,虚辞を主語として (NP-SBJ *exp*) のように補う。 元の動詞に対して項の配置,格が変わらないので,(PASS *) を導入することはない。
(6.35 )
丁度 便所 の 坑 の 傍 に 、 実 を むしり 残し た 向日葵 の 茎 を 二三 本 縛り寄せ た の を 、 一 本 の 棒 に 結び附け て ある 。
IP-MAT
___NP-SBJ
*exp*
ADVP
ADV
丁度
___PP-OB1
NP
IP-EMB
PP-OB1
NP
PP
NP
IP-REL
NP-SBJ
*pro*
PP
NP
PP
NP
PP
NP
N
便所
P-ROLE
の
N
坑
P-ROLE
の
N
傍
P-ROLE
に
PU
、
PP-OB1
NP
PP
NP
*T*
P-ROLE
*の*
N
実
P-ROLE
を
VB
むしり
VB2
残し
AX
た
N
向日葵
P-ROLE
の
N
茎
P-ROLE
を
NP;*OB1*
NUMCLP
NUM
二三
CL
本
VB
縛り寄せ
AXD
た
N
の
P-ROLE
を
PU
、
PP
NP
IP-REL;*
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
NUMCLP
NUM
一
CL
本
AX
の
N
棒
P-ROLE
に
VB
結び附け
__P-CONN
て
VB2
ある
PU
。
[127_aozora_Mori-1912@97,2,7 ]
(6.36 )
この 生け花 は なかなか 見事 に 生け て ある 。
IP-MAT
___NP-SBJ
*exp*
___PP-OB1
NP
D
この
N
生け花
P-OPTR
は
ADVP
ADVP
ADV
なかなか
ADJN
見事
AX
に
VB
生け
__P-CONN
て
VB2
ある
PU
。
[199_textbook_djg_intermediate@22,2,4 ]
このような扱いは関係節におけるトレースおよび空要素一般に対しても適用される。
(6.37 )
それから 水 に 漬け て ある 豆 だとか 慈姑 だとか 。
FRAG
CONJ
それから
NP
CONJP
NP
IP-REL
___NP-OB1
*T*
___NP-SBJ
*exp*
PP
NP
N
水
P-ROLE
に
VB
漬け
__P-CONN
て
VB2
ある
N
豆
P-CONN
だとか
NP
N
慈姑
P-CONN
だとか
PU
。
[59_aozora_Kajii-1925@20,8,10 ]
元の動詞が自動詞(あるいは複合動詞)の場合,主語は NP-SBJ とラベル付けされ, (PASS *) は導入されない。 自動詞からのテアル構文は,その自動詞が非対格動詞または受動化された動詞であるときに可能なようである。
(6.38 )
台所 に 、 まだ 酒 が 残っ て 在る 筈 だ 。
IP-MAT;{DAZAI_LIQUOR_REMAINING}
PP
NP
N
台所
P-ROLE
に
PU
、
ADVP
ADV
まだ
___PP-SBJ
NP;{DAZAI_LIQUOR_REMAINDER}
N
酒
P-ROLE
が
VB
残っ
__P-CONN
て
VB2
在る
FN
筈
AX
だ
PU
。
[131_aozora_Dazai-1-1940@21,13 ]
(6.39 )
黄色く 薄濁り し た 液体 が 一ぱい つまっ て 在る 一升瓶 は
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-OB2
*T*
PP-SBJ
NP
IP-REL
___NP-SBJ
*T*
ADVP
ADJI
黄色く
VB
薄濁り
VB0
し
AX
た
N
液体
P-ROLE
が
NP;*SBJ*
Q
一ぱい
VB
つまっ
__P-CONN
て
VB2
在る
N
一升瓶
P-OPTR
は
[2#68_aozora_Dazai-1-1940@29,9 ]
黄色く薄濁りした液体が一ぱいつまって在る一升瓶は、どうにも不潔な、卑猥な感じさえして、恥ずかしく、眼ざわりでならぬのである。
(6.40 )
汚れ た すじ が 四方 の 壁 に沿って 引か れ て ある し 、 そこかしこ に は ごみ と 汚れもの と の かたまり が 横たわっ て いる 始末 だ 。
IP-MAT
PP-CONJ
IP-ADV
PP-SBJ
NP
IP-REL
___NP-SBJ
*T*
VB
汚れ
AX
た
N
すじ
P-ROLE
が
PP
NP
PP
NP
N
四方
P-ROLE
の
N
壁
P-ROLE
に沿って
NP-LGS;{GRETE}
*pro*
VB
引か
PASS
れ
__P-CONN
て
VB2
ある
P-CONN
し
PU
、
NP-SBJ
*pro*
NP-PRD
IP-EMB
PP-LOC
NP
PRO
そこかしこ
P-ROLE
に
P-OPTR
は
PP-SBJ
NP
PP
NP
CONJP
NP
N
ごみ
P-CONN
と
NP
N
汚れもの
P-CONN
と
P-ROLE
の
N
かたまり
P-ROLE
が
VB
横たわっ
P-CONN
て
VB2
いる
N
始末
AX
だ
PU
。
[894_aozora_Harada-1960@35,7 ]
節同士の等位接続は,テアル構文にも見られる。
(6.41 )
瓦斯煖炉 が 焚い て 、 電燈 が 附け て ある 。
IP-MAT
IP-ADV-CONJ
PP-SBJ
NP
N
瓦斯煖炉
P-ROLE
が
VB
焚い
P-CONN
て
PASS
*
PU
、
___PP-SBJ
NP
N
電燈
P-ROLE
が
VB
附け
__P-CONN
て
___PASS
*
VB2
ある
PU
。
[220_aozora_Mori-1912@25,27,17 ]
6.14 テモラウ構文とテアゲル/クレル構文
「てもらう」「てあげる」「てくれる」は,伝統的な日本語学では一括して論じられることが多いが,本アノテーションでは「てもらう」と「てあげる」「てくれる」とで異なる扱いがなされる。 「動詞-てもらう」の「もらう」は動詞 VB とされ,小節 IP-SMC(5.1.4 節を参照のこと)を埋め込む。「に」格名詞句による IP-SMC のコントロールについては,2.3.3 節を参照のこと。
(6.42 )
私 は 父 に カメラ を 買っ て もらい まし た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
私
P-OPTR
は
PP-DOB1
NP
N
父
P-ROLE
に
___IP-SMC-OB1
PP-OB1
NP
N
カメラ
P-ROLE
を
VB
買っ
___P-CONN
て
__VB
もらい
AX
まし
AXD
た
PU
。
[166_textbook_djg_basic@25,14,23 ]
「もらう」の謙譲語である「いただく」も同じ分析を受ける。
これに対して,「あげる」「くれる」は補助動詞 VB2 とされ,それらが後接している動詞句は埋め込まれるのでなく,「あげる」「くれる」と同一のレベルで IP-MAT に直接支配される。
(6.43 )
私 は 友達 に お金 を 貸し て あげ た 。
___IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
私
P-OPTR
は
PP-OB2
NP
N
友達
P-ROLE
に
PP-OB1
NP
N
お金
P-ROLE
を
VB
貸し
P-CONN
て
__VB2
あげ
AXD
た
PU
。
[15_textbook_djg_gram_terms@24,1 ]
(6.44 )
道男 は 私 を なぐさめ て くれ まし た 。
___IP-MAT
PP-SBJ
NP
NPR
道男
P-OPTR
は
PP-OB1
NP
PRO
私
P-ROLE
を
VB
なぐさめ
P-CONN
て
__VB2
くれ
AX
まし
AXD
た
PU
。
[114_textbook_djg_basic@18,1 ]
「あげる」「くれる」のそれぞれ尊敬語である「さしあげる」「くださる」についても同様である。
2つの活動あるいは出来事を比較する場合, 典型的には比較の基準をなす側が助詞「より」を伴う節によって表され, 主たる出来事の方は形式名詞(N)により作られる -SBJ となる。
(6.45 )
理屈 を ひねくり回す より 、 やっ て みる こと が 大切 だ .
IP-MAT
PP-SCON
IP-ADV
NP-SBJ
*pro*
PP-OB1
NP
N
理屈
P-ROLE
を
VB
ひねくり回す
__P-CONN
より
PU
、
___PP-SBJ
NP
IP-EMB
NP-SBJ
*pro*
NP-OB1
*pro*
VB
やっ
P-CONN
て
VB2
みる
N
こと
P-ROLE
が
ADJN
大切
AX
だ
PU
.
[2663_dict_vv-lexicon@14,18 ]
6.16 移動の目的を表す節
移動動詞は,移動の目的を表す動作名詞句あるいは連用節を伴うことがある。 名詞句は動作名詞(例えば,「買い物」)——「遊び」のような動詞派生の動作名詞を含めて——を主要部とし,助詞「に」が続く。 連用節は動作動詞を主要部とした IP-NMZ に助詞「に」が続く。 この,「に」は拡張タグ -PRP を伴う PP を投射する。
(6.46 )
彼女 の お母さん は 買い物 に 行き まし た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PP
NP
PRO
彼女
P-ROLE
の
N
お母さん
P-OPTR
は
__PP-PRP
NP
N
買い物
___P-ROLE
に
VB
行き
AX
まし
AXD
た
PU
。
[237_textbook_TANAKA@14,18 ]
(6.47 )
メロス は 、 それゆえ 、 花嫁 の 衣裳 やら 祝宴 の 御馳走 やら を 買い に 、 はるばる 市 に やって来 た の だ 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{MELOS}
NPR
メロス
P-OPTR
は
PU
、
ADVP
ADV
それゆえ
PU
、
__PP-PRP
___IP-NMZ
PP-OB1
NP;{GOODS_WEDDING}
CONJP
NP
PP
NP
N
花嫁
P-ROLE
の
N
衣裳
P-CONN
やら
NP
PP
NP
N
祝宴
P-ROLE
の
N
御馳走
P-CONN
やら
P-ROLE
を
VB
買い
___P-ROLE
に
PU
、
ADVP
ADV
はるばる
PP
NP;{CITY}
N
市
P-ROLE
に
VB
やって来
AXD
た
FN
の
AX
だ
PU
。
[15_aozora_Dazai-2-1940@15,16,46 ]
移動の目的を表す連用節の場合,移動動詞の主語が連用節のコントロールの先行詞となる場合が多い。 ただし,「行かせる」や「派遣する」のように移動動詞が使役述語となるときは,主語でない項が目的を表す節の主語をコントロールすることもある。
(6.48 )
小僧 ___に ___きき ___に ___こ させる だけ で ほんとう に 十分 で は ない だろう か
CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ
*pro*
PP-SCON
IP-ADV
NP-SBJ
*pro*
PP-CZZ
NP
N
小僧
P-ROLE
___に
__PP-PRP
IP-NMZ
NP-OB1
*pro*
VB
___きき
P-ROLE
___に
VB
___こ
VB2
させる
P-OPTR
だけ
P-ROLE
で
ADVP
ADJN
ほんとう
AX
に
ADJN
十分
AX
で
P-OPTR
は
NEG
ない
MD
だろう
P-FINAL
か
[162_aozora_Harada-1960@15,14,20,22,24 ]
移動の目的を表す句が動作名詞を主要部とするとき,項構造をもつことはない。
6.17 間接疑問文および関連する構文
典型的な間接疑問文では,疑問節(CP-QUE)が格助詞(P-ROLE)を後接させた形で現れ,それを受ける述語が上位の節に存在する。 疑問節が主要文法役割を果たす場合は,疑問節(CP-QUE)を支配する助詞句(PP)に適切な拡張タグが加えられる。以下にいくつかの例を挙げる。
(6.49 )
その 日 何 を し て い た か を 詳しく 説明 し なさい 。
CP-IMP
IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
___PP-OB1
__CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
NP-TMP;{DAY_1069}
D
その
N
日
PP-OB1
NP
WPRO
何
P-ROLE
を
VB
し
P-CONN
て
VB2
い
AXD
た
P-FINAL
か
___P-ROLE
を
ADVP
ADJI
詳しく
VB
説明
VB0
し
VB2
なさい
PU
。
[1069_textbook_kisonihongo@6,5,31 ]
(6.50 )
この 仕事 は 苦労 も 多い が 、 それだけ やりがい も ある 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
D
この
N
仕事
P-OPTR
は
PP-CONJ
IP-ADV
PP-SBJ2
NP
N
苦労
P-OPTR
も
ADJI
多い
P-CONN
が
PU
、
ADVP
ADV
それだけ
PP-SBJ2
NP
N
やりがい
P-OPTR
も
VB
ある
PU
。
[479_textbook_djg_advanced@41,40,59 ]
(6.51 )
折り紙 の 最強 の ツール は 、 我々 が 部品 を どうやって 作る か に 関係 し て い ます
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PP
NP
N
折り紙
P-ROLE
の
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
最強
AX
の
N
ツール
P-OPTR
は
PU
、
___PP-OB1
__CP-QUE
IP-SUB
PP-SBJ
NP
PRO
我々
P-ROLE
が
PP-OB1
NP
N
部品
P-ROLE
を
ADVP
WADV
どうやって
VB
作る
P-FINAL
か
___P-ROLE
に
VB
関係
VB0
し
P-CONN
て
VB2
い
AX
ます
[66_ted_talk_1@24,23,45 ]
(6.52 )
どちら が 県連 の 推薦 を 受ける か で もめ 、 木村太郎 衆院議員 が 県連会長 を 辞任 する 騒動 に まで 発展 し た 。
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
IP-ADV-CONJ
PP
__CP-QUE
IP-SUB
PP-SBJ
NP
WPRO
どちら
P-ROLE
が
PP-OB1
NP
PP
NP
N
県連
P-ROLE
の
N
推薦
P-ROLE
を
VB
受ける
P-FINAL
か
___P-ROLE
で
VB
もめ
PU
、
PP
NP
IP-EMB
PP-SBJ
NP;{PERSON}
NPR
木村太郎
N
衆院議員
P-ROLE
が
PP-OB1
NP
N
県連会長
P-ROLE
を
VB
辞任
VB0
する
N
騒動
P-ROLE
に
P-ROLE
まで
VB
発展
VB0
し
AXD
た
PU
。
[90_news_KAHOKU_28@6,30 ]
(6.53 )
ここ で は , 企業 が いかに CSR に 介入 し , どのような 問題 に 関心 を 持っ て いる か について 討議 し たい と 思い ます 。
IP-MAT
NP-SBJ;{SPEAKER}
*speaker*
PP
NP
PRO
ここ
P-ROLE
で
P-OPTR
は
PU
,
CP-THT-OB1
IP-SUB
NP-SBJ;{SPEAKER}
*speaker*
PP
__CP-QUE
IP-SUB
PP-SBJ
NP;{CORPORATIONS}
N
企業
P-ROLE
が
IP-ADV-CONJ
ADVP
WADV
いかに
PP
NP;{CSR}
N
CSR
P-ROLE
に
VB
介入
VB0
し
PU
,
PP
NP
WD
どのような
N
問題
P-ROLE
に
PP-OB1
NP
N
関心
P-ROLE
を
VB
持っ
P-CONN
て
VB2
いる
P-FINAL
か
___P-ROLE
について
VB
討議
VB0
し
AX
たい
P-COMP
と
VB
思い
AX
ます
PU
。
[2_book_excerpt-31@19,65 ]
格助詞がなく,とりたて助詞のみが疑問節(CP-QUE)に後続しており, そのとりたて助詞を格助詞「が」や「を」に置き換えて不自然でない例がある。 この場合,適切な拡張タグがとりたて助詞の投射する助詞句(PP)に加えられる。
(6.54 )
鈴木さん が 大学 に 入っ た かどうか は 知り ませ ん 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
___PP-OB1
__CP-QUE
IP-SUB
PP-SBJ
NP
NPR
鈴木さん
P-ROLE
が
PP
NP
N
大学
P-ROLE
に
VB
入っ
AXD
た
P-FINAL
かどうか
___P-OPTR
は
VB
知り
AX
ませ
NEG
ん
PU
。
[78_textbook_djg_basic@5,4,25 ]
(6.55 )
どうして 食っ て いる か さえ 分ら なかっ た 。
IP-MAT
NP-SBJ
*arb*
___PP-OB1
__CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ
*pro*
NP-OB1
*pro*
ADVP
WADV
どうして
VB
食っ
P-CONN
て
VB2
いる
P-FINAL
か
___P-OPTR
さえ
VB
分ら
NEG
なかっ
AXD
た
PU
。
[28_aozora_Murou-1922@5,4,22 ]
また,格助詞もとりたて助詞も伴わない裸の疑問文(CP-QUE)の中には,格助詞「が」や「を」等を補っても不自然でない例がある。 その場合,拡張タグは CP-QUE に直接加えられる。 ただし,同格的な疑問文はさらに特別のアノテーションを必要とする(次節を参照)。
(6.56 )
自分 が 何 を 求め て いる の か 頭 の 中 で はっきり し た の です
IP-MAT
__CP-QUE-SBJ
IP-SUB
PP-SBJ
NP
PRO
自分
P-ROLE
が
PP-OB1
NP
WPRO
何
P-ROLE
を
VB
求め
P-CONN
て
VB2
いる
FN
の
P-FINAL
か
PP
NP
PP
NP
N
頭
P-ROLE
の
N
中
P-ROLE
で
ADVP-CMPL
ADV
はっきり
VB
し
AXD
た
FN
の
AX
です
[22_ted_talk_10@2 ]
(6.57 )
山 は もう 寒い か 聞い て ください 。
CP-IMP
IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
__CP-QUE-OB1
IP-SUB
NP-SBJ
*exp*
PP-LOC
NP
N
山
P-OPTR
は
ADVP
ADV
もう
ADJI
寒い
P-FINAL
か
VB
聞い
P-CONN
て
VB2
ください
PU
。
[710_textbook_purple_intermediate@5 ]
裸の疑問節には,上位の節の述語と名詞項の両方と密接な関係を持つものがある。 このような文では,名詞項を潜伏疑問と解釈することができる。 ただし,疑問節(CP-QUE)と潜伏疑問と解釈される名詞の間に隣接性の条件はないため,両者の間の同格関係を示すために, *ICH* (Interpret Constituent Here)と PRN のタグを利用する。
以下の例では,疑問節「芸術界で今何が起こっているか」は述語「分かる」の第一目的語であると解釈できる(「が」を補うことができる)。 同時に,その後に現れた第一目的語名詞句「動向(が)」は意味的にその前の疑問節と関係していると解釈できる。 アノテーションとしては,まず適切な番号を付けた PRN (通常は PRN-1)の下に CP-QUE を置く。 次に,名詞句(NP)の下の,該当する名詞(N)の姉妹位置に PRN を加え,その子ノードとして同じ番号を付けた *ICH* (通常は *ICH*-1 )を置く。
(6.58 )
芸術界 で 今 何 が 起こっ て いる ___か 動向 が 分かる と さ れる もの でし た
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
NP-PRD
IP-EMB
NP-LGS
*arb*
CP-THT-SBJ
IP-SUB
___NP-SBJ
__*pro*
PRN-1
CP-QUE
IP-SUB
PP
NP
N
芸術界
P-ROLE
で
NP-TMP
N
今
PP-SBJ
NP
WPRO
何
P-ROLE
が
VB
起こっ
P-CONN
て
VB2
いる
P-FINAL
___か
PP-OB1
NP
___N
動向
PRN
*ICH*-1
P-ROLE
が
VB
分かる
P-COMP
と
VB
さ
PASS
れる
N
もの
AX
でし
AXD
た
[20_ted_talk_10@11,10,37,40 ]
疑問節と結びつく名詞句の主要部が代名詞であったり,指示詞的な限定詞によって修飾されることもある。
(6.59 )
しかし 、 どうして いま 見える よう に なっ た の か 、 それ は 知り ませ ん 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker+pro*
CONJ
しかし
PU
、
___PRN-1
__CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ
*pro*
ADVP
WADV
どうして
NP-TMP
N
いま
PP
NP
IP-EMB
NP-SBJ2
*pro*
VB
見える
N
よう
P-ROLE
に
VB
なっ
AXD
た
FN
の
P-FINAL
か
PU
、
PP-OB1
___NP
PRO
それ
___PRN
*ICH*-1
P-OPTR
は
VB
知り
AX
ませ
NEG
ん
PU
。
[795_bible_nt@9,8,41,44 ]
また,「見当がつく」,「意見が分かれる」,「議論をする」といった表現と共に用いられた時のように, 疑問節(CP-QUE)を述語が直接受けるわけではないが, 「見当」「意見」「議論」といった名詞の内容が疑問節(CP-QUE)によって示されるような例がある。 このような場合にも,上記と同じように *ICH* , PRN のタグを利用する。
(6.60 )
それに どっち に にげ て いっ たら いい の か けんとう も つき ませ ん 。
IP-MAT
NP-SBJ;{PETER}
*pro*
CONJ
それに
___PRN-1
__CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ;{PETER}
*pro*
PP
NP;{LOC}
WPRO
どっち
P-ROLE
に
VB
にげ
P-CONN
て
VB2
いっ
P-CONN
たら
ADJI-MD
いい
FN
の
P-FINAL
か
PP-OB1
___NP
N
けんとう
___PRN
*ICH*-1
P-OPTR
も
VB
つき
AX
ませ
NEG
ん
PU
。
[44_fiction-locked_POTTER-1902@7,6,35,32 ]
6.17.3 副詞的な疑問節(CP-QUE-ADV)
典型的な間接疑問文とは異なり,それを受ける述語が上位の節に存在せず, また,格助詞もとりたて助詞も補うことのできない場合,CP-QUE には拡張タグ ADV を加える。 このような副詞的な疑問節(CP-QUE-ADV)は多くの場合,自問的である。
(6.61 )
その 勢い に 驚い た もの か 、 捕り手 は パッと 左右 へ 開い た 。
IP-MAT
__CP-QUE-ADV
IP-SUB
NP-SBJ;{POLICE}
*pro*
PP
NP
D;{KOSAKA_JINNAI}
その
N
勢い
P-ROLE
に
VB
驚い
AXD
た
FN
もの
AX
*
P-FINAL
か
PU
、
PP-SBJ
NP;{POLICE}
N
捕り手
P-OPTR
は
ADVP
ADV
パッと
PP
NP
N
左右
P-ROLE
へ
VB
開い
AXD
た
PU
。
[350_aozora_Kunieda-1925@2 ]
(6.62 )
たとえば 、 紅茶 を 入れ た のに 、 どういう わけ か 、 コーヒー を 入れ た と 勘違い し て しまう 。
IP-MAT
NP-SBJ;{PERSON_8}
*arb*
ADVP
ADV
たとえば
PU
、
PP-SCON
IP-ADV
PP-OB1
NP
N
紅茶
P-ROLE
を
VB
入れ
AXD
た
P-CONN
のに
PU
、
__CP-QUE-ADV
IP-SUB
NP-SBJ
*exp*
NP-PRD
WD
どういう
N
わけ
AX
*
P-FINAL
か
PU
、
CP-THT-OB1
IP-SUB
NP-SBJ;{PERSON_8}
*pro*
PP-OB1
NP
N
コーヒー
P-ROLE
を
VB
入れ
AXD
た
P-COMP
と
VB
勘違い
VB0
し
P-CONN
て
VB2
しまう
PU
。
[8_book_excerpt-4@25 ]
裸の疑問節(CP-QUE)が副詞的に用いられているのか,項なのか判断に迷う場合がある。 例えば,以下の例の疑問節は「を」を補い「間違いがないかどうかを見直してください」とすることができるので, 疑問節が第一目的語となっていると考え, CP-QUE-OB1 のラベルを与えてもいいように思われる。 しかし,この例は(「を」を伴わない)疑問節の他に,「を」を伴う明らかな第一目的語「書類(を)」を含んでおり,また,疑問節と名詞が同格的でもない。 したがって CP-QUE の方には ADV の拡張タグを与えることになる。 ただし,上で示した例とは異なり,この場合の副詞的な疑問節は必ずしも自問的なものではない。
(6.63 )
間違い が ない かどうか 、 書類 を よく 見直し て ください .
CP-IMP
IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
__CP-QUE-ADV
IP-SUB
PP-SBJ
NP
N
間違い
P-ROLE
が
ADJI
ない
P-FINAL
かどうか
PU
、
PP-OB1
NP
N
書類
P-ROLE
を
ADVP
ADJI
よく
VB
見直し
P-CONN
て
VB2
ください
PU
.
[3069_dict_vv-lexicon@5 ]
6.17.4 述語としての疑問節(CP-QUE-PRD)
疑問節(CP-QUE)はコピュラ(AX)「だ」「です」等を後続させて述語として用いられることがある。 この場合は,CP-QUE のラベルに拡張タグ PRD を加える。
(6.64 )
重要 な の は これら の シンボル が 何 を 意味 し て いる か です
IP-MAT
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
重要
AX
な
N
の
P-OPTR
は
__CP-QUE-PRD
IP-SUB
PP-SBJ
NP
PP
NP
PRO
これら
P-ROLE
の
N
シンボル
P-ROLE
が
PP-OB1
NP
WPRO
何
P-ROLE
を
VB
意味
VB0
し
P-CONN
て
VB2
いる
P-FINAL
か
___AX
です
[69_ted_talk_1@15,45 ]
疑問節(CP-QUE)に補文助詞(P-COMP)「と」等が後続することがある。 このような「引用」の疑問文は,多くの場合伝達動詞や認識動詞の補部となる。
(6.65 )
刑事 は 裏 の 窓 を 閉め た か と 聞い た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
刑事
P-OPTR
は
CP-THT-OB1
__CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ
*pro*
PP-OB1
NP
PP
NP
N
裏
P-ROLE
の
N
窓
P-ROLE
を
VB
閉め
AXD
た
P-FINAL
か
___P-COMP
と
VB
聞い
AXD
た
PU
。
[499_textbook_purple_intermediate@9,31 ]
(6.66 )
うん 、 行こ う かなー って 思っ てる 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
INTJ
うん
PU
、
CP-THT-OB1
__CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ
*speaker*
VB
行こ
AX
う
P-FINAL
かなー
___P-COMP
って
VB
思っ
VB2
てる
PU
。
[82_spoken_JF15@9,19 ]
また,「という」「との」等の補文助詞(P-COMP)は疑問節(CP-QUE)に後続し,名詞修飾節を作る(例 (3.30 ) も参照)。
(6.67 )
問題 は 誰 が 社長 を やり 、 誰 が 社長代行 を やる か という こと だっ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
問題
P-OPTR
は
NP-PRD
CP-THT
__CP-QUE
IP-SUB
IP-ADV-CONJ
PP-SBJ
NP
WPRO
誰
P-ROLE
が
PP-OB1
NP
N
社長
P-ROLE
を
VB
やり
PU
、
PP-SBJ
NP
WPRO
誰
P-ROLE
が
PP-OB1
NP
N
社長代行
P-ROLE
を
VB
やる
P-FINAL
か
___P-COMP
という
N
こと
AX
だっ
AXD
た
PU
。
[9_book_excerpt-30@10,45 ]
6.18 様々な補部節(CP-THT)
6.18.1 伝達動詞・認識動詞の補部としての補部節
典型的には,補部節(CP-THT)は,「と」等の補文助詞(P-COMP)を伴って, 伝達動詞(言う,伝える,等)や認識動詞(思う,考える,等)の補部となることができる。 この場合,補部節は拡張タグ OB1 を与えられる。 このような補部節は,実際の発話を直接引用したと解釈できるものもあれば,そうでないものもある。
(6.68 )
「 私 は むしろ あなた を 気に入っ てる の 」 と 彼女 は 言っ た 。
IP-MAT
__CP-THT-OB1
IP-SUB
PUL
「
PP-SBJ
NP
PRO
私
P-OPTR
は
ADVP
ADV
むしろ
PP-OB1
NP
PRO
あなた
P-ROLE
を
VB
気に入っ
VB2
てる
FN
の
PUR
」
___P-COMP
と
PP-SBJ
NP
PRO
彼女
P-OPTR
は
VB
言っ
AXD
た
PU
。
[211_fiction_DICK-1952@2,29 ]
(6.69 )
彼 が そんな に 美しい 死体 に なる と は 誰 も 思わ なかっ た でしょう 。 」
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
__CP-THT-OB1
IP-SUB
PP-SBJ
NP;{FLYNN}
PRO
彼
P-ROLE
が
IP-SMC-OB1
NP-PRD
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADVP
ADJN
そんな
AX
に
ADJI
美しい
N
死体
AX
に
VB
なる
___P-COMP
と
P-OPTR
は
NP;*SBJ*
WPRO
誰
P-OPTR
も
VB
思わ
NEG
なかっ
AXD
た
MD
でしょう
PU
。
PUR
」
[156_aozora_Joyce-1914@4,30 ]
補部節(CP-THT)が格助詞を伴って主要文法役割を果たす項となった例も,それほど頻度は高くないものの,存在する。 以下の例ではそれぞれ,補部節に格助詞「が」と「を」が後続している。 このような場合は,格助詞の投射する助詞句(PP)に適宜,-SBJ あるいは -OB1 の拡張タグを加える。
(6.70 )
複数回答 の 結果 、 「 家計的 に 苦しい 児童 ・ 生徒 が 増え て いる 」 が 小中学校 とも に 最多 だっ た 。
IP-MAT
NP-ADV
PP
NP
N
複数回答
P-ROLE
の
N
結果
PU
、
___PP-SBJ
__CP-THT
IP-SUB
PUL
「
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADVP
ADJN
家計的
AX
に
ADJI
苦しい
NML
CONJP
NP
N
児童
PU
・
NP
N
生徒
P-ROLE
が
VB
増え
P-CONN
て
VB2
いる
PUR
」
___P-ROLE
が
PP
NP
N
小中学校
PRN
NP;*
Q
とも
P-ROLE
に
ADJN
最多
AX
だっ
AXD
た
PU
。
[12_news_KAHOKU_616@14,13,50 ]
(6.71 )
ワニ君連 を 代表 し て 、 花束 を 持っ て お見舞い に 来 た アシ君 が 、 槇子 の ( 秋作さん 、 秋作さん ) を 聞い て しまっ て 、 これ を 『 社交室 』 へ 急報 し た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
IP-ADV-SCON
PP-OB1
NP
NPR
ワニ君連
P-ROLE
を
VB
代表
VB0
し
P-CONN
て
PU
、
IP-ADV-SCON
PP-OB1
NP
N
花束
P-ROLE
を
VB
持っ
P-CONN
て
PP
NP
N
お見舞い
P-ROLE
に
VB
来
AXD
た
NPR
アシ君
P-ROLE
が
PU
、
IP-ADV-CONJ
___PP-OB1
NP
PP
NP
NPR
槇子
P-ROLE
の
__CP-THT
FRAG
PUL
(
NP-VOC
NPR
秋作さん
PU
、
NP-VOC
NPR
秋作さん
PUR
)
___P-ROLE
を
VB
聞い
P-CONN
て
VB2
しまっ
P-CONN
て
PU
、
PP-OB1
NP
PRO
これ
P-ROLE
を
PP
NP
PUL
『
N
社交室
PUR
』
P-ROLE
へ
VB
急報
VB0
し
AXD
た
PU
。
[736_aozora_Hisao-1939@58,50,72 ]
以下の例のように,補文助詞(P-COMP)「って」「なんて」を伴った CP-THT は,格助詞を伴わずに主語となることがある。 このとき,拡張タグは CP-THT に直接加えられる。
(6.72 )
漢字 を 覚える って 大変 です ね 。
CP-FINAL
IP-SUB
__CP-THT-SBJ
IP-SUB
NP-SBJ
*arb*
PP-OB1
NP
N
漢字
P-ROLE
を
VB
覚える
___P-COMP
って
ADJN
大変
AX
です
P-FINAL
ね
PU
。
[356_textbook_djg_basic@3,15 ]
(6.73 )
そんな に いつ まで も しょげ て いる なんて 、 あなた らしく ない こと よ 。
CP-FINAL
IP-SUB
__CP-THT-SBJ
IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
ADVP
ADJN
そんな
AX
に
PP
NP
WPRO
いつ
P-ROLE
まで
P-OPTR
も
VB
しょげ
P-CONN
て
VB2
いる
___P-OPTR
なんて
PU
、
NP-PRD
PRO
あなた
AX
*
MD
らしく
NEG
ない
P-FINAL
こと
P-FINAL
よ
PU
。
[379_textbook_particles@3,26 ]
受動の「られ・れ」を後続させた伝達動詞・認識動詞が,補部節(CP-THT)と共起している文では,主語が明示されないことが多い。 そのため,何を文の主語と考えるべきかしばしば判断に迷う。 以下の例では,補部節によって示された伝達内容の受け手が主語であると考え(「[私が]8時までに来いと言われた」), ゼロ代名詞(*speaker* )を主語として補うことができる。
(6.74 )
8 時 まで に 来い と 言わ れ た ん だ 。
IP-MAT
___NP-SBJ
*speaker*
NP-LGS
*pro*
__CP-THT-OB1
CP-IMP
IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
PP
NP
NUMCLP
NUM
8
CL
時
P-ROLE
まで
P-ROLE
に
VB
来い
P-COMP
と
VB
言わ
___PASS
れ
AXD
た
FN
ん
AX
だ
PU
。
[301_textbook_purple_intermediate@6,2,28 ]
しかし,以下の例では,具体的な伝達内容の受け手がいるとは考えられず,故に,これを主語とした受動文だとは考えにくい。 また,他に主語と見なすべき名詞句も存在しない。 このような場合には,補部節を主語であると考え,CP-THT に -SBJ の拡張タグを加えることにする。
(6.75 )
運動 は 体 に いい と 言わ れ て いる 。
IP-MAT
NP-LGS
*arb*
__CP-THT-SBJ
IP-SUB
PP-SBJ
NP
N
運動
P-OPTR
は
PP
NP
N
体
P-ROLE
に
ADJI
いい
P-COMP
と
VB
言わ
PASS
れ
P-CONN
て
VB2
いる
PU
。
[251_textbook_djg_advanced@4 ]
伝達動詞・認識動詞が補部節(CP-THT)と共にテアル構文で用いられた場合も,主語と見なすべき名詞句が明確に存在しない場合には,補部節を主語としてアノテーションすることにする。
(6.76 )
なんか 、 国際交流セミナー っていう やつ 、 ある って 書い て あっ た ん だ けどー 。
FRAG
PP-SCON
IP-ADV
ADVP
ADV
なんか
PU
、
__CP-THT-SBJ
IP-SUB
NP-SBJ
PP
NP
N
国際交流セミナー
P-ROLE
っていう
N
やつ
PU
、
VB
ある
P-COMP
って
VB
書い
___P-CONN
て
___PASS
*
___VB2
あっ
AXD
た
FN
ん
AX
だ
P-CONN
けどー
PU
。
[31_spoken_JF6@9,28,30,32 ]
疑問節(CP-QUE)と同様に,補部節(CP-THT)も,上位の節の述語とその項である名詞句の両方と意味的に結びつくことがある。 例えば,以下の例の補部節(CP-THT)は,述語となった認識動詞「聞きます」の補部であるが,同時に,第一目的語(OB1)となった名詞句「話(を)」の内容を表している。 このような補部節(CP-THT)と名詞句の同格関係を示すために,同格の疑問節(CP-QUE)で用いたように,*ICH* と PRN-n(n は適切な番号)を用いる。
(6.77 )
やんちゃ で 済まさ れ ない こと が 多く 、 地域 の 方 から は 、 震災後 から 荒れる よう に なっ た と 話 を 聞き ます 。
IP-MAT
IP-ADV-CONJ
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-OB1
*T*
NP-SBJ
*pro*
PP
NP
N
やんちゃ
P-ROLE
で
VB
済まさ
VB2
れ
NEG
ない
N
こと
P-ROLE
が
ADJI
多く
PU
、
NP-SBJ
*speaker*
PP
NP
PP
NP
N
地域
P-ROLE
の
N
方
P-ROLE
から
P-OPTR
は
PU
、
___PRN-1
__CP-THT
IP-SUB
NP-SBJ
*pro*
PP
NP
N
震災後
P-ROLE
から
PP
NP
IP-EMB
VB
荒れる
N
よう
P-ROLE
に
VB
なっ
AXD
た
P-COMP
と
PP-OB1
NP
N
話
PRN
___*ICH*-1
P-ROLE
を
VB
聞き
AX
ます
PU
。
[103_news_KAHOKU_37@49,48,79 ]
補部節と結びつく名詞句の主要部が代名詞であったり,指示詞的な限定詞によって修飾されたりすることもある。
(6.78 )
坂本君 、 あのー 国際交流問題 とか 、 興味 ある とか 、 そういう こと 言っ て た からー
FRAG
PP-SCON
IP-ADV
NP-SBJ
NPR
坂本君
PU
、
INTJ
あのー
___PRN-1
__CP-THT
IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
PP-OB2
NP
N
国際交流問題
P-OPTR
とか
PU
、
NP-OB1
N
興味
VB
ある
P-OPTR
とか
PU
、
NP-OB1
D
そういう
N
こと
PRN
___*ICH*-1
VB
言っ
VB2
て
AXD
た
P-CONN
からー
[11_spoken_JM1@12,11,39 ]
また,述語が補部節(CP-THT)を直接受けるわけではないが, 補部節と述語の項となった名詞句の間に,上記と同様の同格関係が認められる例がある。 この場合にも,*ICH* と PRN-n のタグを利用する。
(6.79 )
「 えい ! 」 と 初めて 声 を 掛け 、 右手寄り に ツツ――と 詰める 。
IP-MAT
NP-SBJ;{TOBISAWA_JINNAI}
*pro*
IP-ADV-CONJ
___PRN-1
__CP-THT
INTJP
PUL
「
INTJ
えい
PU
!
PUR
」
P-COMP
と
ADVP
ADV
初めて
PP-OB1
NP
N
声
PRN
___*ICH*-1
P-ROLE
を
VB
掛け
PU
、
PP
NP
N
右手寄り
P-ROLE
に
ADVP
ADV
ツツ――と
VB
詰める
PU
。
[128_aozora_Kunieda-1925@6,5,26 ]
補部節(CP-THT)が同じ節の述語の項でなく,また,節中の他の名詞との意味的な結びつきもない場合がある。 こうした場合のうち,補部節に意志を表す助動詞(AX)の「よう・う」あるいは否定的意志を表す助動詞(NEG)「まい」が含まれ, かつ補部節が同じ節の述語の動作の目的を表す場合は, CP-THT に特別の拡張タグ PRP を加える(PRP は,次節で見る拡張タグ ADV の特殊なものと言える)。
(6.80 )
僕 は 僕 を 子供 だ と ほのめかし た コター の じいさん に 腹 を 立て て い た けれども 、 彼 が 言い 終え なかっ た センテンス から 意味 を 引き出そ う と 頭 を 悩まし て い た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{SPEAKER}
PRO
僕
P-OPTR
は
PP-SCON
IP-ADV
PP
NP;{COTTER}
IP-REL
NP-SBJ
*T*
PP-DOB1
NP;{SPEAKER}
PRO
僕
P-ROLE
を
CP-THT-OB1
IP-SMC
NP-PRD
N
子供
AX
だ
P-COMP
と
VB
ほのめかし
AXD
た
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
NPR
コター
AX
の
N
じいさん
P-ROLE
に
PP-OB1
NP
N
腹
P-ROLE
を
VB
立て
P-CONN
て
VB2
い
AXD
た
P-CONN
けれども
PU
、
__CP-THT-PRP
IP-SUB
NP-SBJ;{SPEAKER}
*speaker*
PP
NP
IP-REL
NP-OB1
*T*
PP-SBJ
NP;{COTTER}
PRO
彼
P-ROLE
が
VB
言い
VB2
終え
NEG
なかっ
AXD
た
N
センテンス
P-ROLE
から
PP-OB1
NP
N
意味
P-ROLE
を
VB
引き出そ
___AX
う
P-COMP
と
PP-OB1
NP
N
頭
P-ROLE
を
VB
悩まし
P-CONN
て
VB2
い
AXD
た
PU
。
[64_aozora_Joyce-1914@64,99 ]
(6.81 )
マラソン は 苦しかっ た が 、 友達 に 遅れ まい と 一所懸命 走っ た 。
IP-MAT
PP-CONJ
IP-ADV
PP-SBJ
NP
N
マラソン
P-OPTR
は
ADJI
苦しかっ
AXD
た
P-CONN
が
PU
、
NP-SBJ
*speaker*
__CP-THT-PRP
IP-SUB
NP-SBJ
*speaker*
PP
NP
N
友達
P-ROLE
に
VB
遅れ
___NEG
まい
P-COMP
と
ADVP
ADV
一所懸命
VB
走っ
AXD
た
PU
。
[1028_textbook_particles@20,32 ]
6.18.5 副詞的な補部節(CP-THT-ADV)
補部節(CP-THT)が上位の節の述語とも直接的に結びつかず,また,文中の名詞との意味的な結びつきもなく, また,行為の目的を表すものでもない場合,それは,副詞的な働きを持つ補部節として,ADV の拡張タグを加えられる。
(6.82 )
警備員 は 「 ちょっと 待っ て 」 と 私たち を 引き止め た .
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
警備員
P-OPTR
は
__CP-THT-ADV
CP-IMP
PUL
「
IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
ADVP
ADV
ちょっと
VB
待っ
P-CONN
て
PUR
」
P-COMP
と
PP-OB1
NP
PRO
私たち
P-ROLE
を
VB
引き止め
AXD
た
PU
.
[2586_dict_vv-lexicon@8 ]
6.18.6 述語としての補部節(CP-THT-PRD)
補部節(CP-THT)にコピュラを含む助動詞(AX)が後続し,補部節自体が述語となっていると見なされるとき,CP-THT に拡張タグ PRD を加える。
(6.83 )
彼女 と は ただ お茶 を 飲ん で 話 を し た という だけ だ 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
PP
NP
PRO
彼女
P-ROLE
と
P-OPTR
は
ADVP
ADV
ただ
__CP-THT-PRD
IP-SUB
NP-SBJ
*speaker*
IP-ADV-CONJ
PP-OB1
NP
N
お茶
P-ROLE
を
VB
飲ん
P-CONN
で
PP-OB1
NP
N
話
P-ROLE
を
VB
し
AXD
た
P-COMP
という
P-OPTR
だけ
___AX
だ
PU
。
[399_textbook_djg_intermediate@15,44 ]
(6.84 )
書類 について も 、 オールデイカー の 個人的 な 仕事 も 、 まったく 知ら ない ―― だ そう だ 。
IP-MAT
NP-SBJ
*exp*
__CP-THT-PRD
IP-SUB
NP-SBJ;{MRS_LEXINGTON}
*pro*
NP-OB1
CONJP
NP
PP
NP;{DOCUMENTS}
N
書類
P-ROLE
について
P-CONN
も
PU
、
NP
PP
NP;{OLDACRE}
NPR
オールデイカー
P-ROLE
の
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
個人的
AX
な
N
仕事
P-CONN
も
PU
、
ADVP
ADV
まったく
VB
知ら
NEG
ない
PU
――
___AX
だ
MD
そう
AX
だ
PU
。
[423_aozora_Doyle-1905@4,50 ]
6.19 目的語繰り上げ構文
目的語繰り上げ構文において,補部節あるいは小節の論理的主語は助詞「を」により表示され, 主節の中で,この節を選択する述語の姉妹の位置を占める。 この論理的主語は拡張タグ DOB1 を与えられる。
この文型において,補部節は CP-THT-OB1 が支配する IP-SMCとして分析され, その中の主語位置は主節 中の DOB1 がコントロールする。
(6.85 )
自分 は この 言葉 を 面白い と 思っ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
自分
P-OPTR
は
__PP-DOB1
NP
D
この
N
言葉
___P-ROLE
を
CP-THT-OB1
IP-SMC
ADJI
面白い
P-COMP
と
VB
思っ
AXD
た
PU
。
[374_aozora_Natsume-1908@8,14 ]
(6.86 )
警察 は A を 犯人 だ と 断定 し た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
警察
P-OPTR
は
__PP-DOB1
NP
NPR
A
___P-ROLE
を
CP-THT-OB1
IP-SMC
NP-PRD
N
犯人
AX
だ
P-COMP
と
VB
断定
VB0
し
AXD
た
PU
。
[1095_textbook_kisonihongo@8,12 ]
主節述部は「思う」や「考える」「感じる」のような態度動詞であるのが普通だが, 「する」や「扱う」のような動詞が用いられることもある。
(6.87 )
温度 を 一定 だ と する
IP-MAT
NP-SBJ;{SPEAKER_30}
*speaker*
__PP-DOB1
NP
N
温度
___P-ROLE
を
CP-THT-OB1
IP-SMC
ADJN
一定
AX
だ
P-COMP
と
___VB
する
[30_misc_EXAMPLE@4,8,18 ]
この構文で小節に現れる述語は,イ形容詞,形容詞的屈折を行うモーダル,あるいはコピュラに限られる。 これらはいずれも連用形で現れる。 埋め込まれた節は IP-SMC-OB1 のタグを与えられ,CP-THT をさらに投射することはない。
(6.88 )
お手伝い でき ない の を 心苦しく 思い ます 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
PP-DOB1
NP
IP-EMB
NP-OB1
*pro*
VB
お手伝い
VB0
でき
NEG
ない
N
の
P-ROLE
を
__IP-SMC-OB1
ADJI
心苦しく
VB
思い
AX
ます
PU
。
[697_textbook_purple_basic@19 ]
(6.89 )
彼ら の 出身 の 村 や 町 に は 、 戦死者 を 名誉 に 思っ て 祈念碑 が 建立 さ れる でしょう 。
IP-MAT
PP-LOC
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
PP
NP
PRO
彼ら
P-ROLE
の
N
出身
AX
の
NML
CONJP
NP
N
村
P-CONN
や
NP
N
町
P-ROLE
に
P-OPTR
は
PU
、
IP-ADV-CONJ
NP-SBJ
*pro*
PP-DOB1
NP
N
戦死者
P-ROLE
を
__IP-SMC-OB1
ADJN
名誉
AX
に
VB
思っ
P-CONN
て
NP-LGS
*pro*
PP-SBJ
NP
N
祈念碑
P-ROLE
が
VB
建立
VB0
さ
___PASS
れる
MD
でしょう
PU
。
[280_aozora_Hayashida-2015@43,64 ]
これらの構文は自発・可能用法の「れる・られる」を伴う述語で頻繁に用いられる。
(6.90 )
その 間 が 、 たっぷり 一 時間 は あっ た 様 に 思わ れ ます 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
PP-DOB1
NP
D
その
N
間
P-ROLE
が
PU
、
__IP-SMC-OB1
NP-PRD
IP-EMB
PP;*SBJ*
NP
ADVP
ADV
たっぷり
NUMCLP
NUM
一
CL
時間
P-OPTR
は
VB
あっ
AXD
た
N
様
AX
に
VB
思わ
VB2
れ
AX
ます
PU
。
[249_aozora_Edogawa-1929@14 ]
(6.91 )
親不知 の 断崖 を 通過 する 頃 、 車内 の 電燈 と 空 の 明るさ と が 同じ に 感じ られ た 程 、 夕闇 が 迫っ て 来 た 。
IP-MAT
NP-TMP
IP-EMB
NP-SBJ
*speaker*
PP-OB1
NP
PP
NP
NPR
親不知
P-ROLE
の
N
断崖
P-ROLE
を
VB
通過
VB0
する
N
頃
PU
、
PP-SCON
IP-ADV
NP-SBJ
*speaker*
PP-DOB1
NP
CONJP
NP
PP
NP
N
車内
P-ROLE
の
N
電燈
P-CONN
と
NP
PP
NP
N
空
P-ROLE
の
N
明るさ
P-CONN
と
P-ROLE
が
__IP-SMC-OB1
ADJN
同じ
AX
に
VB
感じ
VB2
られ
AXD
た
P-OPTR
程
PU
、
PP-SBJ
NP
N
夕闇
P-ROLE
が
VB
迫っ
P-CONN
て
VB2
来
AXD
た
PU
。
[37_aozora_Edogawa-1929@57 ]
6.20 主語繰り上げ構文
主語繰り上げ構文は目的語繰り上げ構文を受動化したものである。 この場合も,埋め込まれた節を IP-SMC とし,コントロール関係を維持する。 繰り上げられた主語は拡張タグ DSBJ を与えられる。
6.20.1 補部節から主語位置に至る繰り上げ
この文型において,補部節は CP-THT-SBJ が支配する IP-SMC として分析され, その中の主語位置は主節中の DSBJ がコントロールする。
(6.92 )
温度 は 一定 だ と さ れる
IP-MAT
NP-LGS
*pro*
___PP-DSBJ
NP
N
温度
P-OPTR
は
__CP-THT-SBJ
___IP-SMC
ADJN
一定
AX
だ
P-COMP
と
VB
さ
PASS
れる
[31_misc_EXAMPLE@10,4,11 ]
(6.93 )
招き猫 の 置物 は 、 幸運 を 招き込む と 言わ れ ます .
IP-MAT
NP-LGS
*arb*
___PP-DSBJ
NP
PP
NP
N
招き猫
P-ROLE
の
N
置物
P-OPTR
は
PU
、
__CP-THT-SBJ
___IP-SMC
PP-OB1
NP
N
幸運
P-ROLE
を
VB
招き込む
P-COMP
と
VB
言わ
PASS
れ
AX
ます
PU
.
[2991_dict_vv-lexicon@18,4,19 ]
6.20.2 小節から主語位置に至る繰り上げ
この構文で小節に現れる述語は,イ形容詞,形容詞的屈折を行うモーダル,あるいはコピュラに限られる。 これらはいずれも連用形で現れる。 埋め込まれた節は IP-SMC-SBJ のタグを与えられ,CP-THT をさらに投射することはない。
(6.94 )
救心 という 薬 は 味 も 効能 も 仁丹 ぐらい に しか 思わ れ て ない が 、 べラボー に 高価 な ところ が 信仰 さ れる の かも知れない 。
IP-MAT
NP-LGS
*arb*
PP-CONJ
IP-ADV
PP-DSBJ
NP
PP
NP
NPR
救心
P-ROLE
という
N
薬
P-OPTR
は
__IP-SMC-SBJ
NP-SBJ2
CONJP
NP
N
味
P-CONN
も
NP
N
効能
P-CONN
も
PP-PRD
NP
NPR
仁丹
P-OPTR
ぐらい
AX
に
P-OPTR
しか
VB
思わ
PASS
れ
VB2
て
NEG
ない
P-CONN
が
PU
、
PP-SBJ
NP
IP-EMB
NP-SBJ
*pro*
ADVP
ADJN
べラボー
AX
に
ADJN
高価
AX
な
N
ところ
P-ROLE
が
VB
信仰
VB0
さ
PASS
れる
FN
の
MD
かも知れない
PU
。
[31_aozora_Sakaguchi-1950@18 ]
この節では,会話に特有の表現がどのようにアノテートされているかについて説明する。
間投詞のための品詞タグは,INTJ である。
INTJ とラベル付けされた個々の単語は, たとえ節のレベルの構成素であっても INTJP を投射することはない。
(6.95 )
「 ああ 、 王 は 悧巧 だ 。
IP-MAT
PUL
「
__INTJ
ああ
PU
、
PP-SBJ
NP;{DIONYSIUS_HEARER}
N
王
P-OPTR
は
ADJN
悧巧
AX
だ
PU
。
[84_aozora_Dazai-2-1940@4 ]
INTJP のラベルは,以下のような場合に使用される。
間投詞が独立した発話をなす場合。 通常,「もしもし」「はい」等がこれに該当する。 このようなINTJPは,主節であることもあれば,引用節であることもある。
(INTJP (INTJ もしもし)
(PU 。))
(INTJP (INTJ はい)
(PU 。))
(6.96 )
すると 帽子屋さん は 、 おやおや と 思い まし た 。
IP-MAT
CONJ
すると
PP-SBJ
NP
N
帽子屋さん
P-OPTR
は
PU
、
CP-THT-OB1
__INTJP
INTJ
おやおや
P-COMP
と
VB
思い
AX
まし
AXD
た
PU
。
[55_aozora_Niimi-1943@13 ]
(IP-IMP (NP-SBJ *hearer*)
(INTJP (INTJ すみません)
(P が))
(PU ,)
(PP (NP (N 塩))
(P を))
(NP-OB1 *を*)
(VB 取っ)
(P て)
(VB2 ください)
(PU 。))
間投詞ではない語または句が,全体として間投句として使用されている場合。 例えば,以下の例では,助詞である「ね」と「が」が,PPを投射する代わりにINTJPを投射している。
(INTJP (IP-SUB (ADVP (ADV そう))
(AX です))
(P-FINAL ね))
(INTJP (NP (PRO それ))
(P-CONN が))
以下の実例では,「見えるかいって」というCP-THTが,全体として,間投句的に振る舞っている。
(6.97 )
じゃ 、 私 の 顔 が 見える かい と 一心 に 聞く と 、 見える かい って 、 そら 、 そこ に 、 写っ てる じゃ あり ませ ん か と 、 にこりと 笑っ て 見せ た 。
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
PP-SCON
IP-ADV
NP-SBJ
*speaker*
CP-THT-OB1
CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
CONJ
じゃ
PU
、
PP-OB1
NP
PP
NP
PRO
私
P-ROLE
の
N
顔
P-ROLE
が
VB
見える
P-FINAL
かい
P-COMP
と
PP
NP
N
一心
P-ROLE
に
VB
聞く
P-CONN
と
PU
、
CP-THT-ADV
CP-FINAL
IP-SUB
NP-SBJ
*pro*
__INTJP
___CP-THT
CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ
*speaker*
NP-OB1
*hearer*
VB
見える
P-FINAL
かい
P-COMP
って
PU
、
INTJ
そら
PU
、
PP
NP
PRO
そこ
P-ROLE
に
PU
、
VB
写っ
VB2
てる
AX
じゃ
VB2
あり
AX
ませ
NEG
ん
P-FINAL
か
P-COMP
と
PU
、
ADVP
ADV
にこりと
VB
笑っ
P-CONN
て
VB2
見せ
AXD
た
PU
。
[18_aozora_Natsume-1908@52,53 ]
INTJ やINTJP の並列は,CONJP( 3.5 節を参照)によってなされるのではなく,単なる並置によってなされる。
(6.98 )
あー 、 はい はい はい 、 特に ね
CP-FINAL
FRAG
__INTJ
あー
PU
、
___INTJ
はい
___INTJ
はい
___INTJ
はい
PU
、
ADVP
ADV
特に
P-FINAL
ね
[45_spoken_JM10@3,7,9,11 ]
(6.99 )
ああ そうだ 、 こう やれ ば よさ そう だ な 」
CP-FINAL
IP-SUB
__INTJ
ああ
___INTJ
そうだ
PU
、
NP-SBJ;{CONFIDENCE}
*pro*
IP-ADV-SCON-CND
NP-SBJ;{SHERLOCK+WATSON}
CONJP
NP;{SHERLOCK}
*speaker*
NP;{WATSON}
*pro*
ADVP
ADV
こう
VB
やれ
P-CONN
ば
ADJI
よさ
AX
そう
AX
だ
P-FINAL
な
PUR
」
[579_aozora_Doyle-1905@3,5 ]
FS は言い誤りを示し,特に発話データにおいて,繰り返しや言い直しなどが生じた場合に用いられる。
(6.100 )
「 ひ 、 ひ 、 人殺しイ …… 」
FRAG
PUL
「
NP
__FS
N
ひ
PU
、
___FS
N
ひ
PU
、
N
人殺しイ
PU
……
PUR
」
[41_aozora_Kunieda-1925@5,10 ]
(6.101 )
この 場所 ここ の アリーナ も また ギリシャ の 円形劇場 の よう に 忘我 の 状態 の ため の 場所 です
IP-MAT
__FS
NP-SBJ
D
この
N
場所
PP-SBJ
NP
PP
NP
PRO
ここ
P-ROLE
の
N
アリーナ
P-OPTR
も
ADVP
ADV
また
PP
NP
PP
NP
PP
NP
NPR
ギリシャ
P-ROLE
の
N
円形劇場
P-ROLE
の
N
よう
P-ROLE
に
NP-PRD
PP
NP
PP
NP
PP
NP
N
忘我
P-ROLE
の
N
状態
P-ROLE
の
N
ため
P-ROLE
の
N
場所
AX
です
[46_ted_talk_3@2 ]
種々の省略は,会話体のテキストに(それだけに限らないのではあるが)よく見られる。 以下,これらの省略のアノテーションの仕方をまとめる。
ゼロ代名詞,すなわち主要文法役割を果たす名詞句の省略については 1.6.4 節を参照のこと。
NPの文法役割(主要なものであれ,そうでないものであれ)を示す助詞が省略された場合, そのようなNPには,NP-SBJ や NP-OB1 のように, 文法役割が直接タグ付けされる。
(6.102 )
ご飯 食べ た ?
CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
__NP-OB1
N
ご飯
VB
食べ
AXD
た
PU
?
[968_textbook_kisonihongo@5 ]
(6.103 )
あれ 、 雨 降っ てる 。
IP-MAT
INTJ
あれ
PU
、
__NP-SBJ
N
雨
VB
降っ
VB2
てる
PU
。
[969_textbook_kisonihongo@6 ]
主要文法役割は任意文法役割に優先する。 以下の例の「あいつ」については,(PP-TPC を投射する)話題標識「は」が省略されていると考えることができる一方で, 主語 -SBJ の文法役割も果たしている。 このとき,タグ -SBJ が優先され,-TPC は付加されない。
(6.104 )
あいつ 、 どこ 行っ た の かな 。
CP-QUE
IP-SUB
__NP-SBJ;{MEN_971}
PRO
あいつ
PU
、
NP-LOC
WPRO
どこ
VB
行っ
AXD
た
FN
の
P-FINAL
かな
PU
。
[971_textbook_kisonihongo@3 ]
以下は真正な NP-TPC の例である:
(6.105 )
◎ 仮校舎 、 不自由 続く
IP-MAT
SYM
◎
__NP-TPC
N
仮校舎
PU
、
NP-SBJ
N
不自由
VB
続く
[50_news_KAHOKU_37@4 ]
名詞句内の主要部の省略については 6.3 節を参照のこと。
IP-ADV における主要部の省略に関する議論については 6.4 節を参照のこと。
ある句や句の連なりが,述語クラスタの直後,あるいは文末助詞の後ろに,外置されることがある。 このとき,それらの句は,ギャップのある文を補う付け足し(afterthought)と見なされる。
主節に対して何かしらの文法役割をもった句が外置される場合, 当該句は文本体と *ICH* を用いたインデクス付与によって関係づけられる ( 1.4 節を参照)。 すなわち,外置された句が本来あるべき場所に,インデクスを伴う*ICH* を置き, それを支配するノードのラベルとして,外置された句の主要タグと(あれば)拡張タグをともに指定し (例 (6.106 ) では,(PP-SBJ *ICH*-1) ), 外置された句自体に対しては、主要タグとインデクスのみを指定する (例 (6.106 ) では,(PP-1 神戸は) )。
(6.106 )
美しい 街 です よ 、 神戸 は 。
CP-FINAL
IP-SUB
PP-SBJ
__*ICH*-1
NP-PRD
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJI
美しい
N
街
AX
です
P-FINAL
よ
PU
、
___PP-1
NP
NPR
神戸
P-OPTR
は
PU
。
[989_textbook_kisonihongo@4,19 ]
(6.107 )
来 た 、 来 た 、 バス が 。
CP-FINAL
IP-SUB
PP-SBJ
__*ICH*-1
IP-ADV-CONJ
VB
来
AXD
た
PU
、
VB
来
AXD
た
PU
、
___PP-1
NP
N
バス
P-ROLE
が
PU
。
[990_textbook_kisonihongo@4,18 ]
(6.108 )
/ 生きる 、 全て を 糧 に
CP-FINAL
IP-SUB
NP-SBJ
*pro*
PU
/
__IP-ADV-SCON
*ICH*-1
VB
生きる
PU
、
___IP-ADV-1
PP-OB1
NP
Q
全て
P-ROLE
を
PP-OB2
NP
N
糧
P-ROLE
に
[3_news_KAHOKU_55@7,13 ]
2つの形態素の間で縮約が生じる場合,当該の語形のタグ付けは,2者のうち全体の意味にとって決定的な方(典型的には2番目の要素)のタグをとる。 これにより,「てる(< ている)」,「ちゃう(< てしまう)」、「てく(< ていく)」,「とく(< ておく)」 は全て VB2 とラベル付けされる。 以下に例を挙げる。
(6.109 )
僕 、 もう やめ ちゃう けど 、 君 は どう する の 。
CP-QUE
IP-SUB
PP-SCON
IP-ADV
NP-SBJ;{SPEAKER_992}
PRO
僕
PU
、
ADVP
ADV
もう
VB
やめ
__VB2
ちゃう
P-CONN
けど
PU
、
PP-SBJ
NP;{HEARER_992}
PRO
君
P-OPTR
は
ADVP-CMPL
WADV
どう
VB
する
FN
の
PU
。
[992_textbook_kisonihongo@15 ]
(6.110 )
ここ に 置い とく よ 。
CP-FINAL
IP-SUB
NP-SBJ
*speaker*
NP-OB1;{SUTFF_998}
*pro*
PP
NP;{CURRENT_POSITION_998}
PRO
ここ
P-ROLE
に
VB
置い
__VB2
とく
P-FINAL
よ
PU
。
[998_textbook_kisonihongo@15 ]
一般的に,同形ではあるが異なる機能を持つ語を品詞ラベル,構造的位置,文法的機能の点で区別可能にする, というのが本アノテーションのポリシーである。 これは主として,助詞,コピュラ,助動詞,モーダル要素に当てはまる。
7.2 「助詞」対「コピュラ」
様々な機能を持つ要素にひとつの品詞を与えることは,分析が単純化される一方で,機能と意味における重要な区別を見えなくしてしまう。 基本的な機能要素に見られる多種多様な用法を選り分ける最初のステップとして, 「で」「に」「と」「の」という同一の音韻形式における助詞としての機能とコピュラとしての機能の区別を以下に示す。
「で」には(1)文法役割を示す助詞としての機能,(2)動詞につく接尾辞としての機能,(3)コピュラの非定形の機能がある。 (1)は NP をとって PP を投射する。 (2)は一部の子音動詞(五段動詞)の連用形に後続する。 (3)は述語名詞句に後続して IP を投射する。
文法役割を示す助詞(P-ROLE)としての「で」には複数の用法があるが, それらの一々を品詞タグの違いとして区別することはしない。 以下の例では動作の行われる場所や機会を示している。
(7.1 )
共通 の ルール を つくる 過程 で は 、 交渉 と 説得 が 行わ れる 。
IP-MAT
NP-LGS
*pro*
PP
NP
IP-EMB
NP-SBJ;{COUNTRIES+ORGANIZATIONS}
*pro*
PP-OB1
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
共通
AX
の
N
ルール
P-ROLE
を
VB
つくる
N
過程
__P-ROLE
で
P-OPTR
は
PU
、
PP-SBJ
NP
CONJP
NP
N
交渉
P-CONN
と
NP
N
説得
P-ROLE
が
VB
行わ
PASS
れる
PU
。
[64_news_KAHOKU_33@26 ]
(7.26 )
翌年 、 慶長 20 年 ( 1615 年 ) の 大坂の役 ( 夏の陣 ) 道明寺の戦い で は 後藤基次ら と 戦っ た 。
IP-MAT
NP-SBJ;{MASAMUNE}
*pro*
NP-TMP
N
翌年
PU
、
PP
NP;{BATTLE_DOMYOJI}
NML
PP
NP
NPR
慶長
NUMCLP
NUM
20
CL
年
PRN
PUL
(
NP
NUMCLP
NUM
1615
CL
年
PUR
)
P-ROLE
の
NPR
大坂の役
PRN
PUL
(
NP
N
夏の陣
PUR
)
NPR
道明寺の戦い
__P-ROLE
で
P-OPTR
は
PP
NP
NPR
後藤基次ら
P-ROLE
と
VB
戦っ
AXD
た
PU
。
[89_wikipedia_Datemasamune@46 ]
(7.3 )
天正 12 年 ( 1584 年 ) 10 月 に 18 歳 で 家督 を 相続 し 、 伊達家 17 代 を 継承 する 。
IP-MAT;{MASAMUNE_INHERITANCE}
NP-SBJ;{MASAMUNE}
*pro*
IP-ADV-CONJ
PP
NP
NPR
天正
NUMCLP
NUM
12
CL
年
PRN
PUL
(
NP
NUMCLP
NUM
1584
CL
年
PUR
)
NUMCLP
NUM
10
CL
月
P-ROLE
に
PP
NP
NUMCLP
NUM
18
CL
歳
__P-ROLE
で
PP-OB1
NP;{DATE_FAMILY_LORD}
N
家督
P-ROLE
を
VB
相続
VB0
し
PU
、
PP-OB1
NP;{DATE_FAMILY}
N
伊達家
NUMCLP
NUM
17
CL
代
P-ROLE
を
VB
継承
VB0
する
PU
。
[12_wikipedia_Datemasamune@39 ]
(7.4 )
うん 、 後 で 返事 し て も 、 いい ?
CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
INTJ
うん
PU
、
PP-SCON-CND
IP-ADV
NP-SBJ
*speaker*
PP-TMP
NP
N
後
__P-ROLE
で
VB
返事
VB0
し
P-CONN
て
P-OPTR
も
PU
、
ADJI
いい
PU
?
[56_spoken_JF4@17 ]
以下の例では道具,原因,あるいは理由を示している。
(7.5 )
その 中 の どの わざ の ため に 、 わたし を 石 で 打ち殺そ う と する の か 」 。
CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ
*hearer*
PP
NP
PP
NP
PP
NP
D
その
N
中
P-ROLE
の
WD
どの
N
わざ
P-ROLE
の
N
ため
P-ROLE
に
PU
、
PP-OB1
NP;{JESUS}
PRO
わたし
P-ROLE
を
PP
___NP
N
石
__P-ROLE
で
VB
打ち殺そ
AX
う
AX
と
VB2
する
FN
の
P-FINAL
か
PUR
」
PU
。
[911_bible_nt@39,36 ]
(7.6 )
太郎 は 風邪 で 学校 を 休ん だ 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{TARO_232}
NPR
太郎
P-OPTR
は
PP
___NP
N
風邪
__P-ROLE
で
PP-OB1
NP
N
学校
P-ROLE
を
VB
休ん
AXD
だ
PU
。
[232_textbook_kisonihongo@12,9 ]
(7.7 )
取材 で 行く 西日本 は 東北 と は 食べ物 も 建造物 も 違う 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-LOC
*T*
NP-SBJ
*speaker*
PP
___NP
N
取材
__P-ROLE
で
VB
行く
NPR
西日本
P-OPTR
は
PP
NP
NPR
東北
P-ROLE
と
P-OPTR
は
NP-SBJ2
CONJP
NP
N
食べ物
P-CONN
も
NP
N
建造物
P-CONN
も
VB
違う
PU
。
[12_news_KAHOKU_303@13,10 ]
(7.8 )
この 煙突 は レンガ で 出来 て いる 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
D
この
N
煙突
P-OPTR
は
PP
___NP
N
レンガ
__P-ROLE
で
VB
出来
P-CONN
て
VB2
いる
PU
。
[366_textbook_TANAKA@14,11 ]
これらの意味の違いに対しては品詞ラベルとしての区別は行わない。 PP への拡張タグの付加による任意格役割の区別については,1.7.1 節を参照のこと。
それに対して,接尾辞の「で」(「て」の異形態)は, 「泳ぐ」,「読む」等の語幹が有声軟口蓋あるいは鼻音で終わる動詞の音便形に後続する。 このような「で」は P-CONN (接続助詞)とラベル付けされる。
(7.9 )
また 、 ヘプバーン は 縁起 を 担い で 自身 の ラッキーナンバー で ある 「 55 」 番 の 楽屋 を 求め た 。
IP-MAT
CONJ
また
PU
、
PP-SBJ
NP
NPR
ヘプバーン
P-OPTR
は
IP-ADV-CONJ
PP-OB1
NP
N
縁起
P-ROLE
を
___VB
担い
__P-CONN
で
PP-OB1
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
PP
NP
PRO
自身
P-ROLE
の
N
ラッキーナンバー
AX
で
VB2
ある
NUMCLP
PUL
「
NUM
55
PUR
」
CL
番
AX
の
N
楽屋
P-ROLE
を
VB
求め
AXD
た
PU
。
[175_wikipedia_Audrey_Hepburn@21,19 ]
最後に,コピュラの連用形「で」は,AX とラベル付けされ,NP-PRD の後に現れ,IP-ADV を投射する。
(7.10 )
ハリウッド黄金時代 に 活躍 し た 女優 で 、 映画界 ならびに ファッション界 の アイコン として 知ら れる 。
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
___IP-ADV-CONJ
___NP-PRD
IP-REL
NP-SBJ
*T*
PP
NP
NPR
ハリウッド黄金時代
P-ROLE
に
VB
活躍
VB0
し
AXD
た
N
女優
__AX
で
PU
、
NP-LGS
*arb*
PP
NP
PP
NP
CONJP
NP
N
映画界
CONJ
ならびに
NP
N
ファッション界
P-ROLE
の
N
アイコン
P-ROLE
として
VB
知ら
PASS
れる
PU
。
[3_wikipedia_Audrey_Hepburn@23,5,4 ]
また,分析的なコピュラ (AX で) (VB2 ある) あるいは (AX で) (VB2 ござい) (AX ます) の中に現れる。
(7.11 )
一人 は 、 W君 と いっ て 、 初対面 の 人 で ある 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
NUMCLP
NUM
一人
P-OPTR
は
PU
、
IP-ADV-CONJ
PP
NP;{WKUN}
NPR
W君
P-ROLE
と
VB
いっ
P-CONN
て
PU
、
NP-PRD
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
初対面
AX
の
N
人
__AX
で
___VB2
ある
PU
。
[8_aozora_Dazai-1-1940@34,36 ]
コピュラ「で」と助詞「で」の区別が容易でないときがある。 以下の例のように事態を描写する際に用いられる「で」はその一例である。 このような「で」は,名詞に後続する場合 P-ROLE として分析される。
(7.12 )
刺身 は 生 で 食べる 。
IP-MAT
NP-SBJ
*arb*
PP-OB1
NP
N
刺身
P-OPTR
は
PP
___NP
N
生
__P-ROLE
で
VB
食べる
PU
。
[777_textbook_kisonihongo@14,11 ]
ただし,ADJN に続く「で」は AX として分析される。
(7.13 )
崖 を 必死 で よじ登っ た .
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
PP-OB1
NP
N
崖
P-ROLE
を
ADVP
___ADJN
必死
__AX
で
VB
よじ登っ
AXD
た
PU
.
[3296_dict_vv-lexicon@13,11 ]
さらに,IP-ADV において,そう,べき,もの,よう,わけ,ごとく,がち,みたい,そう,ところ,っぱなし,等のような,モダリティ的・アスペクト的意味を持つ形式名詞(FN),助動詞(AX),あるいはモーダル(MD)に続く「で」は AX として分析される。 このような「で」を,上記の要素を後続させる「だ」や「です」といった AX の活用形と見なしているのである。
(7.14 )
お湯 が 煮え立っ た ところ で 、 材料 を いれる .
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
IP-ADV-SCON
PP-SBJ
NP
N
お湯
P-ROLE
が
VB
煮え立っ
AXD
た
___FN
ところ
__AX
で
PU
、
PP-OB1
NP
N
材料
P-ROLE
を
VB
いれる
PU
.
[2110_dict_vv-lexicon@17,15 ]
(7.15 )
至極 簡単 明瞭 な 名 だ が 、 この 名前 、 世間 に ザラ に あり そう で 、 滅多 に ない から 不思議 で ある 。
IP-MAT
PP-CONJ
IP-ADV
NP-SBJ;{KODO_REALNAME}
*pro*
ADVP
ADV
至極
NP-PRD
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
簡単
AX
*
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
明瞭
AX
な
N
名
AX
だ
P-CONN
が
PU
、
NP-SBJ
*pro*
PP-SCON
IP-ADV
NP-SBJ;{KODO_REALNAME}
D
この
N
名前
PU
、
IP-ADV-CONJ
PP
NP
N
世間
P-ROLE
に
ADVP
ADJN
ザラ
AX
に
VB
あり
___AX
そう
__AX
で
PU
、
ADVP
ADJN
滅多
AX
に
ADJI
ない
P-CONN
から
ADJN
不思議
AX
で
VB2
ある
PU
。
[9_aozora_Nomura-7-1954@59,57 ]
(7.64 )
私 は 先生 の 部屋 に 行っ た が 、 入れ違っ た よう で 会え なかっ た .
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
私
P-OPTR
は
PP-CONJ
IP-ADV
PP
NP
PP
NP
N
先生
P-ROLE
の
N
部屋
P-ROLE
に
VB
行っ
AXD
た
P-CONN
が
PU
、
IP-ADV-SCON
VB
入れ違っ
AXD
た
___MD
よう
__AX
で
NP-OB1
*pro*
VB
会え
NEG
なかっ
AXD
た
PU
.
[191_dict_vv-lexicon@37,35 ]
以上の「で」という音韻形式に対する扱いは多くの面で「に」「と」「の」にも当てはまる。 詳細はそれぞれ異なるが,これらの形式はすべてその構造的位置に応じてコピュラとしての機能を持つ。
文法役割を示す助詞「に」は,P-ROLE とラベル付けされ,必須の文法役割と任意の文法役割の両方をマークする。 必須文法役割を示す「に」は,可能の意味を持つ「できる」「難しい」,状態性の「必要だ」「無理だ」, 知覚を表す「分かる」「見える」「欲しい」等の述語の主語(-SBJ), 「似る」「勝つ」「当たる」「飽きる」等の動詞,「詳しい」「弱い」「等しい」「厳しい」等のイ形容詞,「必死だ」「反対だ」等のナ形容詞の第一目的語(OB1), 「あげる」「送る」等の三項動詞の第二目的語(-OB2), 使役動詞の被使役者(-CZZ), IP-SMC-OB1を選択する「もらう」「ほしい」等の述語の派生された目的語(-DOB1), 直接受動の論理的主語(-LGS)をマークする(詳細は2.3.3 節を参照)。
任意文法役割の「に」は, 時間,非動作的動詞に対する空間的位置, 「行く」「着く」等の移動動詞の着点(Goal), 「借りる」「貰う」「いただく」等の動詞の起点(Source), 「捕まる」「見つかる」「教わる」「弱る」等の非対格動詞における降格された動作主(Agent), 「満ちる」「溢れる」「まみれる」等の動詞の動作主とも解される参与者をマークする。 このように「に」は様々な任意文法役割をマークするが, それらを品詞タグにより区別することはしない。
移動の目的を表す節に用いられる「に」がある。 この場合,目的を表す節を名詞化節(IP-NMZ)とした上で,それを補部としてとり, 助詞句(PP-PRP)を投射しているものとして分析される (6.16 節を参照)。
(7.17 )
わたし は 彼 を 起し に 行く 」 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{JESUS}
PRO
わたし
P-OPTR
は
___PP-PRP
___IP-NMZ
PP-OB1
NP
PRO
彼
P-ROLE
を
VB
起し
__P-ROLE
に
VB
行く
PUR
」
PU
。
[946_bible_nt@18,8,9 ]
「に」もコピュラとして分析される場合がある。 ADJN に後続する「に」が ADVP を投射する場合,これは AX と分析される。
(7.18 )
また 、 供養墓 が 他 の 大名 など と 同様 に 高野山奥の院 に ある 。
IP-MAT
CONJ
また
PU
、
PP-SBJ
NP
N
供養墓
P-ROLE
が
ADVP
PP
NP
PP
NP
N
他
P-ROLE
の
N
大名
___P-OPTR
など
__P-ROLE
と
ADJN
同様
AX
に
PP
NP
NPR
高野山奥の院
P-ROLE
に
VB
ある
PU
。
[242_wikipedia_Datemasamune@25,23 ]
小節(IP-SMC)における「に」も AX として分析される。
(7.19 )
私 は この 国 に 生まれ落ち た こと を 幸せ に 思う .
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
私
P-OPTR
は
PP-DOB1
NP
IP-EMB
PP
NP
D
この
N
国
P-ROLE
に
VB
生まれ落ち
AXD
た
N
こと
P-ROLE
を
IP-SMC-OB1
___ADJN
幸せ
__AX
に
VB
思う
PU
.
[343_dict_vv-lexicon@30,28 ]
(7.20 )
怖 そう に も 見え た 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
NP-DOB1
*pro*
___IP-SMC-OB1
ADJI
怖
AX
そう
__AX
に
P-OPTR
も
VB
見え
AXD
た
PU
。
[270_aozora_Natsume-1908@11,6 ]
「する」「なる」の補部となる IP-SMC に現れた「に」も同様に AX と分析される。
(7.21 )
嗅覚 とか 味覚 を 刺激 し 、 心 を ほぐし て 豊か に し て くれる 。
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
IP-ADV-CONJ
IP-ADV-CONJ
PP-OB1
NP
CONJP
NP
N
嗅覚
P-CONN
とか
NP
N
味覚
P-ROLE
を
VB
刺激
VB0
し
PU
、
PP-OB1
NP
N
心
P-ROLE
を
VB
ほぐし
P-CONN
て
___NP-OB1
*pro*
IP-SMC-CNT
__ADJN
豊か
___AX
に
VB
し
P-CONN
て
VB2
くれる
PU
。
[45_news_KAHOKU_303@38,35,40 ]
(7.22 )
ある 日 、 オットー は 借金 の カタ として 自動車 を 回収 する 業者 = レポマン の バッド という 男 と 知り合い 、 自分 も レポマン に なる 事 を 決める 。
IP-MAT
NP-TMP
D
ある
N
日
PU
、
PP-SBJ
NP;{YOUTH}
NPR
オットー
P-OPTR
は
IP-ADV-CONJ
PP-OB1
NP
PP
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
PRN
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
PP
NP
PP
NP
N
借金
P-ROLE
の
N
カタ
P-ROLE
として
PP-OB1
NP
N
自動車
P-ROLE
を
VB
回収
VB0
する
N
業者
SYM
=
N
レポマン
AX
の
NPR
バッド
P-ROLE
という
N
男
P-ROLE
と
VB
知り合い
PU
、
PP-OB1
NP
IP-EMB
PP-SBJ
NP;{YOUTH}
PRO
自分
P-OPTR
も
___IP-SMC-OB1
NP-PRD
N
レポマン
__AX
に
___VB
なる
N
事
P-ROLE
を
VB
決める
PU
。
[5_wikipedia_RepoMan@84,80,86 ]
「に」の場合も助詞なのかコピュラなのか決めがたい時がある。 「ご褒美に」「担保に」「しるしに」等の表現における「に」はコピュラと言えるかもしれない。 しかし,現行のアノテーションではこれらは助詞として扱われる。
(7.23 )
メロス の 十六 の 妹 も 、 きょう は 兄 の 代り に 羊群 の 番 を し て い た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{MELOS_SISTER}
PP
NP;{MELOS}
NPR
メロス
P-ROLE
の
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
NUMCLP
NUM
十六
AX
の
N
妹
P-OPTR
も
PU
、
PP-TMP
NP
N
きょう
P-OPTR
は
PP
NP
PP
NP;{MELOS}
N
兄
P-ROLE
の
N
代り
__P-ROLE
に
PP-OB1
NP
PP
NP
N
羊群
P-ROLE
の
N
番
P-ROLE
を
VB
し
P-CONN
て
VB2
い
AXD
た
PU
。
[133_aozora_Dazai-2-1940@41 ]
結果節も IP-SMC として分析することが可能であり,その場合は「に」はコピュラとして分析するべきである。 しかし,現行のアノテーションではこれらは助詞として扱われる。 ただし,「に」の前の要素が ADJN であれば,「に」は AX として分析される。
(7.24 )
どう 考え 、 どう 行動 する か を 判断 する 力 、 すなわち 「 生き 抜く 力 」 を 身 に 付ける ならば 、 原発事故 の マイナス を プラス に 変え られる 。
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
PP-SCON-CND
IP-ADV
PP-OB1
NP
IP-EMB
NP-SBJ
*arb*
PP-OB1
CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ
*arb*
IP-ADV-CONJ
ADVP
WADV
どう
VB
考え
PU
、
ADVP
WADV
どう
VB
行動
VB0
する
P-FINAL
か
P-ROLE
を
VB
判断
VB0
する
N
力
PU
、
PRN
CONJ
すなわち
PUL
「
NP
IP-EMB
NP-SBJ
*arb*
VB
生き
VB2
抜く
N
力
PUR
」
P-ROLE
を
PP
NP
N
身
P-ROLE
に
VB
付ける
P-CONN
ならば
PU
、
PP-OB1
NP
PP
NP
N
原発事故
P-ROLE
の
N
マイナス
__P-ROLE
を
PP
NP
N
プラス
P-ROLE
に
VB
変え
VB2
られる
PU
。
[82_news_KAHOKU_55@84 ]
「と」には,助詞 --接続助詞(P-CONN),格助詞(P-ROLE),および補文助詞(P-COMP)-- としての用法とコピュラ(AX)としての用法がある。
接続助詞(P-CONN)として,「と」は名詞を接続することができる。 等位接続の前件では「と」は CONJP の主要部となるが, 後件では「と」は上位の NP の元に置かれることに注意されたい (詳細は 3.5 節を参照)。
(7.25 )
滝役 の 千葉治郎 は 阿部 と 内田 と で 決め た 。
IP-MAT
PP-OB1
NP
PP
NP
N
滝役
P-ROLE
の
NPR
千葉治郎
P-OPTR
は
PP-SBJ
NP
CONJP
NP
NPR
阿部
P-CONN
と
NP
NPR
内田
__P-CONN
と
P-ROLE
で
VB
決め
AXD
た
PU
。
[124_wikipedia_Kamen_Rider@25 ]
格助詞(文法役割を示す)の「と」は多くの場合は共格的な意味を表す。 一部の動詞はこのような「と」を主要文法役割として要求する。
(7.26 )
翌年 、 慶長 20 年 ( 1615 年 ) の 大坂の役 ( 夏の陣 ) 道明寺の戦い で は 後藤基次ら と 戦っ た 。
IP-MAT
NP-SBJ;{MASAMUNE}
*pro*
NP-TMP
N
翌年
PU
、
PP
NP;{BATTLE_DOMYOJI}
NML
PP
NP
NPR
慶長
NUMCLP
NUM
20
CL
年
PRN
PUL
(
NP
NUMCLP
NUM
1615
CL
年
PUR
)
P-ROLE
の
NPR
大坂の役
PRN
PUL
(
NP
N
夏の陣
PUR
)
NPR
道明寺の戦い
P-ROLE
で
P-OPTR
は
PP
NP
NPR
後藤基次ら
__P-ROLE
と
VB
戦っ
AXD
た
PU
。
[89_wikipedia_Datemasamune@54 ]
(7.27 )
この 年 に は 『 昼下りの情事 』 に も 出演 し て おり 、 ゲーリー・クーパー や モーリス・シュヴァリエ と 共演 し た 。
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
PP
NP
D
この
N
年
P-ROLE
に
P-OPTR
は
IP-ADV-CONJ
PP
NP
PUL
『
NPR
昼下りの情事
PUR
』
P-ROLE
に
P-OPTR
も
VB
出演
VB0
し
P-CONN
て
VB2
おり
PU
、
PP
NP
CONJP
NP
NPR
ゲーリー・クーパー
P-CONN
や
NP
NPR
モーリス・シュヴァリエ
__P-ROLE
と
VB
共演
VB0
し
AXD
た
PU
。
[134_wikipedia_Audrey_Hepburn@48 ]
そのほかの場合,「と」でマークされた名詞句は動詞の要求する必須項ではない。
(7.28 )
お昼 に 、 卒業生 と 、 なんか 、 ご飯 いっしょ に 食べる ん だ けど
FRAG
PP-SCON
IP-ADV
NP-SBJ
*speaker*
PP
NP
N
お昼
P-ROLE
に
PU
、
PP
NP
N
卒業生
__P-ROLE
と
PU
、
ADVP
ADV
なんか
PU
、
NP-OB1
N
ご飯
ADVP
ADJN
いっしょ
AX
に
VB
食べる
FN
ん
AX
だ
P-CONN
けど
[47_spoken_JF4@18 ]
「と」は,P-COMP(補文助詞)とラベル付けされ,思考動詞,感覚動詞,伝達動詞等の補部節をマークする。
(7.29 )
そっか 、 ごはん 、 いっしょ に 食べ ない かなぁ と 思っ て 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
INTJ
そっか
PU
、
CP-THT-OB1
CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ
*speaker+hearer*
NP-OB1
N
ごはん
PU
、
ADVP
ADJN
いっしょ
AX
に
VB
食べ
NEG
ない
P-FINAL
かなぁ
__P-COMP
と
___VB
思っ
P-CONN
て
PU
。
[43_spoken_JF1@29,31 ]
また,P-COMP の「と」は命名動詞の項を補語(CMPL)として表示する(2.7.3 節を参照)。
(7.30 )
日本 で は ヘップバーン と 表記 さ れる こと も 多い 。
IP-MAT
PP
NP
NPR
日本
P-ROLE
で
P-OPTR
は
PP-SBJ
NP
IP-EMB
NP-SBJ
*pro*
NP-LGS
*arb*
___PP-CMPL
NP
NPR
ヘップバーン
__P-COMP
と
VB
表記
VB0
さ
PASS
れる
N
こと
P-OPTR
も
ADJI
多い
PU
。
[2_wikipedia_Audrey_Hepburn@21,17 ]
「と」はコピュラの「に」と非常によく似た位置に出現することがある。 以下の例の「と」はナ形容詞の後に現れ,全体として副詞的な表現になっている。 このような「と」は (AX と) と分析される。
(7.31 )
しかし 、 ユダヤ人ら を 恐れ て 、 イエス の こと を 公然 と 口 に する 者 は い なかっ た 。
IP-MAT
CONJ
しかし
PU
、
IP-ADV-SCON
NP-SBJ
*pro*
PP-OB1
NP
N
ユダヤ人ら
P-ROLE
を
VB
恐れ
P-CONN
て
PU
、
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
PP-OB1
NP
PP
NP
NPR
イエス
P-ROLE
の
N
こと
P-ROLE
を
ADVP
___ADJN
公然
__AX
と
PP-CMPL
NP
N
口
P-ROLE
に
VB
する
N
者
P-OPTR
は
VB
い
NEG
なかっ
AXD
た
PU
。
[538_bible_nt@41,39 ]
ただし,普通名詞のあとの「と」は P-ROLE と分析される。
(7.32 )
企画段階 で 紆余曲折 を 経 た 本作 は 、 放映開始 さ れ て も 順風満帆 と は 行か なかっ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
PP
NP
N
企画段階
P-ROLE
で
PP-OB1
NP
N
紆余曲折
P-ROLE
を
VB
経
AXD
た
N
本作
P-OPTR
は
PU
、
PP-SCON
IP-ADV
NP-LGS
*pro*
VB
放映開始
VB0
さ
PASS
れ
P-CONN
て
P-OPTR
も
PP
___NP
N
順風満帆
__P-ROLE
と
P-OPTR
は
VB
行か
NEG
なかっ
AXD
た
PU
。
[81_wikipedia_Kamen_Rider@47,44 ]
同様に,「と」なしで自立できる副詞(ADV)の後では, 「と」は P-ROLE と分析される。 一方で, 「と」なしで自立できないようなADV(および,ADJN)の場合については, 全体で一語として分析される(詳しくは 3.4 節参照)。
(7.33 )
家事 一切 に 関わら ず 、 のんびり と 心 の ぜいたく を する 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
IP-ADV-CONJ
PP
NP
N
家事
PRN
NP;*
Q
一切
P-ROLE
に
VB
関わら
NEG
ず
PU
、
ADVP
___ADV
のんびり
__AX
と
PP-OB1
NP
PP
NP
N
心
P-ROLE
の
N
ぜいたく
P-ROLE
を
VB
する
PU
。
[15_news_KAHOKU_10414@24,22 ]
(7.34 )
仙台 の 街 を 歩く と 、 妙 に ホッと し て しまう 。
IP-MAT
NP-SBJ
*speaker*
PP-SCON-CND
IP-ADV
PP-OB1
NP
PP
NP
NPR
仙台
P-ROLE
の
N
街
P-ROLE
を
VB
歩く
P-CONN
と
PU
、
ADVP
ADJN
妙
AX
に
__ADVP-CMPL
ADV
ホッと
VB
し
P-CONN
て
VB2
しまう
PU
。
[25_news_KAHOKU_102@29 ]
「と」は「する」や「なる」の補部となった IP-SMC の中にも現れる。
(7.35 )
また 、 この 頃 ヘプバーン は 、 アンネ・フランク の 『 アンネの日記 』 を 題材 と し た 舞台作品 と 映画作品 の 両方 へ の 出演依頼 を 受け た 。
IP-MAT
CONJ
また
PU
、
NP-TMP
D
この
N
頃
PP-SBJ
NP
NPR
ヘプバーン
P-OPTR
は
PU
、
PP-OB1
NP
PP
NP
PP
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
PP-OB1
NP
PP
NP
NPR
アンネ・フランク
P-ROLE
の
PUL
『
NPR
アンネの日記
PUR
』
P-ROLE
を
___IP-SMC-CNT
NP-PRD
N
題材
__AX
と
___VB
し
AX
た
NML
CONJP
NP
N
舞台作品
P-CONN
と
NP
N
映画作品
P-ROLE
の
Q
両方
P-ROLE
へ
P-ROLE
の
N
出演依頼
P-ROLE
を
VB
受け
AXD
た
PU
。
[127_wikipedia_Audrey_Hepburn@48,44,50 ]
(7.36 )
礼 に 過ぐれ ば 諂(へつらい) と なる 。
IP-MAT
NP-SBJ
*arb*
IP-ADV-SCON-CND
PP
NP
N
礼
P-ROLE
に
VB
過ぐれ
P-CONN
ば
___IP-SMC-OB1
NP-PRD
N
諂(へつらい)
__AX
と
___VB
なる
PU
。
[134_wikipedia_Datemasamune@19,15,21 ]
「と」と ADJN あるいは NP-PRD の間にコピュラを補って意味に変化がない場合, このような「と」は CP-THT を投射する補文標識(P-COMP)として分析されることに注意。
(7.37 )
いま 心配 な の は 、 さまざま な 無償 の 支援 を 当然 と 思う 雰囲気 が 生まれる こと だ 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-OB1
*T*
NP-SBJ
*pro*
NP-TMP
N
いま
ADJN
心配
AX
な
N
の
P-OPTR
は
PU
、
NP-PRD
IP-EMB
PP-SBJ
NP
IP-EMB
NP-SBJ
*pro*
PP-DOB1
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
さまざま
AX
な
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
無償
AX
の
N
支援
P-ROLE
を
___CP-THT-OB1
IP-SMC
ADJN
当然
__P-COMP
と
VB
思う
N
雰囲気
P-ROLE
が
VB
生まれる
N
こと
AX
だ
PU
。
[83_news_KAHOKU_55@53,49 ]
また,「と」は接続助詞(P-CONN)として IP-ADV に後続する。
(7.38 )
太平 の 世 に なる と 美食 を 極める こと に 目的 を 変え て 料理研究 を 続け た 。
IP-MAT
NP-SBJ;{MASAMUNE}
*pro*
PP-SCON-CND
___IP-ADV
NP-SBJ
*exp*
IP-SMC-OB1
NP-PRD
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
太平
AX
の
N
世
AX
に
VB
なる
__P-CONN
と
IP-ADV-CONJ
PP
NP
IP-EMB
PP-OB1
NP
N
美食
P-ROLE
を
VB
極める
N
こと
P-ROLE
に
PP-OB1
NP
N
目的
P-ROLE
を
VB
変え
P-CONN
て
PP-OB1
NP
N
料理研究
P-ROLE
を
VB
続け
AXD
た
PU
。
[208_wikipedia_Datemasamune@23,5 ]
「の」には,格助詞(P-ROLE),形式名詞(N/FN),およびコピュラ(AX)としての用法がある。
「の」は文法役割を示す格助詞(P-ROLE)としては,名詞句に付いて,その名詞句が後続する名詞句の補部であることをマークする。 ふたつの名詞句は典型的には,所有者/所有物,全体/部分,集合/その一員の関係にある。
(7.39 )
私 の ゼミ の 卒業生 が 集まっ て 食事会 を する ん です けどもー
FRAG
PP-SCON
IP-ADV
PP-SBJ
NP
PP
NP
PP
NP
PRO
私
__P-ROLE
の
N
ゼミ
___P-ROLE
の
N
卒業生
P-ROLE
が
IP-ADV-CONJ
VB
集まっ
P-CONN
て
PP-OB1
NP
N
食事会
P-ROLE
を
VB
する
FN
ん
AX
です
P-CONN
けどもー
[15_spoken_JF1@12,16 ]
「の」はまた,名詞修飾節の主語をマークする。
(7.40 )
花子 の 読ん だ 本
FRAG
NP
IP-REL
NP-OB1
*T*
PP-SBJ
___NP
NPR
花子
__P-ROLE
の
VB
読ん
AXD
だ
N
本
[32_misc_EXAMPLE@10,7 ]
(7.41 )
隙 の ない 印象 の 政宗 で ある が 、 酒 に は 滅法 弱く 、 酔っ て 失敗 し た 逸話 が いく つ か 残さ れ て いる 。
IP-MAT
IP-ADV-CONJ
NP-SBJ;{MASAMUNE}
*pro*
PP-CONJ
IP-ADV
NP-PRD
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
IP-EMB
PP-SBJ
___NP
N
隙
__P-ROLE
の
ADJI
ない
N
印象
AX
の
NPR
政宗
AX
で
VB2
ある
P-CONN
が
PU
、
PP
NP
N
酒
P-ROLE
に
P-OPTR
は
ADVP
ADV
滅法
ADJI
弱く
PU
、
NP-LGS
*
PP-SBJ
NP
IP-EMB
NP-SBJ;{MASAMUNE}
*pro*
IP-ADV-CONJ
VB
酔っ
P-CONN
て
VB
失敗
VB0
し
AXD
た
N
逸話
P-ROLE
が
NP;*SBJ*
NUMCLP
WNUM
いく
CL
つ
P-OPTR
か
VB
残さ
PASS
れ
P-CONN
て
VB2
いる
PU
。
[218_wikipedia_Datemasamune@17,14 ]
「の」には伝統的な日本語学で形式名詞とされる用法があり (本アノテーションでの品詞タグは N), 節を名詞化する機能を持つ。 このような「の」は擬似分裂文で典型的に用いられる。
(7.42 )
舞台 で イライザ を 演じ て い た の は ジュリー・アンドリュース だっ た が 、 アンドリュース に は 映画出演 の 話 は 来 なかっ た 。
IP-MAT
PP-CONJ
IP-ADV
PP-SBJ
___NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
PP
NP
N
舞台
P-ROLE
で
PP-OB1
NP
NPR
イライザ
P-ROLE
を
VB
演じ
P-CONN
て
VB2
い
AXD
た
__N
の
P-OPTR
は
NP-PRD
NPR
ジュリー・アンドリュース
AX
だっ
AXD
た
P-CONN
が
PU
、
PP
NP
NPR
アンドリュース
P-ROLE
に
P-OPTR
は
PP-SBJ
NP
PP
NP
N
映画出演
P-ROLE
の
N
話
P-OPTR
は
VB
来
NEG
なかっ
AXD
た
PU
。
[181_wikipedia_Audrey_Hepburn@29,5 ]
また,「形式名詞」の「の」は事実や動作の名詞化にも用いられる。
(7.43 )
「 あなた が 裸 で ある の を 、 だれ が 知らせ た の か 。
CP-QUE
IP-SUB
PUL
「
NP-OB2
*hearer*
PP-OB1
___NP
IP-EMB
PP-SBJ
NP;{MAN}
PRO
あなた
P-ROLE
が
NP-PRD
N
裸
AX
で
VB2
ある
__N
の
P-ROLE
を
PU
、
PP-SBJ
NP
WPRO
だれ
P-ROLE
が
VB
知らせ
AXD
た
FN
の
P-FINAL
か
PU
。
[124_bible_ot@23,8 ]
形式名詞としての「の」は定形の動詞とコピュラの間の,直接 IP に支配される位置に現れることがある(つまり,「のだ文」を構成する要素として現れる)。 このときの「の」は,特別に,N ではなく,FN とラベル付けされる。
(7.44 )
分から ない の です がー
FRAG
PP-SCON
___IP-ADV
NP-SBJ
*speaker*
NP-OB1
*pro*
VB
分から
NEG
ない
__FN
の
AX
です
P-CONN
がー
[12_spoken_JF2@12,3 ]
「の」は名詞句に後続し,コピュラの連体形として機能することもある。
(7.45 )
もし よかっ たら 、 また 別 の 機会 が あれ ば ・・・ 。
IP-MAT
NP-SBJ
*hearer*
IP-ADV-SCON-CND
ADVP
ADV
もし
ADJI
よかっ
P-CONN
たら
PU
、
IP-ADV-SCON-CND
ADVP
ADV
また
PP-SBJ
___NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
別
__AX
の
N
機会
P-ROLE
が
VB
あれ
P-CONN
ば
PU
・・・
PU
。
[20_spoken_JF1@25,19 ]
(7.46 )
この 行為 は 秀吉 の 派手好み の 性格 を 知っ て の 行い と 伝え られる 。
IP-MAT
NP-LGS
*arb*
CP-THT-SBJ
IP-SUB
PP-SBJ
NP;{MASAMUNE_TEE}
D
この
N
行為
P-OPTR
は
NP-PRD
PP
IP-ADV
NP-SBJ;{MASAMUNE}
*pro*
PP-OB1
NP
PP
NP;{HIDEYOSHI}
NPR
秀吉
P-ROLE
の
___IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
N
派手好み
__AX
の
N
性格
P-ROLE
を
VB
知っ
P-CONN
て
P-ROLE
の
N
行い
AX
*
P-COMP
と
VB
伝え
PASS
られる
PU
。
[40_wikipedia_Datemasamune@33,27 ]
(7.47 )
岩手 が 多い 傾向 は 冬期間 を 除き 、 震災発生 から 1 年 半 後 の 12 年 9 月 まで 続い た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
IP-EMB
NP-SBJ2
*pro*
PP-SBJ
NP
NPR
岩手
P-ROLE
が
ADJI
多い
N
傾向
P-OPTR
は
IP-ADV-SCON
NP-SBJ
*exp*
PP-OB1
NP
N
冬期間
P-ROLE
を
VB
除き
PU
、
PP
___NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
PP
NP
N
震災発生
P-ROLE
から
NML
NUMCLP
NUM
1
CL
年
NUMCLP
NUM
半
N
後
__AX
の
NUMCLP
NUM
12
CL
年
NUMCLP
NUM
9
CL
月
P-ROLE
まで
VB
続い
AXD
た
PU
。
[14_news_KAHOKU_65@55,33 ]
助詞の「の」とコピュラの「の」の区別については,4.23 節を参照されたい。
7.3 れる・られる
動詞の「れる・られる」形は,母音語幹(上一段・下一段型)動詞および「来る」の未然形に「られる」を、子音語幹(五段型)動詞および「する」の未然形に「れる」を付加することで作られる。 動詞「れる・られる」形は,直接受動,間接受動,尊敬のほかに自発と可能の用法も持つため,5通りに曖昧である。 以下ではそれらの用法の違いとアノテーション方法について説明する。
多くの直接受動文では, -SBJ が述語(VB)の対象の役割をもち(能動文の -OB1 あるいは OB2 に対応する), LGS が主体の役割をもつ(能動文の -SBJ に対応する)。 つまり,二項述語の場合、「A が B に VB1 (ら)れる」という文が真であれば, 「B が A を VB1 」という文も真となる。
本アノテーション方式では,この用法の「れる・られる」は PASS とラベル付けされ, 「NP に/から/によって」は -LGS(論理的主語)とラベル付けされる。
(7.48 )
太郎 は 朝早く 、 友人 に 電話 で 起こさ れ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{TARO_415}
NPR
太郎
P-OPTR
は
NP-TMP
N
朝早く
PU
、
___PP-LGS
NP
N
友人
P-ROLE
に
PP
NP
N
電話
P-ROLE
で
VB
起こさ
__PASS
れ
AXD
た
PU
。
[415_textbook_kisonihongo@27,13 ]
6.9 節における議論も参照。
間接受動は項の数を増やす構文であり,行為の影響を受ける者が -SBJ として付け加えられる。 同時に,埋め込まれた述部の主語は -LGS に降格する。 埋め込まれた述部のその他の項はその位置と文法役割を保持され, 助動詞「れる・られる」は PASS2 というタグを与えられる。
(7.49 )
太郎 が 雨 に 降ら れ た 。
IP-MAT
___PP-SBJ
NP;{PERSON}
NPR
太郎
P-ROLE
が
___PP-LGS
NP
N
雨
P-ROLE
に
VB
降ら
__PASS2
れ
AXD
た
PU
。
[1824_misc_JSeM_beta_150530@16,2,8 ]
(7.50 )
鈴木さん は 昨夜 、 一 晩中 子供 に 泣か れ て 困っ た 。
IP-MAT
___PP-SBJ
NP;{SUZUKI_407}
NPR
鈴木さん
P-OPTR
は
IP-ADV-SCON
NP-TMP
N
昨夜
PU
、
NP-MSR
NUMCLP
NUM
一
CL
晩中
___PP-LGS
NP
N
子供
P-ROLE
に
VB
泣か
__PASS2
れ
P-CONN
て
VB
困っ
AXD
た
PU
。
[407_textbook_kisonihongo@28,2,20 ]
所有者が -SBJ となり,所有物が OB1 となるような受動文(持ち主の受身)を直接受動の一種と見なす立場がある。 しかし,そのような分析によるほとんどの統語論上の議論には反証がある。 本アノテーションでは,「持ち主の受け身」は間接受動として扱われる。
(7.51 )
太郎 が 泥棒 に 財布 を 盗ま れ た 。
IP-MAT
___PP-SBJ
NP;{PERSON}
NPR
太郎
P-ROLE
が
PP-LGS
NP
N
泥棒
P-ROLE
に
___PP-OB1
NP
N
財布
P-ROLE
を
VB
盗ま
__PASS2
れ
AXD
た
PU
。
[1812_misc_JSeM_beta_150530@22,2,14 ]
(7.52 )
そう で ない もの は 塵塚 に 捨て られ 、 存在 を さえ 否定 さ れ た 。
IP-MAT
___PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADVP-PRD
ADV
そう
AX
で
NEG
ない
N
もの
P-OPTR
は
NP-LGS
*pro*
IP-ADV-CONJ
PP
NP
N
塵塚
P-ROLE
に
VB
捨て
PASS
られ
PU
、
___PP-OB1
NP
N
存在
P-ROLE
を
P-OPTR
さえ
VB
否定
VB0
さ
__PASS2
れ
AXD
た
PU
。
[141_aozora_Terada-1921@45,33,2 ]
つまり,-SBJ が被害を被るか否かということが,間接受動と判断する基準になるわけではない。 最も重要なのは,(「れる・られる」の付かない元の能動構文と比べて)項が増えているかということである。 助詞「を」をとった OB1 があるかどうかという点も判断基準とはならない。 「れる・られる」の付かない動詞が三項動詞であり, SBJ が元の能動構文における OB2 に対応する場合は,助詞「を」をとった OB1 があるとしても,直接受動である。
「れる・られる」の自発用法で主動詞となるのは,知覚,思考や感情を表すものに限られる。 この用法の「れる・られる」は VB2 とラベル付けされる。
知覚や思考,感情の経験者を表す -SBJ(「に」「は」あるいは「には」によってマークされる)は元の動詞の論理的主語である。 元の動詞の内項(OB1 あるいは DOB1)は「が」によってマークされるが,これは OB1 あるいは DOB1 のままと分析する。 助動詞「れる・られる」のタグは VB2 とする。
(7.53 )
そういった 未来 が 予想 さ れ ます
IP-MAT
___NP-SBJ
*speaker*
___PP-OB1
NP
D
そういった
N
未来
P-ROLE
が
VB
予想
VB0
さ
__VB2
れ
AX
ます
[59_ted_talk_7@16,2,4 ]
(7.54 )
私 に は その 話 が 不思議 に 思わ れ た 。
IP-MAT
___PP-SBJ
NP;{SPEAKER_373}
PRO
私
P-ROLE
に
P-OPTR
は
___PP-DOB1
NP;{STORY_373}
D
その
N
話
P-ROLE
が
IP-SMC-OB1
ADJN
不思議
AX
に
VB
思わ
__VB2
れ
AXD
た
PU
。
[373_textbook_kisonihongo@25,2,10 ]
(7.55 )
そういう 事 も 今 に なっ て 考え て 見る と 、 甚だ 奇怪 に 感じ られる の で ある 。
IP-MAT
___NP-SBJ
*speaker*
___PP-DOB1
NP
D
そういう
N
事
P-OPTR
も
PP-SCON
IP-ADV
NP-SBJ
*speaker*
NP-OB1
*pro*
IP-ADV-SCON
NP-SBJ
*exp*
IP-SMC-OB1
NP-PRD
N
今
AX
に
VB
なっ
P-CONN
て
VB
考え
P-CONN
て
VB2
見る
P-CONN
と
PU
、
IP-SMC-OB1
ADVP
ADV
甚だ
ADJN
奇怪
AX
に
VB
感じ
__VB2
られる
FN
の
AX
で
VB2
ある
PU
。
[58_aozora_Edogawa-1929@51,2,4 ]
また,ここで取り上げたものの他に,自発または類似の意味を表す以下のような動詞が存在する。 いくつかは子音語幹(五段活用型動詞)から派生されたものであり,いくつかは自他対における非対格動詞である。
見える, 聞こえる, 泣ける, 笑える, 待たれる, 売れる, etc.
これらは独立した動詞(VB)としてラベル付けされる。
母音語幹(上一段・下一段動詞)と不規則動詞「来る」に「られる」を加えて作られる可能形,例えば「見られる」「食べられる」「来られる」は,直接受動,間接受動,自発,尊敬の形と同じである。 母音語幹には「られる」ではなく「れる」を加えた「見れる」「食べれる」「来れる」という口語的な形もある。 このような「られる」「れる」は VB2 とラベル付けされる。
子音動詞(五段動詞)の場合,「走れる」のように,可能形は語幹に e を付けて作られるが, このような可能形は全体としてひとつの VB として分析される。
「できる」は動作名詞に続く場合,VB0 とラベル付けされる。 一般的に,動詞「する」の可能形は補充法による「できる」である。
(7.56 )
えっとー 、 そういった 感じ で も 参加 できる ん です かー ?
CP-FINAL
IP-SUB
NP-SBJ
*speaker*
INTJ
えっとー
PU
、
PP
NP
D
そういった
N
感じ
P-ROLE
で
P-OPTR
も
VB
参加
__VB0
できる
FN
ん
AX
です
P-FINAL
かー
PU
?
[14_spoken_JF2@21 ]
OB1 が助詞「を」をとる二項動詞の可能形では,必須項に対する助詞のマーキングのパターンは次の3つのうちのいずれかになる。
SBJ が OB1 を VB (可能形)
SBJ が OB1 が VB (可能形)
SBJ に OB1 が VB (可能形)
(7.57 )
むしろ 、 自分 が これ まで 実際 に この かぼそい 脚 で 身体 を ひきずっ て こ られ た こと が 不自然 に 思わ れ た 。
IP-MAT
NP-SBJ;{GREGOR}
*pro*
ADVP
ADV
むしろ
PU
、
PP-DOB1
NP
IP-EMB
___PP-SBJ
NP;{GREGOR}
PRO
自分
P-ROLE
が
PP-MSR
NP
PRO
これ
P-ROLE
まで
PP
ADVP
ADV
実際
P-ROLE
に
PP
NP
D
この
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJI
かぼそい
N
脚
P-ROLE
で
___PP-OB1
NP
N
身体
P-ROLE
を
VB
ひきずっ
P-CONN
て
___VB2
こ
__VB2
られ
AXD
た
N
こと
P-ROLE
が
IP-SMC-OB1
ADJN
不自然
AX
に
VB
思わ
VB2
れ
AXD
た
PU
。
[1121_aozora_Harada-1960@55,53,12,43 ]
(7.58 )
どうして こんな 妹 が かせぐ こと が できる だろう か 。
CP-QUE
IP-SUB
ADVP
WADV
どうして
___PP-SBJ
NP;{GRETE}
D
こんな
N
妹
P-ROLE
が
___PP-OB1
NP
IP-EMB
NP-OB1
*pro*
VB
かせぐ
N
こと
P-ROLE
が
__VB
できる
MD
だろう
P-FINAL
か
PU
。
[609_aozora_Harada-1960@25,6,14 ]
(7.59 )
では 私たち に 何 が できる の でしょう か ?
CP-QUE
IP-SUB
CONJ
では
___PP-SBJ
NP
PRO
私たち
P-ROLE
に
___PP-OB1
NP
WPRO
何
P-ROLE
が
__VB
できる
FN
の
MD
でしょう
P-FINAL
か
PU
?
[21_ted_talk_9@17,5,11 ]
可能形を述語とする構文における主語の扱いは少々複雑である。 典型的な主語は生物,感覚を持つもの,人間であり, 例えば「一回目で自転車にうまく乗れないのは誰だって一緒だ」のような例では,主語を(NP-SBJ *arb*) とアノテーションすることが極めて自然である。 また,(7.60 ) のように,主語を文脈から補うことができる場合もある。
(7.60 )
この 山 が 登れ ない 。
IP-MAT
___NP-SBJ;{MAN_36}
*pro*
___PP-OB1
NP;{MOUNTAIN_36}
D
この
N
山
P-ROLE
が
__VB
登れ
NEG
ない
PU
。
[36_misc_EXAMPLE@12,2,4 ]
尊敬用法の「れる・られる」は VB2 とラベル付けされる。 尊敬形を述語とする文では,元の動詞の必須文法役割とそのラベルが保持される。
(7.61 )
鈴木先生 は その 問題 を 詳しく 調べ られ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{SUZUKI_1302}
NPR
鈴木先生
P-OPTR
は
PP-OB1
NP;{PROBLEM_1302}
D
その
N
問題
P-ROLE
を
ADVP
ADJI
詳しく
VB
調べ
__VB2
られ
AXD
た
PU
。
[1302_textbook_kisonihongo@21 ]
「れる・られる」からの派生ではない尊敬形については,4.6 節を参照。
「よう」に対するラベル付けは次の3つに大別される。
AX:未然形に後続し,意志や推量を表す助動詞「よう」(その異形態として「う」がある)
MD:動詞やイ形容詞の非過去形・過去形,「ナ形容詞の語幹+な/だった」,「名詞+だった」に接続する証拠性(evidentiality)の意味を持つ「よう(だ)」の「よう」
N:動詞やイ形容詞の非過去形・過去形,「ナ形容詞の語幹+な/だった」,「名詞+だった」に接続するが,証拠性を表さない「よう(だ)」の「よう」および,「名詞+の」に接続する「よう」(証拠的か比喩的かを問わない)
以下では、MD あるいは N とラベル付けされる「よう」のアノテーションについて説明する。
7.4.1 証拠性を表す「よう」
動詞やイ形容詞の非過去形・過去形,「ナ形容詞の語幹+な/だった」,「名詞+だった」に接続する証拠性(evidentiality),つまり,‘It seems that...’ の意味を持つ「よう(だ)」の「よう」は MD とラベル付けされる。
(7.62 )
この 事実 から 判断 する と 、 あなた の 見方 は 正しく ない よう だ 。
IP-MAT
PP-SCON-CND
IP-ADV
NP-SBJ;{MAN_221}
*pro*
NP-OB1;{CONCLUSION_221}
*pro*
PP
NP
D
この
N
事実
P-ROLE
から
VB
判断
VB0
する
P-CONN
と
PU
、
PP-SBJ
NP
PP
NP;{HEARER_221}
PRO
あなた
P-ROLE
の
N
見方
P-OPTR
は
___ADJI
正しく
NEG
ない
__MD
よう
___AX
だ
PU
。
[221_textbook_kisonihongo@40,36,42 ]
本コーパスでは証拠的用法の「よう」は後述の直喩的用法の「よう」と区別されるが, 「どうやら」「どうも」のような推量に関する副詞句を用いて前者を検出することができる: もしそのような副詞句が節全体の意味を大きく変えることなく挿入することができるならば, 問題の「ようだ」は証拠的である。
(7.63 )
どう も 太郎 は この こと を 知っ て いる よう だ 。
IP-MAT
___ADVP
WADV
どう
P-OPTR
も
PP-SBJ
NP;{TARO_119}
NPR
太郎
P-OPTR
は
PP-OB1
NP;{FACT_119}
D
この
N
こと
P-ROLE
を
VB
知っ
P-CONN
て
VB2
いる
__MD
よう
___AX
だ
PU
。
[119_textbook_kisonihongo@27,2,29 ]
等位節における非終結節に現れた「よう(で)」が証拠性の用法で使われることもある(この場合の「で」はコピュラの連用形である)。
(7.64 )
私 は 先生 の 部屋 に 行っ た が 、 入れ違っ た よう で 会え なかっ た .
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
私
P-OPTR
は
PP-CONJ
IP-ADV
PP
NP
PP
NP
N
先生
P-ROLE
の
N
部屋
P-ROLE
に
VB
行っ
AXD
た
P-CONN
が
PU
、
IP-ADV-SCON
VB
入れ違っ
AXD
た
__MD
よう
___AX
で
NP-OB1
*pro*
VB
会え
NEG
なかっ
AXD
た
PU
.
[191_dict_vv-lexicon@35,37 ]
直喩的な表現の「よう(だ)」の場合,「よう」は埋め込み節(IP-EMB)をとる N として扱う。 「まるで」「あたかも」のような副詞句は「ようだ」の直喩的用法を示す典型的な語である (これらの副詞句がコピュラと同じ節内に置かれることに注意。 この分析は,これらの副詞が「よう」を欠いたコピュラとも共起することから支持される)。
(7.65 )
頬冠り に 尻端折り 、 草履 は 懐中 へ 忍ばせ た もの か 、 そこ だけ ピクリ と 脹れ て いる の が 蛇 が 蛙 を 呑ん だ よう だ 。
IP-MAT
NP-ADV
CONJP
NP
N
頬冠り
P-CONN
に
NP
N
尻端折り
PU
、
PP-SBJ
NP
IP-EMB
CP-QUE-ADV
IP-SUB
NP-SBJ;{TOBISAWA_JINNAI}
*pro*
PP-OB1
NP
N
草履
P-OPTR
は
PP
NP;{TOBISAWA_JINNAI_BOSOM}
PP
NP;{TOBISAWA_JINNAI}
*pro*
P-ROLE
*の*
N
懐中
P-ROLE
へ
VB
忍ばせ
AXD
た
FN
もの
AX
*
P-FINAL
か
PU
、
PP-SBJ
NP;{TOBISAWA_JINNAI_BOSOM}
PRO
そこ
P-OPTR
だけ
ADVP
ADV
ピクリ
AX
と
VB
脹れ
P-CONN
て
VB2
いる
N
の
P-ROLE
が
NP-PRD
___IP-EMB
PP-SBJ
NP
N
蛇
P-ROLE
が
PP-OB1
NP
N
蛙
P-ROLE
を
VB
呑ん
AXD
だ
__N
よう
AX
だ
PU
。
[60_aozora_Kunieda-1925@89,72 ]
(7.66 )
まるで 酔っ て いる よう だ 。
IP-MAT
NP-SBJ
*pro*
ADVP
ADV
まるで
NP-PRD
___IP-EMB
VB
酔っ
P-CONN
て
VB2
いる
__N
よう
AX
だ
PU
。
[537_textbook_TANAKA@15,8 ]
IP-EMB を補部にとる「よう(な)」の場合も,「よう」を N とする。
(7.67 )
あいつ は 俺 に 感謝 する どころか 、 おれ の 顔 に 泥 を ぬる よう な こと ばかり し て くれる 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
あいつ
P-OPTR
は
PP-SCON
IP-ADV
PP-OB1
NP;{SPEAKER_1197}
PRO
俺
P-ROLE
に
VB
感謝
VB0
する
P-CONN
どころか
PU
、
PP-OB1
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
___IP-EMB
PP
NP
PP
NP;{SPEAKER_1197}
PRO
おれ
P-ROLE
の
N
顔
P-ROLE
に
PP-OB1
NP
N
泥
P-ROLE
を
VB
ぬる
__N
よう
___AX
な
N
こと
P-OPTR
ばかり
VB
し
P-CONN
て
VB2
くれる
PU
。
[1197_textbook_kisonihongo@51,30,53 ]
知覚動詞の補部となる場合,「ように」の「よう」は N, 「に」は IP-SMC-SBJ あるいは IP-SMC-OB1 を投射する AX とする。
(7.68 )
あたかも 日本 の 製造業 全体 の 競争力 は 強い か の よう に 思わ れ て き た 。
IP-MAT
NP-LGS
*pro*
ADVP-1
ADV
あたかも
PP-DSBJ
NP;{COMPETITIVENESS}
PP
NP
PP
NP
NPR
日本
P-ROLE
の
N
製造業
PRN
NP;*
Q
全体
P-ROLE
の
N
競争力
___P-OPTR
は
IP-SMC-SBJ
ADVP
*ICH*-1
NP-PRD
PP
CP-QUE
IP-SMC
NP-SBJ;{COMPETITIVENESS}
*pro*
ADJI
強い
P-FINAL
か
__P-ROLE
の
___N
よう
AX
に
VB
思わ
PASS
れ
P-CONN
て
VB2
き
AXD
た
PU
。
[172_textbook_djg_advanced@42,44,27 ]
(7.69 )
部屋 の 闇 の 中 で 僕 は 今 また 麻痺 し た 人 の 重たい 灰色 の 顔 を 見 た よう に 思っ た 。
IP-MAT
PP
NP
PP
NP
PP
NP
N
部屋
P-ROLE
の
N
闇
P-ROLE
の
N
中
P-ROLE
で
PP-SBJ
NP;{SPEAKER}
PRO
僕
P-OPTR
は
___IP-SMC-OB1
NP-PRD
IP-EMB
NP-TMP
N
今
ADVP
ADV
また
PP-OB1
NP;{VISAGE}
PP
NP;{FLYNN}
IP-REL
NP-SBJ
*T*
VB
麻痺
VB0
し
AX
た
N
人
P-ROLE
の
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJI
重たい
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
N
灰色
AX
の
N
顔
P-ROLE
を
VB
見
AXD
た
__N
よう
___AX
に
VB
思っ
AXD
た
PU
。
[65_aozora_Joyce-1914@73,26,75 ]
さらに,「ように」によって補部がマークされる「振る舞う」のような動詞も存在する。 知覚動詞とこれらの動詞の共通点は, 直喩を示唆する副詞「まるで」「あたかも」が「ように」を修飾できることである。 したがって,ここでも同様のアノテーションが適切である。 これらの副詞による修飾を許すような「ようにする」「ようになる」の用法もまた, 同じようにアノテートされるべきである。
(7.70 )
彼 は あたかも 責任者 の よう に 振る舞っ て いる 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
PRO
彼
P-OPTR
は
IP-ADV-SCON
___ADVP
ADV
あたかも
NP-PRD
PP
NP
N
責任者
P-ROLE
の
__N
よう
___AX
に
___VB
振る舞っ
P-CONN
て
VB2
いる
PU
。
[16_textbook_djg_advanced@19,9,21,23 ]
(7.71 )
背中 が 棒 の よう に なっ た 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
背中
P-ROLE
が
PP
NP
PP
NP
N
棒
P-ROLE
の
__N
よう
___P-ROLE
に
___VB
なっ
AXD
た
PU
。
[134_aozora_Natsume-1908@16,18,20 ]
また,「ように」によって導かれ,かつ「まるで」「あたかも」の挿入が可能な節が, 動詞の項としてではなく,動詞の様態を修飾したり,文全体の表す状況を修飾したりするために用いられることもある。 この際は「よう」は N, 「に」は IP-ADV-SCON を作る AX とする。 ここでいう「様態の修飾」は,上述のそれとは異なる用法であることに注意。 あくまで「まるで」「あたかも」による挿入可能性がこの用法の判断基準である。
(7.72 )
リニアモーターカー は あたかも 氷 の 上 を すべる か の よう に 走る 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
N
リニアモーターカー
P-OPTR
は
___IP-ADV-SCON
___ADVP
ADV
あたかも
NP-PRD
PP
CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ
*pro*
PP-OB1
NP
PP
NP
N
氷
P-ROLE
の
N
上
P-ROLE
を
VB
すべる
P-FINAL
か
P-ROLE
の
__N
よう
___AX
に
VB
走る
PU
。
[17_textbook_djg_advanced@36,9,8,38 ]
(7.73 )
ザムザ夫人 と グレーテ と は また 書き つづけ よう と する か の よう に 手紙 に かがみこん だ 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
CONJP
NP;{MOTHER}
NPR
ザムザ夫人
P-CONN
と
NP;{GRETE}
NPR
グレーテ
P-CONN
と
P-OPTR
は
___IP-ADV-SCON
NP-PRD
PP
CP-QUE
IP-SUB
NP-SBJ;{MOTHER+GRETE}
*pro*
NP-OB1;{NOTIFICATION}
*pro*
ADVP
ADV
また
VB
書き
VB2
つづけ
AX
よう
AX
と
VB2
する
P-FINAL
か
P-ROLE
の
__N
よう
___AX
に
PP
NP;{NOTIFICATION}
N
手紙
P-ROLE
に
VB
かがみこん
AXD
だ
PU
。
[1209_aozora_Harada-1960@43,45,17 ]
IP-SMC分析の帰結として,「よう」の埋め込むIP-EMBと, 「に」によって導かれるIP-SMCという2つの節が存在することになるが, これにより印象を与えるものと(IP-SMCのコントローラー), IP-EMBの主語が必ずしも一致しないケースを捉えることが可能となる。 例えば以下の文は直感的に「丸善」(IP-SMCのコントローラー)についての印象を述べている一方で, その印象の内実は「[丸善ではなく]話者(IP-EMBの主語)がやすやすと入れる」ということにある。
(7.74 )
平常 あんな に 避け て い た 丸善 が その 時 の 私 に は やすやす と 入れる よう に 思え た 。
IP-MAT
PP-DOB1
NP
IP-REL
NP-OB1
*T*
NP-SBJ
*speaker*
ADVP
ADV
平常
ADVP
ADJN
あんな
AX
に
VB
避け
P-CONN
て
VB2
い
AXD
た
NPR
丸善
P-ROLE
が
PP-SBJ
NP
PP
NP
D
その
N
時
P-ROLE
の
PRO
私
P-ROLE
に
P-OPTR
は
___IP-SMC-OB1
NP-PRD
___IP-EMB
NP-SBJ
*speaker*
ADVP
ADV
やすやす
AX
と
VB
入れる
__N
よう
___AX
に
VB
思え
AXD
た
PU
。
[98_aozora_Kajii-1925@57,59,45,47 ]
しかしこのことは同時に,IP-SMCのコントローラーが何であるかについて常に気を配らなければならないことを意味する。 例えば以下の文においてはそれはあまり明確でない (matrixの「私には」がコントローラーでないことは明らか)。 この例ではコントローラーとして*pro* をあてているが, 特定の先行詞があるわけでもなさそうなので, *exp* を用いるのが良いかもしれない。 ただし,NP-OB1が*exp* を支配している既存の例はない。
(7.75 )
しかし 、 私 に は 、 庶民 の ごく 素朴 な 想像力 において は 、 神道 の 原始的 な 概念 と 、 仏教 の 教え で ある 魂 の 裁き という はるか に 明白 な 教義 と の 間 に は 、 真 に 合致 する もの は 明らか に ない よう に 思える の で ある 。
IP-MAT
CONJ
しかし
PU
、
PP-SBJ
NP
PRO
私
P-ROLE
に
P-OPTR
は
PU
、
PP
NP
PP
NP
N
庶民
P-ROLE
の
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADVP
ADV
ごく
ADJN
素朴
AX
な
N
想像力
P-ROLE
において
P-OPTR
は
PU
、
PP
NP
PP
NP
CONJP
NP
PP
NP
N
神道
P-ROLE
の
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADJN
原始的
AX
な
N
概念
P-CONN
と
PU
、
NP
PP
NP
PP
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-PRD
PP
NP
N
仏教
P-ROLE
の
N
教え
AX
で
VB2
ある
N
魂
P-ROLE
の
N
裁き
P-ROLE
という
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADVP
ADJN
はるか
AX
に
ADJN
明白
AX
な
N
教義
P-CONN
と
P-ROLE
の
N
間
P-ROLE
に
P-OPTR
は
PU
、
PP-DOB1
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
ADVP
ADJN
真
AX
に
VB
合致
VB0
する
N
もの
P-OPTR
は
___IP-SMC-OB1
NP-PRD
IP-EMB
ADVP
ADJN
明らか
AX
に
ADJI
ない
__N
よう
___AX
に
VB
思える
FN
の
AX
で
VB2
ある
PU
。
[216_aozora_Hayashida-2015@150,152,140 ]
(7.76 ) 私はこのプロジェクトのうちの誰かが必要なように思う(が,このプロジェクトのメンバーであれば誰でも良いとも思う)。 (intended scope: 思う > 必要 > 誰か)
(7.77 ) 社会保険労務士を必要と思ったきっかけは何ですか? (plausible scope: 必要 > 社会保険労務士)
7.4.2 「NP+の」に続く「よう(だ)」
「NP+の」に続く「よう(だ)」は,それが証拠性の「よう(だ)」であっても直喩の「よう(だ)」であっても,常に N とラベル付けされる。
(7.78 )
太郎 は まだ 子供 の よう だ 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{TARO_62}
NPR
太郎
P-OPTR
は
ADVP
ADV
まだ
NP-PRD
PP
___NP
N
子供
___P-ROLE
の
__N
よう
___AX
だ
PU
。
[62_textbook_kisonihongo@18,20,16,13 ]
(7.79 )
この 絵 は 写実的 で 、 写真 の よう だ 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP;{PICTURE_676}
D
この
N
絵
P-OPTR
は
IP-ADV-CONJ
ADJN
写実的
AX
で
PU
、
NP-PRD
PP
___NP
N
写真
___P-ROLE
の
__N
よう
___AX
だ
PU
。
[676_textbook_kisonihongo@24,26,19,22 ]
「この・その・あの・どの」のような限定詞に続いた「よう(だ)」についても同様である。
(7.80 )
この よう な こと を 知っ て いる 人 は 、 もはや い ない 。
IP-MAT
PP-SBJ
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
PP-OB1
NP
IP-REL
NP-SBJ
*T*
NP-PRD;{FACT_111}
___D
この
__N
よう
___AX
な
N
こと
P-ROLE
を
VB
知っ
P-CONN
て
VB2
いる
N
人
P-OPTR
は
PU
、
ADVP
ADV
もはや
VB
い
NEG
ない
PU
。
[111_textbook_kisonihongo@15,13,17 ]